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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01R
管理番号 1061317
異議申立番号 異議2001-73008  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-12-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-02 
確定日 2002-06-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第3193666号「装飾用電灯」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3193666号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第3193666号(特願平9-140557号、平成9年5月29日出願、平成13年5月25日設定登録。)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
【請求項1】 電球と、前記電球を支持する電球支持部材と、前記電球支持部材を装着する解放部を有するとともに前記電球のリード線に導通する一対の端子が組み付けられたソケット本体とを備えた装飾用電灯において、
前記ソケット本体の前記解放部の軸方向一端側が横断面円形の円孔を有し、前記電球支持部材は、前記電球を装着する凹部を有し、かつ前記ソケット本体の前記円孔内に挿入されたときにこの円孔の内周面に部分的に面接触するような一対の円弧面部と前記円孔の内周面に非接触となる一対の平面部とからなる横断面楕円状の外形状を有する電球支持部と、前記電球支持部に支持された電球のリード線を先端面から突出させる貫通孔を有するとともに、この貫通孔から突出する電球のリード線を側面に折り曲げて案内するためのリード線案内部とから構成されていることを特徴とする装飾用電灯。

2.申立の理由の概要
異議申立人・日本電球協同組合は、甲第1号証として特開平4-230982号公報を、甲第2号証として米国特許第5709457号明細書を、そして甲第3号証として米国特許第5722771号明細書を、それぞれ提出し、本件発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでるから、本件発明についての特許は、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきである旨主張している。

3.甲号証記載の発明
上記甲第1号証(特開平4-230982号公報)には、例えば、
(1)公報第2頁第2欄の段落【0008】における
『図1ないし図4は本発明の一実施例を示すもので、これらの図において符号1はソケット本体、符号2は笠本体、符号3は電球であり、これら・・・・・により本発明の装飾用電灯が構成されている。』
なる記載、
(2)同第2頁第2欄の段落【0009】における
『前記ソケット本体1は、図3に示すように、中空柱状体の軸方向一端に解放部4が形成され、・・・(中略)・・・前記解放部4はソケット本体1の軸方向一端側が円筒部7に形成され、・・・(中略)・・・角筒部8内には・・・(中略)・・・各端子板10が各取付溝内に固定されるようになっている。』
なる記載及び
(3)同第2頁第2欄〜第3頁第3欄の段落【0010】における
『前記笠本体2は、図3に示すように、・・・・・基端に前記ソケット本体1の解放部4の円筒部7に嵌合される円柱部12が形成され、・・・(中略)・・・前記円柱部12内に延びて電球の基端部を挿入する凹部14が穿孔され、該凹部14の底面には前記角柱部13の先端面に開口し電球3の一対のリード線15を挿通する貫通孔16が穿孔されている。・・・(中略)・・・また角柱部13の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部18が形成され、各面取り部18には、図1および図2に示すように、貫通孔16を挿通して外に突出する電球3のリード線15、15を角柱部13の平行な側面13a、13a側に折り曲げて案内する案内溝18aが形成され、・・・・・前記各リード線15を各案内溝18a内に拘束するようになっている。』
なる記載、そして
(4)図面の図示内容、
等からみて、下記の発明Aが記載されていると認められる。
[発明A]
電球3と、前記電球3を支持する笠本体2と、前記笠本体2を装着する解放部4を有するとともに前記電球3のリード線15に導通する一対の端子板10が組み付けられたソケット本体1とを備えた装飾用電灯において、
前記ソケット本体1の前記解放部4の軸方向一端側が横断面円形の円筒部7を有し、前記笠本体2は、前記電球3を装着する凹部14を有し、かつ前記ソケット本体1の前記円筒部7内に挿入されたときにこの円筒部7の内周面に面接触するような円柱部12と、前記円柱部12に支持された電球3のリード線15を先端面から突出させる貫通孔16を有するとともに、この貫通孔16から突出する電球3のリード線15を側面13a、13aに折り曲げて案内するための角柱部13とから構成されている装飾用電灯。

なお、上記甲第2号証(米国特許第5709457号明細書)は、その特許日が1998年(平成10年)1月20日であり、また、上記甲第3号証(米国特許第5722771号明細書)は、その特許日が1998年(平成10年)3月3日であって、いずれも本件の出願日である平成9年5月29日より後に頒布された刊行物であるので、本件発明の新規性進歩性を否定する証拠としては採用できない。

4.対比・判断
そこで、本件発明と上記甲第1号証に記載の発明Aとを対比すると、発明Aにおける「笠本体2」、「端子板10」、「円筒部7」、「円柱部12」そして「角筒部13」なる各文言は、それらの意味、機能または作用等からみて、それぞれ、順に、本件発明の「電球支持部材」、「端子」、「円孔」、「電球支持部」そして「リード線案内部」なる各文言に相当すると認められるから、本件発明と発明Aとは、
「電球と、前記電球を支持する電球支持部材と、前記電球支持部材を装着する解放部を有するとともに前記電球のリード線に導通する一対の端子が組み付けられたソケット本体とを備えた装飾用電灯において、
前記ソケット本体の前記解放部の軸方向一端側が横断面円形の円孔を有し、前記電球支持部材は、前記電球を装着する凹部を有し、かつ前記ソケット本体の前記円孔内に挿入される電球支持部と、前記電球支持部に支持された電球のリード線を先端面から突出させる貫通孔を有するとともに、この貫通孔から突出する電球のリード線を側面に折り曲げて案内するためのリード線案内部とから構成されている装飾用電灯」、
である点で一致する。
しかしながら、発明Aは、本件発明を特定する事項である、「円孔の内周面に部分的に面接触するような一対の円弧面部と前記円孔の内周面に非接触となる一対の平面部とからなる横断面楕円状の外形状を有する」との電球支持部の構成を具備しておらず、また、甲第1号証には、かかる構成を示唆する記載もない。
そして、本件発明は、上記の構成を有することにより、
『電球支持部材の電球支持部は、ソケット本体の円孔の内周面に部分的に面接触して嵌められるものなので、この嵌める際には、電球支持部のソケット本体に対する芯合わせの精度が従来例よりも低くてもよいので、電球支持部をソケット本体の円孔内に容易に挿入できる。このことは、装飾用電灯がクリスマスツリー等に使用され、数万個単位で製造されるものであることから、装飾用電灯の生産性を向上させることができる。また、ソケット本体や電球支持部の寸法誤差に起因して、電球支持部がソケットの円孔よりも規定を超えて大きい場合でも、電球支持部のソケット本体の円孔に接触する一部を容易に収縮(弾性変形)させつつ、電球支持部をソケット本体の円孔に容易に挿入できる。さらに、電球支持部は、前記一部が収縮してソケット本体の円孔の内周面に大きな圧力で部分的に接触するので、ソケット本体の内径や電球支持部の寸法誤差を高くすることなく、電球支持部とソケット本体との組付力(嵌合力)を大きくできる。したがって、電球支持部がソケット本体から不用意に抜けない。そして、電球支持部の体積が従来例よりも小さくてすむので、電球支持部の材料費、ひいては装飾用電灯の材料費が低減する。』(特許公報第4頁第8欄の段落【0022】参照。)
という作用効果を奏するものと認められる。
それ故、本件発明が、上記甲第1号証に記載された発明であるとも、また、上記甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも、認めることができない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-05-14 
出願番号 特願平9-140557
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井上 哲男  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 千壽 哲郎
平上 悦司
登録日 2001-05-25 
登録番号 特許第3193666号(P3193666)
権利者 コロナ産業株式会社
発明の名称 装飾用電灯  
代理人 松冨 豊  
代理人 園田 吉隆  
代理人 志賀 正武  
代理人 高橋 詔男  
代理人 小林 義教  
代理人 青山 正和  
代理人 尾股 行雄  
代理人 村山 靖彦  
代理人 鈴木 三義  
代理人 渡邊 隆  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 西 和哉  
代理人 清水 千春  
代理人 今村 健一  
代理人 大場 充  

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