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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C09K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09K
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C09K
審判 全部申し立て 2項  C09K
管理番号 1062722
異議申立番号 異議1999-73460  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-09 
確定日 2002-03-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2896083号「地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2896083号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I 手続の経緯
特許第2896083号の請求項1ないし4に係る発明は、平成6年6月27日(優先権主張1993年11月30日、日本国)に出願され、平成11年3月5日に特許権の設定登録がされ、その後、渡辺勉、加藤博之及び竹内清観より特許異議の申立て(以下「異議1、2及び3」という。)がされ、取消理由の通知がされ、その指定期間内である平成13年1月30日に訂正請求がされたものである。
II 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
ア 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし4を、
「【請求項1】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。
【請求項2】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3一ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項3】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分および該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4一ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項4】トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より請求項1〜3のいずれかに記載の安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。」と訂正する。
イ 訂正事項b
明細書の段落【0007】の記載を、
「【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)アルカリケイ酸塩水溶液、(B)有機ポリイソシアネート化合物および(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)後述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物に関する。また、トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より前記安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法に関する。
前述のポリオール成分(D)
(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。」と訂正する。
ウ 訂正事項c
明細書の段落【0008】の記載を、
「【作用および実施例】
本発明の地盤の安定化用注入薬液組成物(以下、注入薬液組成物という)は、前記したように、(A)アルカリケイ酸塩水溶液(以下、(A)成分という)、(B)有機ポリイソシアネート化合物(以下、(B)成分という)および(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン(以下、(C)成分という)、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)前述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるものである。」と訂正する。
エ 訂正事項d
明細書の段落【0033】の「N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、」を削除する。
オ 訂正事項e
明細書の段落【0038】の記載を、
「本発明に用いられる(D)成分であるポリオール成分としては、前記(B)成分である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに用いられるポリオール、すなわち前記(1)または(2)があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。 」と訂正する。
カ 訂正事項f
明細書の段落【0044】の「また、たとえばトンネル切羽先端の天盤部」を、「また、トンネル切羽先端の天盤部」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、訂正前の請求項1ないし4に係る注入薬液組成物の適用個所を、「トンネル切羽先端の天盤部に注入する」点に限定したものであり、かつ、訂正前の請求項2、3のポリオール成分に関して、そのただし書部分を削除すると共に、発明の詳細な説明の項に例示されているものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮ないし明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、また、訂正事項b、c、e及びfは、特許請求の範囲の訂正に伴って、発明の詳細な説明の項の該当個所の記載を特許請求の範囲の訂正と整合させたものであり、さらに、訂正事項dは、特許請求の範囲の「三級アミン」の定義に包含されない化合物を削除したものであるから、これら訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 独立特許要件の判断
(1)本件発明
訂正後の請求項1ないし4に係る発明(以下「本件発明1ないし4」という。)は、平成13年1月30日付け訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。
【請求項2】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3一ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項3】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分および該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4一ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項4】トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より請求項1〜3のいずれかに記載の安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。」
(2)引用刊行物等に記載された事項
ア 引用刊行物
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開昭50-86598号公報、異議2の甲第1号証、異議3の甲第4号証)には「有機添加剤が1〜9個の炭素原子を含み32〜400の分子量を有する両親和性・・・化合物であって、しかもこの化合物はOH基及び/または他の少なくとも1つの親水性及び/または極性の基を含むものであることを特徴とする、
a)有機好ましくは芳香族ポリイソシアネート・・・、
b)けい酸塩水溶液・・・、及び
c)有機添加剤・・・
を混合し、得られた混合物を反応させることによって、コロイド状キセロゾル形態のポリ尿素-ポリけい酸混成材料からなる、高強度で、弾性で、熱に対して寸法安定性があり、かつ耐火性の無機-有機プラスチックスを製造する方法。」(特許請求の範囲)、「触媒も本発明にかかる方法にしばしば使用される。触媒としては、例えば第3級アミン例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、・・・・、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、・・・が知られている。」(11頁右下欄13行〜12頁左上欄7行)、「ゆるんだ地帯例えば砂丘または沼地に本混合物をスプレーすることによって、その土地を固化し、それによって短時間で通行可能にし、また侵食から保護することもできる。」(15頁左下欄9〜13行)、「本発明にかかる方法は建築現場での現場発泡に適している。・・・反応混合物はくぼみ、接合部及び亀裂を満たすのに使用することもでき、この場合接合すべき物質間に強固な結合が形成される。」(16頁右下欄7〜14行)と記載されている。
同刊行物2(特開昭50-87194号公報、異議3の甲第5号証)には「有機ポリイソシナネートをアルカリ金属珪酸塩水溶液および必要に応じ他の添加剤と反応させることによって無機-有機プラスチックを製造する方法において、
(a)全混合物に基づき、20〜85重量%のアルカリ金属珪酸塩水溶液;(b)全混合物に基づき、5〜70重量%の有機イソシアネート;および
(c)全混合物に基づき、10〜75重量%の重合性および/または重縮合性ポリマープレカーサー
および必要に応じ更に・・・反応混合物が用いられることを特徴とする無機-有機プラスチックスを製造する方法。」(特許請求の範囲)、「本発明方法ではしばしば触媒が用いられる。適当な公知の触媒には、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、・・・・、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、・・・が含まれる。」(22頁右上欄7行〜左下欄2行)、「発泡性混合物はまた例えば土木および建築工事および道路建設の際に壁や小屋を建設するためにまたシール、・・・、しっくい工事、下塗り、絶縁および装飾のためにまた塗料、床張り組成物およびライニングとして用いられてもよい。」(29頁右上欄5〜9行)、「更に、グリコール、ジグリコール、・・・、ソルビトール、・・・のような水結合性物質が珪酸塩相に添加されてもよい。」(31頁左下欄5〜8行)と記載されている。
同刊行物3(特開昭50-87196号公報、異議1の甲第1号証)には「(a)有機の主として疎水性、非水溶性のプレポリマー、
(b)水溶液または水分散液、および
(c)任意的に、成分(a)または(b)を硬化させる効果のある他の化合物、並びに
(d)任意的に、他の助剤及び添加剤
を混合し、得られた系を反応させることにより、1種またはそれ以上の合成ポリマーの連続的、主として疎水性、非水溶性の有機マトリックスとそこに分散した水相とからなるキセロゾルプラスチックスを製造する方法において、該有機プレポリマー(a)が、少なくとも0.5重量%・・・の量の少なくとも1種のイソシアネートを含む生成物または混合生成物であり、そして該水溶液または水分散液(b)が、・・・を含んでいて、そして成分(b)の固形分が、90重量%・・・を越えない量までのアルカリ金属けい酸塩を含むものであることを特徴とする製造方法。」(特許請求の範囲)、「上述の主要な成分に加えて、・・・ポリオール例えばエチレングリコールまたはその縮合物、・・・を、イソシアネートに対する反応成分として使用してもよい。」(19頁右下欄下から2行〜20頁左上欄15行)、「使用される触媒は・・・例えば第3級アミン例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、・・・・、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、・・・が挙げらる。」(21頁右下欄6行〜22頁左上欄8行)、「あまりにぬかり過ぎている地帯、例えば砂丘或いは沼地を強化するためにその様な地帯に噴霧され得る。」(31頁左上欄4〜6行)、「地下および表面処理・・・、道路建設、・・・・に使用することもできる。」(31頁右上欄4〜9行)と記載されている。
同刊行物4(特開昭54-28399号公報、異議2の甲第2号証)には「a)有機ポリイソシアネート、
b)無機固形分が20〜80重量%・・・の塩基性水溶液および/または塩基性水性懸濁液、
c)少なくとも一つのイソシアネート反応性水素原子および少なくとも一つの非イオン親水基を含む有機化合物、そして
d)任意に触媒および他の添加剤
を混合し、生じた混合物を反応させることによって、コロイドキセロゾル型の重合体-ポリケイ酸ゲル複合材料よりなる高強度、弾性、熱に対して寸法安定性および難燃性の無機-有機合成材料の製法において、・・・を特徴とする方法。」(特許請求の範囲第1項)、「触媒も・・・たとえば第三級アミン、たとえばトリエチルアミン、トリブチルアミン、・・・・、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、・・・を使用しうる。」(6頁左上欄6行〜右上欄1行)、「本発明の方法の生成物は有機-無機合成材料の通常の分野において、たとえば遮音および断熱材料、建築材料そしてコンクリートおよびグラウト組成物として使用しうる。」(7頁右上欄17〜末行)と記載されている。
イ 他の異議証拠
異議1の甲第2号証(特開平4-318096号公報、異議3の甲第6号証)には「(A)ケイ酸ソーダ水溶液、および
(B)(イ)・・・ポリオキシアルキレンモノまたはポリオールと
(ロ)有機ポリイソシアネートを反応させてえられる遊離のイソシアネート基を含有する親水性ウレタンプレポリマーからなる土質または人工構造物などの安定化用注入薬液組成物。」(特許請求の範囲請求項1)、「硬化促進触媒としては・・・とくに3級アルキルアミンや環状アミンが好ましく」(4頁5欄34〜36行)と記載されている。
異議2の甲第3号証(特開平4-283290号公報、異議3の甲第2号証)には「(A)ケイ酸ソーダ水溶液、および
(B)(イ)ポリイソシアネートと
(ロ)(イ)成分とは反応しないが(A)成分によりアルカリ加水分解され、その分解生成物が(A)成分および/または(イ)成分と反応するエステルまたはエーテルである反応性希釈剤からなるポリイソシアネート組成物からなる土質または人工構造物などの安定化用注入薬液組成物。」(特許請求の範囲請求項1)が記載されている。
異議2の甲第4号証(マグローヒル科学技術用語大辞典、昭和54年3月20日、株式会社日刊工業新聞社、349頁)には、「グラウト」の意味が記載されている。
異議3の甲第3号証(化学大辞典、1989年10月20日、株式会社東京化学同人、784、785頁)には、「高分子」の意味が記載されている。
異議3の甲第7号証(特開昭55-160079号公報)には「水ガラス溶液とポリイソシアネートをよく混合し、得られたエマルジョンを団結化を要する対象物内で硬化させることを特徴とする・・・岩石・土砂層等を団結化乃至封止する方法。」(特許請求の範囲第1項)が記載されている。
異議3の甲第8号証(KAGAKU no ZITEN、1982年4月20日、株式会社岩波書店、31頁)には、「高分子」の意味が記載されている。
(3)対比・判断
ア 特許法第29条第1項第3号について
本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1には、1〜9個の炭素原子を含み32〜400の分子量を有する、OH基等を含有する両親和性の有機添加剤の存在下、有機ポリイソシアネート及びけい酸塩水溶液を混合し、反応させることによる無機-有機プラスチックスの製造方法が記載され、その用途として、ゆるんだ地帯に本混合物をスプレーすることによって、その土地を固化し、それによって短時間で通行可能にし、または侵食から保護することができると記載され、また、該有機添加剤として、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、カルボン酸等各種化合物が例示され、さらに、触媒として、第3級アミンを添加してもよいと記載され、そして、刊行物1記載の「けい酸塩水溶液」は、本件発明1の「アルカリケイ酸塩水溶液」に相当するから、両者は、アルカリケイ酸塩水溶液、有機ポリイソシアネート化合物、第三級アミン及び希釈剤からなる地盤の安定化用注入薬液組成物である点で一致し、(a)本件発明1が触媒として、分子量が120 以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミン又は水溶性脂環族三級アミン(以下「特定三級アミン」という。)を使用するのに対し、刊行物1記載の発明は触媒として、各種アミンが例示されているのみで、この各種アミンの中から特に上記特定三級アミンを使用することについて明記していない点、(b)本件発明1が有機ポリイソシアネート化合物成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、アルカリケイ酸塩水溶液成分と混合接触した場合に反応する反応性希釈剤(以下「特定反応性希釈剤」という。)を使用するのに対し、刊行物1記載の発明は各種希釈剤が例示されているのみで、この希釈剤の中から特に上記特定反応性希釈剤を使用することについて明記されていない点、(c)本件発明1が安定化用注入薬液組成物の適用個所としてトンネル切羽先端の天盤部(以下「特定個所」という。)に注入するものであるのに対し、刊行物1記載の発明は上記特定個所に適用することについて明記されていない点で相違している。
また、本件発明1と刊行物4に記載された発明とを対比する。
刊行物4には、有機イソシアネート、塩基性水溶液、少なくとも一つのイソシアネート反応性水素原子及び少なくとも一つの非イオン親水基を含む有機化合物を混合し、生じた混合物を反応させることによる無機-有機合成材料の製法が記載され、触媒として、第三級アミンが使用され、該無機-有機合成材料はコンクリート、グラウト組成物として使用できることが記載されているが、本件発明1と刊行物4記載の発明とは、刊行物1記載の発明との対比で検討したのと同様に、(a)、(b)及び(c)に係る相違点を有している。
したがって、本件発明1は、刊行物1又は4に記載の発明とは、その発明の構成において相違しているから、刊行物1又は4に記載された発明であるとはいえない。
また、本件発明2ないし4と刊行物1、2、3又は4に記載された発明とを対比すると、刊行物1、2、3又は4には、いずれも、無機-有機プラスチックスの製造方法が記載されているものの、触媒として、上記特定三級アミンを使用すること、及び上記特定個所に無機-有機プラスチックスを適用することについて記載されていない。
したがって、本件発明2ないし4は、刊行物1、2、3又は4に記載の発明とは、その発明の構成において相違しているから、刊行物1、2、3又は4に記載された発明であるとはいえない。
イ 特許法第29条第2項について
本件発明1と刊行物1記載の発明との、上記相違点について検討する。
先ず、本件発明1の上記相違点に係る技術的意義について検討すると、平成13年1月30日付け訂正明細書によれば、本件明細書には「本発明は、前記従来技術に着目してなされたもので、特定成分よりなる安全性の高い注入薬液組成物を注入し、従来形成させることが困難であった発泡状の無機-有機複合固結体を形成させることにより、固結強度が大きく、安全性、安定強化効果、耐久性、注入作業性および経済性にすぐれた」(段落【0006】)、「(B)成分の希釈剤として、(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(B)成分の貯蔵安定性や減粘性にすぐれ、一方、(A)成分と混合接触したばあいには、前記のごとくただちに反応して硬化し、環境への影響が小さい反応性希釈剤を配合することが好ましい。」(段落【0021】)、「前記反応性希釈剤は、(B)成分を希釈して注入時の粘度を低下させる働きを有するともに、・・・該(A)成分と(B)成分との硬化反応に積極的に関与し、より強い・・・無機-有機複合固結体を形成せしめ、かつ反応固結時の発泡性を向上させることができるエステルやエーテルであることが好ましい。」(段落【0022】)、「本発明に用いられる(C)成分の・・・三級アミンは、・・・反応硬化を促進するための触媒としても作用するものであり、該(C)成分は、(A)成分との相溶性が良好で、皮膚や衣服に付着しても水洗によって容易に除去させ、しかも引火点が比較的高いことから、かかる(C)成分が配合された注入薬液組成物は、パイプの熔断などの施行時に用いられる火源に対する安全性も高い。」(段落【0032】)、「本発明の安定強化止水工法では、粘性が低い注入薬液組成物が用いられるため、不安定地盤、クラックおよび破砕帯などへの浸透性がよく、広範囲にわたって不安定地盤や地盤などの安定化や止水を図ることができる。(段落【0046】)、「表1に示された結果から、製造例1〜3でえられた注入薬液組成物は、固結時の臭気の発生がまったくなく、えられた固結体は、発泡倍率が高く、均一性にすぐれたものであることがわかる。」(段落【0062】)、「また(C)成分は臭気が小さく、反応熱によって蒸気化して空気を汚染することがない。」(段落【0084】)と記載されている。
以上の記載によれば、本件発明1は、触媒成分等の特定成分からなる注入薬液組成物を使用することにより、固結時の臭気の発生がなく、得られた無機-有機複合固結体は、発泡倍率が高く、均一性に優れたものであり、トンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用として優れたものであることが認められる。
一方、刊行物2、3又は4には、上記したように、無機-有機プラスチックスの製造方法が記載されているものの、触媒として、上記特定三級アミンを使用すること、及び上記特定個所に無機-有機プラスチックスを使用することについて記載も示唆もされていない。
また、異議1の甲第2号証には、ケイ酸ソーダ水溶液と、オキシエチレン鎖含有の親水性ウレタンプレポリマーとからなる安定化用注入薬液組成物が記載され、異議2の甲第3号証には、ケイ酸ソーダ水溶液と、ポリイソシアネートと反応性希釈剤からなるポリイソシアネート組成物とからなる安定化用注入薬液組成物が記載され、さらに、異議3の甲第7号証には、水ガラス溶液とポリイソシアネートをよく混合し、得られたエマルジョンを団結化を要する対象物内で硬化させる岩石・土砂層等を団結化乃至封止する方法が記載されているが、これら証拠には、いずれも、触媒として、上記特定三級アミンを使用することについて記載も示唆もされていない。
そうすると、本件発明1は、刊行物1記載の発明に、刊行物2、3又は4
に記載の発明並びに異議1の甲第2号証、異議2の甲第3号証及び異議3の甲第7号証に記載の発明を併せ考えても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして、本件発明1は、上記した明細書記載の顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は刊行物1ないし4に記載された発明並びに異議1の甲第2号証、異議2の甲第3号証及び異議3の甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2ないし4は、本件発明1の構成を引用する安定化用注入薬液組成物又は安定強化止水工法に係る発明であるから、上記と同様な理由により、刊行物1ないし4に記載された発明並びに異議1の甲第2号証、異議2の甲第3号証及び異議3の甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
さらに、異議2の甲第4号証及び異議3の甲第3、8号証の記載を検討しても上記判断が左右されるものではない。
ウ 特許法第36条について
本件明細書の記載及び平成13年1月30日付け特許異議意見書に添付された、第一工業製薬株式会社鮫沢博が作成した平成13年1月19日付け「実験成績証明書」(参考資料1)を考慮すると、反応性希釈剤の使用、不使用にかかわらず、両者とも同等の効果を奏するものであると認められ、また、明細書の段落【0033】において例示されている、分子量120以下である「N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン」は削除されたので、異議申立人の指摘する記載不備は解消された。
エ 平成6年法律第116号による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する第17条第2項について
平成10年10月23日付け手続補正書による補正のうち、その発明の詳細な説明の項、及び請求項2、3における「ポリオール成分」を、「ポリオール成分(ただし、高分子である重量平均分子量1000を超えるポリビニルアルコールおよびポリエチレンオキサイドは除く)」とする補正について、そのただし書部分は、訂正の結果、削除されたので、本件発明の特許が特許法第17条の2第2項において準用する第17条第2項の規定に違反しているとはいえない。
よって、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III 特許異議の申立てについての判断
1 異議1について
異議申立人は、訂正前の請求項2に係る発明は甲第1号証(特開昭50-87196号公報)に記載された発明であり、訂正前の請求項4に係る発明は甲第1号証及び甲第2号証(特開平4-318096号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであり、また、訂正前の請求項2及び4に係る発明において、反応性希釈剤を使用しない場合の効果の実証がされておらず、明細書に記載不備があるから、訂正前の請求項2及び4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項、第2項、又は第36条第4項、第5項の規定に違反してされたものであると主張する。
2 異議2について
異議申立人は、訂正前の請求項1ないし3に係る発明は甲第1号証(特開昭50-86598号公報)、又は甲第2号証(特開昭54-28399号公報)に記載された発明であり、また、訂正前の請求項1ないし4に係る発明は甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証(特開平4-283290号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであるから、訂正前の請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであると主張している。
3 異議3について
異議申立人は、平成10年10月23日付け手続補正書による補正のうち、訂正前の請求項2、3に加えられた「ポリオール成分(ただし、高分子材料である重量平均分子量10000を越えるポリビニルアルコールおよびポリエチレンオキサイドは除く)」とする補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、また、訂正前の請求項1、2及び4に係る発明は、甲第4号証(特開昭50-86598号公報)又は甲第5号証(特開昭50-87194号公報)に記載された発明であり、さらに、訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、甲第2号証(特開平4-283290号公報)、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証(特開平4-318096号公報)及び甲第7号証(特開昭55-160079号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、訂正前の請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項、第2項又は第17条の2第3項(これは、平成6年法律第116号による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する第17条第2項の誤りである。)の規定に違反してされたものであると主張している。
2 判断
異議申立人の主張がいずれも採用できないことは、上記II3から明らかである。
3 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。
【請求項2】 (A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項3】 (A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分および該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項4】 トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より請求項1〜3のいずれかに記載の安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれ用いた安定強化止水工法に関する。さらに詳しくは、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化ないし封止、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水や空隙充填工法ならびにそれに用いる安全性の高い安定化用注入薬液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不安定岩盤や地盤の安定強化法の1つとして無機ないし有機系グラウトの注入が行なわれ、ある程度の効果をあげている。
【0003】
しかしながら、これらの方法を詳細にチェックすると、必ずしも満足しうる結果がえられていない。たとえば、一般に多用されているセメントミルクは懸濁液であるため、岩盤のクラックや砂礫などの地盤層への浸透性がわるく、しかも固結速度や強度発現が遅いため、短時間に固結して強度が発現することが要求されるトンネルや地下地盤掘削時の不安定地盤を早期に安定強化させる目的が達成しえない。さらに、湧水や漏水のみられるばあいには、なおさら注入セメントミルクが希釈、流失してしまう。また代表的な無機系グラウトである水ガラス系2液システムグラウトについても固結体強度が3〜10kg/cm2程度と低く、さらに固結体が水と接触すると経時変化が起こり、Na2OやSiO2などの主成分が溶脱し、アルカリ汚染や大幅な強度低下にいたるという問題がある。
【0004】
一方、尿素系などの有機系グラウトについても固結強度不足や、硫酸、ホルマリンなどの硬化成分や助剤成分の溶出が発生するという問題がある。また、特公昭63-63687号公報、同63-63688号公報、同63-63688号公報、特開昭63-7413号公報、同63-7490号公報、同63-7491号公報、同63-8477号公報、同63-35913号公報などには、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする速硬性硬質発泡ウレタンシステム注入による岩盤の固結工法が記載されているが、これらの工法によれば、固結効果は期待しうるものの、その原料がきわめて高価なうえ可燃性を呈するものであるので、経済性や安全性の面で改善が要求されている。
【0005】
さらに特開昭61‐9482号公報および同55‐160079号公報には、ポリイソシアネートと水ガラス(ケイ酸ソーダ水溶液)とを用い、水ガラス側にポリイソシアネートの三量化触媒として特定の芳香族三級アミンであるマンニッヒ塩基を配合してなる注入薬液組成物が記載されている。しかしながら、この組成物には、マンニッヒ塩基とポリイソシアネートや水ガラスとの相溶性がわるいことから、これらを混合するとただちに分離してしまうという欠点があり、かかる欠点を解消せんとするならば、これらの相溶性を高めるためにシリコーンポリオールなどの高価な薬剤が必要となり、コストが上昇するという問題がある。さらに、マンニッヒ塩基を用いると反応熱によるホルマリンの発生がみられ、現場作業者の健康上望ましくなく、また地下水や河川へフェノール誘導体が混入することは望ましくない。また、前記特定のマンニッヒ塩基のなかでも非水溶性でかついちじるしく皮膚をおかす性質を有するものが用いられた注入薬液組成物が皮膚や衣服に付着したばあいには、水洗で完全に除去することができずに残留しやすいので、かかる注入薬液組成物は安全性の面で大きな問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に着目してなされたもので、特定成分よりなる安全性の高い注入薬液組成物を注入し、従来形成させることが困難であった発泡状の無機-有機複合固結体を形成させることにより、固結強度が大きく、安全性、安定強化効果、耐久性、注入作業性および経済性にすぐれたトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤の安定強化ないしは止水を可能ならしめることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)アルカリケイ酸塩水溶液、(B)有機ポリイソシアネート化合物および(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)後述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物に関する。また、トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より前記安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法に関する。
前述のポリオール成分(D)
(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【0008】
【作用および実施例】
本発明の地盤の安定化用注入薬液組成物(以下、注入薬液組成物という)は、前記したように、(A)アルカリケイ酸塩水溶液(以下、(A)成分という)、(B)有機ポリイソシアネート化合物(以下、(B)成分という)および(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン(以下、(C)成分という)、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)前述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるものである。
【0009】
本発明の注入薬液組成物の固結反応は、きわめて複雑であるため明確ではないが、おそらく(A)成分と(B)成分とを混合したときに、(A)成分中のシラノール基と(B)成分中のイソシアネート基とが反応して無水ケイ酸-ウレタン複合体が形成され、同時に(B)成分が水と反応して炭酸ガスを発生しながら尿素結合による多量体や無水ケイ酸-尿素架橋複合体を形成し、副生した炭酸ガスの一部は(A)成分中に溶解し、(A)成分中のアルカリケイ酸塩をゲル化させて無水ケイ酸ゲルを形成することに基づくものと推定される。さらに、(D)ポリオール成分(以下、(D)成分という)が存在するばあいには、(D)成分中の水酸基と(B)成分とが反応してウレタン樹脂が形成されることにも基づくものと推定される。
【0010】
また、(B)成分と水との反応によって発生する炭酸ガスならびに(A)成分と(B)成分との反応時または(A)成分および(D)成分と(B)成分との反応時に発生する反応熱によって蒸発する水蒸気により、前記無水ケイ酸-ウレタン複合体は、発泡状の固結体を形成し、その体積を増大させる。このとき、発泡が生じるが、かかる発泡時の発泡圧により、前記無水ケイ酸-ウレタン複合体が土砂、岩石などの間隙に入り込みやすくなる。
【0011】
以下、本発明の注入薬液組成物について述べる。
【0012】
本発明に用いられる(A)成分であるアルカリケイ酸塩水溶液は、前記したように、主としてそのシラノール基と後述する(B)成分のイソシアネート基との反応によって無水ケイ酸-ウレタン複合体を形成させる成分である。
【0013】
前記(A)成分としては、たとえばケイ酸カリウムや式:Na2O・xSiO2で表わされるケイ酸ソーダなどの水溶液を主成分とするものがあげられ、かかるケイ酸ソーダは、たとえばNa2OとSiO2とのモル比が2:1〜1:4程度(前記式において、xが0.5〜4)のものなどである。
【0014】
また、前記(A)成分の固形分濃度は、通常10重量%以上、なかんづく20重量%以上、また70重量%以下、なかんづく40重量%以下となるように調整することが好ましい。
【0015】
本発明に用いられる(B)成分である有機ポリイソシアネート化合物は、前記(A)成分と(C)成分または(A)成分、(C)成分および必要に応じて後述する(D)成分を均一に分散し、乳化させて反応を均一にせしめる成分である。
【0016】
前記(B)成分としては、たとえばジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、液状ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチレンキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネートの単独または2種以上の混合物や、前記ポリイソシアネートに触媒を加え、二量体または三量体としたものなどがあげられる。
【0017】
また前記のほかにも、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコールなどのモノオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオールやグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール:そのほかモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖などの単独もしくは混合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどのアルキレンオキシドの単独もしくは併用を、公知の方法で付加重合させてえられるモノオールまたはポリオールと、前記ポリイソシアネートとを、たとえばNCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)の値が1.5以上、好ましくは2.0以上、また100以下、好ましくは50以下となるように公知の方法で反応させてえられる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーも、前記(B)成分として好適に用いることができる。
【0018】
これらの(B)成分のなかでも固結強度、安全衛生面および経済性の点から、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどが好ましく、いわゆる取扱い環境温度下での揮発性がきわめて小さく、液状でしかも固結強度、経済性の伴った構成のものが好ましい。
【0019】
前記(B)成分の配合量は、(A)成分中のたとえばNa2OとSiO2とのモル比などによって異なるので一概には決定することができないが、かかる(B)成分の配合量があまりにも多いばあいには、注入薬液組成物のコストが高くなって不経済となるうえ、比例式注入ポンプでの配合比のコントロールがきわめて困難となる傾向があるので、通常(A)成分と(B)成分との配合割合((A)成分/(B)成分)が重量比で10/100以上、なかんづく20/100以上となるように調整することが好ましく、また(B)成分の配合量があまりにも少ないばあいには、注入薬液組成物の固化が不充分で未硬化状となり、たとえ硬化したとしても硬度が低く、脆くて実用に供しえなくなる傾向があるので、該(A)成分と(B)成分との配合割合が重量比で100/10以下、なかんづく100/20以下となるように調整することが好ましい。
【0020】
前記(B)成分は、(A)成分との反応性や固結性にすぐれているが、粘度が比較的高いことから岩盤や地盤への浸透性が充分ではないため、従来では流動性や浸透性を向上させるためにトルエンやキシレン、1,1,1-トリクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタンなどの有機溶剤が希釈剤として用いられている。しかしながら、これらの有機溶剤は揮発性であり、固結後放出されて環境を損うことがあるため、できるだけ使用しないほうが好ましい。
【0021】
そこで(B)成分の希釈剤として、(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(B)成分の貯蔵安定性や減粘性にすぐれ、一方、(A)成分と混合接触したばあいには、前記のごとくただちに反応して硬化し、環境への影響が小さい反応性希釈剤を配合することが好ましい。
【0022】
前記反応性希釈剤は、(B)成分を希釈して注入時の粘度を低下させる働きを有するとともに、(A)成分と接触することによってアルカリ加水分解を受け、(A)成分および/または(B)成分と反応して該(A)成分と(B)成分との硬化反応に積極的に関与し、より強い無水ケイ酸-ウレタン複合体や無水ケイ酸-尿素架橋複合体、網状の無水ケイ酸ゲルを主体とする無機-有機複合固結体を形成せしめ、かつ反応固結時の発泡性を向上させることができるエステルやエーテルであることが好ましい。
【0023】
前記反応性希釈剤の代表例としては、たとえば低分子量二塩基酸のジエステル類、1価または多価アルコール類の酢酸エステル類、アルキレンカーボネート類、エーテル類、環状エステル類、酸無水物、(メタ)アクリル酸エステルなどがあげられる。
【0024】
低分子量二塩基酸のジエステル類としては、たとえばグルタール酸、コハク酸、アジピン酸、マロン酸、シュウ酸、ピメリン酸などのジメチルエステル、ジエチルエステルなどのジアルキルエステルなどがあげられる。
【0025】
1価または多価アルコール類の酢酸エステル類としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグリコールエーテル類のアセテート;3-メトキシブチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブチルアルコールなどのアルコキシアルキルアルコール類のアセテート;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類のジアセテートなどがあげられる。
【0026】
アルキレンカーボネート類としては、たとえばプロピレンカーボネート、各種希釈剤に溶解した液状エチレンカーボネートなどがあげられる。
【0027】
エーテル類としては、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサン、脱水ヒマシ油などの環状エーテルなどがあげられる。
【0028】
環状エステル類としては、たとえばγ-ブチルラクトンなどのラクトン類;ε-カプロラクタムなどのラクタム類などがあげられる。
【0029】
酸無水物としては、たとえば無水プロピオン酸、無水酪酸、無水マレイン酸などがあげられる。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ブチルなどのアルキルエステル、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量が100〜1000程度のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、重量平均分子量が100〜1000程度のポリプロピレングリコール、重量平均分子量が100〜5000程度のエチレンオキシドやプロピレンオキシド共重合ジオールまたはトリオールなどのアルコール類との(メタ)アクリル酸エステルなどがあげられる。
【0031】
反応性希釈剤の配合量は、あまりにも少ないばあいには、(B)成分に対する減粘効果や固結強度向上効果が充分に発現されにくくなる傾向があるので、(B)成分100部(重量部、以下同様)に対して5部以上、なかんづく10部以上であることが好ましく、またあまりにも多いばあいには、逆に固結体強度が低下するようになる傾向があるので、(B)成分100部に対して100部以下、なかんづく50部以下であることが好ましく、かかる範囲内で(B)成分の種類や粘度、使用目的などによって適宜選定することが好ましい。
【0032】
本発明に用いられる(C)成分の分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンは、前記(A)成分、(B)成分および必要に応じて用いられる後述する(D)成分の反応硬化を促進するための触媒としても作用するものであり、該(C)成分は、(A)成分との相溶性が良好で、皮膚や衣服に付着しても水洗によって容易に除去され、しかも引火点が比較的高いことから、かかる(C)成分が配合された注入薬液組成物は、パイプの熔断などの施行時に用いられる火源に対する安全性も高い。
【0033】
前記(C)成分としては、たとえばN,N,N´,N´-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N´,N´-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N´,N´,N´´-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N´,N´´-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルイミダゾール、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリプロピレンテトラミン、N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N-メチル-N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミンなどの芳香環を有しない水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンであり、その分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上のものがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
なお、前記(C)成分である水溶性三級アミンの分子量がトリエチレンジアミンやN-ジメチルエタノールアミンなどのように120未満であるばあいには、反応固結時の反応熱によって空気中に飛散しやすくなり、臭気が大きく、安全性に劣るようになる。またかかる(C)成分である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンの分子量は120〜260であることが好ましい。
【0035】
また、前記(C)成分である水溶性三級アミンのチッ素原子数は、あまりにも多いばあいには、粘度が高くなり、使用することができなくなる傾向があるので、通常5以下であることが好ましい。
【0036】
前記(C)成分の配合量は、あまりにも少ないばあいには、硬化しにくく固結反応が不充分で、目的とした性能の固結体がえられにくくなる傾向があるので、前記(B)成分100部に対して0.1部以上、なかんづく0.5部以上であることが好ましく、またあまりにも多いばあいには、硬化反応が速すぎて前記(A)成分、(B)成分および後述する必要に応じて用いられる(D)成分が均一に混合されにくくなる傾向があるので、該(B)成分100部に対して20部以下、なかんづく15部以下であることが好ましい。。
【0037】
また、本発明の注入薬液組成物には、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分のほかに(D)成分であるポリオール成分を配合することができる。
【0038】
本発明に用いられる(D)成分であるポリオール成分としては、前記(B)成分である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに用いられるポリオール、すなわち前記(1)または(2)があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
前記(D)成分の配合量は、用いる(B)成分の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、かかる(D)成分の配合量があまりにも多いばあいには、注入薬液組成物からえられる固結体が柔かくなりすぎて実用に供しにくくなる傾向があるので、通常(B)成分と(D)成分との配合割合が、(B)成分中のNCO基と(D)成分中のOH基との当量比(NCO基/OH基)の値で0.5以上、なかんづく1以上となるように調整することが好ましく、また(D)成分の配合量があまりにも少ないばあいには、固結体が脆くなる傾向があるので、該(B)成分と(D)成分との配合割合が、(B)成分中のNCO基と(D)成分中のOH基との当量比の値で500以下、なかんづく120以下となるように調整することが好ましい。
【0040】
さらに本発明の注入薬液組成物には、必要に応じて、たとえばセメント、高炉スラグ、石こう、炭酸カルシウム、粘土、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、生石灰、消石灰、ベントナイトなどの無機充填剤や、各種界面活性剤、希釈剤、レベリング剤、難燃剤、シリコーン系整泡剤、老化防止剤、耐熱性付与剤、抗酸化剤、触媒などを適宜配合量を調整して配合することができる。
【0041】
本発明の注入薬液組成物を調整する際の前記(A)成分、(B)成分および(C)成分、ならびに必要に応じて用いられる(D)成分の混合順序にはとくに限定がないが、たとえば(A)成分、(C)成分および(D)成分をあらかじめ混合したのち、これらと(B)成分とを混合するばあいは、(A)成分、(C)成分および(D)成分の混合物と(B)成分との二成分系として用いることができる。
【0042】
本発明における特殊な注入薬液である(A)成分、(B)成分および(C)成分、ならびに必要に応じて(D)成分からなる注入薬液組成物は、空隙やクラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕帯層などに注入され、固結ないし封止されるが、このように注入して固結ないし封止する方法についてはとくに限定がなく、公知の方法を採用することができる。その一例をあげれば、たとえば(A)成分、(B)成分および(C)成分、ならびに(D)成分の注入量、圧力、配合比などをコントロールしうる比例配合式ポンプを用い、(A)成分および(C)成分、ならびに(D)成分の混合物と(B)成分とを別々のタンクに入れ、岩盤などの所定箇所(たとえば0.5〜3m程度の間隔で穿設された複数個数の孔)に、あらかじめ固定されたスタチックミキサーや逆止弁などを内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前記タンク内の各成分を注入圧0.5〜50kg/cm2・G程度で注入し、スタチックミキサーを通して所定量の前記混合物と(B)成分とを均一に混合させ、所定の不安定岩盤ないし地盤箇所に注入浸透、硬化させて固結ないし封止し、安定化させる方法などがある。
【0043】
なお、本発明において、封止とは、空洞や空隙に注入薬液組成物を充填し、間隙を埋めることをいう。
【0044】
また、トンネル切羽先端の天盤部に注入するばあいには、注入に先立ち、たとえば約1mの所定の間隔でたとえば約42mmφビットでジャンボ機を用いて削孔し、深さ約2m、削孔角度約10〜25°の注入孔を設け、この注入孔にスタチックミキサーを内挿した長さ約3mの中空炭素鋼管製注入ボルトを挿入し、注入薬液組成物を前記した方法で注入することが好ましい。注入作業は、注入圧が急激な上昇した時点で終了する。一般に、注入孔1個あたり薬液量は30〜200kg程度であることが好ましい。
【0045】
【0046】
本発明の安定強化止水工法では、粘性が低い注入薬液組成物が用いられているため、不安定地盤、クラックおよび破砕帯などへの浸透性がよく、広範囲にわたって不安定岩盤や地盤などの安定化や止水を図ることができる。また、形成された硬化固結物は、高強度で耐久性を有し、岩盤などへの付着、密着性にすぐれ、かつ難燃性を呈し、しかも経済的なものであるので、実用上きわめて有利である。
【0047】
つぎに本発明の地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法を製造例および実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる製造例および実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
製造例1〜3および比較製造例1〜2
表1に示す配合割合で成分Aと成分Bとをそれぞれ別々に調製したのち、成分Aに成分Bを撹拌下で添加して混合し、注入薬液組成物をえた。
【0049】
なお、成分Aの安定性および水溶性、ゲルタイム、固結時の臭気、ならびにえられた固結体の発泡倍率および均一性を以下の方法にしたがって調べた。これらの結果を表1に示す。また総合評価は、発泡倍率が2倍以上であり、かつそのほかの物性の評価がすべて○であるばあいを○、それ以外のばあいを×と評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0050】
(イ)成分Aの安定性
(A)成分および(C)成分、ならびに(D)成分を混合撹拌して5分間以上均一な状態が保持されたばあいを○、5分間未満で分離するかまたはゲル化物を生じたばあいを×と評価した。
【0051】
(ロ)成分Aの水溶性
成分Aに等量の水を混合して白濁状または透明の溶液としたものが、20℃で液分離を起こさなかったばあいを○、液分離を起こしたばあいを×と評価した。
【0052】
(ハ)ゲルタイム
20℃における成分Aと成分Bとの混合時からのゲル化するまでの時間(秒)を測定した。
【0053】
(ニ)固結時の臭気
固結時の水蒸気の発生とともにアミン臭がしなかったばあいを○、アミン臭がしたばあいを×と評価した。
【0054】
(ホ)固結体の発泡倍率
固結体の容積を成分Aおよび成分Bの合計容量で除して求めた。
【0055】
(ヘ)固結体の均一性
固結体が均一で破壊されにくければ○、不均一で脆ければ×と評価した。
【0056】
なお、(A)成分には、ケイ酸ソーダ水溶液を用い、(C)成分および(D)成分は(A)成分へ添加混合した。
【0057】
(B)成分には、反応性希釈剤を添加して混合したものを用いた。
【0058】
表1中の当量比の値は、(B)成分中のNCO基と(D)成分中のOH基との当量比の値である。
【0059】
また、表1中の各略号はつぎのことを意味する。
【0060】
((B)成分)
C-MDI
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)
PEG-5000MDI
ポリオキシエチレングリコール(重量平均分子量5000)150部に対してC-MDIを850部反応させた末端NCO基含有ウレタンプレポリマー
PEG-2000MDI
ポリオキシエチレングリコール(重量平均分子量2000)100部に対してC-MDIを900部反応させた末端NCO基含有ウレタンプレポリマー
GPE-3000MDI-L
プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合比が50/50(重量比)の混合アルキレンオキシドをグリセリンに付加重合してえられるトリオール(重量平均分子量3000)100部に対して液状ジフェニルメタンジイソシアネートを900部反応させた末端NCO基含有ウレタンプレポリマー
(反応性希釈剤)
EGDA
エチレングリコールジアセテート
EC/POC
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合比が25/75(重量比)の混合物
MMB-AC
3-メチル-3-メトキシブチルアセテート
((C)成分)
(C)-1
トリメチルアミノエチルピペラジン(分子量171)
(C)-2
N,N,N´,N´,N´´-ペンタメチルジエチレントリアミン(分子量173)
(C)-3
N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン(分子量158)
(C)-4
2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(芳香族マンニッヒ塩基、分子量265)
(C)-5
トリエチルアミン(分子量101)
((D)成分)
(D)-1
エチレングリコール
(D)-2
トリメチロールプロパン
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示された結果から、製造例1〜3でえられた注入薬液組成物は、固結時の臭気の発生がまったくなく、えられた固結体は、発泡倍率が高く、均一性にすぐれたものであることがわかる。
【0063】
実施例1
破砕帯を有するトンネル切羽先端の天盤部にトンネルアーチの中心から左右に60°、合計120°の扇状範囲内で、ジャンボ機で42mmφビットにより1m間隔で削孔角度15°(トンネル掘削方向に対しての角度)で10個削孔し、えられた孔内に炭素鋼製(JIS G 3445、STKM 17C)の注入ボルト(外形27.2mm、内系15mm、長さ3m、静止ミキサーおよび逆止弁内装)を挿入し、口元部分約30cmを2液硬質発泡ウレタン樹脂を含浸させたメリヤス製ウエスを鉄棒で押し込みシールした。
【0064】
表1における製造例3の注入薬液組成物の成分A20.5kgを薬液タンクAへ、成分B20kgを薬液タンクBへそれぞれ入れ、成分A、成分B各々につき約1〜2分間ポンプ循環を行なった。
【0065】
つぎに成分Aおよび成分Bの各吐出ホース先端をT字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔のボルトにジョイントし、注入圧1〜40kg/cm2・G、注入スピード5〜12kg/分で1孔あたり約50〜180kgをスムーズに注入することができた。
【0066】
薬液を注入してから約120分間後に、掘進により地山の改良状態を調査したところ、固結範囲は半径50cmの半球状であり、固結安定化していた。
【0067】
注入固結部分をサンプラーで5cmφ×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定すると250kg/cm2であった。なお、未改良部は破砕帯のためサンプリングが不可能であった。この結果、本発明の注入薬液組成物は、その有効性が充分に証明され、固結安定化層が形成されることが判明した。
【0068】
実施例2
不安定なトンネル切羽先端の天盤部(大きな空隙を有する花崗岩破砕帯)の空隙充填および安定化を図るために、表1における製造例1の薬液注入による安定化を行なった。施工方法は以下のようにして行なった。
【0069】
すなわち、トンネル切羽先端の天盤部にトンネルアーチの中心から左右に60°、合計120°の扇状範囲内で、ジャンボ機で42mmφビットにより80cm間隔で深さ3mの注入孔を10個削孔した。削孔角度は20°であった。えられた孔内に実施例1と同様の炭素鋼製(JIS G 3455、STKM 17C)の注入ボルトを挿入し、口元部を実施例1と同様にしてシールした。なお、各注入孔のボルトは、掘削方向に対して左60°の位置のものから右60°の位置のものへ向かってNo.1〜10とした。
【0070】
表1における製造例1の注入薬液組成物の成分A40kgを薬液タンクAへ、成分B40kgを薬液タンクBへそれぞれ入れた。
【0071】
つぎに成分Aおよび成分Bの各吐出ホース先端をT字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔のボルト(No.1〜5)にジョイントし、No.1、3、5、2、4の順で注入圧1〜10kg/cm2・G、注入スピード5〜12kg/分で1孔あたり約120kg、No.1〜5で合計600kg注入した。なお、比較のために、注入孔のボルトNo.6〜10については比較製造例1の注入薬液組成物を用い、No.6、8、10、7、9の順で同様にして合計600kg注入した。
【0072】
注入薬液組成物を注入してから約90分間経過後に地山の安定化状況を確認するために注入孔周辺を掘進し調査したところ、No.1〜5の左側天盤部は、固結範囲が半径約40cmで半球状に固結しており、かつ大きな空隙部も高密度でよくシールされていた。また、掘削時にも天盤部からの崩落はなく、よく安定化されていた。
【0073】
一方、No.6〜10の右側天盤部については、固結範囲が半径約11cmで半球状に固結していたが、固結土と固結土との間隙に薬液が浸透していない未固結土部が存在し、掘進時に一部土砂の崩落が発生し、改良が不充分であった。
【0074】
実施例2の結果から、本発明の注入薬液組成物は、注入ボルトより大きな空隙を有する花崗岩破砕帯部に注入することにより、空隙を完全にシールし、かつ破砕帯部にもよく浸透固結し、岩盤の安定化を図ることができ、トンネル掘削工事において非常に有益であることが立証された。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【発明の効果】
本発明の地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法は、以下に述べる▲1▼〜▲4▼の効果を奏する。
【0081】
▲1▼ (A)成分であるアルカリケイ酸塩水溶液および(B)成分である有機ポリイソシアネート化合物によって、さらに必要に応じて用いられる(D)成分であるポリオール成分を用いたばあいにはかかる(D)成分によって確実な尿素-無水ケイ酸複合体、ウレタン-無水ケイ酸複合体および網状の無水ケイ酸ゲル体を主体とする発泡状の複合固結体が形成される。したがって、固結硬化性能が高く、確実に岩盤ないし地盤の安定強化を達成することができ、かつ漏洩部では確実な止水効果が奏される。
【0082】
▲2▼ (A)成分、(B)成分および(C)成分である分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、ならびに(D)成分ともに粘性が低く、さらに(A)成分と(C)成分との相溶性が良好であり、確実に発泡固結するため浸透性にすぐれている。
【0083】
▲3▼ 確実に発泡硬化し、固結体強度が大きいため、空隙が大きいまたはクラックが多い、強度が要求される不安定岩盤、地盤などの充填、安定強化に有効である
【0084】
▲4▼ (A)成分および(C)成分が完全に水溶性であることから、注入薬液組成物が取扱い者の皮膚や衣服に付着したばあいであっても、簡単に水洗して除去することができ、安全性がきわめて高い。また(C)成分は臭気が小さく、反応熱によって蒸気化して空気を汚染することがない。さらに無溶剤系であることからも労働安全衛生面において安全性が高く、固結体の耐久性にもすぐれている。
【0085】
このように本発明の工法は、すぐれた特徴を有しており、一般山岳トンネルはもちろんのこと、大断面トンネル掘削工事や大深度地下土木工事などにおいて要求される、より確実かつ高強度で、安全性にすぐれた不安定岩盤ないし地盤の安定強化、封止および止水を経済的に達成するのにきわめて有効な工法である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし4を、
「【請求項1】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。
【請求項2】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミンおよび
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3一ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項3】(A)アルカリケイ酸塩水溶液、
(B)有機ポリイソシアネート化合物および
(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、
(D)下記(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分および該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物。

(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4一ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。
【請求項4】トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より請求項1〜3のいずれかに記載の安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。」と訂正する。
イ 訂正事項b
明細書の段落【0007】の記載を、
「【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)アルカリケイ酸塩水溶液、(B)有機ポリイソシアネート化合物および(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)後述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるトンネル切羽先端の天盤部に注入する地盤の安定化用注入薬液組成物に関する。また、トンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空のボルトを挿入し、ボルトの開口部より前記安定化用注入薬液組成物をトンネル切羽先端の天盤部の岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せしめることを特徴とするトンネル掘削時の岩盤ないし地盤の安定強化止水工法に関する。
前述のポリオール成分(D)
(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール;
(2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトールまたは蔗糖の単独または混合物に、アルキレンオキシドを単独または併用して付加重合させてえられるポリオール。」と訂正する。
ウ 訂正事項c
明細書の段落【0008】の記載を、
「【作用および実施例】
本発明の地盤の安定化用注入薬液組成物(以下、注入薬液組成物という)は、前記したように、(A)アルカリケイ酸塩水溶液(以下、(A)成分という)、(B)有機ポリイソシアネート化合物(以下、(B)成分という)および(C)分子量が120以上で、チッ素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンまたは水溶性脂環族三級アミン(以下、(C)成分という)、さらに該(B)成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、(A)成分と混合接触したばあいに反応する反応性希釈剤および/または(D)前述の(1)および(2)に示されたポリオールよりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリオール成分からなるものである。」と訂正する。
エ 訂正事項d
明細書の段落【0033】の「N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、」を削除する。
オ 訂正事項e
明細書の段落【0038】の記載を、
「本発明に用いられる(D)成分であるポリオール成分としては、前記(B)成分である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに用いられるポリオール、すなわち前記(1)または(2)があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。」と訂正する。
カ 訂正事項f
明細書の段落【0044】の「また、たとえばトンネル切羽先端の天盤部」を、「また、トンネル切羽先端の天盤部」と訂正する。
異議決定日 2002-02-15 
出願番号 特願平6-144926
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C09K)
P 1 651・ 531- YA (C09K)
P 1 651・ 113- YA (C09K)
P 1 651・ 581- YA (C09K)
P 1 651・ 534- YA (C09K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂崎 恵美子  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 鈴木 紀子
佐藤 修
登録日 1999-03-05 
登録番号 特許第2896083号(P2896083)
権利者 第一工業製薬株式会社
発明の名称 地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法  
代理人 佐木 啓二  
代理人 朝日奈 宗太  
代理人 佐木 啓二  
代理人 朝日奈 宗太  
代理人 大谷 保  

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