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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1060808 |
審判番号 | 審判1999-15005 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-02-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-09-16 |
確定日 | 2002-07-03 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第177232号「建築物の壁体」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 2月13日出願公開、特開平 8- 42024]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は平成6年7月28日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成11年4月26日付け、平成10年4月13日付けの手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「【請求項1】建築物の外壁あるいは内壁等を構成する壁体であって、断面正方形の枠材の両面に板材を添設してなるフラッシュ構造のパネルを複数枚具備してなり、隣接するパネルの枠材同士を、止着具を介して緊締結合してなり、前記止着具が、一方のパネルの枠材から他方のパネルの枠材に貫通させたボルトと、他方のパネルの枠材に設けたナット部材とからなり、前記ナット部材は外周が6角柱状をなす筒体の内周にめねじを螺刻しためねじ部とその一端に形成した鍔部とからなるものであることを特徴とする建築物の壁体。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の平成3年3月27日に頒布された実願平1-92808号(実開平3-31606号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第5頁第14行〜第6頁第17行及び第1〜3図の記載からみて、「枠体の両面に板材を添設してなるパネルを2枚具備してなり、隣接するパネルの枠体同士を結合金具を介して締め付け結合してなり、前記結合金具が、一方を木ねじとし、他方を一般機械用の三角ねじとしたボルトからなるパネル体。」の発明が記載されている。 また、同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の昭和51年4月7日に頒布された実公昭51-12883号公報(以下、「引用例2」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第1頁第2欄第1〜14行及び第1〜3図の記載からみて、「トラスと、トラスに当接する断面L型の金属片を、接合具を介して結合してなり、前記接合具が、金属片からトラスに貫通させたボルトと、トラスに設けた金具とからなり、前記金具は脚部の内周に設けたネジ穴とその一端に形成した頭部とからなるトラスと金属片の接合構造。」の発明が記載されている。 3.対比・判断 本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「枠体」、「パネル」、「結合金具」及び「締め付け結合」は、それぞれ、本願発明の「枠材」、「フラッシュ構造のパネル」、「止着具」及び「緊締結合」に相当し、引用例1に記載された発明の「2枚」は、本願発明の「複数枚」の下位概念であるから、引用例1に記載された発明の「2枚」は、本願発明の「複数枚」に相当し、引用例1に記載された発明の「パネル体」は、工業生産住宅に用いられること、及び、第4図の記載からみて、本願発明の「壁体」と同じように、「建築物の外壁あるいは内壁等を構成する壁体」であることは明らかであるから、両者は、「建築物の外壁あるいは内壁等を構成する壁体であって、枠材の両面に板材を添設してなるフラッシュ構造のパネルを複数枚具備してなり、隣接するパネルの枠材同士を、止着具を介して緊締結合してなる建築物の壁体」の点で一致し、下記の点で相違する。 (1)枠材が、本願発明では、断面正方形であるのに対し、引用例1に記載された発明では、断面形状が明確にされていない点。 (2)止着具が、本願発明では、一方のパネルの枠材から他方のパネルの枠材に貫通させたボルトと、他方のパネルの枠材に設けたナット部材とからなり、前記ナット部材は外周が6角柱状をなす筒体の内周にめねじを螺刻しためねじ部とその一端に形成した鍔部とからなるものであるのに対し、引用例1に記載された発明では、一方を木ねじとし、他方を一般機械用の三角ねじとしたボルトからなる点。 上記相違点について検討する。 相違点(1)に関して 引用例1に記載された発明の枠材は、図面からみて断面方形であることは明らかであるが、断面正方形であることは記載されていない。しかしながら、隣接するパネルを枠材を介して緊締結合するに際して、充分な結合強度が得られるように枠材断面の幅や厚みを設定することは、当業者が当然考慮すべき事項であるから、引用例1に記載された発明の枠材において、必要とされる強度が得られるように幅や厚みを設定し、本願発明の枠材のように断面正方形とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 相違点(2)に関して 引用例2には、金属片(本願発明の「一方のパネルの枠材」に相当する。)からトラス(本願発明の「他方のパネルの枠材」に相当する。)に貫通させたボルトと、トラスに設けた金具(本願発明の「ナット部材」に相当する。)とからなり、前記金具は脚部の内周に設けたネジ穴(本願発明の「筒体の内周にめねじを螺刻しためねじ部」に相当する。)とその一端に形成した頭部(本願発明の「鍔部」に相当する。)とからなる接合具(本願発明の「止着具」に相当する。)が記載されており、また、ナット部材の外周を6角柱状とすることは、本願出願前周知技術であるから(例えば特開平4-62249号公報参照)、引用例2に記載された発明の接合具を、引用例1に記載された発明の止着具として採用するに際し、ナット部材の外周を6角柱状とすることにより、相違点(2)に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-04-25 |
結審通知日 | 2002-05-10 |
審決日 | 2002-05-21 |
出願番号 | 特願平6-177232 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫、古屋野 浩志 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
長島 和子 蔵野 いづみ |
発明の名称 | 建築物の壁体 |
代理人 | 赤澤 一博 |