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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1060777
審判番号 不服2001-6631  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-26 
確定日 2002-07-26 
事件の表示 平成11年特許願第138807号「光記録媒体の情報記録方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 1月 7日出願公開、特開2000- 3521、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1、手続の経緯、本願発明の認定
本願は、特願平1-123915号(平成1年5月17日出願)の分割出願である特願平9-88347(平成9年4月7日分割出願)をさらに平成11年5月19日付で分割出願したものであって、その発明は、補正された明細書及び図面の記載によれば特許請求の範囲の請求項1および2に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】ポリカーボネートからなる透明基板と、該透明基板の上に形成された光透過性の記録層と、該記録層の上に形成された金、銀、銅もしくはこれらの合金からなる反射層とよりなる光記録媒体に記録用レーザビームを照射して前記記録層の記録部分の厚みを減少させることにより前記記録層の反射率を低下させて情報を記録する方法であって、前記記録用レーザビームの強度を、前記記録層の記録部分の厚みがd1となるように設定し、この設定された記録用レーザビームを前記光記録媒体に照射することを特徴とする、光記録媒体の情報記録方法。
ただし、d1は、透明基板の屈折率をn0、記録層の複素屈折率の実数成分、虚数成分をn1、k1、反射層の複素屈折率の実数成分、虚数成分をn2、k2、レーザビームの波長をλとした時、
【数1】

(mはd1が正となり、且つ前記透明基板と前記記録層との界面での反射率がd1で極小となる整数)である。
【請求項2】 前記記録層の記録部分の厚みd1を定める前記数式において、mが最小となるように記録用レーザビームの強度を設定することを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体の情報記録方法。」

2、原審の拒絶理由の概要
原審は特許法第29条第2項を適用し、拒絶の理由の証拠としてE.HAMADA et. al“CD-compatible write-once disc with high refectvity”,SPIE Vol.1078 Optical Data Storage Topical Meeting(1989.1.17-19)p80-p87(以下刊行物1という)と日本学術振興会薄膜第131委員会編「薄膜工学ハンドブック」オーム社(昭49.5.20)、第2編278頁〜288頁及び第2編294頁〜296頁(以下、刊行物2という)を引用して、これら刊行物記載発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。

3、対 比
以下に、本願の請求項1に記載される発明と刊行物1記載発明とを対比する。
上記刊行物1の81頁11〜16行にはoptical constants(n,k)のうちの実数成分nのみを考慮して、photo-absorption layerのρ=n×d// λを変化させたときの反射率をコンピュータシミュレーションさせた例がFig2として記載されているが、optical constants(n,k)の内のもう一方の虚数成分kについては、どう考慮するのかの記載はない。
これに対して、本願発明の請求項1に記載の発明は「前記記録用レーザビームの強度を、前記記録層の記録部分の厚みがd1となるように設定し、この設定された記録用レーザビームを前記光記録媒体に照射する」の構成および「ただし、d1は、透明基板の屈折率をn0、記録層の複素屈折率の実数成分、虚数成分をn1、k1、反射層の複素屈折率の実数成分、虚数成分をn2、k2、レーザビームの波長をλとした時、
【数1】

(mはd1が正となり、且つ前記透明基板と前記記録層との界面での反射率がd1で極小となる整数)である。」 の構成を有し、これにより、記録用レーザビームの強度を、記録層の記録部分の厚みがd1となるように設定する構成として、刊行物1に記載のある記録層の複素屈折率の実数成分n1の他に、透明基板の屈折率n0と記録層の複素屈折率の虚数成分k1、反射層の複素屈折率の実数成分n2、虚数成分k2、をも考慮した上記演算式を採用するものである。
そうしてみると、刊行物1には上記光学常数が複素成分から成ることの記載はあるものの、本願発明の構成である記録層の複素屈折率の実数成分n1の他に、透明基板の屈折率n0と記録層の複素屈折率の虚数成分k1、反射層の複素屈折率の実数成分n2、虚数成分k2、をも考慮して演算することは記載されていない。
同様に刊行物2にも上記本願発明の特徴についての記載はない。
又、請求項2についても、請求項1を引用する発明であるから、請求項1と同じ理由により、刊行物1及び2から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、本願発明は上記構成上の特徴により上記刊行物1及び2にはない【0055】「【発明の効果】 記録部分が好ましい低反射率を有し、情報を良好に記録することが出来る光記録媒体の情報記録方法を提供する」という効果を奏するものと認められる。

4、むすび
以上のことから、本願発明は、原審が示した刊行物1および2に記載された各発明に基づいては当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
又、他に本願を拒絶すべき理由を発見できない。
よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-07-16 
出願番号 特願平11-138807
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北岡 浩殿川 雅也  
特許庁審判長 内藤 二郎
特許庁審判官 麻野 耕一
相馬 多美子
発明の名称 光記録媒体の情報記録方法  
代理人 宮園 博一  

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