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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08F
管理番号 1062811
異議申立番号 異議2001-70430  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-07 
確定日 2002-03-01 
異議申立件数
事件の表示 特許第3074406号「硬化性組成物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3074406号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 (1)手続の経緯
本件特許3074406号の発明は、平成3年9月12日に出願され、平成12年6月9日にその特許の設定登録がなされ、その後、旭硝子株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、特許異議意見書が提出されたものである。
(2)本件発明
特許第3074406号の請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明3」という。)は、その特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】(1)反応性ケイ素基含有有機重合体、(2)光硬化性化合物及び(3)3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を必須成分とする硬化性組成物。
【請求項2】反応性ケイ素基含有有機重合体の主鎖が実質的にポリオキシアルキレン重合体である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】 光硬化性化合物がアクリル及び/またはメタクリル基含有オリゴマーである請求項1に記載の硬化性組成物。」
(但し、請求項1における(1)〜(3)は、○にそれぞれの数字で表されている。)
(3)引用刊行物
当審が平成13年5月8日付で通知した取消理由に引用した刊行物1:「日本接着協会誌」Vol.19、No.6(1983)、第32〜39頁(特許異議申立人旭硝子株式会社提出甲第1号証)、刊行物2:特開昭61-233043号公報(同甲第2号証)、刊行物3:特公昭62-26349号公報(同甲第3号証)及び参考資料:田中英明作成「実験報告書」(同甲第4号証)には、次のとおりの記載が認められる。
(a)刊行物1
刊行物1には、ポリプロピレンオキシド主鎖の末端にメチルジメトキシシリル官能基を有するテレケリック液状ポリマー(鐘淵化学工業株式会社の商品名「カネカMSポリマー」(登録商標))について記載され、ゴム弾性体となり、弾性シーリング材として有用な液状ポリマーであることが記載され、第34頁右欄14〜20行に、「表2に2成分形の代表的配合組成を示す。充填剤の種類により硬化物の引張特性がかなり異なる。……老化防止剤としてはヒンダードフェノール類またはヒンダードアミン類とベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤との併用が効果的である。」と記載され、第35頁の表2には、基材としてカネカMSポリマーとともに老化防止剤及びオリゴエステルアクリレートが記載されている。
(b)刊行物2
刊行物2には、耐候性の改善された硬化性組成物について記載され、その特許請求の範囲第1項には、「(1)1分子中に少なくとも1個の反応性シリコン官能基を有する有機重合体(A)100重量部に対し、下記一般式(省略)で表わされる化合物(B)0.001〜10重量部配合したものを有効成分として含有することを特徴とする硬化性組成物。」と記載され、化合物(B)として、第10〜12頁には多数の3級アミン含有のヒンダードアミンが記載され、その実施例ではアデカアーガス株式会社の3級アミン含有ヒンダードアミンである「LA62」及び「LA63」を使用することが記載されている。
(c)刊行物3
刊行物3の特許請求の範囲第1、2項には、「1 〔A〕:主鎖がポリエーテルまたはポリエステルであり、重合体1分子当たり少なくとも1つの加水分解性ケイ素基を有する分子量300〜15000の有機重合体100重量部
〔B〕:光硬化性物質0.01〜10重量部を含有する湿分硬化性シーラント組成物。
2 〔B〕物質が、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類およびアジド化樹脂からなる群から選ばれる化合物である特許請求の範囲第1項記載の湿分硬化性シーラント組成物。」が記載され、第1頁2欄14〜16行には、「表面の残存タックを画期的に少なくした湿分硬化性シーラント組成物を提供するものである。」と記載され、第2頁3欄6〜12行には、「不飽和アクリル系化合物は、アクリル系又はメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、……単量体又は分子量10000以下のオリゴエステルである。」と記載されている。
(d)参考資料
参考資料には、本件特許明細書に記載された実施例4〜6及び比較例3に基づいてなされた実験の結果として、それぞれの硬化性組成物の貯蔵安定性及び硬化組成物を硬化してなる硬化物の表面耐候性を比較した場合、2級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤と3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤の間で明確な差が見られないとしている。
(4)対比・判断
刊行物1に記載の「オリゴエステルアクリレート」が刊行物3に見られるように本件発明1の光硬化性化合物に相当するものであるから、本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両発明は、反応性ケイ素基含有有機重合体、光硬化性化合物及び安定剤を含む硬化性組成物である点で一致し、本件発明1では安定剤として3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤とするのに対し、刊行物1では安定剤としてヒンダードアミン類が例示される老化防止剤としている点で相違するものと認められる。
上記相違点について検討する。
ヒンダードアミン類が、刊行物2に記載されるように、反応性ケイ素基含有有機重合体を含む硬化性組成物の耐候性を改善するものであり、ヒンダードアミンとして3級アミン含有ヒンダードアミンがよく使用されるものである。
そうであるならば、刊行物1に記載されるヒンダードアミン類が例示されている老化防止剤として3級アミン含有ヒンダードアミンを使用することに格別な困難性は見出すことはできない。
本件発明1では、2級アミン含有ヒンダードアミンに比べ、3級アミン含有ヒンダードアミンが貯蔵安定性に優れるとしているが、その程度のことは当業者であれば容易に確かめてみる程度のことに過ぎないものであり、また、本件特許明細書の実施例及び比較例には、3級アミン含有ヒンダードアミンと2級アミン含有ヒンダードアミンの、それぞれ貯蔵安定性として○及び×と記載され、その判断基準として粘度上昇率が1.5未満を○とし、1.5以上を×としているが、粘度上昇率の基準値として1.5が適当であるのかどうかも明りょうでなく、また、具体的な粘度上昇率の数値の記載もなく、どの程度の粘度上昇率において差異があるのかも明りょうでないことからして、格別な作用効果を奏しているとすることはできない。
よって、本件発明1は刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者であれば容易になし得た発明である。
本件発明2は、反応性ケイ素基含有有機重合体の主鎖が実質的にポリオキシアルキレン重合体とするものであるが、刊行物1に記載の「カネカMSポリマー」がポリオキシアルキレン重合体を主鎖とするものであるから、本件発明1における理由と同じ理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明である。
本件発明3は、光硬化性化合物をアクリル及び/またはメタクリル基含有オリゴマーとするものであるが、刊行物1においても「オリゴエステルアクリレート」が記載されているから、本件発明1における理由と同じ理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明である。
(5)むすび
以上のとおり、本件発明1〜3は、上記刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-01-07 
出願番号 特願平3-260533
審決分類 P 1 651・ 121- Z (C08F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 原田 隆興  
特許庁審判長 三浦 均
特許庁審判官 中島 次一
佐野 整博
登録日 2000-06-09 
登録番号 特許第3074406号(P3074406)
権利者 鐘淵化学工業株式会社
発明の名称 硬化性組成物  
代理人 萩原 亮一  
代理人 内田 明  
代理人 安西 篤夫  
代理人 萩野 平  
代理人 添田 全一  
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