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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04Q
管理番号 1062933
異議申立番号 異議1998-75657  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-20 
確定日 2001-04-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第2755096号「携帯電話機構造」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2755096号の請求項1ないし3、5ないし6に係る特許を取り消す。 同請求項4に係る特許を維持する。 
理由 (I)手続の経緯
本件特許第2755096号の請求項1ないし6に係る発明は平成5年2月26日に特許出願され、平成10年3月6日にその設定登録がされ、その後異議申立人児玉喜博、中村▲吉▼孝、及び宮本洋子により請求項1ないし6について特許異議の申立てがなされ、請求項1ないし3、5及び6に係る発明の特許に対して取消理由通知がなされ、その指定期間である平成11年6月4日に訂正請求がされた後、訂正拒絶理由が通知され、その訂正拒絶理由に対して平成11年11月9日に手続補正書が提出されたものである。
(II)訂正の適否についての判断
(1)訂正請求に対する補正の適否について
特許権者は、訂正請求書中の▲1▼訂正事項aについて、
「【請求項1】下記の(a)および(b)とを備えた携帯電話機構造。(a)着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個とその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、(b)本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個は露出した状態で前記スイッチ手段を覆うカバー。」を
「【請求項1】着呼キー、再呼キー、応答保留キーとその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記その他のキーを覆うカバーとを備えた携帯電話機構造であって、前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーは前記カバーを閉じたとき前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されていることを特徴とする携帯電話機構造。」
と補正し、これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をはかるため、明細書の「課題を解決するための手段」、「作用」、及び「発明の効果」の欄を補正することを求めるものである。
そこで、上記補正の適否を検討すると、上記補正は、特許請求の範囲の減縮、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正請求書の要旨を変更するものではないから、特許法120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。
(2)訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】着呼キー、再呼キー、応答保留キーとその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記その他のキーを覆うカバーとを備えた携帯電話機構造であって、前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーは前記カバーを閉じたとき前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されていることを特徴とする携帯電話機構造。」
(3)引用刊行物記載の発明
訂正明細書の請求項1に係る発明に対し、当審が訂正拒絶理由通知において提示した刊行物1(特開平4-23547号公報、平成4年1月27日出願公開)には、
「着信時の即応性が良く、通話中での誤操作を低減させるとともに、収納性、携帯性に優れた携帯用無線電話機を提供する」(第1頁右下欄13行ないし16行)ことを目的とし、「本体筺体と可動自在に装着され、通話キーとダイヤルキー及びファンクションキーを備えた操作部をカバーする保護カバーに、少なくとも通話キーを操作するための操作手段を設けること」(第1頁右下欄19行ないし第2頁左上欄2行)を課題を解決する手段とし、「着信時に保護カバー4を開閉することなく即時に通話できるので即応性が良い」(第3頁右上欄10行ないし11行)ことを発明の効果とし、具体的には
a.「1はスピーカ、2は電話番号等を表示する表示部、3は各種の操作キーを配置した操作部、4は操作部3をカバーし本体に開閉自在に設けられた横開きの保護カバー、5はマイクである。操作部3には、着信時あるいは電話番号入力後通話可能状態にする通話キー6と、通話状態を終了するための通話終了キー7と、電話番号入力用テンキー8及び、ファンクションキー9から構成されている。保護カバー4は前記通話キー6と通話終了キー7を操作できる押圧部10a,10bを備えており、(中略)押圧部10a,10bは保護カバー4に設けられ、これを押すことにより、間接的に前記通話キー6と通話終了キー7を押し、通話スイッチ6a,通話終了キー7aを操作することができる。」(第2頁左上欄15行ないし右上欄18行)
b.「第6図は他の実施例における第5図と同様な部分拡大図であり、(中略)保護カバー28に開口部29を設け、本体面30に設けられた通話キー28を直接押すことで、通話スイッチ28a(詳細図示せず)を操作できるように構成されている」(第3頁右上欄6行ないし11行)
こととした携帯用無線電話機が図面とともに記載されている。
(4)対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)と刊行物1に記載の発明とを対比すると、
刊行物1に記載された発明における着信時あるいは電話番号入力後通話可能状態にする「通話キー6」、通話状態を終了するための「通話終了キー7」、「電話番号入力用テンキー8」及び「ファンクションキー9」等からなる各種操作キーを配置した「操作部3」は、各キーにより内部のスイッチ(例えば通話スイッチ6a)を操作するものであるから、本件発明の「スイッチ手段」とは、特定のキーが「通話キー」、「通話終了キー」であるか、「着呼キー」、「再呼キー」、「応答保留キー」であるかの点は別として、「特定のキーとその他のキーを持つスイッチ手段」であるという点で一致し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「スピーカ1」、「マイク5」はそれぞれ、本件発明における「スピーカ」、「マイクロホン」に相当し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「保護カバー4」は、本体に開閉自在に設けられ、閉じたとき「その他のキー」(「電話番号入力用テンキー8」、「ファンクションキー9」)を覆うものであるから、本件発明における「カバー」に相当し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「携帯用無線電話機」は、本件発明における「携帯電話機構造」に相当し、
そして、刊行物1に記載された発明における特定のキー(「通話キー」、「通話終了キー」)と、本件発明における特定のキー(「着呼キー」、「再呼キー」、「応答保留キー」)は、「カバーを閉じたとき表示部の近傍に露出して配置されている」という点で一致するから、結局、両者は、「特定のキーとその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記その他のキー覆うカバーとを備えた携帯電話機構造であって、前記特定のキーはカバーを閉じたとき露出して表示部の近傍に配置されている携帯電話機構造」である点で一致し、次の点で相違する。
特定のキーが本件発明は、「着呼キー、再呼キー、応答保留キー」であるのに対し、刊行物1に記載された発明は、着信時あるいは電話番号入力後通話可能状態にする「通話キー」と、通話状態を終了する「通話終了キー」であり、また、カバーを閉じた状態でも特定のキーの操作を可能とするため特定のキーはカバーを閉じたとき露出して表示部の近傍に配置されている」という態様が、本件発明は、「カバーを閉じたとき前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されている」というものであるのに対し、刊行物1に記載された発明は、カバーに設けた開口部に設けられているというものである点。
そこで、上記相違点について検討すると、本件発明において、特定のキーを、着呼キー、再呼キー、応答保留キーとした理由は、これらのキーをカバーを閉じた状態でも即座に操作可能にすることにより、利便性を向上するためであることは、本件特許明細書の記載から明らかであるが、刊行物1に記載された発明において、着信時の即応性を問題にしていることから、特定のキーを通話キー、通話終了キーとした理由も上記理由と同じであることは、明らかである。また、着呼キー、再呼キー、応答保留キーは、電話機において慣用されているものであって(特開平4-281628号公報、特開昭56-2755号公報、特開平2-125555号公報参照)、これら電話機において慣用されているキーを露出させることにより、即座にそれらのキーの操作が可能になり、利便性が向上するであろうことは、当業者に容易に予測されることを考慮すると、特定のキーを着呼キー、再呼キー、応答保留キーとすることは、当業者が容易になし得ることである。また、カバーを閉じた状態でもキー操作可能にするために、キーをカバーの領域外に設けることは、テレビジョン装置を遠隔操作するリモコン装置等で周知である(必要であれば、例えば、実願昭61-40188号(実開昭62-152586号公報)のマイクロフイルム。特開平2-276316号公報参照)から、カバーを閉じた状態でも特定のキーの操作を可能とするために、特定のキーがカバーに設けた開口部に設けられているという態様に代え、「カバーを閉じたとき前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されている」という態様にすることは、当業者が容易になし得ることである。
(5)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
(III)特許異議の申立てについての判断
(1)請求項1ないし6に係る発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】下記の(a)および(b)とを備えた携帯電話機構造。
(a)着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個とその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、
(b)本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個は露出した状態で前記スイッチ手段を覆うカバー。
【請求項2】カバーに設けた切欠きにより閉じたとき特定のキーを露出させることを特徴とする請求項1項にに記載の携帯電話機構造。
【請求項3】カバーに設けた孔により閉じたとき特定のキーを露出させることを特徴とする請求項1項に記載の携帯電話機構造。
【請求項4】孔を開閉するスライド板をカバーに設けたことを特徴とする請求項第3項に記載の携帯電話機構造。
【請求項5】着呼キー、再呼キー、応答保留キーの少なくとも1個とその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、この本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記スイッチ手段を覆うカバーとを備えた携帯電話機構造において、前記カバーに設けた孔に押しボタンを設け、カバーを閉じた状態でこの押しボタンを押すことにより前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーの少なくとも1個が操作されることを特徴とする携帯電話機構造。
【請求項6】前記カバーを回動可能に保持する本体の部分をヒンジ構造としてマイクロホンの音孔を設け前記カバーを閉じた状態で前記音孔が露出するようにしたことを特徴とする請求項第1項または請求項第5項のいずれかに記載の携帯電話機構造。
(2)刊行物記載の発明
これに対して、当審が通知した取消理由において引用した刊行物1(特開平4-23547号公報)には、上記(II)(3)に記載した発明が記載されている。
同じく当審が通知した取消理由において引用した刊行物2(実願昭59-91469号(実開昭61-7145号)のマイクロフイルム)の第1図、及び第3図には、無線送受信機等の受話器本体2に、受信部3と、送話部4と、各種のスイッチ部5と、回動可能に保持されたプレート8を備え、プレート8を閉じたとき送話部4が露出し、該送話部4はプレート8を保持する受話器本体2のヒンジ構造(プレート基部8aを軸支する本体部分)近くに設けた構成が記載されている。
(3)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、
刊行物1に記載された発明における着信時あるいは電話番号入力後通話可能状態にする「通話キー6」、通話状態を終了するための「通話終了キー7」、「電話番号入力用テンキー8」及び「ファンクションキー9」等からなる各種操作キーを配置した「操作部3」は、各キーにより内部のスイッチ(例えば通話スイッチ6a)を操作するものであるから、本件請求項1に係る発明の「スイッチ手段」とは、特定のキーが「通話キー」、「通話終了キー」であるか、「着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個」であるかの点は別として、「特定のキーとその他のキーを持つスイッチ手段」であるという点で一致し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「スピーカ1」、「マイク5」はそれぞれ、本件請求項1に係る発明における「スピーカ」、「マイクロホン」に相当し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「保護カバー4」は、本体に開閉自在に設けられ、閉じたとき特定のキーを露出した状態でスイッチ手段を覆うものであるから、本件請求項1に係る発明における「カバー」とは、「本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記特定のキーは露出した状態で前記スイッチ手段を覆うカバー」であるという点で一致し、
同じく、刊行物1に記載された発明における「携帯用無線電話機」は、本件請求項1に係る発明における「携帯電話機構造」に相当するから、
結局、両者は、
「特定のキーとその他のキーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記特定のキーは露出した状態で前記スイッチ手段を覆うカバー、とを備えた携帯電話機構造」である点で一致し、次の点で相違する。
▲1▼カバーを閉じたとき露出した状態の「特定のキー」が、本件請求項1に記載された発明は、「着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個」であるのに対し、刊行物1に記載された発明は、着信時あるいは電話番号入力後通話可能状態にする「通話キー」と、通話状態を終了する「通話終了キー」である点。
そこで、上記相違点▲1▼について検討すると、本件請求項1に係る発明において、特定のキーを着呼キー、再呼キー、応答保留キーの少なくとも1個とした理由は、これらのキーをカバーを閉じた状態でも即座に操作可能にすることにより、利便性を向上するためであることは本件特許明細書の記載から明らかであるが、刊行物1に記載された発明において、着信時の即応性を問題にしていることから、特定のキーを通話キー、通話終了キーとした理由も上記理由と同じであることは、明らかである。また、着呼キー、再呼キー、応答保留キーは、電話機において慣用されているものであって(特開平4-281628号公報、特開昭56-2755号公報、特開平2-125555号公報参照)、これら電話機において慣用されているキーを露出させることにより、即座にそれらのキーの操作が可能になり、利便性が向上するであろうことは、当業者が容易に予測されることを考慮すると、特定のキーを着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個のキーとすることは、当業者が容易になし得ることである。
(4)請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、
本件請求項2に係る発明と上記刊行物1に記載された発明とは上記相違点▲1▼に加え、下記▲2▼の点で相違する。
▲2▼本件請求項2に記載された発明は、「カバーに設けた切欠きにより閉じたとき特定のキーを露出させる」構成を備えるのに対し、刊行物1に記載された発明は、特定のキー(「通話キー6」)を露出させるために、カバー(保護カバー)に開口部29を設けている点。
そこで、上記相違点▲2▼について検討すると、特定のキーを、切欠きを設けて露出させるか、開口部を設けて露出させるかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎないから、上記相違点▲2▼に係る本件請求項2に係る構成は、当業者が容易になし得ることである。
(5)請求項3に係る発明について
本件請求項3に係る発明と上記刊行物1に係る発明とを対比すると、
刊行物1に記載された発明における開口部29は、保護カバーが閉じられたとき、「通話キー6」を直接押すことで、通話スイッチを操作できるようにするものであるから、本件請求項3に係る「カバーに設けた孔により閉じたとき特定のキーを露出させる」構成に相当し、その他の構成については、上記(III)(3)の本件請求項1に係る発明についての判断で示したとおりである。
したがって、本件請求項3に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものである。
(6)請求項4に係る発明について
特許異議申立人児玉喜博が提出した甲第1号証(特開平5-327842号公報、平成5年12月10日出願公開)には、第1キャビネットと第2キャビネットを回動自在に結合した携帯電話機において、それぞれのキャビネットを閉じたとき、他方のキャビネットに覆われない一方のキャビネットの部分に設けた通話キーと、それぞれのキャビネットを閉じたとき及び開いたときに音声の入力を可能にするように一方或いは他方のキャビネットに設けた2個のマイクロホンと、それぞれのキャビネットが閉じられた状態であるか開かれた状態であるかを検出する検出手段と、該検出手段に基づいて前記それぞれのマイクロホンを切換選択する選択手段とからなることを特徴とする携帯電話機が記載され、
同じく特許異議申立人児玉喜博が提出した甲第2号証(特開平4-23547号公報(上記刊行物1)には、上記(I)(3)に示した発明が記載されている。
しかしながら、上記いずれの証拠にも、「孔を開閉するスライド板をカバーに設けた」点が記載されてなく、また、この点が慣用技術であるとも認められないことから、本件請求項4に係る発明が、これらの証拠のいずれかに記載されているとも、また特開平4-23547号公報に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
(7)請求項5に係る発明について
本件請求項5に係る発明と上記刊行物1に係る発明とを対比すると、
刊行物1に記載された発明における押圧部10a、10bは、保護カバー4に設けられ、これを押すことにより通話キー6と通話終了キー7を押すものであり、本件請求項5に係る発明の「押しボタン」に相当するから、本件請求項5に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、特定のキーが通話キー、通話終了キーであるか、着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個であるかは別として、「前記カバーに設けた孔に押しボタンを設け、カバーを閉じた状態でこの押しボタンを押すことにより前記特定のキーが操作される」という点で一致し、その他の構成については、上記(III)(3)本件請求項1に係る発明についてのところで対比したとおりである。
そして、特定のキーが通話キー、通話終了キーであるか、着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうちの少なくとも1個であるかの相違については、上記相違点▲1▼についての判断で示したとおりであるから、本件請求項5に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
(8)請求項6に係る発明について
本件請求項6に係る発明と上記刊行物1に係る発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明におけるマイク5は、第1図、第2図の記載から明らかなように、保護カバーが閉じられた状態で露出するように構成され、また、マイク5を設けた本体部分に音孔が存在することは当業者に自明であるから、このマイク5を設けた本体部分は、本件請求項6に記載された発明における「カバーを閉じた状態で前記音孔が露出するようにした」構成に相当する。したがって、両者は、上記相違点▲1▼に加え、下記▲3▼の点で相違する。
▲3▼本件請求項6に係る発明は、「前記カバーを回動可能に保持する本体の部分をヒンジ構造としてマイクロホンの音孔を設け」た構成を備えるのに対し、刊行物1に記載された発明はこのような構成を備えていない点。
そこで、上記相違点▲3▼について検討すると、刊行物2には、カバー(8)を回動可能に保持する本体の部分をヒンジ構造(8a、8b)とし、その近傍にマイクロホンの音孔(4)を設けた構成が記載されており、マイクロホンの音孔を、ヒンジ構造の近傍に設けるか、ヒンジ構造の部分に設けるかは当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎないから、相違点▲3▼に係る本件請求項6に係る構成は、当業者が容易になし得たものである。
(9)むすび
したがって、本件請求項1ないし3、及び5に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基いて、同請求項6に係る発明は、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された発明とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件請求項1ないし3、及び5、6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件請求項4に係る発明の特許については、取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-12-22 
出願番号 特願平5-37872
審決分類 P 1 651・ 121- ZE (H04Q)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 佐藤 聡史  
特許庁審判長 田辺 寿二
特許庁審判官 東 次男
江頭 信彦
登録日 1998-03-06 
登録番号 特許第2755096号(P2755096)
権利者 三菱電機株式会社
発明の名称 携帯電話機構造  
代理人 家入 健  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 宮田 金雄  

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