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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
管理番号 1062792
異議申立番号 異議2002-70157  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-01-23 
確定日 2002-05-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3190565号「吸収性物品の包装構造」の請求項1〜3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3190565号の請求項1〜3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3190565号の請求項1〜3に係る発明については、平成8年3月26日に特許出願され、平成13年5月18日に特許権の設定登録がされた。その後、特許異議申立人 田中幹代により特許異議申立てがされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年4月25日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正請求について
(1)訂正の内容
訂正事項a
請求項1の
「本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている、
ことを特徴とする吸収性物品の包装構造。」を、
「本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、
ことを特徴とする吸収性物品の包装構造。」と訂正する。

訂正事項b
明細書の段落番号【0008】の「上記本体の後端縁側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている、」(特許公報2頁4欄37〜41行参照)を、
「上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、」と訂正する。

訂正事項c
明細書の段落番号【0016】の「上記本体3の後端縁3c側が当接された部分の外面に剥離処理部55aが設けられており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、後端縁3c側から肌当接面31側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部55aと上記ウイング粘着部41とは、剥離自在に粘着されている。」(特許公報3頁6欄28〜34行参照)を、
「上記本体3の後端縁3c側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部55aが設けられており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、後端縁3c側から肌当接面31側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部55aと上記ウイング粘着部41とは、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とが上記後端縁3c側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている。」と訂正する。

(2)訂正の適否
訂正事項aは、包装材に設けられる剥離処理部の位置に関して「上記本体の後端縁側が当接された部分の外面」を「上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面」と限定し、また、包装構造の状態に関して「上記吸収性物品と上記包装材とは、…順次折曲されて折り重ねられており」を「上記吸収性物品と上記包装材とは、…順次一体に折曲されて折り重ねられており」と限定すると共に「上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている」を「上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている」と限定するものであるが、本訂正は包装材に設けられる剥離処理部の位置及び包装構造の状態を限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、訂正後の包装材に設けられる剥離処理部の位置に関しては、願書に添付した明細書(以下、特許明細書という。)の段落番号【0020】に「上記剥離処理部55aは、上記包装材5の外面55のうち、上記後方端部36が当接された部分の外面に、剥離処理を施すことにより形成されている。」(特許公報4頁7欄18〜20行)と記載されており、また、訂正後の包装構造の状態に関しては、特許明細書の段落番号【0023】に「上記後方端部36を、上記包装材5と一体に、上記後方部35上に折り重ね、更に、上記後方端部36が折り重ねられた上記後方部35を、上記包装材5と一体に、上記ウイング折曲部34上に折り重ねた後、上記前方部33を、上記包装材5と一体に、上記後方部35及び上記後方端部36が折り重ねられた上記ウイング折曲部34上に折り重ねる。」(特許公報4頁8欄9〜15行)と記載されていることから、本訂正は特許明細書に記載した事項の範囲内のものである。

訂正事項b及びcは、訂正事項aに伴って、対応する発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、いずれも明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものである。

そして、上記訂正事項a〜cのいずれの訂正も、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
(1) 申立ての理由の概要
特許異議申立人は、甲第1号証及び参考資料1〜3を提出して、本件特許の(訂正前の)請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり(特許法第29条第1項第3号)、また、甲第1号証に記載された発明に基いてその出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである(特許法第29条第2項)から、本件特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第1項第2号の規定に該当するので取り消されるべきものである旨を主張している。

(2) 本件特許発明
本件特許の請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ本件発明1〜3という。)は、訂正された特許明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.(1)訂正事項a参照。)

(3) 特許異議申立人が提出した甲第1号証及び参考資料1〜3の記載
(i) 甲第1号証(実願平5-74621号(実開平7-39820号)のCD-ROM)には、以下の事項が記載されている。
A.「透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアを介在させてなるナプキン本体の左右両側に翼部を形成し、前記本体と翼部各々の外面に設けた着用ショーツへの粘着性止着部を剥離シートで被覆してなる生理用ナプキンにおいて、
前記翼部を前記本体の内面側へ折曲し、
前記本体の止着部を被覆する剥離シートを本体の両側縁と両端縁とから延出させ、一方の端縁において延出させた剥離シートを前記内面側へ折曲することにより、その内面側に位置する剥離シートで前記翼部の止着部を被覆してあることを特徴とする前記生理用ナプキン。」(実用新案登録請求の範囲)
B.「この生理用ナプキンは…すべての止着部が同時に露出してしまい、ショーツへ止着する前に本体と翼部の止着部どうしが貼着して殆ど剥離不能となり、ショーツへの止着が不可能な事態に陥るという問題がある。…そこで、この考案は、本体の止着部を被覆する剥離シートの一端を本体の内面側へ折曲し、その折曲した部分で翼部の止着部を被覆することにより前記問題を解決することを課題にしている。」(5頁17〜27行)
C.「翼部を本体の内面側へ折曲し、本体の止着部を被覆する剥離シートを本体の両側縁と両端縁とから延出させ、一方の端縁において延出させた剥離シートを前記内面側へ折曲することにより、その内面側に位置する剥離シートで翼部の止着部を被覆してあることがこの考案の特徴である。」(6頁9〜12行)
D.「図2は、図1の生理用ナプキン1を開封し、長手方向へ伸展して示す部分破断斜視図である。図において、生理用ナプキン1は、ナプキン4と剥離シート5とによって構成され、ナプキン4は…本体2、および本体2の長手方向ほぼ中央部においてフラップ9から側方へ延出する表裏面シート10,11が互いに接合して形成する一対の翼部14を有する。ただし図の翼部14は、本体2の側縁19,20に沿って内面側へ折曲し、肌当接面に重ねてある。ナプキン4は、本体2と翼部14の各々の外面に着用ショーツへ剥離可能に貼着するための粘着性止着部15,16を有する。剥離シート5は、本体2の前後端縁17,18と両側縁19,20とから延出する矩形のものであって、後端縁18には前端縁17より長い延出部Dを有する。剥離シート5は止着部15,16に対し仮着した状態にあるものであって、止着部15,16に接触する部位とその周辺とに界面活性剤を塗布して剥離を容易にしてあるが、その塗布域の図示は省略してある。

図2の状態の生理用ナプキン1を図1の状態にするには、次のようにする。まず、剥離シート5の延出部Dを折曲線Aに沿い矢印E1に従って折曲し、肌当接面へ重ねる。延出部Dの長さは、折曲したときに翼部14へ届くことがないようにしてあり、延出部Dの自由端は仮想線Gの位置にくる。次に、本体2を剥離シート5とともに仮想線Gと翼部14との間に位置する折曲線Bに沿い矢印E2に従って肌当接面側へ折曲することにより、延出部Dの外面を止着部16へ当てがい剥離可能に仮着する。さらに、本体2を剥離シート5とともに前端縁17と翼部14との間に位置する折曲線Cに沿い矢印E3に従って既に折曲してある後端部分に重ね、その部分の剥離シート5の外面へテープ8を止着する。最後に本体2の側縁19,20の外方で重なり合う剥離シート5にエンボス加工を施して剥離可能に閉じる。」(7頁3行〜8頁1行)
E.「ナプキン本体の側縁から延出する剥離シートを重ね合わせて接合することにより、その剥離シートでナプキンを包装することができ、別体の包装紙や個袋が不要になる。」(9頁10〜12行)

上記摘示事項、及び図1〜図4からみて、甲第1号証には、
「本体2、および本体2の長手方向ほぼ中央部において側方へ延出する一対の翼部14を有し、本体2と翼部14の各々の外面に粘着性止着部15,16を有するナプキン4と、止着部15,16に対し仮着した状態にある剥離シート5であって、止着部15,16に接触する部位とその周辺とに界面活性剤を塗布して剥離を容易にしてある剥離シート5とによって構成される生理用ナプキン1において、
当該翼部14は、内面側へ折曲し、肌当接面に重ねてあり、
当該剥離シート5は、本体2の前後端縁17,18と両側縁19,20とから延出する矩形のものであって、後端縁18には前端縁17より長い延出部Dを有する生理用ナプキン1であって、
剥離シート5の延出部Dを折曲線Aに沿い折曲し、肌当接面へ重ね、次に、本体2を剥離シート5とともに折曲線Bに沿い肌当接面側へ折曲することにより、延出部Dの外面を止着部16へ当てがい剥離可能に仮着し、さらに、本体2を剥離シート5とともに折曲線Cに沿い既に折曲してある後端部分に重ねることにより、図1の状態にする生理用ナプキン1」の考案が記載されているものと認められる。

(ii) 参考資料1(実願昭50-148580号(実開昭51-79994号)のマイクロフィルム)には以下の事項が記載されている。
A.「ナプキン(1)は第6図に示す様に4つ折りにして圧縮してもよく、又、第7図に示す様にロール状に巻いて圧縮してもよく」(5頁13〜15行)
B.第6図には、ナプキン(1)が4層構造に折り曲げられている状態が示されており、第7図にはナプキン(1)がロール状に巻かれた後に圧縮されたものが図示されている。

(iii) 参考資料2(実願昭58-41111号(実開昭59-145915号)のマイクロフィルム)には以下の事項が記載されている。
A.第4図には、ナプキン本体1とビニールシート2とを接着させて重ね合わせ、前記ナプキン本体1とビニールシート2とが4層構造に折り重ねられた状態が図示されている。

(iv) 参考資料3(実願平5-35371号(実開平7-28528号)のCD-ROM)には以下の事項が記載されている。
A.図12には、個装袋本体1と体液吸収体2とが、貼着部12を介して重ね合わされ、前記個装袋本体1と体液吸収体2とが、4層構造に折り重ねられたものが図示されている。

(4) 判断
(i) 本件発明1について
(a) 特許法第29条第1項第3号について
訂正前の請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された考案を対比すると、甲第1号証に記載された考案の「翼部14」、「本体2と翼部14の各々の外面」、「粘着性止着部15」、「粘着性止着部16」、「ナプキン4」、「剥離シート5」(Eに摘示したように、甲第1号証に記載された考案の剥離シートはナプキンの包装材である。)、「(止着部16と剥離可能に仮着される)延出部Dの外面」、「図1の状態の生理用ナプキン1」は、それぞれ、訂正前の請求項1に係る発明の「ウイング部」、「本体とウイング部の各々の非肌当接面」、「本体粘着部」、「ウイング粘着部」、「吸収性物品」、「包装材」、「本体の後端縁側が当接された部分の外面」、「吸収性物品の包装構造」に相当するものと認められるので、両者は、「本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている吸収性物品の包装構造。」の点で一致する。
しかしながら、上述したように、訂正請求に基いて、包装材に設けられる剥離処理部の位置を「上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面」に限定し、包装構造の状態、特に剥離処理部とウイング粘着部との粘着状態に関して「上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている」と限定する訂正が認められ、本件発明1は、包装材に設けられる剥離処理部の位置及び包装構造の状態について、これらの限定を有する吸収性物品の包装構造となった。
そして、甲第1号証には、包装材に設けられる剥離処理部の位置が「本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面」であり(相違点1)、剥離処理部とウイング粘着部との粘着状態が「吸収性物品と包装材とが後端縁側から2回折り重ねられ、剥離自在に粘着されている」包装構造(相違点2)は記載されていない。
したがって、本件発明1は甲第1号証に記載された考案ではない。

(b) 特許法第29条第2項について
本件発明1と甲第1号証に記載された考案は前述の点で相違する。
そこで、この相違点を検討すると、甲第1号証に記載された考案は、前記A及びCに摘示したように「一方の端縁において延出させた剥離シートを前記内面側へ折曲することにより、その内面側に位置する剥離シートで翼部の止着部を被覆してある」点をその特徴とするものであって、甲第1号証には、包装材に設けられる剥離処理部の位置が、一方の端縁において延出させた剥離シートを内面側へ折曲した際の内面側、すなわち、本体の後端縁側の肌当接面側が当接された部分の外面側であることが明確に記載されており、また、剥離処理部とウイング粘着部との粘着状態に関して、一方の端縁において延出させた剥離シートを内面側へ折曲することにより…翼部の止着部を被覆することにより粘着させる、すなわち、剥離処理部とウイング粘着部とは、吸収性物品と包装材とが後端縁側から1回折り重ねられて、剥離自在に粘着されていることが明確に記載されている。
このように、本件発明1と甲第1号証に記載された考案は、甲第1号証に記載された考案の特徴とする事項おいて相違するものである。そして、甲第1号証には、包装材に設けられる剥離処理部の位置を本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面とする点、剥離処理部とウイング粘着部との粘着状態を、吸収性物品と包装材とが後端縁側から2回折り重ねられ、剥離自在に粘着されているようにする点は示唆されていない。そうしてみると、本件発明1は、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者が容易に想到し得ると認めることはできない。

また、参考文献1〜3には生理用ナプキンを4層構造に折り重ねる構造が開示されており、生理用ナプキンを個別に包装する際に、全体をコンパクトにするために折り回数を多くすることは、当業者において周知の技術と認められる。しかし、このような周知技術を甲第1号証に記載された考案に適用したとしても、本件発明1と甲第1号証に記載された考案は前述の点で相違する以上、本件発明1は、甲第1号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者が容易に想到し得ると認めることはできない。

したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ii) 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1をさらに限定するものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基いてその出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。

また、他に取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
吸収性物品の包装構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、
ことを特徴とする吸収性物品の包装構造。
【請求項2】 上記包装材に粘着された上記吸収性物品は、その長手方向において、上記ウイング部が折り曲げられているウイング折曲部、該ウイング折曲部の前方に位置する前方部、該ウイング折曲部の後方に位置する後方部、及び該後方部の更に後方に位置する後方端部に区分されており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、4層構造に折り重ねられていることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品の包装構造。
【請求項3】 上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁において封止されていることを特徴とする請求項1又は2記載の吸収性物品の包装構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収性物品の包装構造に関し、特に、ウイング部付きの吸収性物品を、そのズレ止め性を低下させることなく、且つ取り出し性良好に、またコンパクトに個装してなる吸収性物品の包装構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
吸収性物品としては、本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有する生理用ナプキン等、ウイング部を有するものが広く用いられている。
従来、このようなウイング部を有する生理ナプキン等を個装する包装構造においては、本体の粘着部及びウイング部の粘着部を被覆すべく、剥離材が個装材とは別に用いられていた。
このため、上記包装構造では、生理用ナプキン装着する際には、本体の粘着部及びウイング部の粘着部を保護している剥離材を取り外す手間が必要となるだけでなく、取り外した剥離材がゴミとなって残るという問題があった。更には、剥離材を取り外してから、生理用ショーツ等の下着に取り付けるまでの間、本体の粘着部及ウイング部の粘着部が被覆されていない状態となり、しかもゴミである上記剥離剤も存在するため、装着操作を誤りやすい等、取扱い易さの点で問題があり、これにより本体の粘着部とウイング部の粘着部の相互接着が生じる危険性が高く、結果的に、吸収性物品の有する本来の効果を十分に発揮できない場合が多いという問題もあった。そして、このような問題は、漏れない吸収性物品を提供する上で障害となっていた。
【0003】
そこで、上記の問題点を解消するために、吸収性物品の包装構造について種々改良がなされている。
例えば、従来のウイング付きの生理用ナプキンの包装構造としては、特表平5-506799号公報においては、ウイング部に設けられた粘着部を、該ウイング部を生理用ナプキンの表面シート側に折り返し、該粘着部を剥離紙で保護してなる包装構造が提案されている。
しかしながら、このような包装構造においては、装着時において、ウイング部の粘着部を保護している剥離紙を取り外す手間が必要であると共に、剥離紙がゴミとなって残るため、取扱い易さの点の問題が解消されていない。更には、別部材を必要とするため、製造過程が煩雑となり生産性が悪くなったり、コストも高くなるという問題がある。
【0004】
また、実開平7-39820号公報には、ウイング部をナプキンの表面シート上に折り重ね、包装材の長手方向両端部を生理用ナプキンの長手方向両端部よりも外方に延出させ、一方の端縁において、延出させた包装材を表面シート上に折り重ねて、その外面上に設けられた剥離部により、上記ウイング部の粘着部を保護してなる生理用ナプキンの包装構造が提案されている。
【0005】
しかし、このような包装構造においては、包装材の一方の長手方向端縁部を、これに対応する生理用ナプキンの一方の長手方向端縁部よりも外方に延出させて、ウイング部の粘着部を保護できるようにする必要があるため、大量の包装材が必要となり、コストが上がるという問題があり、更には、包装構造がコンパクトでないため持ち運び等において不便であるという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、装着操作が簡便で手間がかからず(取扱いが容易で、生理用ナプキン等の吸収性物品の漏れ防止性能等の効果が損なわれることがなく)更には、包装材と別に剥離紙を設ける必要がなく、生産性が良好で、材料の使用量も少なくてすみ、コンパクトに生理用ナプキン等の吸収性物品を個装できる吸収性物品の包装構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、生理用ナプキン等の吸収性物品と包装材とを一体に4つ折り以上に折り込んでなる吸収性物品の包装構造が、上記目的を達成しうることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、ことを特徴とする吸収性物品の包装構造を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記包装材に粘着された上記吸収性物品は、その長手方向において、上記ウイング部が折り曲げられているウイング折曲部、該ウイング折曲部の前方に位置する前方部、該ウイング折曲部の後方に位置する後方部、及び該後方部の更に後方に位置する後方端部に区分されており、上記吸収性物品と上記包装材とは、4層構造に折り重ねられている上記の吸収性物品の包装構造を提供するものである。
更に、本発明は、上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁において封止されている上記の吸収性物品の包装構造を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の吸収性物品の包装構造の一形態としての生理用ナプキンの包装構造について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の1形態を示す斜視図であり、図2は、図1におけるII-II断面図であり、図3は、本形態に用いられる生理用ナプキンの非肌当接面側を示す斜視図であり、図4は、本形態に用いられる包装材の内面側を示す斜視図であり、図5は、生理用ナプキンを包装材に当接させた状態を示す平面図(包装構造の展開図)であり、図6は、生理用ナプキンの後方端部を折り込んだ状態を示す平面図である。更に、図7は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の他の形態を示す展開図である。
【0012】
図1及び図2に示す本形態の生理用ナプキンの包装構造1は、本体3及び該本体3の左右両側に設けられた左右一対のウイング部4を有し、該本体3の非肌当接面32側に本体粘着部37が設けられ且つ該ウイング部4の非肌当接面32側にウイング粘着部41が設けられている生理用ナプキン2(図3参照)と、これを個装する包装材5とからなり、該本体粘着部37と該包装材5の内面54とを剥離自在に粘着させてなる。
【0013】
更に詳細に説明すると、上記包装構造1に用いられる上記生理用ナプキン2は、図3に示すように、肌当接面31が液透過性のシート材により、また、非肌当接面32が液不透過性のシート材によりそれぞれ形成され、更に上記肌当接面31と非肌当接面32との間に液保持性の吸収体(図示せず)を有し、上記本体粘着部37及び上記ウイング粘着部も通常の粘着剤を用いて形成された、通常の生理用ナプキンである。また、上記ウイング部4は、ナプキンの前端縁側に偏寄して形成されている。
また、上記本体粘着部37は、上記非肌当接面32の略全面に亘って設けられている。ここで、「略全面に亘って設けられている」とは、後述する前方部33、ウイング折曲部34、後方部35及び後方端部の何れの箇所にも設けられていることを意味する。
【0014】
また、上記包装材は、図4に示すように、略長方形状であり、その前端部には包装構造止着用の公知のタブテープ56が設けられている。また、該包装材は、その内面全面あるいは該本体粘着部と当接した部分及びその周辺が剥離処理されており、剥離性を有するものである。尚、本発明においては、内面全面を剥離処理する必要はなく、その一部、例えば、内面の周縁部以外の部分のみ剥離処理してなるものを用いることもできる。
【0015】
上記包装材の形成材料は、公知のものを特に制限なく用いることができるが、具体的には、厚さ5〜50μmのポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、あるいは不織布や紙、及びこれらの複合材料等の包装材料が挙げられる。
また、上記剥離処理は、公知の手法を特に制限なく用いて行うことができるが、具体的には、上記包装材5料の内面全面に、剥離処理剤を塗布するか又は剥離テープ、剥離紙、剥離処理した不織布、剥離処理したポリエチレンラミネート紙若しくは剥離処理したポリエチレンフィルムを貼付する等して行うことができる。剥離処理剤あるいは剥離テープ及び剥離紙の剥離剤成分としてはシリコーン樹脂系、フッソ樹脂系、又はオクタデシルイソシアネート系等のものが好ましい。特に、上記剥離処理としては、上記剥離材成分として、シリコーン樹脂系のものを用いて、塗布して加熱乾燥、紫外線照射等で高分子量化するか、スプレーで吹きつけ薄い被膜を形成させる等するのが好ましい。
さらに、薄いポリオレフィンフィルムあるいはポリエステルフィルムを剥離処理し、上記包装材5料に熱あるいは超音波等により接合したものが、適度な剛性を有しており、開封し易く、また耐熱性に優れているため生産上有利である。
【0016】
而して、図1及び図2に示すように、本形態の包装構造1において、上記ウイング部4は、肌当接面31側に向けて折り曲げられており、上記生理用ナプキン2は、上記本体粘着部37が上記包装材5の内面に当接するように該包装材5に粘着されており、上記包装材5は、その左右両側縁部52,52及び前端縁51が、上記本体3の両側縁3b,3b及び前端縁3aよりも外方に延出していると共に、上記本体3の後端縁3c側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部55aが設けられており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、後端縁3c側から肌当接面31側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部55aと上記ウイング粘着部41とは、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とが上記後端縁3c側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている。
【0017】
更に詳述すると、図2、図5及び図6に示すように、上記包装材5に粘着された上記生理用ナプキン2は、その長手方向において、上記ウイング部4が折り曲げられているウイング折曲部34、該ウイング折曲部34の前方に位置する前方部33、該ウイング折曲部34の後方に位置する後方部35、及び該後方部35の更に後方に位置する後方端部36に区分されており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、4層構造に折り重ねられている。
【0018】
ここで、上記ウイング折曲部34は、図2〜図4に示すように、上記ウイング部4を折り曲げたことにより該ウイング部4が肌当接面31上に位置している部分であり、該ウイング折曲部34の「前方」とは、使用時において該ウイング折曲部34よりも使用者の前側に位置することを意味し、「後方」とは、使用時において該ウイング折曲部34よりも使用者の後側に位置することを意味する。従って、上記前方部33は、使用時に最も使用者の前側に位置する部位であり、上記後方端部36は、使用時に最も使用者の後ろ側に位置する部位である。
更に、上記「4層構造」とは、図2に示すように、上記生理用ナプキン2と該生理用ナプキン2の本体粘着部37を保護している包装材5とを一体で一つの層とみなした際に、該層が4つ折り重なっている状態を意味する。
【0019】
また、図2及び図5に示すように、上記ウイング部4は、肌当接面31側に向けて折り曲げられているため、肌当接面31の表面上において、上記ウイング粘着部41を肌当接面31側に向けて位置している。
また、上記非肌当接面32の略全面が上記包装材5に粘着されて、該非肌当接面32上の本体粘着部37全面が該包装材5により保護されている。即ち、上記「略全面」とは、少なくとも上記本体粘着部37全面が覆われていることを意味する。
【0020】
上記剥離処理部55aは、上記包装材5の外面55のうち、上記後方端部36が当接された部分の外面に、剥離処理を施すことにより形成されている。
この際行われる上記剥離処理は、包装時の内面54に対する剥離処理と同様にして行われるものであり、本形態においては、剥離テープを貼着して上記剥離処理がなされているが、接着剤を介して剥離紙等の剥離片を固定してもよい。
上記前端縁51が上記吸収性物品の前端縁3aよりも外方に延出している延長長さL(図5参照)は、0.1〜5cmとするのが好ましい。
また、上記前端縁51が延出されていれば、後端縁53側においては延出されていなくても良く、本実施例においては、該後端縁53が生理用ナプキン2の後端縁3bよりも短くなされている。また、上記包装材5は、その左右両側縁も上記生理用ナプキン2の両側縁よりも外方に延出している。
【0021】
また、上記包装材は、その左右両側縁部52,52及び前端縁51において封止されている。
左右両側縁部52においては、ヒートシールにより封止されており、上記前端縁51においては、上記タブテープ56により封止されている。また、上記の左右両側縁部52においては、ヒートシールされているが、開封をより容易にするために、このヒートシールされた部分に沿ってミシン目を設けることもできる。
【0022】
本形態の生理用ナプキン2の包装構造は、上述の如く構成されているので、余分なゴミが生じることがなく、夜用等の大きな生理用ナプキン2においても、コンパクトに包装できるため、包装構造がコンパクトであり、持ち運びも容易である。また、包装構造を開封して生理用ナプキン2を取り出した際には、四つ折りにされた形状が生理用ナプキン2に癖付けられているため、装着時に体に対するフィット性の高い形状で生理用ナプキン2を使用に供することができる。
更には、後述するように、容易に製造できる構造であるため、生産性が高く、コストも低い。
【0023】
本形態の生理用ナプキンの包装構造1は、次のようにして容易に製造することができる。
即ち、先ず、図5に示すように、上記ウイング部4を折り曲げた生理用ナプキン2の非肌当接面32を、予め剥離片を所定位置に接合するなどして剥離処理された上記包装材5に当接させて、生理用ナプキン2の本体粘着部37を包装材5の内面54に粘着させる。次いで、図6に示すように、上記後方端部36を、上記包装材5と一体に、上記後方部35上に折り重ね、更に、上記後方端部36が折り重ねられた上記後方部35を、上記包装材5と一体に、上記ウイング折曲部34上に折り重ねた後、上記前方部33を、上記包装材5と一体に、上記後方部35及び上記後方端部36が折り重ねられた上記ウイング折曲部34上に折り重ねる。そして、最終に包装材5の左右両側縁をヒートシールすると同時にカットし、上記タブテープ56を貼着して、左右両側縁部52及び前端縁51を封止することにより、本形態の生理用ナプキンの包装構造が得られる。
【0024】
また、剥離片は、予め包装材5の外面と接合されている必要はなく、下記の如くして包装構造の製造過程において接合することもできる。
即ち、肌当接面31上にウイング部4の粘着部41を保護すると共に、搬送中のウイング折曲部34の形状を安定にするために、上記剥離片をウイング部4に当接されてウイング部粘着部41を保護した後、該剥離片の裏面側若しくは上記後方端部36に当接する包装材5の外面に接着剤を塗布し、該後方端部36が折り重ねられた上記後方部35を、上記包装材5と一体に該ウイング折曲部34上に折り重ねたることにより、接着剤を介して包装材5と上記剥離片とを接合することができる。
【0025】
そして、生理用ナプキン2の使用に際しては、上記タブテープ56を引き剥がし、上記左右両側縁部52のヒートシール部を引き剥がし(ミシン目を設けた場合には該ミシン目を引き離して)、上記前方部33、上記後方部35、上記後方端部36の順に開けることにより、包装構造1を開封して、生理用ナプキン2を取り出し、使用に供することができる。
【0026】
次いで、図7に示す本発明の生理用ナプキンの包装構造の他の形態について説明する。
尚、特に詳述しない点については、上述した図1〜6に示す形態と同様である。
図7に示す形態の生理用ナプキンの包装構造1は、上記前方部31よりも更に前方側に前方端部38が区分されている。そして、生理用ナプキン2と包装材5とを、一体に、後方端部36、後方部35、ウイング折曲部34、前方部33の順に、前方端部38上に折り重ねることにより、5層構造になされている。これ以外は、上述した図1〜6に示す形態と同じである。
【0027】
尚、本発明の包装構造は、上述した形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記包装材5は、上記後方端部36が当接する部分を別の部材により形成したものを用いてもよい。
また、上記ウイング部4は、生理用ナプキン2の長手方向略中央部に位置していてもよく、この場合、上記「前方」は、ナプキンの製造過程における、ナプキンの流れ方向前方を意味し、「後方」は、ナプキンの製造過程における、ナプキンの流れ方向後方を意味する。
また、本発明の包装構造は、生理用ナプキン以外にも、失禁パッドなど種々の物品に適用可能である。
また、上記後方端部側の上記包装材は、吸収性物品の後端縁よりも外方に延出されていてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品の包装構造は、生産性が良好で、材料の使用量も少なくてすみ、コンパクトに生理用ナプキン等の吸収性物品を個装できる構造である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の1形態を示す斜視図である。
【図2】
図2は、図1におけるII-II断面図である。
【図3】
図3は、本形態に用いられる生理用ナプキンの非肌当接面側を示す斜視図である。
【図4】
図4は、本形態に用いられる包装材の内面側を示す斜視図である。
【図5】
図5は、生理用ナプキンを包装材に当接させた状態を示す平面図(包装構造の展開図)である。
【図6】
図6は、生理用ナプキンの後方端部を折り込んだ状態を示す平面図である。
【図7】
図7は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の他の形態を示す展開図(図5相当図)である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキンの包装構造
2 生理用ナプキン
3 本体
31 肌当接面
32 非肌当接面
33 前方部
34 ウイング折曲部
35 後方部
36 後方端部
37 本体粘着部
4 ウイング部
41 ウイング粘着部
5 包装材
51 前端縁
52 側縁部
53 後端縁
54 内面
55 外面
55a 後方端部に当接された部分の外面
56 タブテープ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
・訂正事項1
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1が「本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている、
ことを特徴とする吸収性物品の包装構造。」とあるのを、
「本体及び該本体の左右両側に設けられた左右一対のウイング部を有し、該本体の非肌当接面側に本体粘着部が設けられ且つ該ウイング部の非肌当接面側にウイング粘着部が設けられている吸収性物品と、これを個装する包装材とからなり、該本体粘着部と該包装材の内面とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
上記ウイング部は、肌当接面側に向けて折り曲げられており、
上記吸収性物品は、上記本体粘着部が上記包装材の内面に当接するように該包装材に粘着されており、
上記包装材は、その左右両側縁部及び前端縁が、上記本体の両側縁及び前端縁よりも外方に延出していると共に、上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、
上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、
上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、
ことを特徴とする吸収性物品の包装構造。」と訂正する。
・訂正事項2
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の段落番号【0008】の「上記本体の後端縁側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、剥離自在に粘着されている、」(特許公報2頁4欄37〜41行参照)を、「上記本体の後端縁側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部が設けられており、上記吸収性物品と上記包装材とは、後端縁側から肌当接面側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部と上記ウイング粘着部とは、上記吸収性物品と上記包装材とが上記後端縁側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている、」と訂正する。
・訂正事項3
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の段落番号【0016】の「上記本体3の後端縁3c側が当接された部分の外面に剥離処理部55aが設けられており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、後端縁3c側から肌当接面31側を内側として順次折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部55aと上記ウイング粘着部41とは、剥離自在に粘着されている。」(特許公報3頁6欄28〜34行参照)を、「上記本体3の後端縁3c側の非肌当接面側が当接された部分の外面に剥離処理部55aが設けられており、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とは、後端縁3c側から肌当接面31側を内側として順次一体に折曲されて折り重ねられており、上記剥離処理部55aと上記ウイング粘着部41とは、上記生理用ナプキン2と上記包装材5とが上記後端縁3c側から2回折り重ねられて、剥離自在に粘着されている。」と訂正する。
異議決定日 2002-04-30 
出願番号 特願平8-70756
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A61F)
P 1 651・ 113- YA (A61F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上條 のぶよ  
特許庁審判長 田中 倫子
特許庁審判官 深津 弘
大宅 郁治
登録日 2001-05-18 
登録番号 特許第3190565号(P3190565)
権利者 花王株式会社
発明の名称 吸収性物品の包装構造  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  

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