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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
管理番号 1060935
審判番号 不服2000-12444  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-09-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-09 
確定日 2002-07-12 
事件の表示 平成3年特許願第32279号「車両用ワイヤレス制御装置の送信機」拒絶査定に対する審判事件[平成4年9月3日出願公開、特開平4-247799]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年2月1日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年2月25日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「ドアのロック/アンロック制御を指示するためのロック/アンロック釦と、遠隔操作により開放すると閉鎖に人手を必要とする車両設備の制御を指示するための操作釦を備えた車両用ワイヤレス制御装置の送信機において、前記操作釦は筐体より突出しないように、かつ前記ロック/アンロック釦の形状よりも小さくしてなることを特徴とする車両用ワイヤレス制御装置の送信機。」

2.引用例
これに対して、当審の拒絶理由で引用された実願昭62-10817号の願書に添付された明細書と図面を撮影したマイクロフィルム(実開昭63-120321号公報参照)(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)ケーシング内部に押圧操作されるスイッチを配設し、このスイッチに臨んで前記ケーシングに孔を穿設し、前記スイッチの操作部材の表側先端を前記孔の表側開口端より若干内側の位置となるようにしたことを特徴とする押圧操作されるスイッチを有するケーシング。(実用新案登録請求の範囲、請求項1)
(2)近年自動車のドアの施錠や解錠を遠隔制御で操作する装置が提供されている。この自動車の遠隔操作用の携帯用の小型電子機器にあっては、ポケット等に収納されることが多い。このため、従来のこの種の機器のごとく、スイッチの操作部材がケーシングの表面から突出されていると、ポケットを押さえる等によりスイッチの誤操作が行われ易いという問題点がある。(明細書2頁9〜16行目)
(3)図面に記載されたケーシングには複数の操作スイッチが配設されている。
以上の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「ケーシング」は「自動車の遠隔操作用の携帯用の小型電子機器」のケーシングであるから、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ケーシング内部に押圧操作される複数のスイッチを配設し、このスイッチに臨んで前記ケーシングに孔を穿設し、前記スイッチの操作部材の表側先端を前記孔の表側開口端より若干内側の位置となるようにしたことを特徴とする押圧操作されるスイッチを有する自動車の遠隔操作用小型電子機器。」

また、当審の拒絶理由で引用された実願昭63-79745号の願書に添付された明細書と図面を撮影したマイクロフィルム(実開昭63-192979号公報参照)(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(4)本体ケース1の同一外表面上に、電源スイッチをオン操作するためのオン操作ボタン35とオフ操作するためのオフ操作ボタン36とが並べて配設されており、オフ操作ボタン36の指掛け面36aの面積がオン操作ボタン35の指掛け面35aのそれよりも小さく設定されていることを特徴とする電気かみそり。(実用新案登録請求の範囲1)
(5)この考案はかかる問題点を解消し、本体ケースの同一外表面上に電源スイッチのオン操作ボタンとオフ操作ボタンとを並べて配設した電気かみそりにおいて、両操作ボタンの大きさを異ならせ、操作上の難易差をつけることにより、誤操作を防止することを目的とする。(明細書2頁13〜18行目)
以上の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例2には以下の技術手段(以下、「慣用手段」という。)が記載されている。
「ケースに配設した2つの操作ボタンにおいて、両操作ボタンの大きさを異ならせ、操作上の難易差をつけることにより、誤操作を防止すること。」

また、車両用ワイヤレス制御装置においてドアロックの解錠/施錠機能とトランク・オープナーの機能を併設することは、例えば原審の拒絶理由で引用された特開昭63-145150号公報に開示されているように、単なる周知技術である。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明の「ロック/アンロック釦」と「操作釦」は引用発明の「操作部材」に相当するものであり、機能的には引用発明の「スイッチ」にも相当するものである。また、本願発明の「車両用ワイヤレス制御装置の送信機」と引用発明の「自動車の遠隔操作用小型電子機器」とは実質的に同一のものである。
したがって、本願発明と引用発明は、
「操作部材を有する複数のスイッチを備えた車両用ワイヤレス制御装置の送信機において、前記操作部材は筐体より突出しないようにしてなることを特徴とする車両用ワイヤレス制御装置の送信機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(1)「操作部材を有する複数のスイッチ」に関し、本願発明のスイッチは「ドアのロック/アンロック制御を指示するためのロック/アンロック釦と、遠隔操作により開放すると閉鎖に人手を必要とする車両設備の制御を指示するための操作釦」であるのに対し、引用発明のスイッチはその機能が不明である点。
(2)「操作部材の形状」に関し、本願発明の「操作釦」の形状は「ロック/アンロック釦の形状よりも小さく」してなるものであるのに対し、引用発明の形状は同一である点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点(1)について検討するに、上記したように、車両用ワイヤレス制御装置においてドアロックの解錠/施錠機能とトランク・オープナーの機能を併設することは、例えば特開昭63-145150号公報に開示されているように、単なる周知技術である。
したがって、複数のスイッチを前記2つの機能に割り当てる程度のことは単なる設計的事項に過ぎないものである。
ついで、相違点(2)について検討するに、複数のスイッチが併設されている場合に、誤操作の影響を勘案し、被害が大になるものについて、より高度の誤操作防止手段をほどこすこと自体は、当業者が普通に行うことであって、例えば、上記「ケースに配設した2つの操作ボタンにおいて、両操作ボタンの大きさを異ならせ、操作上の難易差をつけることにより、誤操作を防止する。」という慣用手段を採用する程度のことは容易なことである。
また、誤操作の影響が大なるものとして「操作釦」の方を指定することも設計的事項の範囲を超えるものとは認められない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例1に記載された発明ならびに上記慣用手段ないし周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-25 
結審通知日 2002-04-16 
審決日 2002-05-07 
出願番号 特願平3-32279
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 浜野 友茂
山本 春樹
発明の名称 車両用ワイヤレス制御装置の送信機  

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