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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02G
管理番号 1062116
審判番号 審判1999-16778  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-12-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-10-14 
確定日 2002-07-17 
事件の表示 平成 8年特許願第132445号「配線具」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年12月12日出願公開、特開平 9-322362]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成8年5月27日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。なお、平成11年11月15日付け手続補正書による補正は、本審決と同日付けで却下された。
【請求項1】床上に移動可能に載置され内部に配線導入空間を形成された支持台と、この支持台に支持され得るとともに該支持台に対して位置変更可能であって所望の位置に移動させて配備可能なコンセントとを具備し、該コンセントを該支持台に装着した状態で標準的な机等に付帯する天板の下面に収納できるように構成していることを特徴とする配線具。
2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭62-107626号公報(以下、「引用例1」という。)には、フリーアクセスフロアの配線システムに関する技術が記載されており、次のような記載がある。
「[発明の目的]
本発明は上述の点に鑑みて為されたものであって、その主な目的とするところは、ケーブルの途中にケーブルを着脱自在に接続するジョイント器具を介装することにより、コンセントの配置変えや増設の際には、ジョイント器具の部分でケーブルの接続変更が容易に行なえるようにし、仕様変更や増設などの施工が容易に行なえ、しかも、電源線、電話線、データ信号線等の異種のケーブルを併存させても混触することなく安全に配線できるようにしたフリーアクセスフロアの配線システムを提供することにある。」
(第2頁、左上欄12行-右上欄3行)
「床パネル3には埋込型のフロアコンセント10a、ポール型コンセント10b、露出型のフロアコンセント10e、あるいは回転式のラインコンセント10fが設けられる。
ポール型コンセント10bは、床パネル3上に立設されるものであって、机の背部などに設けられる。ポール型コンセント10bとしては、第6図に示すように高さが一定のもの、および第7図に示すように上下に伸縮自在となったものがあり、それぞれ複数のコンセントユニットを備えている。すなわち、第6図(a)に示すものは床パネル3に立設された支柱25の上端部の片面に電源用のコンセントユニット26aが2個口設けられたものであり、同図(b)は支柱25の上端部の片面に電源用のコンセントユニット26aが2個口と電話用のコンセントユニット26bが2個口設けられたもの、同図(c)は支柱25の上端部の片面に電源用のコンセントユニット26aが2個口と電話用のコンセントユニット26bが1個口とアンテナターミナルである信号用コンセントユニット26cが1個口設けられていたものである。」
(第3頁、右下欄6行-第4頁、左上欄6行)
「第12図(第7図の誤記と認められる。)に示すポール型コンセント10bは支柱25の中央部に上下に伸縮自在となった蛇腹体28を備えたものであって、蛇腹体28の上方で支柱25にコンセントユニットが形成されたものである。すなわち、机の高さに合わせて支柱25を伸縮させることにより、コンセントユニットを所望の高さ位置に設定できるようにしているのである。このポール型コンセント10bの支柱25の上部には電源用コンセントユニット26aが2個口設けられている。」
(第4頁、左上欄13行-右上欄3行)
「第14図に示すように、それらのコンセント10を利用して、コンピュータや電話機等のいわゆるOA(オフィスオートメーション)機器23が接続されるのである。また、これらのOA機器23を設置した机24を配置替えするときには、床パネル3を外してケーブル4の配線を適宜変更してコンセント10の位置を変更すればよいのであり、上述したようにケーブル4の途中にケーブル4を着脱自在に接続するジョイント器具11が設けられていることによりケーブル4の配線変更が容易に行なえるものであり、OA機器23の配置変更が容易に行なえるのである。」
(第8頁、左上欄2-13行)
同じく引用された刊行物である実願昭55-82247号(実開昭57-7184号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、簡易継電器具に関する技術が記載されており、次のような記載がある。
「図面は本案器具の1例を示したもので、図において、1はコード巻取リール(図示省略)を内蔵しうるベースで、その側部にコード取出口1aが穿設されている。2はベース1に鉛直に設けられた中空の脚、3は脚2の上端に取付けられたマルチタップである。本案器具は、このようなベース1のコード取出口1aから脚2の内部を経てマルチタップ3の各コンセント差込口3aにコード4を配線したものである。
上記のような構成の本案継電器具によれば、ベース1のコード取出口1aからコード4を引出して先端のプラグを室内のコンセントに差込んでおき、使用に必要な電気器具の差込プラグを立ったままマルチタップ1のコンセント差込口3aに差込むことにより、1つの室内コンセントから同時に数多くの電気器具を使用することができ、また室内で自由に持運びができるなど、実用上甚だ便利で有用である。」
(第2頁、1-18行)
3.比較判断
引用例1のポール型コンセントは、支柱25にコンセントユニットが形成され、床パネル上に位置変更可能に載置されている。また、引用例2の簡易継電器具は、中空の脚2の上端にコンセント差込口3aが形成されたマルチタップ3が取り付けられており、室内で自由に持ち運びができるものである。
したがって、引用例1,2には、いずれにも、床上に移動可能に載置され内部に配線導入空間を形成された支持台と、この支持台に支持され得るコンセントとを具備することを特徴とする配線具の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている、ということができる。
本願発明と、引用発明とを比較すると、両者は、
床上に移動可能に載置され内部に配線導入空間を形成された支持台と、この支持台に支持され得るコンセントとを具備することを特徴とする配線具、
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点
本願発明は、コンセントが、支持台に対して位置変更可能であって所望の位置に移動させて配備可能なものであって、支持台に装着した状態で標準的な机等に付帯する天板の下面に収納できるように構成している、のに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
相違点について検討する。
コンセントを支持体に対して位置変更可能とし所望の位置に移動させて配備可能なものとすることは、周知技術であり(原査定の拒絶の理由で引用された特公昭53-27474号公報、実願昭57-170231号(実開昭59-75713号)のマイクロフィルム、特開昭62-17968号公報、特開平6-153363号公報、参照)、引用発明においてそのような周知技術を採用し、コンセントを支持台に対して位置変更可能であって所望の位置に移動させて配備可能なように設計変更することは当業者が適宜なしうることである。
また、配線具を机の天板の下面に収納できるように構成することは普通に考えられるものである。
したがって、引用発明に基づいて、上記周知技術を考慮し、相違点に係る構成のようにすることは当業者が格別の工夫を要することなくなしうることである。また、本願発明が有する効果は、引用発明や周知技術が有する効果を合わせた以上のものとはいえない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-05-09 
結審通知日 2002-05-21 
審決日 2002-06-04 
出願番号 特願平8-132445
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 立川 功  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 橋場 健治
森 竜介
発明の名称 配線具  
代理人 赤澤 一博  

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