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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H03F
審判 全部申し立て 2項進歩性  H03F
管理番号 1061308
異議申立番号 異議2001-73336  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-11-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-11 
確定日 2002-07-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第3175823号「高周波増幅装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3175823号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
特許第3175823号(平成10年4月24日出願、平成13年4月6日設定登録)の請求項1〜5に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されたとおりのものである。

2.特許異議申立ての理由の概要
申立人雨山範子は、甲第1号証(「GaAsFET増幅器の設計」(市坪 幾郎、MWE92 Microwave Workshop Digest) P.115〜124)、甲第2号証(「モノリシックマイクロ波集積回路」(相川 正義、大平 孝、徳満恒雄、広田 哲夫、村口 正弘 共著、社団法人 電子情報通信学会、平成9年1月25日初版第1冊発行)P.44-47、P.71、P91-92)、甲第3号証(特開平6-53761号公報)、甲第4号証(「First Demonstration of High Power GaInP/GaAs HBT MMIC Power Amplifier With 9.9W Output Power at X Band」(IEEE MICROWAVE AND GUIDED WAVE LETTERS, Vol.4,No.9, September 1994 P.93-295)を提出し、特許第3175823号の請求項1,5に係る特許発明は、甲第1号証に記載されたものであり、請求項4に係る発明は、甲第3号証に記載れたものであり、いずれも特許法第29条第1項3号に規定する発明に該当し、当該発明の特許は取り消されるべきであり、また、請求項1〜5に係る発明は、甲第1〜4号証で示す各刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条に第2項の規定に違反して特許されたものであり、その特許は取り消されるべきものである旨主張している。

3.引用刊行物に記載された発明
当審が平成14年3月20日付けで通知した取消しの理由において引用した刊行物1〜4にはそれぞれ次のとおりの発明が記載されている。
ア.刊行物1:「GaAsFET増幅器の設計」(市坪 幾郎、MWE92 Microwave Workshop Digest) P.115-124
能動素子単体ではkが1以下であるものを用い、損失利用して安定動作(装置全体ではkが1以上)を実現し、そのための損失として、FETに対してシャント抵抗または負帰還抵抗を設置するものが記載されている。
イ.刊行物2:「モノリシックマイクロ波集積回路」(相川 正義、大平 孝、徳満恒雄、広田 哲夫、村口 正弘 共著、社団法人 電子情報通信学会、平成9年1月25日初版第1冊発行)P.44-47、P.71、P91-92
整合回路として、スパイラルインダクタ、ミアンダ型インダクタ、MIMキャパシタを用いることが記載されている。
ウ.刊行物3:特開平6-53761号公報
高周波トランジスタの安定指数Kが1より小さい場合にも、入力整合及び出力整合を取りやすく、且つ充分に安定動作の可能な高周波増幅器を提供すべく、バイアス回路に抵抗を入れることによって、行っているものが記載されている。
エ.刊行物4:「First Demonstration of High Power GaInP/GaAs HBT MMIC Power Amplifier With 9.9W Output Power at X-Band」(IEEE MICROWAVE AND GUIDED WAVE LETTERS, Vol.4,No.9, September 1994 P.93-295
HBTを用いたMMICが記載されている。

4.対比及び判断
そこで、本件請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、「能動素子を有する高周波増幅装置において、増幅装置を使用する周波数における、能動素子単体での安定指数k値が1以下となるように、入力インピーダンスの抵抗成分を充分小さくした能動素子を用い回路の損失を利用して、増幅装置としての安定指数k値を1以上とした」点において一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本件請求項1に係る発明は、増幅装置を安定化させるための損失として「整合回路の損失」を利用しているのに対して、刊行物1記載の発明は、「シャント抵抗または負帰還抵抗」を用いている点において相違する。
そして、かかる相違点により、本件請求項1にかかる発明は、整合回路の損失を積極的に利用するために増幅装置の安定化とともに増幅器の小型化を図るという作用効果を生じるものと認める。
なお、刊行物2,3,4にも、整合回路の損失を積極的に利用して増幅装置を安定化させるという技術思想はなく、これらを刊行物1に記載の発明に適用しても、本件請求項1にかかる発明が容易であるとは認められない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1に記載されたものでもなく、また、刊行物1〜4に記載された発明から容易に発明することができたものではない。
また、請求項1を引用している請求項2,3,5に係る発明も当然、刊行物1〜4に記載された発明から容易に発明することができたものではない。
そして、刊行物3に記載の発明は、増幅装置を安定化させるため整合回路の損失を利用していないので、本件請求項4に係る発明は、刊行物3に記載されたものでもなく、また、刊行物1〜4に記載された発明から容易に発明することができたものではない。

5.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-06-24 
出願番号 特願平10-115769
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H03F)
P 1 651・ 113- Y (H03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岸田 伸太郎  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 山本 春樹
西脇 博志
登録日 2001-04-06 
登録番号 特許第3175823号(P3175823)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 高周波増幅装置  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  

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