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審決分類 |
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B21D |
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管理番号 | 1060787 |
審判番号 | 不服2001-1634 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-02-08 |
確定日 | 2002-07-04 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第261785号「薄板のプレス成形方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 4月27日出願公開、特開平 5-104161]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成3年10月9日の出願であって、原審において平成11年12月17日付で拒絶理由の通知がなされ、出願人より平成12年2月21日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、該手続補正書は、平成12年5月8日付補正却下の決定により却下され、平成12年12月25日付で上記拒絶理由により拒絶査定された。 これに対して出願人は、平成13年2月8日に審判請求書を提出し、平成13年3月8日に該審判請求書の補正書及び手続補正書を提出した。そして、該手続補正書は、当審の平成14年2月19日付補正の却下の決定により却下され、この却下の決定は確定した。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】曲面部とその周囲のフランジ部とからなるプレス成形品を薄板から成形加工する際に、下記のごとく設計された金型を用いるようにすることを特徴とする薄板のプレス成形方法。 金型設計条件;曲面上の任意の点Pにおけるプレス成形後のスプリングバック量をZ、曲面全体におけるスプリングバック量をZ1、周辺領域での局部的スプリングバック量をZ2とした場合、曲面中央領域ではZ=Z1で表現し、周辺領域ではZ=Z1+Z2で表現し、 この時、 ただし、tは周辺領域内におけるある点の、周辺領域と中央領域との境界からの距離、a1,b1〜ak,bkは外周輪郭に垂直な断面か、あるいは曲面中心を通る鉛直方向軸を含む断面ごとに決まる実数定数で表される方法で、周辺領域が中央領域となめらかに接するようにスプリングバック量を設定すること。」 第3 当審の判断 原審における拒絶査定は、上記拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶査定するというものであって、上記拒絶理由は、 この出願は、特許請求の範囲の記載が次の1、2の点で、即ち、 「1.本件出願の特許請求の範囲の記載中、請求項1に「Z1」とあるが、この「Z1」は、何で表現しようとしているのか不明である。(結局、Z1とZ2の違いが、特許請求の範囲の記載からでは不明である。)(この不明な点を「第1の不明な点」という。) 2.同記載中、「曲面部」とあるが、この曲面は、どのような曲面なのか(円筒状、凹球面状等の違いにつき)、不明である。(この不明な点を「第2の不明な点」という。) よって、請求項1は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものでない。」 から、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていないと言うものである。 上記拒絶理由の是非を検討するに、明細書又は図面には、「Z1」について次の(1)〜(5)の如く記載されている。 (1)「曲面全体におけるスプリングバック量をZ1」(特許請求の範囲請求項1、及び段落0006) (2)「曲面中央領域ではZ=Z1で表現し、周辺領域ではZ=Z1+Z2で表現し、」(特許請求の範囲請求項1) (3)「曲面中央部ではZ=Z1で表現し、端部の影響があらわれる周辺部では、Z=Z1+Z2で表現し、」(段落0006) (4)「中央領域7については、Z=Z1=f1(x,y)なる多項式で一意的に表現し、周辺領域5については、端部の影響があらわれるので、前記のZ1に次に示すZ2の項(端部の影響項)を付加して、Z=Z1+Z2で、スプリングバック量を設定する。」(段落0012) (5)図4には、「Z=Z1」及び「Z1」の記載が認められる。 しかし、上記(1)〜(5)にみられるように、特許請求の範囲請求項1の記載ばかりでなく、発明の詳細な説明の欄の各段落の記載を参照しても、Z1の内容が明確でなく、曲面中央領域のZ=Z1 も周辺領域のZ=Z1+Z2も不明である。段落0017の表にも、角度θに対しZ2は示されているが、Z1は示されておらず、従って、曲面中央領域のZ=Z1 も周辺領域でのZ=Z1+Z2も不明であって、上記第1の不明な点は依然として不明であるといえる。 また、請求項1に記載の曲面について明細書の、発明の詳細な説明の欄の段落には、 (1) 「周辺縁部と中央部とでなめらかに接するような曲面設定とした。」(段落0004) (2) 「複雑な曲面」(段落0009) (3) 「金型曲面部の任意の点P(x,y)」(段落0012) の記載は認められるものの、曲面はどのような曲面なのか不明であり、上記第2の不明な点は、依然として不明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、依然として明細書の特許請求の範囲、請求項1の記載が不明であり、本願は、特許法第36条第5項に規定する要件を満たさないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-04-23 |
結審通知日 | 2002-05-07 |
審決日 | 2002-05-20 |
出願番号 | 特願平3-261785 |
審決分類 |
P
1
8・
534-
Z
(B21D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野村 亨 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
宮崎 侑久 三原 彰英 |
発明の名称 | 薄板のプレス成形方法 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 岩橋 文雄 |