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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1062738
異議申立番号 異議2001-70454  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-14 
確定日 2002-05-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3075231号「半導体装置及びその製造方法」の請求項1〜17に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3075231号の請求項1〜14に係る特許を取り消す。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第3075231号(平成9年10月8日出願、平成12年6月9日設定登録)は、異議申立人セイコーエプソン株式会社により特許異議の申立てがなされ、その後取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月31日に訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否についての判断
(1)訂正事項
(1-1)訂正事項a
願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)の請求項1を、「【請求項1】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されていることを特徴とする半導体装置。」と訂正する。

(1-2)訂正事項b
同請求項2を、「【請求項2】当該仮接着機能を有する接着材は、常温で粘着性を有する接着材で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。」と訂正する。

(1-3)訂正事項c
同請求項3を、「【請求項3】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。」と訂正する。

(1-4)訂正事項d
同請求項5〜7を削除する。

(1-5)訂正事項e
同請求項8を請求項5に繰り上げて、「【請求項5】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して.当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する事を特徴とする半導体装置の製造方法。」と訂正する。

(1-6)訂正事項f
同請求項9を請求項6に繰り上げて、「【請求項6】当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。

(1-7)訂正事項g
同請求項10を請求項7に繰り上げて、「【請求項7】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。

(1-8)訂正事項h
同請求項11〜15を請求項8〜12に繰り上げるとともに、それぞれの請求項が引用する請求項を繰り上げた請求項に整合させる。

(1-9)訂正事項i
同請求項16を請求項13に繰り上げて、「【請求項13】当該補強板と当該TABテープは、その両者が張り付け時、接着中もしくは張り付け終了後に真空雰囲気で当該加熱処理し、接着力を向上させて接着することを特徴とする請求項5乃至12の何れかに記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。

(1-10)訂正事項j
同請求項17を請求項14に繰り上げて、「【請求項14】TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程.当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事を特徴とする半導体装置の製造方法。」と訂正する。

(1-11)訂正事項k
特許明細書の段落【0014】を、「【0014】【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を達成する為、以下に示す様な基本的な技術構成を採用するものである。即ち、本発明に係る第1の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されている半導体装置であり、又、本発明に係る第2の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して、当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する様に構成された半導体装置の製造方法である。」と訂正する。

(1-12)訂正事項l
同段落【0040】を、「【0040】上記した様に本発明に係る半導体装置の製造方法としては、例えば、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、当該補強材と当該TABテ-プを仮接着機能を有する接着材を使用して互いに接合する様に構成されているものであり、特に、当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事も出来るし又所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事も出来る。」と訂正する。

(1-13)訂正事項m
同段落【0043】を、「【0043】本発明に係る半導体装置の製造方法の操作の手順としては、例えば、TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程.当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事が好ましい。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び拡張・変更の存否
(2-1)訂正事項aについて
訂正後の請求項1に記載された、「さらに、加熱処理により接着力を向上させた接着材」については、特許明細書の段落【0029】、【0030】に記載され、「仮接着機能を有する接着材」をさらに減縮するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-2)訂正事項bについて
訂正後の請求項2に記載された、「常温で粘着性を有する接着材」については、特許明細書の段落【0019】、【0028】に記載され、「粘着性を有する接着材」をさらに減縮するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-3)訂正事項cについて
訂正後の請求項3に記載された、「所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料」については、特許明細書の段落【0019】、【0028】に記載され、「所定の温度で短時間加熱すると接着機能を発揮する様な材料」をさらに減縮するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-4)訂正事項dについて
請求項5〜7の削除は特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-5)訂正事項eについて
訂正後の請求項5に記載された、「さらに、加熱処理により接着力が向上する接着材」については、訂正事項aと同様に、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-6)訂正事項fについて
訂正後の請求項6に記載された、「常温で粘着性を有する接着材」については、訂正事項bと同様に、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-7)訂正事項gについて
訂正後の請求項7に記載された、「所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料」については、訂正事項cと同様に、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-8)訂正事項hについて
請求項11〜15を請求項8〜12に繰り上げるとともに、それぞれの請求項が引用する請求項を繰り上げた請求項に整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。

(2-9)訂正事項iについて
訂正後の請求項13に記載された、「当該加熱処理し、接着力を向上させて接着する」については、訂正事項aと同様に、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-10)訂正事項jについて
訂正後の請求項14に記載された、「短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる」については、特許明細書の段落【0030】に記載され、「短時間の加熱処理を施すか、施さずに押圧処理操作を実行する」をさらに減縮するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。

(2-11)訂正事項k〜mについて
特許明細書の段落【0014】、【0040】、【0043】の訂正は、請求項1〜4、8〜17の訂正にともない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記訂正事項a〜mについては、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項において準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]異議申立てについて
(1)異議申立ての概要
異議申立人セイコーエプソン株式会社は、証拠として、
甲第1号証:「電子材料」工業調査会 1997年9月号(34〜40頁及び65〜68頁)
甲第2号証:特開平6-302652号公報
甲第3号証:特開平1-264831号公報
甲第4号証:特開平5-198946号公報
甲第5号証:特開昭59-143335号公報
を提出して、本件請求項1〜17に係る発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件請求項1〜17に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、同法第113条の規定に基づいて取り消すべきものであり、また、特許明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載には不備があり、同法第36条第4、6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条の規定に基づいて取り消すべきものである旨主張している。

(2)異議申立人の提出した証拠及び当審が取消理由において引用した刊行物
本件特許に係る出願の出願前に頒布された刊行物である上記甲第1〜5号証のうち甲第1〜3号証は、当審が平成13年11月26日に通知した取消理由において引用した刊行物1〜4のうち刊行物1〜3に対応するものである(以下、甲第1〜3号証を「刊行物1〜3」という。)。
そして、上記刊行物1〜4には、以下の事項が記載されている(なお、甲第4、5号証の記載については省略する。)。

(2-1)刊行物1
刊行物1の「電子材料」(34〜40頁、65〜68頁)には、TAB技術として、T-BGA(テープBGA)及びスティフナに関する発明が開示されている。
また、刊行物1の37頁の図8(a)には、「普及形T-BGAの代表的な構造」のうちのポリイミドアップタイプが示され、この構造では、LSIの電極がインナーリードを介してハンダボールと接続し、またポリイミドが接着材を介してスティフナと接続している。この構造と同様な構造は、刊行物1の37頁の図7(b)に「TYPE B」として、また刊行物1の65頁の図1(a)に「インナーリードボンディングタイプ」として、それぞれ示されている。
さらに、刊行物1の66頁左欄21行〜67頁右欄14行には、ステイフナとTABフィルムを貼り付けるための接着剤について説明されており、その内の66頁左欄26行〜42行には、
「スティフナとTABフィルムを貼り付けた後の熱履歴の影響で、その接合界面や接着剤内部に気泡を生ずることがあり、これをポップコーン現象と呼ぶ。
気泡が発生するとTABフィルムが押されて膨らみ、最悪の場合ハンダボールのブリッジが起き、実装不良(ショート)となる。原因は大雑把に下記の3点である。
(1)・・・
(2)吸湿しやすい性質を持つポリイミドは、ハンダリフロー時に水蒸気を発生する場合がある。その圧力によってTABフィルムと接着剤の界面が剥離し押し広げられてしまう。
(3)・・・」と記載されている。
また、その内の67頁左欄2〜25行には、
「接着剤のタイプとしては大きく以下の3通りがあり、いずれもT-BGA用接着剤として接着剤メーカーから提案されている。
(1)感圧形接着剤
(2)熱可塑形接着剤
(3)熱硬化形接着剤
感圧形の接着剤は、常温で粘着力があり、貼り付け後のキュア工程が不要なため、・・・取り扱いは容易である。
熱可塑形接着剤は、百数十度の熱をかけることにより粘着性を発揮し、貼り付け後のキュアも不要である・・・。
第3の熱硬化形接着剤は、キュア工程による硬化処理が必要な接着剤であるが、耐熱性に優れ、不可逆反応であるから熱可塑接着剤のような発生機構のポップコーン現象も起こりにくい。ただし、常温環境下でも硬化反応が進んでしまうため、生産管理の面で神経質にならざるを得ない。」と記載されている。

(2-2)刊行物2
刊行物2の特開平6-302652号公報には、耐熱性フィルム、ポリイミド系接着剤、及び銅箔を積層したTAB用銅貼りテープの製造方法に関する発明が開示されている。
また、刊行物2の段落【0002】〜【0004】には、「従来のTAB用銅貼りテープの製造方法としては、エポキシ系接着剤を耐熱性フィルムに塗工したフィルムキャリアテープを予め水分除去のために真空乾燥機で乾燥後、銅箔とラミネートする直前に遠赤外線ヒーターを用いて水分除去をしながらラミネートする方法が一般的である。
・・・しかしながら、ポリイミド系接着剤ではエポキシ系接着剤に比べ吸水率が高いため、上記方法では銅箔とラミネート時発泡が生じる。また、水分除去のため遠赤外線ヒーターの温度を上げ過ぎると、銅箔とのラミネートができなくなる問題がある。
・・・銅箔とラミネートする直前にポリイミド系接着剤を耐熱性フィルムに塗工したフィルムキャリアテープを熱風乾燥機で熱処理することにより、発泡がなく、かつ容易に銅箔とラミネートできることを見出だし・・・たものである。」と記載されている。
さらに、刊行物2の段落【0006】には、「フィルムキャリアテープと銅箔をラミネートする前に、該フィルムキャリアテープを熱風乾燥機で熱処理する」と記載され、段落【0008】には、フィルムキャリアテープの耐熱性フィルムの材料として、「熱硬化性ポリイミド」が例示されており、段落【0009】には、「耐熱性フィルムはそのまま使用してもよいが、その表面にコロナ放電処理、低温プラズマ処理が施されたものを使用することが好ましい。」と記載されている。

(2-3)刊行物3
刊行物3の特開平1-264831号公報には、金属板等の支持板とフィルム基板等の可撓性シートとを接着した積層板の製造方法に関する発明が、第1図とともに開示されている。
また、刊行物3の2頁右下欄6〜15行には、「ホットローラ21を正逆両方向に転動させながら銅張積層シート13の上面に沿って往復移動させ、接着シート15を加圧・加熱する。このとき、加圧・加熱された部分の接着シート15は樹脂が溶融して接着力を生じ、またホットローラ21は接着シート15と金属基板2間に混入している空気をしごき出しながら転動するので、このホットローラ21の転動に伴って、銅張積層シート13は気泡を生じることなく金属基板2に貼着されていく。」と記載されており、2つの部材を接着材で接着するときに、両者を押圧処理して気泡を押し出すことが示されている。
さらに、刊行物3の2頁右下欄3〜4行には、「耐熱シリコンゴム21aをライニングしたホットローラ21」と記載されており、このホットローラ21の表面層が弾性を有する材料で構成されていることが示されている。

(2-4)刊行物4
上記取消理由において引用した刊行物4の特開平8-153752号公報には、フリップチップ実装方法に関する発明が開示され、さらに、段落【0017】〜【0021】には、回路基板1の溝9中の封止樹脂(a)4に包含されたエアーが完全に排出されるように、回路基板1を加熱しながら真空中に放置し脱泡を行うこと、また、半導体素子6のバンプ電極7と回路基板1上の実装用パッド3を位置合わせし、封止樹脂(a)4、封止樹脂(b)8の真空脱泡を行いながら半導体素子6を加圧・加熱することが、図1とともに記載されている。

(3)本件発明
本件請求項1〜17に係る発明は、上記訂正により、本件請求項5〜7に係る発明が削除されたため、本件請求項1〜14に係る発明(以下、「本件発明1〜14」という。)となった。
そして、本件発明1〜14は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜14に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】当該仮接着機能を有する接着材は、常温で粘着性を有する接着材で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に選択的に配置されているものである事を特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して、当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する事を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する車を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。

【請求項8】当該TABテープに該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープを加熱処理して、当該TABテープ材料内部には、実質的に水分が含有されていない状態にした後、当該補強材と貼り合わせる様に構成されている事を特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】当該TABテープと当該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープと当該補強材を接合した後、当該両者を押圧処理する事によって、当該仮接着機能を有する接着材の内部に含まれるボイドを外部に押し出す操作を行う様に構成されている事を特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】当該押圧処理に使用される押圧部材は、弾性を有する材料で構成されている事を特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】当該押圧処理に使用される押圧部材は、押圧面が湾曲状に突出せしめられている事を特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に選択的に配置されているものである事を特徴とする請求項5乃至11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】当該補強板と当該TABテープは、その両者が張り付け時、接着中もしくは張り付け終了後に真空雰囲気で当該加熱処理し、接着力を向上させて接着することを特徴とする請求項5乃至12の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】TABテープを構成する基材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程、当該第2の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事を特徴とする半導体装置の製造方法。」

なお、訂正明細書の請求項14に記載された「機材フィルム」及び「第1の工程終了後」は、請求項14全体の記載からみて、「基材フィルム」及び「第2の工程終了後」の誤記であると認められ、上記のとおり認定した。

(4)対比・判断
(4-1)本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載されたTAB応用パッケージとしてのT-BGAとを対比すると、刊行物1の図7、8(37頁)、図1(65頁)を参照すると、刊行物1に記載された「ポリイミド、TABフィルム」、「接着剤」、「固定板、スティフナ」は、本件発明1の「TABテープ」、「接着材」、「補強材」に相当する。
また、刊行物1の図7、8の記載からみて、LSIの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランド、すなわちパッドに接続されているものと認められる。
そうすると、両者は、訂正明細書の請求項1に記載された事項に沿って記載すれば、「デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに接着材を介して補強材が接続されている半導体装置」の点で一致し、本件発明1の接着材が、「仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた」ものであるのに対し、刊行物1に記載された接着剤はそのようなものであることが明確でない点で相違する。
そこで、上記相違点について、以下検討する。
刊行物1には、上記T-BGAに使用する接着剤として、スティフナとTABフィルムを張り付けた後の、その接合界面や接着剤内部に生じる気泡(ポップコーン現象)を排除するために、熱硬化形接着剤を使用することが記載され(66〜67頁参照。)、この接着剤はキュア工程による硬化処理が必要であるとともに、常温環境下でも硬化反応が進んでしまうことが記載されている。そして、一般に、熱硬化形接着剤(室温硬化形を含む。)は、硬化剤により室温で硬化反応が容易に進行し、その速度は加熱により促進され、接着強度が増加することは周知の事項にすぎない(必要ならば、「接着技術便覧」日刊工業新聞社(昭37-3-30)64〜65頁参照。)。
してみると、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、室温硬化形の熱硬化形接着剤を採用した場合、室温で硬化反応が進むことから、室温で仮接着機能を有することは明らかであり、さらに加熱処理により接着力が向上することも当然のことであるから、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、室温硬化形の熱硬化形接着剤を採用する程度のことは容易に想到することができたものであり、本件発明1の上記相違点に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-2)本件発明2について
室温硬化形の熱硬化形接着剤が常温で粘着性を有することは明らかであるから、上記本件発明1と同様に、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、室温硬化形の熱硬化形接着剤を採用する程度のことは容易に想到することができたものであり、本件発明2に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明2は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-3)本件発明3について
上記「本件発明1について」において説示したとおり、熱硬化形接着剤は、硬化反応の速度は加熱により促進され、接着強度が増加することは周知の事項にすぎないから、上記本件発明1と同様に、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、熱硬化形接着剤を採用するとともに、所定の温度で短時間加熱して仮接着機能を発揮させるようなことは、容易に想到することができたものであり、本件発明3に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明3は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-4)本件発明4について
刊行物1に記載された接着剤もTABフィルムとスティフナとの間に配置されており、TABフィルムとスティフナとの間の所定の部位に選択的に配置するようなことは単なる設計的事項にすぎないし、本件発明4に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明4は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-5)本件発明5について
本件発明5は、本件発明1の半導体装置の発明を半導体装置の製造方法の発明としたものにすぎないから、本件発明1と同様に、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、室温硬化形の熱硬化形接着剤を採用する程度のことは容易に想到することができたものであり、本件発明5に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明5は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-6)本件発明6について
室温硬化形の熱硬化形接着剤が常温で粘着性を有することは明らかであるから、上記本件発明5と同様に、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、室温硬化形の熱硬化形接着剤を採用する程度のことは容易に想到することができたものであり、本件発明6に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明6は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-7)本件発明7について
上記「本件発明1について」において説示したとおり、熱硬化形接着剤は、硬化反応の速度が加熱により促進され、接着強度が増加することは周知の事項にすぎないから、上記本件発明5と同様に、T-BGAのポップコーン現象を排除するために、刊行物1に記載されたT-BGAに使用する接着剤として、熱硬化形接着剤を採用して、所定の温度で短時間加熱して仮接着機能を発揮させるようなことは、容易に想到することができたものであり、本件発明7に格別顕著な作用効果も認められない。
したがって、本件発明7は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-8)本件発明8について
刊行物1に記載されたTABフィルムとスティフナとの界面に生ずるポップコーン現象を排除するために、このTABフィルムを、刊行物2に記載されているように、水分除去したフィルムとした後、スティフナと張り合わせるようなことは容易に想到することができたものである。
したがって、本件発明11は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-9)本件発明9について
刊行物3には、2つのシート部材を接着する際に、ホットローラを用いて両者を押圧することにより気泡をしごき出す操作を行うことが記載されているから、刊行物1に記載されたTABフィルムとスティフナを貼り合わせる際に、ポップコーン現象を排除するために、刊行物3に記載された操作を適用して、TABフィルムとスティフナの両者を押圧処理することにより、接着剤の内部に含まれるボイドや気泡を外部に押し出す操作を行うようなことは容易に想到することができたものである。
したがって、本件発明9は、刊行物1、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-10)本件発明10について
刊行物3に記載されたホットローラは耐熱シリコンゴムからなるものであるから、弾性を有する材料で構成されていることは明らかである。
したがって、本件発明10は、刊行物1、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-11)本件発明11について
一般的にローラの断面は湾曲状に突出しているから、刊行物3に記載されたホットローラも、押圧面が湾曲状に突出しているものと認められる。
したがって、本件発明11は、刊行物1、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-12)本件発明12について
本件発明4と同様に、刊行物1に記載された接着剤をTABテープとスティフナとの間の所定の部位に選択的に配置するようなことは単なる設計的事項にすぎない。
したがって、本件発明12は、刊行物1、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-13)本件発明13について
刊行物4には、回路基板を加熱しながら真空中に放置し脱泡を行う方法、及び半導体素子と基板の位置合わせをして、封止樹脂の真空脱泡を行いながら半導体素子を加熱する方法がそれぞれ記載されているから、刊行物1に記載されたTABフィルムとスティフナを貼り合わせる際に、ポップコーン現象を排除するために、刊行物4に記載された方法を適用して、真空雰囲気で加熱して接着するようなことは容易に想到することができたものである。
したがって、本件発明13は、刊行物1、3、及び刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-14)本件発明14について
本件発明8と同様に、刊行物2には、接着剤を塗工したフィルムキャリアテープを予め水分除去のために熱処理して、TAB用銅張りテープを製造することが記載されているから、刊行物1に記載されたTABフィルムにおいて、接着剤を塗布してスティフナを張り付ける前に、刊行物2に記載されているように、水分除去のための熱処理を施すようなことは容易に想到することができたものである。
したがって、本件発明14は、刊行物1〜3及び刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[5]むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜14についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1〜14についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体装置及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 当該仮接着機能を有する接着材は、常温で粘着性を有ずる接着材で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】 当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】 当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に選択的に配置されているものである事を特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】 デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して、当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する事を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】 当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】 当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】 当該TABテープに該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープを加熱処理して、当該TABテープ材料内部には、実質的に水分が含有されていない状態にした後、当該補強材と貼り合わせる様に構成されている事を特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】 当該TABテープと当該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープと当該補強材を接合した後、当該両者を押圧処理する事によって、当該仮接着機能を有する接着材の内部に含まれるボイドを外部に押し出す操作を行う様に構成されている事を特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】 当該押圧処理に使用される押圧部材は、弾性を有する材料で構成されている事を特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】 当該押圧処理に使用される押圧部材は、押圧面が湾曲状に突出せしめられている事を特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】 当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に選択的に配置されているものである事を特徴とする請求項5乃至11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】 当該補強板と当該TABテープは、その両者が張り付け時、接着中もしくは張り付け終了後に真空雰囲気で当該加熱処理し、接着力を向上させて接着することを特徴とする請求項5乃至12の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】 TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程、当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事を特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TABテープ(Tape Automated Bonding)を用いた半導体装置及びその製造方法に関するものであり、特に詳しくは、補強材を取りつけた、バンプを用いて実装基板に接続する半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の半導体装置としては、特開平8-318691号公報の明細書に記載されたものが知られている。当該公知の半導体装置の構成の例を図8を参照しながら説明する。つまり、図9(A)及び図9(B)に示されているように、従来のTABテープは、ポリイミド等の絶縁性ベースフィルム9に、半導体チップ4を固定することによって製作されている。
【0003】より具体的にいえば、ベースフィルム9の幅方向両側には、該当フィルムを搬送及び位置決めするためのスプロケットホール1が設けられており、このスプロケットホール1を利用して、ベースフィルム9をその長手方向に移送することができる。また、ベースフィルム9には、半導体チップ4を位置付けるための開口部、即ち、デバイスホール22が内側に設けられており、デバイスホール22の外側には、カットホール2が形成されている。
【0004】デバイスホール22とカットボール2の間のベースフィルム9上には予め定められた領域にパッド3が形成されており、該パッド3は、半導体チップ4と電気的に接続したインナーリード6と接続されている。
また、パッド3上には、外部接続電極部材として半田などによって、形成されたボール上のバンプ11が形成される。また、図面に破線で示されているように、バンプ11以外に区画された周辺領域はカバーレジスト7によって被覆されており、このカバーレジスト7によって、ベースフィルム9上の金属配線等が汚染されるのを防止している。
【0005】尚、半導体チップ4はその周辺部のインナーリード6と共に、樹脂10で封止されている。最終的にベースフィルム9をカットボール2の部分から切り取ることにより、半導体チップ4とベースフィルム9部材(TABテープ)とによって構成された半導体装置を得ることができる。
【0006】上記した構成を有する半導体装置は、パッド3上のバンプ11を直接プリント基板20に実装できるため、実質上、ベースフィルム9部材をパッケージ部として使用できる。従って、上記した半導体装置は、セラミックパッケージ等を有する半導体装置に比べて、安価であるという利点を有している。また、インナーリード6の配線領域をカットボール2内部だけに限定できるため、図示された半導体装置は、小形化の面でも有利である。
【0007】また、放熱性を向上する為に特開平8-31869の図2に記されているように、デバイスホール内にインナーリードと同一面の配線によって吊られている吊りリードに放熱用バンプを形成してプリント基板側に放熱したり、放熱板やヒートシンクを取り付けることにより放熱性を向上していた。このとき、特開平8-31869の〔0034〕に記載されているように前記放熱板(補強板含む場合有り)をテープの反り防止のためにベースフィルムに貼り付ける場合は、固定用の接着材が必要であった。
【0008】また、放熱板がない場合もベースフィルムの補強のため、補強板を接着材で貼り付けていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した半導体装置の補強板とTABテープを張り合わせる場合に使用される接着材として、例えば液状の熱硬化型接着材を用いると、塗布した後、張り合わせて硬化させるため、接着領域が不安定であったり、凸凹が生じたり、張り合わせ後、平行に保たないとズレが発生する等の問題があった。
【0010】また、エポキシ系の接着材を用いた場合には、熱硬化した後に、熱収縮によりパッケージが反るなどの問題があった。そこで、シート状の、例えば熱可塑性の接着材をTABテープの全面に張り付けた場合、接着を完了させる為には例えば200℃以上の高温で貼り付ける必要があり、当該TABテープ自体の品質に悪影響を与えてしまう問題があった。
【0011】つまり、例えば、TABテープ自体の変形、カバーレジストの剥がれ、貼り付けジグからの汚れの転写、配線の酸化等である。また、貼り付けが不完全であると、パッケージを実装基板へ実装する時にTABテープのベースフィルム及び接着材が吸湿した場合に、TABテープと補強板の間で剥離が生じ、溶融している半田バンプが変形し、隣同士でショートしてしまう所謂バンプブリッジが発生する問題があった。
【0012】特に、TABテープのベース基材としてポリイミド樹脂が使用される場合には、当該ポリイミド樹脂は、一般的に吸湿性が高いので、常温で放置しておくと吸湿率が増大し、当該ポリイミド樹脂を接着工程で加熱するとその水分が接着材に移動して、接着材中に気泡が発生する大きな原因となる。同様に接着材も一般的に吸湿性を有しているので、その取扱には、極めて慎重さが求められている。
【0013】この為、接着材の材質、接着性、接着構造は大変重要であり、又TABテープと補強材を接着する方法も大きな課題であった。本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を改良し、ベースフィルムと放熱板の接着性を品質を劣化することなく向上でき、かつ剥離によって生じる半田バンプ同士のショート(ブリッジ)不良を防止する効果を有する半導体装置及びその製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を達成する為、以下に示す様な基本的な技術構成を採用するものである。即ち、本発明に係る第1の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されている半導体装置であり、又、本発明に係る第2の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して、当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する様に構成された半導体装置の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の態様】本発明に係る半導体装置及び半導体装置の製造方法は、上記した様な技術構成を採用しているので、TABテープ中の水分を予め除去した後に、当該TABテープが再度水分を吸収しない間に、補強材と仮接着機能を有する接着材を介して接合し、所定の構成を有する押圧部材、治具を使用して、気泡の追い出し操作を実行した後、所定の条件下に加熱処理を行い、接着操作を完了する様にしたものである。
【0016】
【実施例】以下に、本発明に係る半導体装置及び半導体装置の製造方法の具体例の構成を図面を参照しながら詳細に説明する。即ち、図1(A)は、本発明に係る、半導体装置30に於ける一具体例の構成を示す断面図であり、図中、デバイスホール31に半導体チップ4が接続されており、且つ当該半導体チップ4の電極がインナーリード20を介してバンプ部11を形成したランド32に接続されているTABテープ23を含み、当該TABテープ23は実装基板33と接合しうる構造を有している半導体装置30に於いて、当該TABテープ23に仮接着機能を有する接着材15を介して補強材14が接続されている半導体装置30が示されている。
【0017】つまり、本発明に係るTABテープ23の基材9は、図1(B)に示す様に、例えばポリイミド樹脂で構成されている事が望ましく、その一主面には、前記した様に、適宜のプリント配線技術により形成されたインナーリードを構成する金属配線部20が配置されている。尚、当該補強材14は、放熱効果を持つ放熱手段として機能すると同時に、当該TABテープのフレキシブル性に起因する実装工程での作業性の問題を解決する為に設けられた支持部材としての機能を有している。
【0018】尚、図1(A)に示している通り、本具体例では、当該補強材14の他に更に、適宜の接着材、放熱ペースト24等を介して別のヒートシンク25が設けられていても良い。本発明に於ける好ましい態様としては、例えば、半導体チップ4を接続する為に設けられたデバイスホール31を有するベースフィルム9に、半導体チップ4の電極と接合する為のインナーリード20及び外部電極と接合する為に設けられたランド32が金属箔にて配線されたパターンを設けたTABテープを形成し、前記半導体チップ4のパッド電極と前記インナーリード20を接続し、かつ前記ランドにバンプ11を形成して前記バンプ11を介して、実装基板33と接合する構造を少なくとも有していることテープBGA型半導体装置30において、TABテープ23の反り防止等に用いる補強板14とTABテープ23を貼り付ける接着材として、仮接着機能を有する接着材を用い、接着中もしくは張り付け終了後加熱することで接着する様にしたものである。また、他の具体例としては、補強板14とTABテープ23の張り付け部に選択的に接着材15を配置形成したものである。
【0019】本発明に於いて使用される当該仮接着機能を有する接着材は常温で粘着性を有する材料で構成させていても良く、又常温では、粘着性を示さず、所定の温度、で短時間加熱すると、例えば、150℃で3秒程度の加熱処理によって、接着性を示す様な材料で構成されているものでも使用可能である。本発明に於いては、先ず当該TABテープを構成する材料内部には、実質的に水分が含有されていない状態にする事が望ましく、その為には、当該TABテープを該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープを予め加熱処理して、当該TABテープ材料内部に存在する水分を放出させて、当該TABテープの内部には、実質的に水分が含有されていない状態にした後、当該補強材と貼り合わせる様に構成されている事が望ましい。
【0020】
その為には、当該ポリイミド樹脂からなるTABテープの場合に有っては、当該加熱処理は、例えば、125μmの厚みを持ったポリイミド樹脂の場合、125〜150℃で30分間乃至1時間で充分である。
又、当該TABテープ23は、そのまま放置しておくと再び吸湿を行うので、当該熱処理を行い、内蔵する水分を0又は少なくしたポリイミド樹脂テープは、出来るだけ短時間の内に補強材14との接着操作工程に供給する事が望ましい。
【0021】例えば、上記したポリイミド樹脂テープの熱処理操作後、8時間以内には、上記接着操作を行う事が望ましい。次に、本発明に於けるTABテープ23と補強材14との接着操作の具体例に付いて説明する。つまり、図2に示す様に、TABテープ23のベースフィルム9と補強板14は接着材15によって接着されている。例えば、この接着材15を予め補強板14に貼り付けておき、その補強板14とTABテープ23を位置決めすることで容易に貼り付けが実施される。
【0022】尚、当該接着材15は、TABテープ23の一主面に配置したものであっても同じ効果が得られる。ここで、接着材15を貼り付ける方法としては、図2に示す用にローラー方式が使用でき、当該方法に於いては、ローラー26を用いベースフィルム9と補強板14の間に残存する空気(ボイド)を横方向に押し出しながら、押圧して貼り付けるのが有効である。
【0023】なぜならば、図8(A)に示すようにボイド16が発生しているとその空間に水分がたまりやすく、後の工程で加熱処理を行う事によって、当該ボイドが、図8(B)に示す様に実装時フクレを発生させ半田バンプブリッジ17を促進させる原因になるからである。しかし、ローラー方式は接着時間が長いことから、短時間で張り付けを行う場合、当該補強材14を押圧処理する装置としては、例えば図3に示す様な上下から当該TABテープ23と補強材14に押圧力が与えられる、ゴム等の弾力性を持った部材から構成された押圧部35を使用するスタンプ方式が好ましい。
【0024】この場合は、単に、上下方向から押圧力を印加する場合には、ローラー方式よりも、図4に示す様にボイド16が発生し易い。これらのボイド16を含め実装時のベースフィルム9のフクレはベースフィルム9と補強板14の接着力よりボイド16等の拡大化によって生じる剥離力が勝った場合に生じる。
【0025】この為、実装時の半田バンプブリッジ17不具合を解決するには、剥離力を接着力以下に抑えることが必要であることから、ボイド16の発生を抑制することと接着力を安定化すること、吸湿量を抑えることなどが重要である。ここで図4(B)に示すように先端に曲率を有する押圧部35を持つ治具乃至はスタンプ型27にて貼り付けるとボイド16の発生は少なくて済む。
【0026】また、スタンプ型27の張り付け面の材質としてゴム上の弾性を有するものを用いると密着性が向上し、張り付け性が安定化する。また、ゴム上のシートをスタンプ型27とベースフィルム9との間においてもよい。つまり、本発明においては、当該仮接着機能を有する接着材は、実質的に微細なボイドを除き、将来、拡大して剥離を発生させたり、バンプブリッジの発生の原因となる大きいサイズを有する気泡を含有していない状態にある事が望ましい。
【0027】そして、本発明に係る当該半導体装置に於いては、バンプブリッジを有していない事が特徴の一つである。本発明の半導体装置30は、ベースフィルム9と補強板14を仮接着機能を有する接着材15を両者間に介在させて接合するものであるが、当該仮接着機能を有する接着材は、塗布型の接着材で有っても良くまた、シート状の接着材で有っても良い。
【0028】そして、本発明に於いては、接着中もしくは接着後に加熱して張り付けを実施するものである。本発明に於いて、仮接着機能を有する接着材としては、例えば、常温で粘着性を有する、接合保持接着可能な接着材、例えば、離型紙を使用した粘着性の樹脂を使用し、接着中もしくは接着後に加熱して張り付けを実施するものであっても良く、又、常温では、接着性を示さないが所定の温度で短時間加熱すると接着機能を発揮する様な材料で構成されているものであっても良い。
【0029】係る接着性材料としては、例えば、接着中に加熱する場合でも、金属配線等を含むベースフィルム9部材の品質を低下させない、例えば加温しても100℃以下に抑えるか、100℃以上でも短時間例えば3秒で仮接着できる接着材が含まれる。すなわち、例えば熱可塑性の接着材で300℃以上の温度で30秒間かければ接着が完了されるものであっても、100℃で仮接着処理し、その後加熱処理を、例えば150℃で2時間を施して接着を完了させることが出来る材料も使用可能である。
【0030】この接着後に更に加熱を実施し、接着力が向上する原理とは接着材15内部の分子間の接合力を低下させ、接着材15及びベースフィルム9等の接着部材を膨張させることにより、図5(A)に示されている様に、多数の大きなボイド16が内在している接着材層15に上記した押圧処理及び加熱処理を行う事によって、図5(B)に示す様に、接着材層15のボイド16を圧縮してボイドを超微少ボイド18へと分散させると同時に接着材15のアンカー効果が促進され、密着性を向上するものである。
【0031】この結果、ベースフィルム9部材の品質を劣化させずに接着性を向上でき、図10の表に示す用に初期接着力が約2〜5倍へと向上した。次に本発明の第2の具体例を図6及び図7を参照しながら説明する。前記した具体例では、品質を低下させることなく接着材15の接着力を向上することで半田バンプブリッジ17を防止する方法について記載した。
【0032】この半田バンプブリッジ17が生じる原因はパッケージをプリント基板13にリフローする時に、ベースフィルム9の吸湿や接着材15自体の吸湿のため、接着力より水分の蒸気圧及びベースフィルム9の熱膨張等によって剥離力が上回ることにより、ボイド16が拡大し、ベースフィルム9の剥離が生じ半田バンプブリッジ17にいたると考えられる。
【0033】この為に、本発明の粘着性を有する接着材の幅を小さくすること、つまり接着剤の接着面積或いは体積を減少することによって、容易に防止できる。この原理は、ベースフィルム9、接着材15等に吸湿された水分をリフロー時のプリヒート領域で完全に脱水させることでボイド16の拡大化を防止するものである。
【0034】例えば図11に示すような一般的なリフローのプロファイルの150℃で60〜90秒の領域でベースフィルム9及び接着材15に吸湿した水分が脱水できるように、図6のタイプ1に示すようにベースフィルム9と補強板14の全面に形成するのでなく、タイプ2〜5等のように部分的に接着材15を形成した構造とし、プリヒート領域で脱水を促進させるものである。
【0035】つまり、例えば半田バンプの場合、183℃から溶融が始まるので、溶融前までにボイド16の拡大が進行できない程度までに脱水すれば、半田バンプブリッジ17は生じない。このときパッケージの大きさに基づいて接着材の面積を決定するのでなく脱水可能な量に接着材15の面積、体積を決定することが必要である。
【0036】つまりベースフィルム9の吸水脱水特性や接着材15の吸湿脱水特性を考慮し、例えば150℃、60秒で完全に脱水する体積を求めておくものである。
但し、図6(A)に示すように接着材15の種類と厚みが同一の場合、補強板側19や金属配線面側28からは脱水量は殆どないか、少ない為、接着材縁21から大半が脱水する。
【0037】このことは接着材15の幅にほぼ依存することであり、接着材の幅をコントロールすれば、吸湿量も少なくなり、容易に脱水可能となる。実験の結果、表1に示した常温接着型接着材Aで30℃、192時間保管後、図6(B)に示す様な接続の配置パターンで実装試験をした結果、接着材の幅が6mmであった時は50パッケージ中45個が半田ブリッジを生じたが、同様のテストを図6(C)に示す様な、当該接着材の幅を4.5mm以下にした場合には、半田ブリッジ数が50パッケージ中0個と発生しなかった。
【0038】このように同一の接着材15であってもその形成幅により、脱水性が異なる。従って、図7(A)から図7(C)の様な接着材の配置パターンが有効である。つまり、接着材15をバンプ11が位置する部分のみに形成すること、放射状に形成することなども当然接着材15の体積を小さくなるという意味では同様な効果を示した。
【0039】即ち、本発明に於いては、当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に選択的に配置されているものである。本実施例ではベースフィルム面と補強板との接着を例に説明したが、接着材が絶縁性のものを用いたり、絶縁のカバーレジストを有する場合、金属配線面と補強板を張り付ける方法としても有効である。
【0040】上記した様に本発明に係る半導体装置の製造方法としては、例えば、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、当該補強材と当該TABテープを仮接着機能を有する接着材を使用して互いに接合する様に構成されているものであり、特に、当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事も出来るし又所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事も出来る。
【0041】更に、本発明に係る半導体装置の製造方法としては、当該TABテープに該補強材を貼り合わせるに際し、予め当該TABテープを加熱処理して、当該TABテープ材料内部には、実質的に水分が含有されていない状態にした後、当該補強材と貼り合わせる様に構成されている事が望ましい。又、本発明に係る半導体装置の製造方法に於いては、当該TABテープと当該補強材を貼り合わせるに際し、当該TABテープと当該補強材を接合した後、当該両者を押圧処理する事によって、当該仮接着機能を有する接着材の内部に含まれるボイドを外部に押し出す操作を行う事が好ましい。
【0042】本発明に於いて、当該押圧処理に使用される押圧部材は、弾性を有する材料で構成されている事が望ましく更には、当該押圧処理に使用される押圧部材は、押圧面が湾曲状に突出せしめられている事が好ましい。又、上記した様に、本発明に係る半導体装置の製造方法に於いては、当該仮接着機能を有する接着材は、当該TABテープと補強材との間の所定の部位に特定のパターンを有して選択的に配置されている様にしても良い。
【0043】本発明に係る半導体装置の製造方法の操作の手順としては、例えば、TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程、当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事が好ましい。
【0044】
【発明の効果】このように本発明の半導体装置ではベースフィルムと放熱板の接着性を品質を劣化することなく向上でき、かつ剥離によって生じる半田バンプ同士のショート(ブリッジ)不良を防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明に係る半導体装置の一具体例の構成を説明する断面図であり、図1(B)は、TABテープの構成例を示す拡大図である。
【図2】図2は、本発明に於ける半導体装置の製造方法で使用される貼り合わせ装置の一具体例の構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に於ける半導体装置の製造方法で使用される貼り合わせ装置の他の具体例の構成を示す断面図である。
【図4】図4(A)は、本発明に於ける半導体装置の製造方法で使用される貼り合わせ装置の押圧部材の一構成例を示す断面図であり、図4(B)は、本発明に於ける半導体装置の製造方法で使用される貼り合わせ装置の押圧部材の他の構成例を示す断面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明に於ける接着剤層のボイドが微細化される過程を示す図である。
【図6】図6(A)は、本発明に係る半導体装置の断面図であり、図6(A)及び(B)は、当該接着剤の配置パターンの例を示す図である。
【図7】図7(A)乃至図7(C)は、本発明に係る半導体装置に於ける接着剤の配置パターンの他の例を示す図である。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、従来のTABテープを使用した半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図9】図9(A)乃至図9(D)は、従来のTABテープを使用した半導体装置の構成の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明に係る半導体装置に於ける引き剥がし強度の効果を示す図である。
【図11】図11は、赤外線リフロー温度プロファイルの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1…スプロケットホール
2…カットホール
3…パッド
4…半導体チップ
5…カバーレジスト塗布ライン
6…インナーリード
7…カバーレジスト
8…TABテープ接着材
9…ベースフイルム
10…樹脂
11…バンプ
12…OLBパッド
13…プリント基板
14…補強板
15…接着材
16…ボイド
17…ブリッジ
18…微少ボイド
19…補強板側
20…金属配線面
21…接着材縁
22、31…デバイスホール
25…放熱板
26…貼り付け用ローラー
27…スタンプ型
28…金属配線側
30…半導体装置
32…ランド
33…基板
35…押圧部材
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項1を、「【請求項1】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されていることを特徴とする半導体装置。」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項2を、「【請求項2】当該仮接着機能を有する接着材は、常温で粘着性を有する接着材で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項3を、「【請求項3】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料で構成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項5〜7を削除する。
(5)訂正事項e
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項8を請求項5に繰り上げて、「【請求項5】デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して.当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する事を特徴とする半導体装置の製造方法。」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項9を請求項6に繰り上げて、「【請求項6】当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項10を請求項7に繰り上げて、「【請求項7】当該仮接着機能を有する接着材は、所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事を特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。
(8)訂正事項h
明りょうでない記載の釈明を目的として、同請求項11〜15を請求項8〜12に繰り上げるとともに、それぞれの請求項が引用する請求項を繰り上げた請求項に整合させる。
(9)訂正事項i
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項16を請求項13に繰り上げて、「【請求項13】当該補強板と当該TABテープは、その両者が張り付け時、接着中もしくは張り付け終了後に真空雰囲気で当該加熱処理し、接着力を向上させて接着することを特徴とする請求項5乃至12の何れかに記載の半導体装置の製造方法。」と訂正する。
(10)訂正事項j
特許請求の範囲の減縮を目的として、同請求項17を請求項14に繰り上げて、「【請求項14】TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程.当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事を特徴とする半導体装置の製造方法。」と訂正する。
(11)訂正事項k
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0014】を、「【0014】【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を達成する為、以下に示す様な基本的な技術構成を採用するものである。即ち、本発明に係る第1の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力を向上させた接着材を介して、当該TABテープに補強材が接続されている半導体装置であり、又、本発明に係る第2の態様としては、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、仮接着機能を有し、さらに加熱処理により接着力が向上する接着材を使用して、当該補強材と当該TABテープとを互いに接合する様に構成された半導体装置の製造方法である。」と訂正する。
(12)訂正事項l
明りょうでない記載の釈明を目的として、同段落【0040】を、「【0040】上記した様に本発明に係る半導体装置の製造方法としては、例えば、デバイスホールに半導体チップが接続されており、且つ当該半導体チップの電極がインナーリードを介してバンプ部を形成したランドに接続されているTABテープを含み、当該TABテープは実装基板と接合しうる構造を有している半導体装置に於いて、当該TABテープに仮接着機能を有する接着材を介して補強材が接続されている半導体装置を製造するに際し、当該補強材と当該TABテープを仮接着機能を有する接着材を使用して互いに接合する様に構成されているものであり、特に、当該仮接着機能を有する接着材として、常温で粘着性を有する接着材を使用する事も出来るし又所定の温度で短時間加熱すると仮接着機能を発揮する様な材料を使用する事も出来る。」と訂正する。
(13)訂正事項m
明りょうでない記載の釈明を目的として、同段落【0043】を、「【0043】本発明に係る半導体装置の製造方法の操作の手順としては、例えば、TABテープを構成する機材フイルム材料を加熱処理する第1の工程、当該TABテープ若しくは補強材の対応する部材との接合面に、仮接着機能を有する接着材を所定のパターンに沿って塗布する第2の工程.当該第1の工程終了後、予め定められた期間内に、当該TABテープと補強材とを仮接着機能を有する接着材を介して貼り合わせる第3の工程、当該張り合わされた当該TABテープと当該補強材に、短時間の加熱処理及び押圧処理操作を実行して接着力を向上させる第4の工程とから構成された事が好ましい。」と訂正する。
異議決定日 2002-03-12 
出願番号 特願平9-275438
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H01L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 川真田 秀男  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 中西 一友
中村 朝幸
登録日 2000-06-09 
登録番号 特許第3075231号(P3075231)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 半導体装置及びその製造方法  
代理人 布施 行夫  
代理人 大渕 美千栄  
代理人 井上 一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  

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