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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1062338
審判番号 不服2000-11293  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-06-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-07-21 
確定日 2002-08-20 
事件の表示 平成10年特許願第330742号「機器ユニット着脱構造」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 6月 6日出願公開、特開2000-156568、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年11月20日の出願であって、本願の請求項1、2に係る発明は、平成12年1月7日付けと、平成12年8月10日付けで補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(以下、請求項1の発明を「本願発明」という。)。
「【請求項1】 所定の一端面側に開口部を有する板状枠体と、この板状枠体の開口部から機器ユニットを収納する収納部とを備えた装置本体に対し、前記機器ユニットを着脱自在とする機器ユニット着脱構造において、
前記機器ユニットの収納時における当該機器ユニットの前面パネルの両側に、一端部が前記板状体の装置本体内側に接すると共に他端部が前記装置本体の外部に露出する装着部材を機器ユニットの挿入方向に回動自在に装備し、
前記前面パネルにおける前記装着部材の他端部に対応する位置に所定の係止用溝を設け、
前記装着部材の他端部に、当該他端部が前記係止用溝に挿入された場合に前記前面パネルの内側に接する係止用凸部を設け、
前記機器ユニットの収納時における当該機器ユニットの前面パネルの両側に、一端部が前記板状体の装置本体外側に接すると共に他端部が前記装置本体の外部に露出する脱着部材を脱着方向に回動自在に装備し、
前記装着部材を弾性材料で構成すると共に、前記装着部材の他端部と前記脱着部材の他端部を相互に隣接して配置し、
これら装着部材と脱着部材を同軸の回動軸で前記機器ユニットに支持し、
前記脱着部材の所定位置であって前記装着部材の他端部に対応する位置に、前記機器ユニット脱着の際に当該脱着部材の回動に伴って前記係止用凸部を前記前面パネルの内側から離脱させるのに必要であって当該脱着部材の回動とは異なる方向に前記装着部材を押圧する解除用凸部を備えたことを特徴とする機器ユニット着脱構造。
【請求項2】 前記装着部材の他端部を2つの部分に分割すると共に、これら装着部材の各他端部の相互間に前記脱着部材を備え、
前記解除用凸部を前記装着部材の各他端部に対応して装備したことを特徴とする請求項1記載の機器ユニットの着脱構造。」

そして、本願発明は、特に「前面パネルにおける装着部材の他端部に対応する位置に所定の係止用溝を設け、装着部材の他端部に、当該他端部が前記係止用溝に挿入された場合に前面パネルの内側に接する係止用凸部を設け、機器ユニットの収納時における当該機器ユニットの前面パネルの両側に、一端部が板状体の装置本体外側に接すると共に他端部が装置本体の外部に露出する脱着部材を脱着方向に回動自在に装備し、装着部材を弾性材料で構成すると共に、装着部材の他端部と前記脱着部材の他端部を相互に隣接して配置し、これら装着部材と脱着部材を同軸の回動軸で前記機器ユニットに支持し、脱着部材の所定位置であって前記装着部材の他端部に対応する位置に、機器ユニット脱着の際に当該脱着部材の回動に伴って係止用凸部を前面パネルの内側から離脱させるのに必要であって当該脱着部材の回動とは異なる方向に装着部材を押圧する解除用凸部を備えた」構成(以下「構成A」という。)により、「脱着部材をロックプレートの回動操作とは逆の回動操作するだけで、装着部材と当該機器ユニットの係合が解除され、装置本体からの機器ユニットの引き出しが可能である」という作用効果を奏するものである。

2.引用刊行物及び本願発明との対比
これに対して、原査定の拒絶の理由に、左右両側に装着部材を有するという全体構造に関して引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平5-297980号公報には、「表示ユニットに係止フックと、係止部を備えた係合ピン収納溝を設け、一方本体ユニットには係止フック収納部と、前記係止フックに係合される係合突起と前記係合ピン収納溝に係合する係合ピンを備えたロックレバーと、該ロックレバーを一方向に附勢するスプリングと、前記ロックレバーとスプリングが収納される収納部を設け、前記ロックレバーの解除位置への移動で、前記係合ピンが表示ユニットの係合ピン収納溝の係合部に係止され、ロックレバーを解除位置に保持するよう構成した電子機器」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。
同じく、左右両側に装着部材を有するという全体構造に関して引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭63-141922号(実開平2-63584号)のマイクロフィルムには、「ハンドル部体に係合爪を設け、ユニットケースには該係合爪を受入れる切込部を設け、上記係合爪が該切込部に受入れられることによりハンドル体部がユニットケースから抜け出すことを防止するようにした機器ケース取付機構」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。
同じく、原査定の拒絶の理由に、着脱機構に関して引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平8-263979号公報には、「磁気ディスク装置本体側のラック部入口の縁部の内側に係合して前記印刷回路基板をラック部内に圧入するためのフック部と、前記ラック部入口の縁部の外側を押圧して、前記印刷回路基板をラック部内から抜き出すための押圧部とを備えた着脱レバーを備えた磁気ディスク装置用ディスクドライブユニット」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。
同じく、着脱機構に関して引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願平5-58031号(実開平7-29898号)のCD-ROMには、「挿抜レバーを備えた電子回路基板構造」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。

また、拒絶査定において、凹凸部により係止することの周知例として引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平7-30263号公報には、「本体とユニットを係合するロック部材と当該ロック部材に作用し、本体とユニットとを係合させる位置に維持せしめるバネ部材と、本体とユニットの係合を解除する方向へロック部材を移動させる解除ボタンとを弾性を有する樹脂材料で一体に形成された電子機器」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。
同じく引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平6-152166号公報には、「基板と、この基板を着脱すべく搭載し且つ前端下方に凹状溝を有する基台と、前記基板の前縁端に回動自在に枢支され且つ前記基台の前端面に接して回動時の支点となる突当て部ならびに前記凹状溝に係止可能な鉤部を有して可撓性のあるフックを設けてなる回動部材とを備える基板着脱具」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。
同じく引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭63-141311号(実開平2-62787号)のマイクロフィルムには、「ユニット基板着脱具本体の下部にユニット基板を左右から撓持する撓持部を備え、該撓持部の上側に左右方向の貫通穴と、下側に下側突起と凹部と上側突起とがユニットを収納する筺体の枠板部に対して斜めに列設せしめ、中央部に左右方向の貫通穴と上端部前面に上方切欠き段差と背面の中央部から上端に及ぶ溝部とを設け、略L形部材の一端にフック部を有し他端に前記切欠き段差に納まる突起と中央部に左右方向の貫通穴と中央部前面から斜め上方突出た可撓性腕とを有した係止部品が前記溝部に嵌まり着脱具本体中央部の穴と該係止部品中央部の穴とを貫通した嵌めてピンを中心に回転支持せしめたユニット基板着脱具に於いてフック部にユニット基板端部が嵌まる溝部を有したユニット基板着脱具」の発明は記載されているといえるが、この発明は上記の構成Aを備えたものではない。

また、装着部材及び脱着部材と、これらの部材の他端部とを利用して、機器ユニットの着脱を行うものとして特開平10-51165号公報があり、機器ユニットの脱着構造において、機器ユニットの収納時に装着部品の一端部を機器ユニットに係止させる周知例として特開平5-259662号公報、特開平7-135395号公報があり、二部材の協働による機器ユニットの脱着機構の周知例として実願平3-37087号(実開平5-18079号)のCD-ROM、特開平6-97681号公報がある。
上記特開平10-51165号公報には、「所定の一端面側に開口部を有する板状の端部1Aと、この板状の端部1Aの開口部からプリント基板2を収納する収納部とを備えた筺体1に対し、前記プリント基板2を着脱自在とするプリント基板2着脱構造において、前記プリント基板2の収納時における当該プリント基板2の前面に、一端部が前記板状の端部1Aの筺体1内側に接すると共に他端部が前記筺体1の外部に露出する引抜具3をプリント基板2の挿入方向に回動自在に装備し、前記プリント基板2の収納時における当該プリント基板2の前面に、一端部が前記板状の端部1Aの筺体1外側に接すると共に他端部が前記筺体1の外部に露出する引抜具4を脱着方向に回動自在に装備し、前記引抜具3の他端部と前記引抜具4の他端部を相互に隣接して配置し、これら引抜具と引抜具4を同軸の回動軸3Dで前記プリント基板2に支持し、前記引抜具3の他端部を縦溝4Aに入れて前記引抜具4に結合し、前記引抜具4と引抜具3を縦溝4Aに沿って相対移動させることにより溝4Cを端部1Aに出入させてロックを行うプリント基板2の着脱構造。」の発明が開示されているといえるが、このもののロック機構は、本願発明の上記の構成Aを備えたものではなく、それゆえ、引抜具4を縦溝4Aに沿って相対移動させる動作を行ってからでないとロックを解除することができない。そして、上記特開平10-51165号公報のものに、上記「機器ユニットの脱着構造において、機器ユニットの収納時に装着部品の一端部を機器ユニットに係止させる」周知技術、及び「二部材の協働による機器ユニットの脱着機構」の周知技術を適用しても、本願発明の上記の構成Aを得ることはできない。

本願発明は、前述したように、上記の構成Aにより、「脱着部材をロックプレートの回動操作とは逆の回動操作するだけで、装着部材と当該機器ユニットの係合が解除され、装置本体からの機器ユニットの引き出しが可能である」という特有の効果を奏するものであるから、本願の請求項1に係る発明は、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、上記の他の刊行物に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明を引用しているから、請求項2に係る発明は、請求項1に対するのと同じ理由により、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、上記の他の刊行物に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願発明を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-08-07 
出願番号 特願平10-330742
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 千葉 成就中島 成  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 尾崎 和寛
ぬで島 慎二
発明の名称 機器ユニット着脱構造  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  

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