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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B68G |
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管理番号 | 1062528 |
審判番号 | 不服2000-17370 |
総通号数 | 33 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-06-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-11-01 |
確定日 | 2002-08-07 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第328360号「ダウン充填機およびダウンの充填方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 6月 3日出願公開、特開平 9-140959]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成7年11月22日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成9年12月1日付け手続補正書、平成11年4月5日付け手続補正書及び平成12年3月6日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「内部が通気口(8A)を介して外部と連通するダウン収容部(11)になった収容ボックス(1)と、該収容ボックス(1)に設けられ、前記ダウン収容部(11)内で駆動手段により回転駆動されるダウン撹拌翼(13)と、充填するダウンの所望量を貯留すべく前記収容ボックス(1)に設けられ、該収容ボックス(1)に設けたダウン流出口(3B)を介して前記ダウン収容部(11)と連通し、前面側にダウン吹出口(22)を有するダウン小出し部(18)と、前記ダウン吹出口(22)に連通して該ダウン小出し部(18)から外側に突設された充填ノズル(26)と、該充填ノズル(26)に噴射孔(28A)を対向させた状態で前記ダウン小出し部(18)内に配置され、該充填ノズル(26)に向けて誘導エアを噴射するエア噴射管(28)とから構成してなるダウン充填機。」 2.引用刊行物記載の発明 (1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭49-26069号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、 (イ)「充填機(1)は上部より、撹拌室(2)と吹送室(3)と送風装置室(4)を重層形成してなるもので、撹拌室(2)は上部に材料投入口(5)を開設し、中央部に駆動装置(図示省略)に連結した短断回転翼(6)が附設してあり、・・・短断回転翼(6)を回動せしめることにより、・・・撹拌短断する如くなしてある。」点(第1頁右欄第7〜14行)、 (ロ)「送風装置室(4)には送風機(7)が附設され、該送風機より吹送室(3)内に送風管(8)が延設してあり、・・・開放したりする如くなしてある。」点(第1頁右欄第19行〜第2頁左欄第3行)、 (ハ)「吹送室(3)の天井面には材料送入部(11)が突設してあり、該材料送入部には撹拌室(2)より吹送室(3)に通ずる送入孔(12)が貫通せしめてあると共に、調節棒(13)を螺動することにより該調節棒で送入孔(12)を適当に開閉しうる如くなしてある。」点(第2頁左欄第4〜9行)、 (ニ)「側面には吹送口(14)を開設し、該吹送口に射出筒(15)を冠着附設し、吹送口(14)を射出筒(15)を通じて、吹送室(3)と充填機(1)外部を連通せしめていると共に、適当な間隔をおいて送風管口(16)を吹送口(14)に対向せしめている。」点(第2頁左欄第9〜13行)、 (ホ)「送風機(7)を作動し・・・適当に開放された材料送入部(11)の送入孔(12)より撹拌室(2)の空気と共に吹送室(3)内に送入され、さらに吹送室(3)内の空気の流れに乗って吹送口(14)に至り、送風管口(16)よりの送風圧で射出筒(15)先端から充填機(1)外に吹出する。」点(第2頁左欄第14行〜同頁右欄第4行)、が記載されている。 これらの記載及び図面の記載を総合すると、引用刊行物1には、 「撹拌室(2)を有する充填機(1)と、該充填機(1)に設けられ、前記撹拌室(2)内で駆動手段により回転駆動される短断回転翼(6)と、材料送入部(11)に設けた送入孔(12)を介して前記撹拌室(2)と連通し、側面に吹送口(14)を有する吹送室(3)と、前記吹送口(14)に連通して該吹送室(3)から外側に突設された射出筒(15)と、該射出筒(15)に送風管口(16)を対向させた状態で前記吹送室(3)内に配置され、該射出筒(15)に向けて空気を送風する送風管(8)とから構成してなる合繊綿の充填機」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 (2)また、上記拒絶の理由に引用した、実公平3-24159号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、 (イ)「羽毛計量充填機」(考案の名称)であって、 (ロ)「この羽毛計量充填機は計量機1と、充填機2と、制御装置3とで構成されている。」点(第2頁第3欄第35〜37行)、 (ハ)「第2図は上記計量機1の斜視図を示し、この計量機1は外箱12と、この外箱12の内側に収容される計量箱13と、この計量箱13の重量を計量する台秤15とからなっている。」点(第2頁第4欄第3〜6行)、 (ニ)「計量箱13の上部には開閉自在であって金網が貼設された扉体(図示せず)が設けられ、羽毛はこの扉体を解放させて計量箱13の上部から投入される。」点(第2頁第4欄第12〜16行)、 (ホ)「この扉21より若干下方位置であって上記計量箱13の内側には図示を省略した電動機で回転駆動されるシャフト23が横架され、このシャフト23には十字状に複数の撹拌ロッド24が固着されている。この撹拌ロッド24は羽毛の充填中に常時回転駆動され、・・・内部の羽毛は取出口17の側に向かって移動し内部に残ることなく充填できる。」点(第2頁第4欄第24〜36行)、が記載されている。 これらの記載及び図面の記載を総合すると、引用刊行物2には、 「計量機と充填機と制御装置とで構成される羽毛計量充填機において、充填材料である羽毛が投入される箱であって、その内側には複数の撹拌ロッドが固着されたシャフトが電動機で回転駆動されるように設けられた計量箱の上部に、金網が貼設された扉体が設けられている」発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 3.対比・判断 本願発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「撹拌室(2)」、「充填機(1)」、「短断回転翼(6)」、「送入孔(12)」、「側面」、「吹送口(14)」、「射出筒(15)」、「送風管口(16)」、「送風管(8)」は、その構成と機能から、本願発明の「収容部(11)」、「収容ボックス(1)」、「撹拌翼(13)」、「流出口(3B)」、「前面側」、「吹出口(22)」、「充填ノズル(26)」、「噴射孔(28A)」、「エア噴射管(28)」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の「合繊綿」と本願発明の「ダウン」は、共に「充填材料」という概念で、また、引用発明1の「吹送室(3)」と本願発明の「小出し部(18)」は、共に充填材料の「供給室」という概念で共通するものであるから、 両者は、「充填材料収容部になった収容ボックスと、該収容ボックスに設けられ、前記充填材料収容部内で駆動手段により回転駆動される充填材料撹拌翼と、前記収容ボックスに設けられ、該収容ボックスに設けた充填材料流出口を介して前記充填材料収容部と連通し、前面側に充填材料吹出口を有する充填材料供給室と、前記充填材料吹出口に連通して該充填材料供給室から外側に突設された充填ノズルと、該充填ノズルに噴射孔を対向させた状態で前記充填材料供給室内に配置され、該充填ノズルに向けて誘導エアを噴射するエア噴射管とから構成してなる充填材料充填機。」である点で一致し、以下の点で一応の相違があるものと認められる。 (A)充填材料に関し、本願発明は「ダウン」を対象としてるのに対し、引用発明1は「合繊綿」を対象としている点、すなわち、本願発明の充填機は、ダウン用としているのに対し、引例発明1のそれは、合繊綿用である点、 (B)本願発明は、充填材料収容部(ダウン収容部)は「内部が通気口を介して外部と連通」しているのに対して、引用発明1は、その点の構造が明らかではない点、 (C)充填材料供給室に関し、本願発明は、「充填する充填材料の所望量を貯留すべく」構成された「充填材料(ダウン)小出し部」としたのに対して、引用発明1は、「吹送室」が、かかる機能を有するか否か明確でない点、 そこで、上記相違点(A)〜(C)について検討する。 まず、相違点(A)についてみる。 合繊綿とダウンは、布団、枕、クッション、ぬいぐるみ、衣料等の詰め物となる柔軟な材料として、ともによく知られた充填材料であって、このような柔軟性を有する充填材料を充填する充填機において、それぞれよく知られた両者の材質を踏まえた上で、合繊綿用のものをダウン用のものに適用する程度のことは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 次に、相違点(B)についてみる。 引用発明2は、羽毛計量充填機において、充填材料である羽毛が投入される箱体であって、その内側には複数の撹拌ロッドが固着されたシャフトが電動機で回転駆動されるように設けられた計量箱の上部に、金網が貼設された扉体が設けられており、充填材料である羽毛を収容し撹拌する室(箱体)の一部を金網とし、その網目を通して外部と通気可能な状態にしている。そうしてみると、引用発明1において、充填材料が投入され回転翼によって充填材料が撹拌される撹拌室に、内部が通気口を介して外部と連通させる構成を付加することは、当業者が容易になし得ることといえる。 そして、相違点(C)についてみる。 引用発明1において、吹送室(3)は、材料送入部(11)に設けた送入孔(12)を介して前記撹拌室(2)と連通し、前面側に吹送口(14)を有しているものであって、充填作業時に、充填材料は、「適当に開放された材料送入部(11)の送入孔(12)より撹拌室(2)の空気と共に吹送室(3)内に送入され、さらに吹送室(3)内の空気の流れに乗って吹送口(14)に至り、送風管口(16)よりの送風圧で射出筒(15)先端から充填機(1)外に吹出する」(上記2.(1)(ホ)参照)ようになっているし、さらに、「調節棒(13)を螺動することにより該調節棒で送入孔(12)を適当に開閉しうる如くなしてある」(上記2.(1)(ハ)参照)こと、すなわち、撹拌室から吹送室への充填材料の送入量を調節可能としていることが示されていることも考慮すれば、上記吹送室は、撹拌室から送入された充填材料を射出筒から吹出する際に、「充填する充填材料の所望量を貯留すべく」構成されているものと解される。そうしてみると、引用発明1の「吹送室」は、本願発明における「小出し部」と称することができる。 4.むすび したがって、本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された引用刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-05-28 |
結審通知日 | 2002-06-04 |
審決日 | 2002-06-17 |
出願番号 | 特願平7-328360 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B68G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松永 謙一、阿部 寛、大河原 裕、中田 誠二郎 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
平上 悦司 千壽 哲郎 |
発明の名称 | ダウン充填機およびダウンの充填方法 |
代理人 | 清水 英雄 |
代理人 | 重信 和男 |
代理人 | 日高 一樹 |