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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
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管理番号 | 1061079 |
異議申立番号 | 異議2001-71972 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-05-19 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-07-19 |
確定日 | 2002-04-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3126859号「基板の表面処理装置」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3126859号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。 |
理由 |
【1】 手続きの経緯 特許出願 平成5年10月29日 特許権設定登録 平成12年11月2日 特許異議の申立て 平成13年7月19日 取消理由通知 平成13年10月3日 訂正請求 平成13年12月14日 【2】 訂正の適否について [1] 訂正事項 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3における「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段とを備え」を「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え」に訂正する。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4、請求項5、請求項7及び請求項8を削除し、 請求項4及び請求項5の削除に伴い、請求項6及び請求項9を新たに請求項4及び請求項5に訂正する。 3 新たな請求項4における「請求項5に記載の基板の表面処理装置」を「請求項1ないし3に記載の表面処理装置」に訂正する。 4 明細書の段落【0007】の第16行ないし第17行、第36行ないし第37行及び第53行ないし第54行にそれぞれ記載された「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段を備え」をそれぞれ「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え」に訂正する。 5 明細書の段落【0007】の第58行ないし第63行に記載された「請求項4に記載の発明は……基板の表面処理装置である。」とあるのを削除する。 6 明細書の段落【0007】の第64行に記載された「請求項6に記載の発明は請求項5に記載の基板の表面処理装置において、」を「請求項4に記載の発明は請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、」に訂正する。 7 明細書の段落【0007】の第68行ないし第74行に「請求項7に記載の発明は……基板の表面処理装置である。」とあるのを削除する。 8 明細書の段落【0007】の第75行に記載された「請求項9に記載の発明は」を「請求項5に記載の発明は」に訂正する。 8 明細書の段落【0007】の第75行に記載された「請求項1ないし10」を「請求項1ないし5」に訂正する。 9 明細書の段落【0008】の第1行に記載された「請求項1ないし9」を「請求項1ないし5」に訂正する。 10 明細書の段落【0019】の第2行ないし第3行に記載された「請求項1ないし9」を「請求項1ないし5」に訂正する。 [2] 訂正の目的の適正、新規事項の有無及び拡張、変更の存否 1 訂正事項1による訂正について 密閉チャンバ内の状態に影響を及ぼす手段として、蒸気供給手段以外に、さらに基板が引上げられた後に作用する排気手段を設けなければならないものと限定したものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2 訂正事項2による訂正について 請求項の削除をするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 訂正事項3ないし訂正事項10による訂正について 訂正事項1及び訂正事項2による訂正に伴って生じる明細書の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、訂正事項は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項5の記載に基づくものであるから、訂正事項1ないし訂正事項10による訂正は、明らかに新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 [3] むすび 以上のとおりであるから、前記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項及び同条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】 特許異議の申立てについて [1] 本件特許の請求項1ないし請求項5に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載されたとおりのものと認める。 【請求項1】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、前記蒸気供給手段は基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を引上げるとき、前記密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気を存在させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項2】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、前記基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を露出させ終るまで、密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備えた一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項3】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、前記基板昇降手段は密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気が存在する状態で、かつ、リンス槽内で上昇液流が形成されている状態で前記基板をリンス槽内の純水から露出させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項4】 請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、窒素ガスを密閉チャンバに送り込む窒素ガス供給手段が設けられ、該窒素ガス供給手段は、排気手段が密閉チャンバ内を排気して減圧した後、密閉チャンバ内に窒素ガスを供給する基板の表面処理装置。 【請求項5】 請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置を更に設け、前記基板昇降手段は基板搬送ロボットから基板を受け渡され る基板の表面処理装置。」 [2] 平成13年10月3日付け取消理由通知において、引用した本件特許に係る出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である各引用例には、それぞれ次の発明記載されている。 1 特開昭62-198126号公報(以下、第1引用例という) 半導体ウエハを最終的に水洗処理する最終水洗処理部と、この最終水洗処理部で最終的に水洗処理された半導体ウエハの表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる半導体ウエハの表面処理装置において、前記最終水洗処理部と乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に半導体ウエハが浸漬されるようにする水洗槽と、この水洗槽内へ前記吸水管を通して純水を供給する純水供給手段と、前記水洗槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む筒状容器の下部と、この筒状容器の下部から純水を排出する排水手段と、前記水洗槽の上方位置と水洗槽内部位置との間で半導体ウエハを昇降移動させるウエハ上下動機構と、有機溶剤の蒸気を供給するための遮蔽板を有し、前記水洗槽及び前記溢れ出た純水が流れ込む筒状容器の下部の上方空間を閉鎖的に包囲する筒状容器と、水洗処理が終了した段階で半導体ウエハがウエハ上下動機構により水洗槽内の純水中から徐々に露出すると同時にこの筒状容器内内へ蒸気遮蔽板を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段とを具備し、ウエハ上下動機構が水洗槽内の純水から半導体ウエハを引上げるとき、純水から露出する時点において有機溶剤の蒸気を筒状容器内に有機溶剤の蒸気を存在させ、最終的にリンスが終わってから乾燥処理が終了するまで、処理基板が大気が触れることがないごとく構成した一体の水洗・乾燥処理装置によりなる半導体ウエハの表面処理装置。 そして、第1引用例に記載された発明における半導体ウエハは、本件のそれぞれの請求項に係る発明における基板に、以下同じく、リンスは、水洗に、純水を供給するための吸水管は、純水を供給するための純水供給口に、越流部より溢れ出た純水が流れ込む筒状容器の下部は、溢流水受け部に、ウエハ上下動機構は、基板昇降手段に、筒状容器は、密閉チャンバは、筒状容器に、それぞれ相当するものと認める。 2 実願平3-93635号(実開平4-99269号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフイルム(平成4年8月27日特許庁発行、以下、第2引用例という) (1) 第4実施例として図10及び明細書のその説明の部分に記載された発明 洗浄用薬液及び純水を供給するための給液口を底部に有するとともに洗浄用薬液及び純水をオーバーフローさせるためのオーバーフロー部を上部に有し、洗浄用薬液及び純水を置換可能に収容し、その薬液又は純水中に基板がそれぞれ浸漬されることにより洗浄処理及び最終リンス処理が行なわれる、少なくとも1つの基板処理槽と、この基板処理槽内へ前記給液口を通して洗浄用薬液及び純水を択一的に供給する給液手段と、前記基板処理槽で洗浄処理され最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置において、前記基板処理槽の少なくとも上方空間を閉鎖的に密閉可能なチャンバーによって包囲し、その密閉可能なチャンバーの内部に、前記基板処理槽の上方位置と基板処理槽内部位置との間で基板を昇降自在に設けられた基板保持具を設けるとともに、基板保持具によってオーバーフローする基板処理槽内の液中から基板が引上げられた後、前記密閉可能なチャンバ内を排気して減圧する強制排気手段とを設けた基板の表面処理装置。 そして、第2引用例の(1)の発明におけるオーバーフローは、本件のそれぞれの請求項に係る発明における越流に、以下同じく、基板処理槽は、洗浄槽に、密閉可能なチャンバーは、密閉チャンバに、昇降自在に設けられた基板保持具は、昇降移動させる基板昇降手段に、強制排気手段は、排気手段に、それぞれ相当するものと認める。 (2) 図8及び図9並びに明細書のその説明の部分に記載された発明 少なくとも1つの基板処理槽と、この基板処理槽内へ前記給液口を通して洗浄用薬液及び純水を択一的に供給する給液手段と、前記基板処理槽で洗浄処理され最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置において、さらに、装置内での基板の搬送を行ないう基板搬送ロボットと、オーバーフローする基板処理槽内の液中から基板を引上げ、かつ、前記基板搬送ロボットから基板を受け渡されにごとく構成した昇降自在に設けられた基板保持具と、基板を収容したカセットから基板搬送ロボットに対して基板を受け渡すローダ・アンローダ装置を備えた基板の表面処理装置。 そして、第2引用例の(2)の発明におけるオーバーフローは、本件のそれぞれの請求項に係る発明における越流に、以下同じく、昇降自在に設けられた基板保持具は、昇降移動させる基板昇降手段に、基板を収容したカセットから基板搬送ロボットに対して基板を受け渡すローダ・アンローダ装置は、基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置に、それぞれ相当するものと認める。 3 特開平4-80924号公報(以下、第3引用例という) 洗浄槽で洗浄処理され最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させるにあたり、有機溶剤の蒸気を供給し、次いで該有機溶剤の蒸気を供給を停止した後、窒素ガスの供給を開始するごとく構成した基板の表面処理装置。 [3] 1 本件請求項1に係る発明について検討する。 本件請求項1に係る発明と第1引用例に記載された発明とを比較すると、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、リンス処理が終了した段階で基板が基板昇降機構によりリンス槽内の純水中から徐々に露出すると同時にこの密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段とを具備し、基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を引上げるとき、純水から露出する時点において有機溶剤の蒸気を密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気を存在させ、最終的にリンスが終わってから乾燥処理が終了するまで、処理基板が大気が触れることがないごとく構成した一体のリンス・乾燥処理装置によりなる基板の表面処理装置ある点で一致し、次の点においてのみ相違する。 相違点1:最終リンス処理が終わってから乾燥処理が終了するまでの間、リンス槽の上方空間を閉鎖的に密閉チャンバ によって包囲するごとく構成するものにおいて、本件請求項1に係る発明においては、純水から引上げた後、密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段を設けたのに対して、第1引用例に記載された発明には、この点について記載がない点。 相違点2:本件請求項1に係る発明が、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットを具備しているのに対して、第1引用例に記載された発明には、この点について記載がない点。 相違点3:本件請求項1に係る発明が、所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう薬液洗浄槽を具備しているのに対して、第1引用例に記載された発明には、この点について記載がない点。 そこで、相違点1について検討する。 本件請求項1に係る発明における密閉チャンバ内に存在する有機溶剤の蒸気は、純水から引上げた後、密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段が設けられたことにより、減圧下のものとなり、この状態において基板表面上の純水と置換された有機溶剤を蒸発させて乾燥させることになる。 しかし、基板の表面を乾燥させるにあたり、第2引用例の(1)の発明における液中から基板を引上げられた後、密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段をを適用することにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、第1引用例に記載された発明及び第2引用例の(1)の発明が基板の表面処理装置として共通するものであるから、当業者が容易に想到することができたものである。 つぎに、相違点2について検討する。 第1引用例に記載された発明及び第2引用例の(2)の発明は、最終リンス処理ができる部分と最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置として共通するものであるから、第2引用例の(2)の発明における装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットを第1引用例に記載された発明に具備させることにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 さらに、相違点3について検討する。 基板の表面処理装置において、最終リンス処理部とは別の手段として、最終リンス処理工程の前工程を行う手段として、 洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう薬液洗浄槽をさらに設けることは、本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術であり、このようなものを第1引用例に記載された発明に具備させることにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本件請求項1に係る発明を全体としてみても、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術の有する効果の総和以上の効果を奏するものとも認めることができない。 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 本件請求項2に係る発明について検討する。 本件請求項2に係る発明と第1引用例に記載された発明とを比較すると、前記相違点1、相違点2、相違点3及び次の相違点4において相違する。 相違点4:本件請求項2に係る発明が、有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段について、基板昇降手段が洗浄槽内の液中から基板を露出させ終わるまで供給するものとしたのに対して、第1引用例に記載された発明には、基板昇降手段が洗浄槽内の液中から基板を徐々に露出させると同時に供給を開始した有機溶剤の蒸気の供給を停止する時点については記載がない点。 そこで、相違点4について検討する。 第1引用例に記載された発明は、基板表面の純水を有機溶剤で置換することにより乾燥するものであるから、基板露出終了まで蒸気を供給することは当然の事項であるので、第1引用例に記載された発明における有機溶剤の蒸気の供給を停止する時点を、基板の露出終了時点とすることにより、この相違点において掲げた本件請求項2に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本件請求項2に係る発明を全体としてみても、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術の有する効果の総和以上の効果を奏するものとも認めることができない。 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 本件請求項3に係る発明について検討する。 本件請求項3に係る発明と第1引用例に記載された発明とを比較すると、前記相違点1、相違点2、相違点3及び次の相違点5において相違する。 相違点5:基板昇降手段について、本件請求項3に係る発明においては、リンス槽内で上昇液流が形成されている状態で基板をリンス槽内の純水から露出させるごとく構成しているのに対して、第1引用例にはこの点が記載されていない点。 そこで、相違点5について検討する。 第2引用例の(2)の発明には、越流する基板処理槽内の液中から基板が引上げることについても記載されている。 このことは、第2引用例の(2)の発明においても、洗浄槽内で上昇液流が形成されている状態で前記基板を洗浄槽内の液中から露出させるものであるとすることができる。 そして、第1引用例及び第2引用例の(2)の発明は、最終リンス処理ができる部分と最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置として共通するものであるから、第1引用例に記載された発明における基板昇降手段に換えて第2引用例の(2)の発明における基板昇降手段を備させることにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本件請求項3に係る発明を全体としてみても、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術の有する効果の総和以上の効果を奏するものとも認めることができない。 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明及び第2引用例の(2)の発明、並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 本件請求項4に係る発明について検討する。 本件請求項4に係る発明と第1引用例に記載された発明とを比較すると、前記相違点1、相違点2、相違点3及び次の相違点6において相違する。 相違点6:本件請求項4に係る発明が、窒素ガスを密閉チャンバに送り込む窒素ガス供給手段が設けられ、該窒素ガス供給手段は、排気手段が密閉チャンバ内を排気して減圧した後、密閉チャンバ内に窒素ガスを供給するものであるのに対して、第1引用例に記載された発明には、この点について記載がない点。 そこで、相違点6について検討する。 第3引用例に記載された発明は、有機溶剤の蒸気の供給を停止した後、窒素ガスの供給を開始するごとく構成したもの、すなわち、窒素ガスの供給が最後に行われるものであるから、該窒素ガスは、パージをする効果があるものとすることができる。 したがって、このようなものを第1引用例に記載された発明に適用することにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本件請求項4に係る発明を全体としてみても、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明、第2引用例の(2)の発明及び第3引用例に記載された発明並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術の有する効果の総和以上の効果を奏するものとも認めることができない。 以上のとおりであるから、本件請求項4に係る発明は、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明、第2引用例の(2)の発明及び第3引用例に記載された発明並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 本件請求項5に係る発明について検討する。 本件請求項5に係る発明と第1引用例に記載された発明とを比較すると、前記相違点1、相違点2、相違点3及び次の相違点7において相違する。 相違点7:本件請求項1に係る発明が、基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置をさらに設け、前記基板昇降手段は基板搬送ロボットから基板を受け渡されるごとく構成したのに対して、第1引用例に記載された発明には、この点について記載がない点。 そこで、相違点7について検討する。 第1引用例に記載された発明及び第2引用例の(2)の発明は、最終リンス処理ができる部分と最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部とを備えてなる基板の表面処理装置として共通するものであるから、第2引用例の(2)の発明における基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置をさらに設け、前記基板昇降手段は基板搬送ロボットから基板を受け渡されごとく構成したものを第1引用例に記載された発明に具備させることにより、この相違点において掲げた本件請求項1に係る発明における構成のごとくすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本件請求項5に係る発明を全体としてみても、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明、第2引用例の(2)の発明及び第3引用例に記載された発明並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術の有する効果の総和以上の効果を奏するものとも認めることができない。 以上のとおりであるから、本件請求項5に係る発明は、第1引用例に記載された発明、第2引用例の(1)の発明、第2引用例の(2)の発明及び第3引用例に記載された発明並びに本件特許に係る出願の出願前において周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 【4】 むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1ないし請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取消すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 基板の表面処理装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、 この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、 この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、 装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、 前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、 純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、 このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、 前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、 この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、 前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、 有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、 この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、 前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、 前記蒸気供給手段は基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を引上げるとき、前記密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気を存在させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項2】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、 この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、 この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、 装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、 前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、 純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、 このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、 前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、 この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、 前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、 有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、 前記基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を露出させ終るまで、密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、 前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備えた一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項3】 所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、 この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、 この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、 装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、 前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、 純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、 このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、 前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、 この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、 前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、 有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、 この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、 前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、 前記基板昇降手段は密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気が存在する状態で、かつ、リンス槽内で上昇液流が形成されている状態で前記基板をリンス槽内の純水から露出させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置。 【請求項4】 請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、窒素ガスを密閉チャンバに送り込む窒素ガス供給手段が設けられ、該窒素ガス供給手段は、排気手段が密閉チャンバ内を排気して減圧した後、密閉チャンバ内に窒素ガスを供給する基板の表面処理装置。 【請求項5】 請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置を更に設け、前記基板昇降手段は基板搬送ロボットから基板を受け渡される基板の表面処理装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、半導体デバイス製造プロセス、液晶ディスプレイ製造プロセス、電子部品関連製造プロセスなどにおいて、シリコンウエハ、ガラス基板、電子部品等の各種基板を薬液及び純水で洗浄処理し、その後に基板表面を乾燥処理するのに使用される基板の表面処理装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 基板、例えばシリコンウエハを薬液及び純水を用いて洗浄し、その後にウエハ表面を乾燥処理する装置として、従来、例えば図4に概略平面レイアウト図を示すような構成のものが使用されている。この装置は、所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより基板に対し所要の洗浄処理を施す1つ又は複数、図示例のものは3つの薬液洗浄槽1、2、3、純水を収容し、その純水中に基板を浸漬させて基板を純水で洗浄する1つ又は複数、図示例のものは3つの純水洗浄槽1、2、3、純水を用いて最終的に基板をリンス処理する最終リンス槽、及び、最終リンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部を連設し、薬液洗浄槽1に隣接して、洗浄前の基板を複数枚収容して搬入されてきたカセットを載置しておくローダを設けるとともに、乾燥処理部に隣接して、洗浄及び乾燥処理を終えた基板を収容したカセットを載置しそのカセットの搬出が行なわれるアンローダを設け、ローダ、薬液洗浄槽、純水洗浄槽、最終リンス槽、乾燥処理部及びアンローダの各間での基板の搬送を行なう基板搬送ロボット、及び、空のカセットをローダからアンローダへ移送するためのカセットトラックなどを備えて構成されている。それぞれの薬液洗浄槽には、例えば、薬液洗浄槽1にはアンモニア水及び過酸化水素水の混合溶液が、薬液洗浄槽2にはフッ酸が、薬液洗浄槽3には塩酸及び過酸化水素水の混合溶液が入っている。また、乾燥処理部に設置される基板の乾燥処理装置としては、遠心力によって基板の表面から純水を振り切って乾燥させるスピンドライヤや、基板の表面に付着した純水をイソプロピルアルコール等の有機溶剤の蒸気で置換することによって乾燥させる有機溶剤蒸気乾燥装置が使用される。 【0003】 図5は、最終リンス処理部に有機溶剤蒸気乾燥処理部が隣接して配設された洗浄装置の一部を示す概略断面図である。最終リンス処理部1には、リンス槽3が設けられ、リンス槽3の底部に純水供給口が形設されており、リンス槽3の上部外周に溢流水受け部4が設けられている。そして、純水供給口を通し連続してリンス槽3内に純水5を供給し、リンス槽3上部の越流部から純水5を溢れ出させることにより、リンス槽3の内部において純水5の上昇水流が形成されるようになっており、その純水5の上昇水流中に基板Wを置くことにより基板Wのリンス処理が行なわれる。最終的なリンス処理が行なわれた基板Wは、乾燥処理部2へ搬送される。乾燥処理部2には、乾燥処理槽6が設けられており、乾燥処理槽6の内部に有機溶剤、例えばイソプロピルアルコール7が入っている。そして、乾燥処理槽6内には、アルコール蒸気が充満しており、そのアルコール蒸気中に基板Wを置き図示しないリフタで基板Wを昇降させることにより、基板Wの表面に付着した純水がアルコールと置換し、そのアルコールが速やかに基板Wの表面から蒸発することによって基板Wの乾燥が行なわれるようになっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 上記した従来の基板の表面処理装置では、最終リンス処理部から乾燥処理部への基板の搬送は、大気中を通って行なわれる。また、乾燥処理部での基板の乾燥処理自体も、大気圧下において行なわれている。このように、従来の洗浄装置では、最終リンス処理が終わった基板を乾燥し終えるまでの間、基板は大気に曝されることになる。 【0005】 ところが、最終リンス処理された基板の表面が濡れた状態で大気に曝されると、基板表面にパーティクルが付着し易くなり、また炭酸ガス、酸素等のガスが吸着し易くなる。また、乾燥処理中においても、従来の洗浄装置では、完全に大気を遮断することができず基板は大気に曝された状態になるので、同様のパーティクル付着やガス吸着が起こる。この結果、カーボンや重金属等による膜汚染が起こり、半導体デバイス等の歩留りが低下するといった問題点がある。 【0006】 この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、最終リンス処理が終わってから乾燥処理が終了するまでの間、基板が大気に触れないようにして、基板表面へのパーティクル付着やガス吸着を無くし、膜汚染による歩留りの低下を防ぐことができる基板の表面処理装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 請求項1に記載の発明は所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、前記蒸気供給手段は基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を引上げるとき、前記密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気を存在させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置である。 請求項2に記載の発明は所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、前記基板昇降手段がリンス槽内の純水から基板を露出させ終るまで、密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備えた一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置である。 請求項3に記載の発明は所要の洗浄用薬液を収容し、その薬液中に基板を浸漬させることにより所要の洗浄処理を行なう、少なくとも1つの薬液洗浄槽と、この薬液洗浄槽で洗浄処理され必要に応じて純水で洗浄処理された基板の表面に純水を供給し、基板を最終的にリンス処理する最終リンス処理部と、この最終リンス処理部で最終的にリンス処理された基板の表面を乾燥させる乾燥処理部と、装置内での基板の搬送を行なう基板搬送ロボットとを備えてなる基板の表面処理装置において、前記最終リンス処理部と前記乾燥処理部とを、純水を供給するための純水供給口を底部に有するとともに純水を越流させるための越流部を上部に有し、内部に純水を収容してその純水中に基板が浸漬されるようにするリンス槽と、このリンス槽内へ前記純水供給口を通して純水を供給する純水供給手段と、前記リンス槽の前記越流部より溢れ出た純水が流れ込む溢流水受け部と、この溢流水受け部から純水を排出する排水手段と、前記リンス槽の上方位置とリンス槽内部位置との間で基板を昇降移動させる基板昇降手段と、有機溶剤の蒸気を供給するための蒸気供給口を有し、前記リンス槽及び前記溢流水受け部の上方空間を閉鎖的に包囲する密閉チャンバと、この密閉チャンバ内へ蒸気供給口を通して有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え、前記基板昇降手段は密閉チャンバ内に有機溶剤の蒸気が存在する状態で、かつ、リンス槽内で上昇液流が形成されている状態で前記基板をリンス槽内の純水から露出させる、一体のリンス・乾燥処理装置により構成したことを特徴とする基板の表面処理装置である。 請求項4に記載の発明は請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、窒素ガスを密閉チャンバに送り込む窒素ガス供給手段が設けられ、該窒素ガス供給手段は、排気手段が密閉チャンバ内を排気して減圧した後、密閉チャンバ内に窒素ガスを供給する基板の表面処理装置である。 請求項5に記載の発明は請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、基板を収容したカセットから前記基板搬送ロボットに対して基板を受け渡す基板受け渡し装置を更に設け、前記基板昇降手段は基板搬送ロボットから基板を受け渡される基板の表面処理装置である。 【0008】 【作用】 上記した構成の請求項1ないし5に係る各発明の基板の表面処理装置では、薬液洗浄後(必要に応じてさらに純水洗浄された後)に基板を最終的にリンス処理し、基板をそのまま密閉チャンバ内において乾燥処理する。従って、最終リンス処理が終わってから乾燥処理が終了するまでの間、基板は大気に全く触れることがなく、基板表面へのパーティクル付着やガス吸着は起こらない。 【0009】 【実施例】 以下、この発明の好適な実施例について図面を参照しながら説明する。 【0010】 図1は、この発明の1実施例に係る基板の洗浄装置の概略構成を示す正面断面図であり、図2は、この洗浄装置の構成の概略平面レイアウト図である。この洗浄装置は、ローダ10、洗浄・乾燥処理部12、アンローダ14、基板搬送ロボット16及びカセットトラック(図1には図示せず)を備えて構成されている。洗浄・乾燥処理部12は、3つの薬液洗浄槽18、20、22、3つの純水洗浄槽24、26、28及びリンス・乾燥処理装置30を、各薬液洗浄槽18、20、22の後方に隣接して各純水洗浄槽24、26、28がそれぞれ配置され第3番目の純水洗浄槽28に隣接してリンス・乾燥処理装置30が配置されるように、一列に連設して構成されている。そして、例えば、第1番目の薬液洗浄槽18にはアンモニア水及び過酸化水素水の混合溶液が収容され、第2番目の薬液洗浄槽20にはフッ酸が収容され、第3番目の薬液洗浄槽22には塩酸及び過酸化水素水の混合溶液が収容されており、また、各純水洗浄槽24、26、28には純水がそれぞれ収容されている。また、ローダ10には、カセットCに収容されて搬入されてきた洗浄前の複数枚の基板Wを、ローダ10に載置されたカセットCから基板搬送ロボット16へ受け渡す基板受渡し装置32が設けられており、アンローダ14には、洗浄・乾燥処理部12での処理を終えた複数枚の基板Wを基板搬送ロボット16から空のカセットCへ受け渡す基板受渡し装置34が設けられている。 【0011】 リンス・乾燥処理装置30は、リンス槽36及びこのリンス槽36の上部外周に設けられた溢流水受け部38を有しており、それらの上方空間を閉鎖的に包囲するように、密閉可能な開閉蓋42を有する密閉チャンバ40を備えている。リンス槽36には、その底部に純水供給口が形設されており、純水供給源からその純水供給口を通して常時リンス槽36内へ純水44が供給され、一方、リンス槽36の上部は越流部となっており、その越流部より溢れ出た純水が溢流水受け部38に常時流れ込むようになっていて、リンス槽36の内部において純水44の上昇水流が形成される。溢流水受け部38に流れ込んだ純水は、溢流水受け部38に形設された純水排出口を通して排水される。また、密閉チャンバ40には、有機溶剤の蒸気、例えばイソプロピルアルコールの蒸気を密閉チャンバ40内へ供給するための蒸気供給口が形設されており、蒸気供給口は蒸気供給用管路を介してアルコール蒸気供給源に流路接続されている。尚、図示していないが、蒸気供給用管路は窒素供給源に流路接続されており、窒素ガスをキャリヤガスとしてアルコール蒸気が密閉チャンバ40内へ送給されるとともに、流路の切換えにより蒸気供給用管路を通して窒素ガスだけを密閉チャンバ40内へ送り込んで密閉チャンバ40の内部をパージすることができる構成となっている。さらに、密閉チャンバ40には、排気口が形設されており、排気口は排気手段、例えば水封式真空ポンプに流路接続されていて、その排気口を通して密閉チャンバ40内を真空ポンプで排気することにより、密閉チャンバ40内を減圧することができる。また、図示を省略しているが、密閉チャンバ40の内部には、基板Wを昇降させる基板昇降機構が設けられており、この基板昇降機構により、基板をリンス槽36の上方位置とリンス槽36内部位置との間で昇降移動させることができるようになっている。 【0012】 次に、上記した構成の基板の洗浄装置を使用して基板の洗浄及び乾燥処理を行なう一連の工程について説明する。 【0013】 洗浄前の複数枚の基板Wを収容したカセットCがローダ10に搬入されて載置されると、基板受渡し装置32によりカセットCから基板搬送ロボット16へ複数枚の基板Wが一括して受け渡され、次いで、基板搬送ロボット16により複数枚の基板Wが一括して第1番目の薬液洗浄槽18内へ送入されて、薬液洗浄槽18内部の基板保持具に保持される。薬液洗浄槽18内には所要の薬液が連続して供給されるとともに、薬液洗浄槽18からオーバーフローした薬液は循環使用されるようになっており、薬液洗浄槽18内の薬液中に基板Wが浸漬されることにより、基板Wに対し所要の洗浄処理が行なわれる。薬液洗浄槽18で洗浄処理された複数枚の基板Wは、再び基板搬送ロボット16へ受け渡され、基板搬送ロボット16により複数枚の基板Wが一括して第1番目の純水洗浄槽24内へ送入されて、純水洗浄槽24内部の基板保持具に保持される。純水洗浄槽24内には純水が連続して供給されるとともに、純水洗浄槽24の上部から純水がオーバーフローしており、純水洗浄槽24内の純水の上昇水流中に基板Wが置かれることにより、基板Wの表面が水洗される。同様にして、基板搬送ロボット16により複数枚の基板Wを一括して第2番目の薬液洗浄槽20、第2番目の純水洗浄槽26、第3番目の薬液洗浄槽22、第3番目の純水洗浄槽28へと順次搬送しながら、薬液による洗浄及び純水による水洗を繰り返す。そして、第3番目の純水洗浄槽28での水洗が終わった複数枚の基板Wは、基板搬送ロボット16により一括してリンス・乾燥処理装置30へ搬送される。 【0014】 リンス・乾燥処理装置30の密閉チャンバ40内に複数枚の基板Wが一括して搬入され、基板昇降機構によって昇降自在に支持された基板保持具へ複数枚の基板Wが一括して受け渡されると、開閉蓋42が閉塞されて密閉チャンバ40内が密閉される。このとき、リンス槽36内には、その底部の純水供給口を通して純水供給源から純水44が連続して供給され、リンス槽36内部を満たした純水44は、その上部の越流部から溢れ出て溢流水受け部38内へ流入し、溢流水受け部38から純水排出口を通して排水されており、リンス槽36の内部に純水44の上昇水流が形成されている。複数枚の基板Wが一括して基板保持具に保持されると、基板昇降機構を作動させて、基板Wを下降させ、リンス槽36内の純水44中に基板Wを浸漬させ、純水44の上昇水流中に基板Wを所定時間置くことにより基板Wを最終的にリンス処理する。これにより、基板Wの表面が完全に清浄化される。基板Wの最終リンス処理が終了すると、基板昇降機構を作動させて、基板保持具に保持された基板Wを上昇させ、基板Wをリンス槽36内の純水44中から引き上げる。そして、純水44中から基板Wを引き上げ始めるのと同時に、蒸気供給用管路を通して密閉チャンバ40内へ蒸気供給口からアルコール蒸気を送り込んで、純水44中から引き上げられている途中の基板Wの周囲ヘアルコール蒸気を供給する。このアルコール蒸気の供給は、少なくとも純水44中からの基板Wの引上げが完全に終了するまで行なう。純水44中からの基板Wの引上げが終了すると、リンス槽36への純水の供給を停止させ、同時に、リンス槽36内の純水を排出する。また、リンス槽36から純水を排出し始めるのと同時に、水封式真空ポンプを作動させて密閉チャンバ40内を真空排気し、密閉チャンバ40内を減圧状態にすることにより、基板Wの表面に凝縮して純水と置換したアルコールを蒸発させて基板Wを乾燥させる。 【0015】 基板Wの乾燥処理が終了すると、密閉チャンバ40内が窒素ガスによってパージされ、真空ポンプを停止させて密閉チャンバ40内が減圧下から大気圧下へ戻された後、開閉蓋42が開放され、最終リンス処理及び乾燥処理が終了した基板Wは、一括して基板保持具から再び基板搬送ロボット16へ受け渡され、基板搬送ロボット16により密閉チャンバ40外へ取り出される。そして、洗浄・乾燥処理を終えた複数枚の基板Wは、基板受渡し装置34により基板搬送ロボット16から空のカセットCへ受け渡され、カセットCに収容されてアンローダ14から搬出される。 【0016】 以上のように、図1に示した基板の洗浄装置では、薬液洗浄及び水洗された基板Wを最終的にリンス処理してから乾燥処理が終了するまでの間、基板Wは、密閉された密閉チャンバ40内において処理され、大気に全く触れることがないので、その間に基板Wの表面にパーティクルが付着したり炭酸ガス、酸素等のガスが吸着したりすることがない。 【0017】 図1に示したような構成のリンス・乾燥処理装置30に代えて、図3に示すような構成のリンス・乾燥処理装置を設置して基板の洗浄装置を構成してもよい。図3に示したリンス・乾燥処理装置46は、図1に示したリンス・乾燥処理装置30と同様に、リンス槽48、溢流水受け部50、密閉可能な開閉蓋54を有する密閉チャンバ52、及び、基板Wを昇降させる基板昇降機構(図示せず)を備えている。そして、このリンス・乾燥処理装置46では、密閉チャンバ52の一側面に、過熱蒸気60を均一に分散させてリンス槽48の上方空間へ水平方向に吹き出す過熱蒸気吹出し部56が配設されているとともに、密閉チャンバ52の、過熱蒸気吹出し部56と対向する側面に、過熱蒸気吹出し部56から吹き出された過熱蒸気60を吸引する過熱蒸気吸引部58が配設されている。過熱蒸気吹出し部56は、過熱蒸気供給源に流路接続されており、過熱蒸気供給源から過熱蒸気吹出し部56へ過熱蒸気が送給され、過熱蒸気吹出し部56から、例えば135〜150℃程度の温度の過熱蒸気60が吹き出すようになっている。尚、過熱蒸気吸引部58の排気口に真空ポンプを流路接続し、過熱蒸気吸引部58を通して密閉チャンバ52内を真空排気して減圧することができるようにしてもよい。 【0018】 図3に示したようなリンス・乾燥処理装置46では、リンス槽48内の純水44中から引き上げられた基板Wに対して過熱蒸気60が供給されると、基板Wの表面温度が次第に上昇するとともに、基板Wの表面で過熱蒸気60が冷却されて結露し、基板Wの表面全体が水で覆われた状態になる。そして、基板Wの表面温度が、過熱蒸気60の温度付近まで上昇し基板W表面上での水分凝縮が少なくなる程度にまで昇温した時に、基板W表面への過熱蒸気60の供給を停止すると、基板Wの表面は加熱されて高い温度になっているため、基板Wの表面全体から付着水分が速やかに蒸発してしまう。このように、基板Wの表面全体が濡れたままの状態で基板Wの温度を高くし、基板Wの表面温度が高くなった時点で、一気に付着水分を蒸発させることにより、基板Wの表面が乾燥させられることになる。そして、図3に示したリンス・乾燥処理装置46を備えた基板の洗浄装置においても、薬液洗浄及び水洗された基板Wは、最終的にリンス処理されてから乾燥が完了するまでの間、密閉された密閉チャンバ52内において処理され、大気に全く触れることがないので、その間に基板Wの表面へのパーティクル付着やガス吸着が起こったりすることがない。 【0019】 【発明の効果】 この発明は以上説明したように構成されかつ作用するので、請求項1ないし請求項5に係る各発明の基板処理装置を使用したときは、最終リンス処理が終わってから乾燥処理が終了するまでの間、基板は大気に触れることがなく、基板表面へのパーティクル付着やガス吸着が起こらないため、膜汚染による歩留りの低下を防ぐことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の1実施例に係る基板の洗浄装置の概略構成を示す正面断面図である。 【図2】 図1に示した基板の洗浄装置の構成の概略平面レイアウト図である。 【図3】 この発明に係る基板の洗浄装置に設置されるリンス・乾燥処理装置の別の構成例を示す正面断面図である。 【図4】 従来の基板の洗浄装置の構成の1例を示す概略平面レイアウト図である。 【図5】 最終リンス処理部に有機溶剤蒸気乾燥処理部が隣接して配設された従来の洗浄装置の一部を示す概略断面図である。 【符号の説明】 10 ローダ 12 洗浄・乾燥処理部 14 アンローダ 16 基板搬送ロボット 18、20、22 薬液洗浄槽 24、26、28 純水洗浄槽 30、46 リンス・乾燥処理装置 36、48 リンス槽 38、50 溢流水受け部 40、52 密閉チャンバ 42、54 開閉蓋 44 純水 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 【1】 訂正事項 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3における「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段とを備え」を「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え」に訂正する。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4、請求項5、請求項7及び請求項8を削除し、請求項4及び請求項5の削除に伴い、請求項6及び請求項9を新たに請求項4及び請求項5に訂正する。 3 新たな請求項4における「請求項5に記載の基板の表面処理装置」を「請求項1ないし3に記載の表面処理装置」に訂正する。 4 明細書の段落【0007】の第16行ないし第17行、第36行ないし第37行及び第53行ないし第54行にそれぞれ記載された「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段を備え」をそれぞれ「有機溶剤の蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記基板昇降手段によってリンス槽内の純水から基板が引上げられた後、前記密閉チャンバ内を排気して減圧する排気手段とを備え」に訂正する。 5 明細書の段落【0007】の第58行ないし第63行に記載された「請求項4に記載の発明は……基板の表面処理装置である。」とあるのを削除する。 6 明細書の段落【0007】の第64行に記載された「請求項6に記載の発明は請求項5に記載の基板の表面処理装置において、」を「請求項4に記載の発明は請求項1ないし3に記載の基板の表面処理装置において、」に訂正する。 7 明細書の段落【0007】の第68行ないし第74行に「請求項7に記載の発明は……基板の表面処理装置である。」とあるのを削除する。 8 明細書の段落【0007】の第75行に記載された「請求項9に記載の発明は」を「請求項5に記載の発明は」 8 明細書の段落【0007】の第75行に記載された「請求項1ないし10」を「請求項1ないし5」に訂正する。 9 明細書の段落【0008】の第1行に記載された「請求項1ないし9」を「請求項1ないし5」に訂正する。 10 明細書の段落【0019】の第2行ないし第3行に記載された「請求項1ないし9」を「請求項1ないし5」に訂正する。 |
異議決定日 | 2002-02-22 |
出願番号 | 特願平5-294766 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(H01L)
|
最終処分 | 取消 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
鈴木 孝幸 桐本 勲 |
登録日 | 2000-11-02 |
登録番号 | 特許第3126859号(P3126859) |
権利者 | 大日本スクリーン製造株式会社 |
発明の名称 | 基板の表面処理装置 |
代理人 | 間宮 武雄 |
代理人 | 間宮 武雄 |