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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 E04D |
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管理番号 | 1061023 |
異議申立番号 | 異議2001-71765 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-12-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-06-21 |
確定日 | 2002-04-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3119817号「太陽電池パネルの取付構造およびその太陽電池パネルの取付方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3119817号に係る出願は、平成8年6月5日の出願であって、平成12年10月13日に特許権の設定登録がなされ、その後、茨木恭一から特許異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月29日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3における記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する訂正をする。 訂正事項b:特許請求の範囲の請求項4における記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項aの特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3を削除する訂正に対応させて、新たな請求項1とする訂正をする。すなわち、新たな請求項1を、 「建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、 前記複数枚の屋根構成材のうち隣接する屋根構成材の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネルが設けられている ことを特徴とする太陽電池パネルの取付構造。」とする。 訂正事項c:特許請求の範囲の請求項5における記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項aの特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3を削除する訂正に対応させて、新たな請求項2とする訂正をする。すなわち、新たな請求項2を、 「建物の屋根に太陽電池パネルを取り付ける太陽電池パネルの取付方法において、 前記屋根を構成する屋根構成材を工場で複数生産した後、 これらの屋根構成材に、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材を取り付けるとともに、それぞれの隣合う端部同士を除いてこれらの取付部材に前記太陽電池パネルを取り付け、 これらの屋根構成材を現場に輸送して前記建物を構成する建物構成体に取り付けた後、 前記屋根構成材の隣合う端部同士間にジョイント用太陽電池パネルを取り付ける ことを特徴とする太陽電池パネルの取付方法。」とする。 訂正事項d:段落【0006】ないし【0013】を、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。 訂正事項e:段落【0014】の「本発明の太陽電池パネルの取付構造において、図1に示すように、複数枚の屋根構成材5のうち隣接する屋根構成材5の隣合う端部同士間に、2つの屋根構成材5に跨がらせかつ取付部材20を介してジョイント用太陽電池パネル10’を設けてもよい。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【課題を解決するための手段】本発明に係る太陽電池パネルの取付構造は、図面を参照して説明すると、図1に示すように、建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるとともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、前記複数枚の屋根構成材5のうち隣接する屋根構成材5の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材5に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネル10’が設けられていることを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項f:段落【0015】の「以上において、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。また、ジョイント用太陽電池パネル10’は、現場で取り付けることが好ましい。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「以上において、屋根構成材5としては屋根パネルを使用することが好ましいが、屋根ユニットを使用してもよい。また、取付部材20は屋根の傾斜方向に沿って設けられることが好ましい。さらに、太陽電池パネル10は、屋根の例えば2つの傾斜面に取り付けてもよいが、太陽光線をより多く採り入れることが可能な、例えば南向きの屋根面にのみ取り付けることが好ましい。また、太陽電池パネル10を、予め工場で、取付部材20に取り付けてもよい。さらに、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。また、ジョイント用太陽電池パネル10’は、現場で取り付けることが好ましい。」と訂正する。 訂正事項g:段落【0016】の「このような本発明では、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「このような本発明では、取付部材20が予め工場で屋根構成材5に取り付けられ、さらに、取付部材20に太陽電池パネル10が取り付けられており、現場でこれら20,10を取り付けなくてすむので、現場作業が少なくてすみ、かつ、短時間で設置することができる。また、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」と訂正する。 訂正事項h:段落【0038】の「以上に説明したように、本発明の太陽電池パネルの取付構造によれば、取付部材が予め工場で屋根構成材に取り付けられているので、現場で取り付けなくてすむ。従って、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根を短時間で設置することができる。また、取付部材が樋部を有するので、太陽電池パネルの下端に溜まった雨水等を軒先に排水できるという効果がある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「以上に説明したように、本発明の太陽電池パネルの取付構造および取付方法によれば、取付部材が予め工場で屋根構成材に取り付けられているので、現場で取り付けなくてすむ。従って、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根を短時間で設置することができるという効果がある。また、屋根構成材の幅寸法と太陽電池パネルの幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネルが収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネルを2つの屋根構成材に跨がらせることができるので、隣接する屋根構成材に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」と訂正する。 訂正事項i:段落【0039】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aに係る訂正は、請求項の削除であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 上記訂正事項b、cに係る訂正は、上記訂正事項aによる請求項の削除に伴い、順次請求項を繰り上げたものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 上記訂正事項dないしiに係る訂正は、訂正事項aないしcに関連してなされたものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして、これらの訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 4.異議の申立てについての判断 請求項1ないし3に係る発明は、訂正の結果削除され、特許異議の申立ての対象が存在しないので、この特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。 したがって、本件特許異議の申立ては、特許法第120条の6第1項で準用する第135条の規定によって却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 太陽電池パネルの取付構造およびその太陽電池パネルの取付方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、前記複数枚の屋根構成材のうち隣接する屋根構成材の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネルが設けられていることを特徴とする太陽電池パネルの取付構造。 【請求項2】 建物の屋根に太陽電池パネルを取り付ける太陽電池パネルの取付方法において、前記屋根を構成する屋根構成材を工場で複数生産した後、これらの屋根構成材に、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材を取り付けるとともに、それぞれの隣合う端部同士を除いてこれらの取付部材に前記太陽電池パネルを取り付け、これらの屋根構成材を現場に輸送して前記建物を構成する建物構成体に取り付けた後、前記屋根構成材の隣合う端部同士間にジョイント用太陽電池パネルを取り付けることを特徴とする太陽電池パネルの取付方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、太陽エネルギーを利用した太陽電池パネルを建物の屋根に取り付ける太陽電池パネルの取付構造およびその太陽電池パネルの取付方法に関する。 【0002】 【背景技術】 従来より、環境や生態系に悪影響を与えないエネルギーとして太陽エネルギーが知られており、この太陽エネルギーを変換して電気や温水として利用できるようにする太陽電池等の太陽エネルギー変換装置がある。このような装置は、建物の屋根に設置するのが一般的である。 そして、太陽電池は、屋根に設置するにあたり、水による漏電や短絡等の事故を未然に防止する必要があり、太陽電池であるソーラセルを平板状の完全防水ケースの内部に収めて太陽電池パネルとして設置するのが好ましい。この太陽電池パネルは、一枚で所定の電圧および電力が得られるように、所定枚数のソーラセルを有するものとなっている。 【0003】 このような太陽電池パネルの取付構造としては、建物の屋根を構成する例えば屋根パネルを現場で取り付けた後、この屋根パネルの上面に、屋根の傾斜方向に沿って細長いレール状の取付部材を釘打ち等によって敷設し、この取付部材に太陽電池パネルの両端縁を載せるとともに、ビス止め等して取り付ける構造が考えられる。このような構造によれば、太陽電池パネルと屋根パネルとの間に隙間が形成され、この隙間を外部と連通させれば、隙間内の空気が外部と循環可能となり、この循環する空気で太陽光線で熱せられる太陽電池パネルを冷せるので、温度上昇による太陽電池パネルの電圧低下を防止できる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、前述のような太陽電池パネルの取付構造では、現場で建物本体に屋根パネルを取り付けた後、この屋根パネルの上面に取付部材を釘打ち等によって敷設し、さらに、この取付部材に太陽電池パネルを取り付けなければならないので、現場作業が増え、設置に多くの時間がかかるという問題があった。 【0005】 本発明の目的は、現場作業が少なくてすみ、かつ、短時間で設置することができる太陽電池パネルの取付構造、およびその太陽電池パネルの取付方法を提供することにある。 【0006】 【0007】 【0008】 【0009】 【0010】 【0011】 【0012】 【0013】 【0014】 【課題を解決するための手段】 本発明に係る太陽電池パネルの取付構造は、図面を参照して説明すると、図1に示すように、建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるとともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、前記複数枚の屋根構成材5のうち隣接する屋根構成材5の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材5に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネル10’が設けられていることを特徴とするものである。 【0015】 以上において、屋根構成材5としては屋根パネルを使用することが好ましいが、屋根ユニットを使用してもよい。また、取付部材20は屋根の傾斜方向に沿って設けられることが好ましい。さらに、太陽電池パネル10は、屋根の例えば2つの傾斜面に取り付けてもよいが、太陽光線をより多く採り入れることが可能な、例えば南向きの屋根面にのみ取り付けることが好ましい。また、太陽電池パネル10を、予め工場で、取付部材20に取り付けてもよい。 さらに、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。また、ジョイント用太陽電池パネル10’は、現場で取り付けることが好ましい。 【0016】 このような本発明では、取付部材20が予め工場で屋根構成材5に取り付けられ、さらに、取付部材20に太陽電池パネル10が取り付けられており、現場でこれら20,10を取り付けなくてすむので、現場作業が少なくてすみ、かつ、短時間で設置することができる。また、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。 【0017】 本発明に係る太陽電池パネルの取付方法は、図1,2に示すように、建物1の屋根4に太陽電池パネル10を取り付ける太陽電池パネルの取付方法において、屋根4を構成する屋根構成材5を工場で複数生産した後、これらの屋根構成材5に、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材20を取り付けるとともに、それぞれの隣合う端部同士を除いてこれらの取付部材20に太陽電池パネル10を取り付け、これらの屋根構成材5を現場に輸送して建物1を構成する建物構成体3に取り付けた後、屋根構成材5の隣合う端部同士間にジョイント用太陽電池パネル10’を取り付けることを特徴とするものである。 【0018】 以上において、屋根構成材5としては屋根パネルを使用することが好ましいが、屋根ユニットを使用してもよい。また、取付部材20は屋根の傾斜方向に沿って設けられることが好ましい。さらに、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。 【0019】 このような本発明では、取付部材20が予め工場で屋根構成材5に取り付けられ、さらに、取付部材20に太陽電池パネル10が取り付けられており、現場でこれら20,10を取り付けなくてすむので、現場作業が少なくてすみ、かつ、短時間で設置することができる。また、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】 以下に本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1に示すように、本実施の形態に係るユニット式建物1は、予め工場で生産された複数の下階建物ユニット2と、これらの下階建物ユニット2の上に載置される複数の上階建物ユニット3と、これらの上階建物ユニット3の上に取り付けられる屋根4とを備えて構成されている。また、この屋根4は、複数の屋根パネル5で構成されている。そして、これらの屋根パネル5に、予め工場で、レール状の取付部材20を介して多数の太陽電池パネル10が取り付けられている。 【0021】 図2〜4に示すように、本実施の形態に係る太陽電池パネルの取付構造は、複数の屋根パネル5に、予め工場で、レール状の取付部材20を取り付けるとともに、この取付部材20に太陽電池パネル10を取り付け、現場で、隣接する屋根パネル5間にジョイント用太陽電池パネル10’を取り付ける構造である。 【0022】 屋根パネル5は、例えば溝型鋼を枠組みしたフレームの表面に合板等の屋根面材を張り付けて形成され、屋根面材の表面には、アスファルトルーフィング等のシート材5Aが張り付けられている。 【0023】 太陽電池パネル10は、所定数のソーラーセルを収めた平板状の防水ケース12と、このケース12の周縁に取り付けられた四角形状の枠体13とを有するものである。これらのケース12、枠体13により防水および補強がなされ、内部のソーラーセルは、雨水による漏電や短絡等の事故、太陽電池パネル10の表面に加わる荷重等から保護されるようになっている。 【0024】 図4中、紙面の直交方向に延びる枠体13の縦枠部13Aは、下方の部分が図中左右方向に延びる横枠部13Bの下面よりも下方に突出し、太陽電池パネル10の脚部14となっている。そして、この脚部14により太陽電池パネル10の荷重が前記取付部材20に伝達されるようになっている。また、脚部14には、外側の下端部分に外側に突出する固定用鍔部15が設けられている。 【0025】 レール状の取付部材20は、屋根1の傾斜方向に沿って、前述のように、予め工場で、所定間隔で複数本敷設されており、図4に示すような構造となっている。 すなわち、取付部材20は、図中上方が開口となった断面コ字状の樋部21と、この樋部21の下方に一体的に設けられた断面四角形状のパイプ部22とを有する。樋部21は、太陽電池パネル10の脚部14を受けるとともに、太陽電池パネル10に降り注いだ雨水等を集めて軒6(図2参照)へ排水するものである。また、樋部21の底部23には、脚部14が載せられるとともに、脚部14の固定用鍔部15を貫通したタッピングねじ24が螺合されている。そして、この底部23が太陽電池パネル10を固定する固定部となっている。 【0026】 隣合う太陽電池パネル10間の継ぎ目部分には、図4に示すように、断面クランク形状の固定具16が配置されている。 この固定具16は、下端が樋部21の底部23に固定されるとともに、上端で取付部材20に固定された太陽電池パネル10の鍔部11を上方から押え付けるものである。 【0027】 また、パイプ部22は、太陽電池パネル10の側面が傾斜して底面部がすぼんだ筒状とされ、タッピングねじ24と螺合する樋部21の底部23のねじ孔から浸入する雨水等を軒6へ排水するようになっている。 パイプ部22の傾斜した側面には、下端付近に取付用鍔部25が突設されており、この取付用鍔部25を貫通するねじ26を屋根パネル5に螺合させることにより、取付部材20の固定がなされている。 【0028】 このような隣接する屋根パネル5のそれぞれの端部は、屋根パネル5と対応しない(整数枚収められない)所定の大きさの太陽電池パネル10が所定数取り付けられたとき、言わば調整用のジョイント部9となっており、このジョイント部9にはジョイント用太陽電池パネル10’が取り付けられるようになっている。このジョイント用太陽電池パネル10’は、図4に示すように、上記太陽電池パネル10とまったく同一の構造となっている。 【0029】 隣接する取付部材20間の目地部7は防水構造となっている。 すなわち、隣接する取付部材20の互いに対向する側面の間にはパッキング部材31,32が介装されるとともに、これらの取付部材20に跨がって防水テープ33が張り付けられている。また、目地部7の上部では、図中上下方向に三段に形成された舌部8Aを水平に突出させた化粧目地ガスケット8が挿入されている。 【0030】 また、図2,3に示すように、屋根パネル5において、太陽電池パネル10が取り付けられた周囲には、太陽電池パネル10とほぼ等しい大きさの四角形状に形成された屋根部材17が取り付けられている。この屋根部材17は屋根仕上げ材等を張り付けて形成され、太陽電池パネル10と同様に、取付部材20に釘打ち等によって取り付けられる。ジョイント部9においても、ジョイント用屋根部材17’が現場で取り付けられるようになっている。 【0031】 このような本実施形態では、屋根パネル5を製作した後、工場でこの屋根パネル5に所定本数の取付部材20を所定間隔で取り付ける。この際、取付部材20には、パッキング部材31,32を取り付けるとともに、防水テープ33を張り付けて防水構造としておく。 引き続き、隣接する屋根パネル5の互いに隣合う端部のジョイント部9を除く部分に、所定数の太陽電池パネル10を取付部材20に取り付けて設ける。 【0032】 ジョイント部3を除く部分に多数の太陽電池パネル10を取り付けた複数枚の屋根パネル5を現場にトラック輸送し、現場で組み合わせた複数の建物ユニットにこれらの屋根パネル5を取り付ける。 次いで、隣接する屋根パネル5間のジョイント部9に、ジョイント用太陽電池パネル10’を取り付ける。この際、隣接する屋根パネル5の端部の取付部材20Aにジョイント用太陽電池パネル10’を跨がらせ、このパネル10’の脚部14と固定用鍔部15とを取付部材20Aの底部23に当接させ、固定用鍔部15をタッピングねじ24で取付部材20Aに取り付ける。そして、ジョイント部9にジョイント用屋根部材17’も取り付ける。この後、このジョイント用太陽電池パネル10’と前記太陽電池パネル10との目地部7に、化粧目地ガスケット8を挿入する。 【0033】 前述のような本実施形態によれば次のような効果がある。 すなわち、取付部材20は、予め工場で屋根パネル5に取り付けられ、さらに、この取付部材20に屋根パネル5のジョイント部9を除いて太陽電池パネル10が取り付けられているので、現場では、隣接する屋根パネル5のジョイント部3に、ジョイント用太陽電池パネル10’を取り付けるだけで屋根1を形成でき、これにより、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根4の施工が短時間で可能となる。 【0034】 また、屋根パネル5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根パネル5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根パネル5に跨がらせることができ、隣接する屋根パネル5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、発電効率を高めることができる。 【0035】 さらに、取付部材20は、予め工場で屋根パネル5に取り付けられ、さらに、この取付部材20に屋根パネル5のジョイント部9を除いて太陽電池パネル10が取り付けられているので、各部材20,10,2を別個に輸送しなくてもすみ、これにより、輸送までの管理や取扱いが煩雑にならずにすむ。 【0036】 なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲であれば次に示すような変形形態を含むものである。 例えば、前記実施形態では、太陽電池パネル10を予め工場で取付部材20に取り付け、ジョイント用太陽電池パネル10’を現場で隣接する屋根パネル5間に取り付けたが、これに限らず、予め工場で取付部材20のみを屋根パネル5に取り付け、太陽電池パネル10はジョイント用太陽電池パネル10’と共に現場で取り付けてもよい。 【0037】 また、前記実施形態では、屋根パネル5において太陽電池パネル10の周囲に配置する屋根部材17は、太陽電池パネル10とほぼ等しい大きさの四角形状に形成したが、これに限らず、例えば、ジョイント部9と太陽電池パネル10とを除く部分全部を覆う一枚の屋根部材で形成してもよい。このようにすれば、製作および取り付けが容易である。 【0038】 【発明の効果】 以上に説明したように、本発明の太陽電池パネルの取付構造および取付方法によれば、取付部材が予め工場で屋根構成材に取り付けられているので、現場で取り付けなくてすむ。従って、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根を短時間で設置することができるという効果がある。また、屋根構成材の幅寸法と太陽電池パネルの幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネルが収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネルを2つの屋根構成材に跨がらせることができるので、隣接する屋根構成材に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。 【0039】 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルを取り付けたユニット式建物を示す全体斜視図である。 【図2】 本実施形態に係る太陽電池パネルを取り付けた屋根パネルからなる屋根を示す斜視図である。 【図3】 本実施形態に係る太陽電池パネルを取り付けた屋根パネルを示す斜視図である。 【図4】 本実施形態の要部を示す断面図である。 【符号の説明】 1 ユニット式建物 3 建物本体である上階建物ユニット 4 屋根 5 屋根構成材である屋根パネル 10 太陽電池パネル 10’ ジョイント用太陽電池パネル 20 レール状の取付部材 20A 端部の取付部材 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3における記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する訂正をする。 訂正事項b:特許請求の範囲の請求項4における記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項aの特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3を削除する訂正に対応させて、新たな請求項1とする訂正をする。すなわち、新たな請求項1を、 「建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、 前記複数枚の屋根構成材のうち隣接する屋根構成材の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネルが設けられている ことを特徴とする太陽電池パネルの取付構造。」とする。 訂正事項c:特許請求の範囲の請求項5における記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項aの特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3を削除する訂正に対応させて、新たな請求項2とする訂正をする。すなわち、新たな請求項2を、 「建物の屋根に太陽電池パネルを取り付ける太陽電池パネルの取付方法において、 前記屋根を構成する屋根構成材を工場で複数生産した後、 これらの屋根構成材に、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材を取り付けるとともに、それぞれの隣合う端部同士を除いてこれらの取付部材に前記太陽電池パネルを取り付け、 これらの屋根構成材を現場に輸送して前記建物を構成する建物構成体に取り付けた後、 前記屋根構成材の隣合う端部同士間にジョイント用太陽電池パネルを取り付ける ことを特徴とする太陽電池パネルの取付方法。」とする。 訂正事項d:段落【0006】ないし【0013】を、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。 訂正事項e:段落【0014】の「本発明の太陽電池パネルの取付構造において、図1に示すように、複数枚の屋根構成材5のうち隣接する屋根構成材5の隣合う端部同士間に、2つの屋根構成材5に跨がらせかつ取付部材20を介してジョイント用太陽電池パネル10’を設けてもよい。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【課題を解決するための手段】本発明に係る太陽電池パネルの取付構造は、図面を参照して説明すると、図1に示すように、建物の屋根を構成し、かつ、工場で生産される複数の屋根構成材に、予め工場で、太陽電池パネル取り付け用の複数の取付部材が取り付けられるとともに、これらの取付部材に多数の太陽電池パネルが取り付けられ、前記複数枚の屋根構成材5のうち隣接する屋根構成材5の隣合う端部同士間には、2つの屋根構成材5に跨がって前記取付部材を介してジョイント用太陽電池パネル10’が設けられていることを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項f:段落【0015】の「以上において、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。また、ジョイント用太陽電池パネル10’は、現場で取り付けることが好ましい。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「以上において、屋根構成材5としては屋根パネルを使用することが好ましいが、屋根ユニットを使用してもよい。また、取付部材20は屋根の傾斜方向に沿って設けられることが好ましい。さらに、太陽電池パネル10は、屋根の例えば2つの傾斜面に取り付けてもよいが、太陽光線をより多く採り入れることが可能な、例えば南向きの屋根面にのみ取り付けることが好ましい。また、太陽電池パネル10を、予め工場で、取付部材20に取り付けてもよい。さらに、ジョイント用太陽電池パネル10’は、太陽電池パネル10と同じ大きさであることが好ましいが、異なった大きさのものでもよい。また、ジョイント用太陽電池パネル10’は、現場で取り付けることが好ましい。」と訂正する。 訂正事項g:段落【0016】の「このような本発明では、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「このような本発明では、取付部材20が予め工場で屋根構成材5に取り付けられ、さらに、取付部材20に太陽電池パネル10が取り付けられており、現場でこれら20,10を取り付けなくてすむので、現場作業が少なくてすみ、かつ、短時間で設置することができる。また、屋根構成材5の幅寸法と太陽電池パネル10の幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材5の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネル10が収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネル10’を2つの屋根構成材5に跨がらせることができ、隣接する屋根構成材5に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」と訂正する。 訂正事項h:段落【0038】の「以上に説明したように、本発明の太陽電池パネルの取付構造によれば、取付部材が予め工場で屋根構成材に取り付けられているので、現場で取り付けなくてすむ。従って、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根を短時間で設置することができる。また、取付部材が樋部を有するので、太陽電池パネルの下端に溜まった雨水等を軒先に排水できるという効果がある。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「以上に説明したように、本発明の太陽電池パネルの取付構造および取付方法によれば、取付部材が予め工場で屋根構成材に取り付けられているので、現場で取り付けなくてすむ。従って、現場作業が少なくてすみ、かつ、屋根を短時間で設置することができるという効果がある。また、屋根構成材の幅寸法と太陽電池パネルの幅寸法とが対応しておらず、屋根構成材の幅寸法内に所定枚数の太陽電池パネルが収まらないときでも、ジョイント用太陽電池パネルを2つの屋根構成材に跨がらせることができるので、隣接する屋根構成材に連続して太陽電池パネルを配置することができ、これにより、発電効率を高めることができる。」と訂正する。 訂正事項i:段落【0039】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。 |
異議決定日 | 2002-03-29 |
出願番号 | 特願平8-142793 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(E04D)
|
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 青山 敏 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
蔵野 いづみ 鈴木 公子 |
登録日 | 2000-10-13 |
登録番号 | 特許第3119817号(P3119817) |
権利者 | ミサワホーム株式会社 |
発明の名称 | 太陽電池パネルの取付構造およびその太陽電池パネルの取付方法 |
代理人 | 石崎 剛 |
代理人 | 中山 寛二 |
代理人 | 木下 実三 |
代理人 | 石崎 剛 |
代理人 | 木下 実三 |
代理人 | 中山 寛二 |