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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G02B |
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管理番号 | 1061035 |
異議申立番号 | 異議2000-72070 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-02-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-05-19 |
確定日 | 2002-03-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2980157号「顕微鏡」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2980157号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 同請求項4に係る特許を維持する。 |
理由 |
【1】手続の経緯 特許第2980157号の請求項1〜4に係る発明は、平成7年8月17日に出願され、平成11年9月17日にその設定登録がなされ、その後、申立人 小塚浩より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年10月6日に訂正請求がなされたものである。 【2】訂正の適否についての判断 《2-1》訂正事項 特許権者が平成12年10月6日付け訂正請求書において求めている訂正事項は、以下のとおりである。 訂正事項a 請求項1に記載された「前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成する」を特許請求の範囲の減縮を目的として、「前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成する」と訂正する。 訂正事項b 上記訂正事項aの訂正に伴い、明細書の段落番号【0006】の記載事項を明瞭でない記載の釈明を目的として、 「【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するために、本発明においては、複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段と、光路中に固定された第2対物レンズとを備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、 前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、 前記所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間には、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、 前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成することを特徴とする顕微鏡を提供する。」と訂正する。 《2-2》訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 「前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成する」は、特許明細書の段落【0014】の記載に基づくものであり、上記訂正事項a、bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲の減縮、不明りょうな記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 《2-3》むすび 以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項の規定並びに同条第3項で準用する同法第126条第2項及び同条第3項の規定に適合する。 【3】特許異議の申立てについての判断 《3-1》申立ての理由の概要 特許異議申立人 小塚浩は、刊行物1〜3を提示し、請求項1に係る発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、請求項2に係る発明は、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、さらに、請求項3、4に係る発明は、周知・慣用技術を考慮すれば刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることのできないものである旨主張している。 刊行物1: 特開昭58-24106号公報 (甲第1号証) 刊行物2: 特開平2-178608号公報 (甲第2号証) 刊行物3: 特開昭55-155319号公報 (参考資料1) 《3-2》本件の発明 本件の請求項1〜4に係る発明は、訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段と、光路中に固定された第2対物レンズとを備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、前記所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間には、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成することを特徴とする顕微鏡。 【請求項2】 前記極低倍用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とを有し、前記極低倍用補助レンズは、全体として正の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。 【請求項3】 前記極低倍用補助レンズは、前記複数の第1対物レンズからの前記極低倍用対物レンズの選択に連動して光路中に挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡。 【請求項4】 前記レボルバ手段には、前記極低倍用対物レンズと、前記極低倍用対物レンズとは異なる別の極低倍用対物レンズとが取り付け可能に構成されており、前記極低倍用補助レンズは、前記極低倍用対物レンズおよび前記別の極低倍用対物レンズに対して共通であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の顕微鏡。」 (以下、各請求項に係る発明をそれぞれ本件発明1〜4という。) 《3-3》刊行物の記載事項 これに対して、当審が通知した取消理由において引用した刊行物1〜2には、以下の事項が記載されている。 《3-3-1》刊行物1 [1]刊行物1に記載された顕微鏡対物レンズは、「相当に大きな対象物体の視界を特別に観測するため1倍ないし1.6倍の低い倍率の結像比率を有する低倍率観測対物レンズに関するもの」(第2頁左上欄3行〜6行)である。 [2]第3頁左上欄9行〜左下欄12行には「顕微鏡の対象物体載置台6へ固定した二部構造の観測対物レンズ1は第1レンズ部材2と第2レンズ部材3とから成り、各部材2と3は光軸0-0'に関して光学的に整合しているが、該光軸0-0'は顕微鏡の光路をも示している。第1レンズ部材2は複数の顕微鏡対物レンズ7(1個しか図示していない)を取付けているレンズ旋回ターレット5へ取着される。……第2レンズ部材3は……顕微鏡対象物体載置台6の凹入部9へ光路0-0'と整合する位置まで挿入されると共に、旋回軸X-X周りに旋回できる旋回部片4の中に取着されるが、……二部構造の観測対物レンズ1の各レンズ部材2と3は夫々の旋回ターレット5と旋回部材4とによって何れも光路0-0'の中へ挿入または光路0-0'の外へ切換えられる。図示の位置に定置された第1レンズ部材2と第2レンズ部材3とは光学的に作動した時、顕微鏡の対象物体面0-Pに定置された対象物体を1:1の結像比率を有する影像として中間結像面0'一P'へ結像する。中間結像面0'一P'の次に続く接眼鏡は図示されていない。もっと高い結像倍率を利用するために、レンズ旋回ターレット5が各対物レンズ7の何れかを光路0-0'と整合する位置へ挿入する如く旋回されるが、同時に第1レンズ部材2が光路0-0'から外へ旋回される。これと同時に旋回部片4も旋回X-X周りに旋回されるので、第2レンズ部材3が光路0-0'から外に取出される。……一方における対象物体面0-Pと接触面8との間隔はレンズ旋回ターレット5と第1レンズ部材2及び各対物レンズ7との間において夫々互いに等しい。」と記載されている。 [3]第2頁右下欄2行〜10行には「本発明の他の目的は大きな視界を有する対象物体を良質に結像した影像の観測から普通の倍率を有する顕微鏡対物レンズの使用による顕微鏡的結像方式へ急速に切換えられるような観測対物レンズを普通の顕微鏡に適用するために提供することである。本発明の更に別の目的は使用される顕微鏡対物レンズの機械的全長に適応する長さの機械的全長を有する観測対物レンズを提供することである。」と記載されている。 [4]以上の記載を鑑みると、刊行物1には「複数の顕微鏡対物レンズ7を光路に対して切り換えるためのレンズ旋回ターレット5とを備え、複数の顕微鏡対物レンズ7から選択された所定の対物レンズを介して物体の影像を形成する顕微鏡において、前記複数の顕微鏡対物レンズ7のうちの1つは、低い倍率の結像比率を有する対物レンズを構成するもの(第1レンズ部材2)であり、前記所定の顕微鏡対物レンズ7の中間結像面側には、光路に対して挿脱可能な第2レンズ部材3が設けられ、前記低い倍率の結像比率を有する対物レンズを構成する顕微鏡対物レンズ7のうちの1つ(第1レンズ部材2)と前記第2レンズ部材3とによって低い倍率の結像比率を有する低倍率観測対物レンズを構成し、前記低倍率観測対物レンズを介して1:1の結像比率を有する影像を形成する顕微鏡。」なる発明が記載されている。 《3-3-2》刊行物2 [1]刊行物2に記載された発明は、「顕微鏡用低倍率対物レンズ、特に、結像レンズ(チューブレンズ)を使って結像させる、いわゆる無限遠補正型の顕微鏡用長作動プラン・アポクロマート低倍率対物レンズに関する」(第1頁右下欄15行〜18行)ものである。 [2]第2頁左上欄2行〜左下欄5行に「一般に顕微鏡は、対物レンズで直接物体の拡大像を得る有限筒長のタイプと、対物レンズをいわゆる無限補正型にして、結像レンズ(チューブレンズ)によって拡大像を得る無限鏡筒長のタイプとがある。……前記いずれのタイプの対物レンズを用いる場合であっても、倍率を変換するためには対物レンズを複数本取付けたレボルバを回動して目的倍率の対物レンズを選択することが通常行なわれる。この際、各対物レンズを選択するごとに、接眼レンズ等の調整を必要とすれば著しく不便である。そのため、通常は各倍率の対物レンズの焦点位置を同じにする必要がある。・・・・・・従来の倍率1倍程度の顕微鏡用対物レンズを他の中倍、高倍対物レンズと同焦点にしようとすると、鏡筒等の寸法上の制約とそれによって生じる収差の補正を同時に解決する必要がある為に作動距離を短くせざるを得ず、そのため操作性が悪かった。・・・・・・本発明は、前記従来の課題を解決するべくなされたものであり、顕微鏡用低倍対物レンズ、特に、結像レンズを使って像を結ばせる、いわゆる無限遠補正型の顕微鏡用長作動プラン・アポクロマートの倍率1倍程度の低倍率で作動距離の長い・・・・・・対物レンズを提供することを目的とする。」と記載されている。 [3]また、第3頁右上欄8行〜左下欄10行には「本発明の実施例は、第1図に示されるように、物体側より遠い側から近い側に向って、順に、第1群(G1)、第2群(G2)、第3群(G3)及び第4群(G4)なる4つのレンズ群で構成される。第1群は、・・・・・・全体として正の屈折力を持つ。第2群は、・・・・・・負のメニスカスレンズ(L3)である。第3群は、・・・・・・全体として負の屈折力を持ち、・・・・・・第4群は、・・・・・・正のメニスカスレンズ(6)と正の凸レンズ(L7)からなる。上記のような構成で、焦点距離200mmの結像レンズで結像した時の倍率が1倍……となるように、・・・・・・各レンズの光学定数を下記第1表に示すように設定した。」と記載されている。 [4]第4頁右上欄2行〜10行には「以上説明した通り、本発明によれば、焦点距離fが長いにもかかわらず、レンズ系の像側第1面より物体面までの距離が短い上に、作動距離が長く、像面が広い視野に渡って平坦であり、色収差及び他の諸収差もよく補正された倍率1倍程度の低倍率の顕微鏡対物レンズが実現できる。これにより、顕微鏡の操作性を大幅に改善することができ、顕微鏡の対物レンズとしては極めて有用であるという優れた効果を有する。」と記載されている。 《3-4》対比・判断 《3-4-1》本件発明1 《対比》 本件発明1と刊行物1に記載された発明(以下、引用発明という。)とを対比する。両者の構成は概略、下図のとおりである (1)引用発明における「影像」は本件発明1の「観察像」に相当し、「1:1の結像比率を有する影像」は本件発明1の「1倍以下の極低倍の観察像」に対応し、いずれも1倍の観察像を含む。 また、引用発明における「レンズ旋回ターレット5」は、本件発明1の「レボルバ手段」に相当する。 (2)引用発明における「複数の顕微鏡対物レンズ7」は、レボルバ手段に取着され光路に対して切り換えて観察像を形成するための対物レンズであるから、本件発明1の「複数の第1対物レンズ」に対応する。ただし、本件発明1の第1対物レンズは像を無限遠に結像し、第2対物レンズとともに使用することによって有限の所定の位置に観察像を形成する系を構成している。これに対して、引用発明では有限の所定の位置に同様の観察像を形成するために第2対物レンズを使用していない。 (3) 引用発明における「第1レンズ部材2」は、レボルバ手段に取着され、他の第1対物レンズ(顕微鏡対物レンズ7)に代え、光路に対して切り換えて観察像を形成するためのレンズ系であり、低い倍率の結像比率を有する対物レンズを構成するものであるから、本件発明1の「極低倍用対物レンズ」に対応する。 (4) 引用発明における「光路に対して挿脱可能な第2レンズ部材3」は、挿脱可能であり第1レンズ部材2(極低倍用対物レンズ)とともに使用して低い倍率の結像比率を有する観察像を形成する「低倍率観測対物レンズ」を構成するものであるから、本件発明1における、極低倍用対物レンズとともに使用して極低倍用のレンズ系である「極低倍用第1対物レンズ」を構成するための「極低倍用補助レンズ」に対応する。ただし、本件発明1の「極低倍用第1対物レンズ」は像を無限遠に結像し、第2対物レンズとともに使用することによって有限の所定の位置に低倍の観察像を形成する系を構成する。これに対して、引用発明では有限の所定の位置に同様の観察像を形成するために第2対物レンズを使用していない。 (5) 引用発明の「第1レンズ部材2」(極低倍用対物レンズ)と「第2レンズ部材3」(極低倍用補助レンズ)との組み合わせである「低倍率観測対物レンズ」に対応する本件発明1の「極低倍用対物レンズ」と「極低倍用補助レンズ」との組み合わせである「極低倍用第1対物レンズ」は、いずれの場合も、1倍の極低倍の観察像を形成する系中に存在する。 してみると、本件発明1と引用発明とは「複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段を備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用第1対物レンズが、1倍の極低倍の観察像を形成する系中に存在する顕微鏡。」の点で一致し、 本件発明1は、光路中に固定された第2対物レンズを備え、第1対物レンズ(極低倍の観察像を形成する場合は「極低倍用第1対物レンズ」)から前記第2対物レンズ間を平行光束となしているのに対して、引用発明では、第1対物レンズ(極低倍の観察像を形成する場合は「極低倍用第1対物レンズ」)を、光路中に固定された第2対物レンズを用いることなく、すなわち平行光束となす間隔を設けずに構成している点(以下、相違点1という)で相違する。 《判断》 そこで、上記相違点1を検討するに、顕微鏡において、切り換え可能な対物レンズを第1対物レンズと光路中に固定された第2対物レンズとに分けて構成し、その間の光束を平行光束とすることは、周知である。例えば、刊行物2の従来の技術において記載された、無限補正型の対物レンズ(第1対物レンズに相当する)と結像レンズ(第2対物レンズに相当する)との組み合わせが周知の例である(《3-3-2》[1]参照)。刊行物2において、無限補正型の対物レンズと結像レンズとの間で、物点からの光束が平行光束となっていることは「無限補正型」であることから明らかである。また、刊行物3のFig.2及びその説明にも「第2種対物レンズ」として当該周知例が示されている。さらに、倍率1倍程度のレンズ系を無限補正型の対物レンズ(極低倍用第1対物レンズに相当する)と結像レンズ(第2対物レンズに相当する)との組み合わせとして構成することが刊行物2(《3-3-2》[2]参照)において公知である。 従って、引用発明の、低倍率観測対物レンズ(極低倍用第1対物レンズ)及び複数の対物レンズ(複数の第1対物レンズ)を、周知のように、光路中に固定された第2対物レンズとともに使用し、平行光束が第2対物レンズに入射するように設計することは当業者が容易になし得た事項である。 なお、低倍率観測対物レンズ(極低倍用第1対物レンズに対応)として、極低倍用補助レンズを挿入して使用する引用発明に、周知例のような無限遠型の対物レンズを構成すべく第2対物レンズを適用する場合、第2対物レンズは平行光束となった物点からの光束を光軸上の一定の位置に観察像として結像するものであるから、極低倍用補助レンズから射出して前記第2対物レンズに至る物点からの光束を平行光束となすことは当業者が普通に採用する事項である。 よって、本件発明1は、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 《3-4-2》本件発明2 本件発明2は、本件発明1の構成を「前記極低倍用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とを有し、前記極低倍用補助レンズは、全体として正の屈折力を有する」構成によりさらに規定したものである。ここで、引用発明の前記極低倍用補助レンズ(第2レンズ部材3)は、刊行物1の図面において正屈折力を有するように図示されており、引用発明の前記極低倍用補助レンズが、影像の倍率を低くするために正の屈折力を有することは当業者に明らかである。 従って、本件発明2と引用発明とを比較すると、前記相違点1に加えて、本件発明2は「極低倍用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とを有」するのに対し、引用発明は極低倍用対物レンズを構成する「第1レンズ部材2」の構成を規定していない点(以下相違点2という。)で相違する。 しかし、相違点1については、既に述べたとおりであり、引用発明の極低倍の観察像を形成するレンズ系を刊行物2に示されるような無限遠補正型の対物レンズ(第1対物レンズ)と結像レンズ(第2対物レンズ)とで構成するに当たり、「極低倍用対物レンズ」を「物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群」で構成することは、以下の理由により当業者が容易に想到できたものと認められる。 刊行物2の《3-3-2》[3]の「本発明の実施例は、第1図に示されるように、物体側より遠い側から近い側に向って、順に、第1群(G1)、第2群(G2)、第3群(G3)及び第4群(G4)なる4つのレンズ群で構成される。第1群は、・・・・・・全体として正の屈折力を持つ。第2群は、・・・・・・負のメニスカスレンズ(L3)である。第3群は、・・・・・・全体として負の屈折力を持ち、・・・・・・第4群は、・・・・・・正のメニスカスレンズ(6)と正の凸レンズ(L7)からなる。上記のような構成で、焦点距離200mmの結像レンズで結像した時の倍率が1倍……となるように、・・・・・・各レンズの光学定数を下記第1表に示すように設定した。」及び《3-3-2》[3]の「通常は各倍率の対物レンズの焦点位置を同じにする必要がある。・・・・・・従来の倍率1倍程度の顕微鏡用対物レンズを他の中倍、高倍対物レンズと同焦点にしようとすると、鏡筒等の寸法上の制約とそれによって生じる収差の補正を同時に解決する必要がある為に作動距離を短くせざるを得ず、そのため操作性が悪かった。・・・・・・本発明は、前記従来の課題を解決するべくなされたもの」という記載から、顕微鏡用低倍対物レンズを、無限遠補正型の第1対物レンズと極低倍用補助レンズとの組み合わせに相当する正のG4、負のG3、負のG2、正のG1、及び第2対物レンズに相当する結像レンズにより構成し、第2対物レンズに平行光束が入射する、いわゆる無限遠補正型の顕微鏡用レンズ系を構成するに当たり、他の中倍率、高倍率の対物レンズと同焦とする構成として物体側から正(G4)、負のレンズ群(G3、G2)で構成することが示されている。なお、G1は、正の屈折力を有し、G1と結像レンズとの間の光束を平行光束とするものであるから、光学的作用の観点から本件発明2の極低倍用補助レンズに対応する。従って、極低倍用対物レンズ(極低倍用補助レンズを含まない)を、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とにより構成することは当業者にとって何ら困難を伴うものではない。 よって、本件発明2は、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 《3-4-3》本件発明3 本件発明3は、本件発明1または2の構成を「前記極低倍用補助レンズは、前記複数の第1対物レンズからの前記極低倍用対物レンズの選択に連動して光路中に挿入される」構成によりさらに規定したものである。ここで、刊行物1には《3-3-1》[2]に「二部構造の観測対物レンズ1の各レンズ部材2と3は夫々の旋回ターレット5と旋回部材4とによって何れも光路0-0'の中へ挿入または光路0-0'の外へ切換えられる。図示の位置に定置された第1レンズ部材2と第2レンズ部材3とは光学的に作動した時、顕微鏡の対象物体面0-Pに定置された対象物体を1:1の結像比率を有する影像として中間結像面0'一P'へ結像する。中間結像面0'一P'の次に続く接眼鏡は図示されていない。もっと高い結像倍率を利用するために、レンズ旋回ターレット5が各対物レンズ7の何れかを光路0-0'と整合する位置へ挿入する如く旋回されるが、同時に第1レンズ部材2が光路0-0'から外へ旋回される。これと同時に旋回部片4も旋回X-X周りを旋回されるので、第2レンズ部材3が光路0-0'から外に取出される。」と記載され、この記載は、引用発明の極低倍用補助レンズ(第2レンズ部材3)が、低倍用対物レンズ(第1レンズ部材2)の選択に連動して光路中に挿入されることを意味しているから、当該構成は引用発明との実質的な相違とはならない。 よって、本件発明3は、引用発明と相違点1の点で相違するが、相違点1については既に述べたとおりであるから、本件第3発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 《3-4-4》本件発明4 本件発明4は、本件発明1、2または3の構成を「前記レボルバ手段には、前記極低倍用対物レンズと、前記極低倍用対物レンズとは異なる別の極低倍用対物レンズとが取り付け可能に構成されており、前記極低倍用補助レンズは、前記極低倍用対物レンズおよび前記別の極低倍用対物レンズに対して共通である」構成によりさらに規定したものである。 本件発明4と引用発明とを比較すると、前記相違点1に加えて、本件発明4は極低倍用対物レンズが複数存在し、共通の極低倍用補助レンズが使用されるのに対して、引用発明は複数の極低倍用対物レンズに対して共通の極低倍用補助レンズを使用することが記載されていない点(以下、相違点3という。)で相違する。 そこで、相違点3について検討するに、刊行物1〜3には複数の極低倍用対物レンズに対して共通の極低倍用補助レンズを使用することは記載されていないし、その示唆もない。そして、この点は当業者といえども容易に想到できたものとは認められず、この点で、本件発明4の効果が生じるものと認められる。 よって、本件発明4は刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。 《3-5》むすび 以上のとおり、本件の請求項1〜3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件の請求項4に係る発明は、異議申立の理由及び証拠方法によっては取り消すことができず、他に取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 顕微鏡 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段と、光路中に固定された第2対物レンズとを備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、 前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、 前記所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間には、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、 前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成することを特徴とする顕微鏡。 【請求項2】 前記極低倍用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とを有し、 前記極低倍用補助レンズは、全体として正の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。 【請求項3】 前記極低倍用補助レンズは、前記複数の第1対物レンズからの前記極低倍用対物レンズの選択に連動して光路中に挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡。 【請求項4】 前記レボルバ手段には、前記極低倍用対物レンズと、前記極低倍用対物レンズとは異なる別の極低倍用対物レンズとが取り付け可能に構成されており、前記極低倍用補助レンズは、前記極低倍用対物レンズおよび前記別の極低倍用対物レンズに対して共通であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の顕微鏡。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は顕微鏡に関し、特に試料被検面を極低倍で広視野観察することが可能な無限遠系顕微鏡に関する。 【0002】 【従来の技術】 通常、顕微鏡のレボルバに装着されるようになった交換可能な対物レンズは、その全長が同焦点距離内に納まるように設計されなければならない。 なお、同焦点距離とは、対物レンズをレボルバに装着する際の胴付面と試料を載置するステージ面との間の光軸に沿った距離である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 したがって、たとえば倍率が1以下の極低倍用の対物レンズを設計しようとすると、所要の焦点距離が大きくなり、その全長を同焦点距離内に納めることは困難である。その結果、従来の顕微鏡では、1倍以下の極低倍用対物レンズは存在しなかった。 【0004】 そのため、試料被検面に対してより広範囲の像を観察または撮影したい場合、顕微鏡ではその要求に応えることができず、実体顕微鏡やマクロ写真装置のように顕微鏡以外の装置で対応するしかなかった。したがって、試料の細部を観察または撮影する場合には顕微鏡を、試料の全体を観察または撮影する場合には実体顕微鏡やマクロ写真装置をそれぞれ使い分けなければならなかった。その結果、装置を変える度に試料の位置合わせを行うなど煩雑な作業が多く、作業効率が著しく悪かった。 【0005】 本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、高倍から極低倍に亘る各倍率で試料の観察または撮影が可能な顕微鏡を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するために、本発明においては、複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段と、光路中に固定された第2対物レンズとを備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、 前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、 前記所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間には、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、 前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成することを特徴とする顕微鏡を提供する。 【0007】 本発明の好ましい態様によれば、前記極低倍用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と負の屈折力を有する後群とを有し、 前記極低倍用補助レンズは、全体として正の屈折力を有する。 また、前記極低倍用補助レンズは、前記複数の第1対物レンズからの前記極低倍用対物レンズの選択に連動して光路中に挿入されるのが好ましい。 【0008】 【発明の実施の形態】 本発明では、顕微鏡のレボルバに装着されるようになった交換可能な複数の第1対物レンズのうちの1つとして、極低倍用対物レンズを備えている。また、レボルバに装着された第1対物レンズと第2対物レンズとの間の光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズを備えている。そして、試料を極低倍で観察する場合には、レボルバを回転させて極低倍用対物レンズを光路中に位置決めするとともに、極低倍用補助レンズを光路中に挿入する。 【0009】 このように、本発明では、レボルバに装着される極低倍用対物レンズと光路中に固定の極低倍用補助レンズとで、極低倍用第1対物レンズを構成する。したがって、極低倍用対物レンズの全長が同焦点距離内に納まるように設計した上で、実際の第1対物レンズの全長は補助レンズまで合わせた長いものとなり、極低倍用第1対物レンズの合成焦点距離を大きく確保することができる。その結果、合成焦点距離の大きい極低倍用第1対物レンズと第2対物レンズとを介して、たとえば1倍以下の極低倍の観察像を形成することができる。 【0010】 一方、試料を極低倍ではなく通常の倍率で観察する場合には、レボルバを旋回させて所望倍率に応じた所定の第1対物レンズを選択するとともに、極低倍用補助レンズを光路から退避させる。その結果、所定の第1対物レンズと第2対物レンズとを介して、所望倍率の観察像を形成することができる。 このように、本発明の顕微鏡では、高倍から極低倍に亘る各倍率で試料の観察または撮影が可能である。 【0011】 なお、極低倍用対物レンズと極低倍用補助レンズとで合成される極低倍用第1対物レンズは、物体側から順に、正、負、正の3群構成にするのが望ましい。以下、この理由について説明する。 極低倍では、視野が広いため物体面からのビームが大口径となる。この大口径の光束をレボルバのネジ径以内に絞る必要があるため、最初に正の屈折力を有するレンズ群を配置する。次の負正のレンズ群は、この極低倍用第1対物レンズを逆から見たとき、平行光束を物体面に集光させている。そこで、負正のレンズ群は、逆から見て、正負のレンズ群を離して配置するいわゆるテレフォトタイプの構成をとるように配置されている。 また、極低倍用対物レンズの選択と極低倍用補助レンズの光路中への挿入とを連動させることにより、一般の顕微鏡と同じように操作することができ、操作性が向上するので好ましい。 【0012】 本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明する。 図1は、本発明の第1実施例にかかる顕微鏡の構成を概略的に示す図である。なお、第1実施例では、0.5倍用対物レンズ6および0.5倍用補助レンズ7が光路中に配置された状態を示している。 【0013】 図1の顕微鏡では、試料8からの光が0.5倍用対物レンズ6に入射する。0.5倍用対物レンズ6は、物体側(試料側)から順に、全体的に正屈折力の前群3と、全体的に負屈折力の後群4とから構成されている。 0.5倍用対物レンズ6は、他の倍率用の複数の第1対物レンズとともに、図示を省略したレボルバに装着されている。なお、他の複数の第1対物レンズおよび0.5倍用対物レンズ6をレボルバに装着する際の胴付面9と、試料8が載置されたステージ面との光軸AXに沿った距離がいわゆる同焦点距離である。したがって、0.5倍用対物レンズ6は、この同焦点距離内に納まるように設計されている。 【0014】 0.5倍用対物レンズ6を介した試料8からの光は、全体として正屈折力を有する0.5倍用補助レンズ7に入射する。なお、0.5倍用補助レンズ7は、光路に対して挿脱自在に構成されており、レボルバの回転による0.5倍用対物レンズ6の選択に連動して光路中に挿入されるように構成されている。0.5倍用補助レンズ7を介した光は、その集光作用によって平行光となり、第2対物レンズ2に入射する。 このように、0.5倍用対物レンズ6と0.5倍用補助レンズ7とで、0.5倍用の第1対物レンズ1(合成焦点距離400mm)を構成している。 【0015】 こうして、0.5倍用の第1対物レンズ1および第2対物レンズ2を介した試料8からの光は、倍率0.5倍で観察中間像10を形成する。観察中間像10は、接眼レンズ(不図示)を介して肉眼により観察されたり、カメラ等の撮影系を介して撮影される。 【0016】 第1実施例では、レボルバに装着された0.5倍用対物レンズ6と光路中に配置された0.5倍用補助レンズ7とで、0.5倍用第1対物レンズ1を構成している。したがって、0.5倍用対物レンズ6を同焦点距離内に納まるように設計した上で、0.5倍用第1対物レンズ1の合成焦点距離を大きく確保することができる。その結果、合成焦点距離が400mmの極低倍用第1対物レンズ1と焦点距離が200mmの第2対物レンズ2とを介して、0.5倍の観察像10を形成することができる。 【0017】 前述したように、図1では、試料8を倍率0.5倍で観察する様子を示している。しかしながら、通常の倍率で試料8を観察する場合には、レボルバを旋回させて所望倍率に応じた所定の第1対物レンズを選択するとともに、0.5倍用補助レンズ7を光路から退避させる。こうして、選択した所定の第1対物レンズと第2対物レンズ2とを介して、所望倍率の観察像を形成することができる。 このように、第1実施例では、高倍から極低倍に亘る各倍率で試料の観察または撮影が可能である。 【0018】 図2は、本発明の第2実施例にかかる顕微鏡の構成を概略的に示す図である。なお、第2実施例は、第1実施例と類似の構成を有する。しかしながら、第1実施例では0.5倍用対物レンズ6および0.5倍用補助レンズ7が光路中に配置されているが、第2実施例では1倍用対物レンズ16および1倍用補助レンズ17が光路中に配置されている点だけが第1実施例と相違する。したがって、図2において、第1実施例と同じ機能を有する構成要素には、図1と同じ参照符号を付している。 【0019】 第2実施例においても、物体側から順に正屈折力の前群13と負屈折力の後群14とから構成された1倍用対物レンズ16と1倍用補助レンズ17とで、1倍用第1対物レンズ11(合成焦点距離200mm)を構成している。したがって、1倍用対物レンズ16を同焦点距離内に納まるように設計した上で、1倍用第1対物レンズ11の合成焦点距離を大きく確保することができる。その結果、合成焦点距離が200mmの極低倍用第1対物レンズ11と焦点距離が200mmの第2対物レンズ2とを介して、1倍の観察像10を形成することができる。 【0020】 なお、上述の第1実施例における0.5倍用補助レンズ7と第2実施例における1倍用補助レンズ17とでは、レンズ構成が異なっている。しかしながら、補助レンズを倍率に依存することなく共通に構成すれば、さらに構成の簡素化が可能になる。 【0021】 【効果】 以上説明したように、本発明の顕微鏡では、極低倍用対物レンズと極低倍用補助レンズとで極低倍用第1対物レンズを構成しているので、極低倍用対物レンズを同焦点距離内に納まるように設計した上で、事実上の第1対物レンズの全長は長くとることができ、極低倍用第1対物レンズの合成焦点距離を大きく確保することができる。こうして、極低倍用第1対物レンズと第2対物レンズとを介して、極低倍の観察像を形成することができる。その結果、本発明の顕微鏡では、高倍から極低倍に亘る各倍率で試料の観察または撮影が可能となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1実施例にかかる顕微鏡の構成を概略的に示す図である。 【図2】 本発明の第2実施例にかかる顕微鏡の構成を概略的に示す図である。 【符号の説明】 1 0.5倍用第1対物レンズ 2 第2対物レンズ 6 0.5倍用対物レンズ 7 0.5倍用補助レンズ 8 試料 9 胴付面 10 観察像 11 1倍用第1対物レンズ 16 1倍用対物レンズ 17 1倍用補助レンズ |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 ▲1▼ 訂正事項a 請求項1に記載された「前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成する」を特許請求の範囲の減縮を目的として、「前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成する」である点を明確にする訂正を行う。 ▲2▼ 訂正事項b 上記訂正事項aの訂正に伴い、明細書の段落番号【0006】の記載事項を明瞭でない記載の釈明を目的として、下記の通り特許請求の範囲に整合させる訂正を行う。 「【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するために、本発明においては、複数の第1対物レンズを光路に対して切り換えるためのレボルバ手段と、光路中に固定された第2対物レンズとを備え、前記複数の第1対物レンズから選択された所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して物体の観察像を形成する顕微鏡において、 前記複数の第1対物レンズのうちの1つは、極低倍用対物レンズであり、 前記所定の第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間には、光路に対して挿脱可能な極低倍用補助レンズが設けられ、 前記極低倍用対物レンズと前記極低倍用補助レンズとによって極低倍用第1対物レンズを構成し、前記極低倍用補助レンズから前記第2対物レンズ間を平行光束となし、前記極低倍用第1対物レンズと前記第2対物レンズとを介して1倍以下の極低倍の観察像を形成することを特徴とする顕微鏡を提供する。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-01-23 |
出願番号 | 特願平7-231949 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZD
(G02B)
|
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 笹野 秀生 |
特許庁審判長 |
森 正幸 |
特許庁審判官 |
北川 清伸 綿貫 章 |
登録日 | 1999-09-17 |
登録番号 | 特許第2980157号(P2980157) |
権利者 | 株式会社ニコン |
発明の名称 | 顕微鏡 |
代理人 | 渡辺 隆男 |
代理人 | 渡辺 隆男 |