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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) E04H |
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管理番号 | 1063686 |
審判番号 | 無効2001-35135 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-03-09 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-03-30 |
確定日 | 2002-08-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2528573号発明「制震構造物用高減衰装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2528573号の請求項1〜3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
【1】手続の経緯 (1)本件特許第2528573号は、平成3年8月30日に特許出願され、平成8年6月14日に特許の設定登録がなされた。 (2)請求人は、平成13年3月30日付けで本件無効審判の請求をし、本件特許の請求項1〜3に係る発明は、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである旨の主張をし、証拠として以下の甲号各証を提出した。 甲第1号証:特開昭49-100832号公報 甲第2号証:実願昭57-57203号(実開昭58-158837号)のマイクロフィルム 甲第3号証:実願昭54-114133号(実開昭56-32152号)のマイクロフィルム 甲第4号証の1:特開昭51-148168号公報 甲第4号証の2:米国特許第4084668号明細書 甲第5号証:「機械図集 防振・緩衝装置(上巻)」(昭和52年7月10日初版、社団法人日本機械学会発行) 甲第6号証:甲第1号証説明用参考図 甲第7号証:本件特許公報 (3)被請求人は、平成13年7月24日付けで答弁書を提出し、本件特許の請求項1〜3に係る発明は上記甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない旨の主張をし、証拠として以下の乙号証を提出した。 乙第1号証:「建築大辞典」(P.493、1990年4月10日第1版第12刷、株式会社彰国社発行) (4)請求人は、平成13年10月29日付けで弁駁書を提出し、補充の証拠として、以下の甲号各証を提出した。 甲第5号証の2:「機械図集 防振・緩衝装置(下巻)」(目次部分、昭和52年7月10日初版、社団法人日本機械学会発行) 甲第8号証:「配管技術 '76-9」(P.95-104、昭和51年9月1日、日本工業出版発行) 【2】本件発明 (1)本件特許の請求項1〜3に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】構造物の架構または耐震要素に連結されるシリンダー本体と、前記シリンダー本体内を移動するピストンと、前記シリンダー本体の一端から出入し、前記シリンダー本体が固定された架構または耐震要素と対向する架構または耐震要素に連結されるピストンロッドと、前記ピストンの両側に形成された油圧室と、前記ピストンを貫通して前記両油圧室を連通させる複数の流路と、前記両油圧室を連結するバイパスに設けたアキュムレーターと、前記バイパスの前記油圧室のそれぞれと前記アキュムレーターとの間に設けられ、前記油圧室からの油の流出を阻止するための一対のチェック弁と、前記バイパスに前記各チェック弁と並列に設けたオリフィスとからなり、前記ピストンを貫通する前記複数の流路に、前記両油圧室の一方から他方へ向かう各方向の調圧弁及びリリーフ弁を分散配置したことを特徴とする制震構造物用高減衰装置。(以下、「本件第1発明」という。) 【請求項2】前記調圧弁は所定の減衰係数を与えるためのポペット弁である請求項1記載の制震構造物用高減衰装置。(以下、「本件第2発明」という。) 【請求項3】前記リリーフ弁は所定以上の油圧で開くよう設定されている請求項1または2記載の制震構造物用高減衰装置。(以下、「本件第3発明」という。)」 【3】甲号各証 (1)甲第1号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (A)「第1図〜第3図において、(1)及び(2)は高層建築物を構成する柱体及び梁体である。(3)(3)は梁体(2)の床相当部(2a)から適当間隔おいて頂部(3a)(3a)が梁体(2)間の層間(11)の適宜の位置で互いに交わる状態に立設されたブレースであり、該頂部(3a)(3a)はブレース受台(4)で互いに固定連結されている。(5)は梁体(2)の天井相当部(2b)から突設されたブラケットである。(6)は前記ブラケット(5)と前記ブレース受台(4)との間に……介装された緩衝減速装置としての例えばオイルダンパーであり、地震などの横揺れ時に水平力を受けるように構成されている。」(1頁右欄6〜18行) (B)「すなわち層間変位に対してオイルダンパー(6)のピストン(図示せず)は速やかに変位して衝撃による水平力は有効に吸収されて建築物の構造部分にかかる負担は軽減せしめられるとともに、第4図に示されるように層間変位速度(ア)に対してオイルダンパー(6)の反力(F)は速やかに増大し、変位速度は急速に減衰せしめられて高層建築物の振動は効果的に抑制される。」(2頁右欄12〜20行) (2)甲第2号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (C)「本考案は油圧緩衝器に関する。」(2頁4行) (D)「図において、1は円筒状のシリンダで、該シリンダ1の一方の端部には底板2が固着され、該底板2には取付環3が設けられている。また、前記シリンダ1の他方の端部には、後述するピストンロツド4を摺動自在に貫挿させる蓋部材としてのロツドガイド5が固着されている。 またシリンダ1内にはその内部を空気室Aと後述する圧力室Bとに区画し、前記ロツドガイド5と同様ピストンロツド4を摺動自在に貫挿する蓋部材としての隔壁6が固着されている。前記ピストンロツド4のシリンダ1外の一側には取付環7が設けられ、ロツドガイド5と隔壁6との間の圧力室B内のピストンロツド4の他側にはピストンロツド4に保持されたピストン8がシリンダ1内に摺動自在に設けられている。そして該ピストン8により圧力室Bは圧力室B1と圧力室B2とに区画される。 9は圧力室B1外周のシリンダ1側壁に形成された通路で、該通路9の一端側は圧力室B1に開口している。 シリンダ1側壁外周に設けられた開口10と通路9との間には後述する可変絞りより小径の温度補償用のオリフイス11(絞り)を有する通路12と、油タンクから圧力室B1のみに油液が流れる向きに逆止弁13を有する通路14が並列に設けられている。 一方、圧力室B2の外周シリンダ1側壁には通路15が形成されており、該通路15の一端側は圧力室B2に開口している。 シリンダ1側壁外周に設けられた開口16と通路15との間に油タンクから圧力室B2のみに油液が流れる向きに逆止弁17を有する通路18が設けられている。なお、前記逆止弁17に並列にオリフイス11を……設けてもよい。前記通路9と通路15の各他端側面には配管19が設けられており、該配管19の途中には可変絞り20(抵抗力発生機構)が設けられている。なお、可変絞り20はピストン8に設けてもよく、また固定絞りであってもよい。」(4頁5行〜6頁13行) (E)「上記のような構成の油圧緩衝器においては、取付環7を上に、取付環3を下にして圧力室Bを油液で充満して配管プラント等の各種構築物に取付けられる。」(7頁13〜末行) (F)「本実施例では油圧緩衝器をピストンロツド4が地面に垂直になるように取付けたが、ピストンロツド4が地面に平行になるように取付けてもよく、この場合油タンク21と逆止弁13,逆止弁17との水頭差が等しくできるのでピストン8が上下{注:左記「上下」は「左右」の明白な誤記と認める。}いずれに動いても特性が同じとなる。」(10頁6〜11行) そして、上記(D)の「なお、可変絞り20はピストン8に設けてもよく、また固定絞りであってもよい。」という記載から、これらの「絞り」を「ピストン8」に設ける場合には、ピストン8に圧力室B1と圧力室B2とを結ぶ通路が形成されていることが当業者に明らかな事項であるから、甲第2号証には、次の発明が記載されているものと認められる。 「配管プラント等の各種構築物に使用する油圧緩衝器であって、シリンダ1の一端に取付環3付き底板2が固着され、シリンダ1の他端に取付環7付きピストンロツド4を摺動自在に貫挿させた蓋部材としてのロツドガイド5が固着され、シリンダ1内には隔壁6が固着され、ロツドガイド5と隔壁6とにより圧力室Bが構成され、ピストンロツド4に保持されたピストン8により圧力室Bが圧力室B1と圧力室B2とに区画され、圧力室B1と油タンク21とを結ぶ通路の途中に逆止弁13とオリフイス11とが並列に設けられ、圧力室B2と油タンク21とを結ぶ通路の途中に逆止弁17とオリフイス11とが並列に設けられ、ピストン8に形成した圧力室B1と圧力室B2とを結ぶ通路に可変絞り20を設けた、油圧緩衝器。」(以下、「引用発明」という。) (3)甲第3号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (G)「本考案は油圧緩衝器に関するものである。」(1頁19行) (H)「第1図は単筒式油圧緩衝器の全体構造を概略的に示したもので、図において1は上端にロッドガイド2を備えたシリンダで……シリンダ1内にはフリーピストン4が摺動可能に設けられ……フリーピストン4より上方のシリンダ1内にはピストン8が摺動可能に設けられ、該ピストン8により、フリーピストン4より上方のシリンダ1内即ち液室5は2つの液室5A,5Bに画成されている。 9はピストンロッドで、その下端部はピストン8に結合されており、上端部は……シリンダ1の外に突出している。」(3頁16行〜4頁11行) (I)「ピストン8には両液室5A,5B間を連通する減衰力発生用通路16が形成され、またセンタリングガイド15には減衰力発生用通路16を開閉するためのばね鋼材からなるディスクバルブ17が嵌合されている。」(3頁9〜13行) (J)「一方、前記減衰力発生用通路16とは別個にピストン8に、両液室5A,5B間を連通する圧力解放用通路19が形成され、該圧力解放用通路19には、両液室5A,5B間の差圧が一定以上になったときに該通路19を解放する弁20が設けられている。」(3頁17行〜4頁2行) (K)「本実施例における弁20は、ピストン8の上側の液室5Aの液圧が一定限度の高圧になったとき、即ち、伸び方向のピストン速度が一定限度に達したときに、ばね21のばね力に抗して、圧力解放用通路19を解放するものとなっている。」(6頁15〜20行) (L)「上記実施例においては、圧力解放用通路19には、上側液室5Aから下側液室5Bへと油液を流す弁のみを設けたが、これに限られず、逆方向に油液を流す弁を設けることも可能であり、また、これら2つの弁を設けることも可能である。」(10頁10〜15行) (M)そして、減衰力発生用通路16と圧力解放用通路19とは、ピストン8にそれぞれ少なくとも2つずつ設けてあることが、第2,3図の記載から当業者に明らかである。 (4)甲第4号証の2には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (N)「ダンパーピストン12は、該ピストンが水力ダンパーケーシング10内に関して往復する際に、ダンパー室22,24の間の限定した流体流を許す制限弁20を有する。過剰圧力条件下におけるピストンの互いに反対方向の運動時に夫々開く、対向方向に開口する圧力開放弁26,28が設けられている。 ダンパーケーシングの端壁16,18各々はピストンロツド14を包囲する小さな環状空洞部34を備えたピストンロツド14の所で隔設した第1,第2シール30,32を備えている。環状空洞部34はダンパーの作動中に第1シール30を経て漏出する流体を集めるために設けてある。環状空洞部34は、制限弁37を有する通路36、通路66、シャトル弁52、通路38を経由してダンパー表示器41の閉鎖貯蔵部40に接続されている。閉鎖貯蔵部40はダンパー表示器41の一部であり、流体レベル表示器44を支持するダイヤフラム42により閉鎖されている。」(2欄24〜42行) (O)「ダンパーピストン12が左に動くと、高圧下の流体は通路50を通って弁54をその座部60に契合させるシャトル弁52へ流れる。ダンパーピストンはダンパー室22内の流体を圧縮するので、ダンパー室24内の圧力は減圧される。閉鎖貯蔵部40が供給する流体は通路38から入り口64に流入し、開いた状態の弁56、縦溝70を経て通路72に流入し、軸方向の通路74を経て導管53に入り、ダンパー室24内に流入する。……ダンパーシステムの第2シールからかなりの流体が漏出したとき、ダンパー表示器41は、システム内に流体の供給とシール交換が必要なことを示す。」(3欄40行〜4欄2行) (5)甲第5号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (P)「5・1・1 オイルダンパと油圧緩衝器 オイルダンパおよび油圧緩衝器は、いずれも油の粘性……を利用して運動体に抵抗を与え……オイルダンパ……は自由振動をすみやかに減衰させたり……する.」(92頁3〜10行) (Q)「b.オリフィス形状と特性線図 ……減衰力はピストン速度とオリフィス面積の関数であって、逆に言うならばオリフィスを適当に細工することにより種々の減衰力特性を与えることができる.……図5・1に代表的なオリフィス形状と特性を示す.これらの弁を装備したオイルダンパにおけるピストン力(減衰力)とピストン速度の関係は……比例弁の場合は直線的である」(93頁4〜9行) 【4】対比・判断 (1)本件第1発明 (1-1)本件第1発明と引用発明とを対比すると、引用発明記載の「油圧緩衝器」、「圧力室」、「油タンク」、及び「逆止弁」は、本件第1発明の「高減衰装置」、「油圧室」、「アキュムレーター」、及び「チェック弁」にそれぞれ相当し、引用発明の「配管プラント等の各種構築物」も、本件第1発明の「(架構と耐震要素を有する)構造物」あるいは「制震構造物」も、ともに「構築物」といえるから、両者は、 「シリンダー本体と、シリンダー本体内を移動するピストンと、前記シリンダー本体の一端から出入するピストンロッドと、前記ピストンの両側に形成された油圧室と、前記ピストンを貫通して前記両油圧室を連通させる流路と、前記両油圧室を連結するバイパスに設けたアキュムレーターと、前記バイパスの前記油圧室のそれぞれと前記アキュムレーターとの間に設けられ、前記油圧室からの油の流出を阻止するための一対のチェック弁と、前記バイパスに前記各チェック弁と並列に設けたオリフィスと、からなる構築物用高減衰装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:「構築物」が、本件第1発明では「(架構と耐震要素を有する)構造物」あるいは「制震構造物」であり、高減衰装置のシリンダー本体とピストンロッドがその構造物の架構と耐震要素とに連結されるものであるのに対し、引用発明では「配管プラント等の各種構築物」であり、高減衰装置のシリンダー本体とピストンロッドがどのように取付けられるのか明らかでない点 相違点2:本件第1発明では「両油圧室を連通する流路」を「複数」設け、該「流路」に「両油圧室の一方から他方へ向かう各方面の調圧弁及びリリーフ弁を分散配置したのに対し、引用発明では上記「流路」が「複数」設けられるものかどうか不明であり、「流路」に「調圧弁」として「可変絞り」を採用した点 (1-2)上記相違点について検討する。 <相違点1について> 高減衰装置のシリンダー本体とピストンロッドとを構造物の架構と耐震要素とに連結して制震構造物とすることは、甲第1号証などにみられるとおり古くから行われている周知慣用技術にすぎず、本件第1発明が、引用発明のような高減衰装置を制震構造物に用いた点には何等の困難性も認められない。被請求人は、答弁書において、配管プラント等の各種構築物を対象とする引用発明の油圧緩衝器は配管そのものの振動(流体等の流れによる配管の振動)抑制を対象としているのであり、本件第1(〜3)発明のように地震時の構造物の制震を目的としたものではなく、構造物における制震のために使用することの示唆もなく、あり得ないことである旨の主張をする。しかし、油圧を利用した防振・緩衝装置が様々な機械要素や建築構造物を含む構築物等、各種産業分野に応用されていることは、例えば、甲第4号証の2などにみられるように、当業者に広く知られた事項であり、また、引用発明のような高減衰装置を制震構造物に利用することを阻害する特段の理由も認められないから、被請求人の上記主張には首肯できない。 <相違点2について> 両油圧室を連通する流路を複数設けることは甲第3号証や甲第4号証の2などに、また、流路に各方面の調圧弁を設けることは甲第4号証の2などに、さらに、流路に各方面のリリーフ弁を設けることは甲第3号証などに、それぞれみられるとおりいずれも周知慣用技術にすぎず、本件第1発明が、上記相違点2に摘記した構成を採用した点に格別の技術的意義は認められず、当業者が必要に応じ適宜なし得る設計的事項にすぎない。 したがって、本件第1発明は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証の2などにみられる周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件第2発明 (2-1)本件第1発明を引用する本件第2発明と引用発明とを対比すると、その一致点は、上記本件第1発明と引用発明との対比において記載した一致点と同じであり、上記相違点1,2、及び次の点で相違している。 相違点3:「調圧弁」が、本件第2発明では「所定の減衰係数を与えるポペット弁」であるのに対して、引用発明では「可変絞り」である点 (2-2)上記相違点について検討する。 <相違点1,2について> 上記【4】(1-2)で検討したとおりである。 <相違点3について> 調圧弁として、所定の減衰係数を与えるポペット弁は甲第5号証などにみられるとおり周知慣用技術にすぎず、本件第2発明が、上記相違点3に摘記した構成を採用した点に格別の技術的意義は認められず、当業者が必要に応じ適宜なし得る設計的事項にすぎない。 そして、本件第2発明が、上記相違点1〜3に摘記した構成を採用したことによる作用効果にも格別のものがあるとはいえず、当業者が予期し得る程度のものである。 したがって、本件第2発明は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証の2、甲第5号証などにみられる周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件第3発明 本件第1発明または本件第2発明を引用する本件第3発明の「リリーフ弁は所定以上の油圧で開くよう設定されている」という限定構成は、リリーフ弁が当然有している機能にすぎないから、本件第3発明と引用発明とを対比すると、その一致点は、上記本件第1発明と引用発明との対比において記載した一致点と同じであり、上記相違点1,2、あるいは相違点1〜3が両者の相違点である。 そして、これら相違点については、上記【4】(1-2)、あるいは、【4】(2-2)で検討したとおりである。 したがって、本件第3発明は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証の2、(必要に応じ甲第5号証)などにみられる周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 【5】まとめ 以上のとおりであるから、本件の請求項1〜3に係る発明の特許は、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-06-19 |
結審通知日 | 2002-06-24 |
審決日 | 2002-07-05 |
出願番号 | 特願平3-219963 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
Z
(E04H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡戸 正義 |
特許庁審判長 |
山田 忠夫 |
特許庁審判官 |
中田 誠 鈴木 憲子 |
登録日 | 1996-06-14 |
登録番号 | 特許第2528573号(P2528573) |
発明の名称 | 制震構造物用高減衰装置 |
代理人 | 久門 知 |
代理人 | 久門 享 |
代理人 | 久門 知 |
代理人 | 佐々木 定雄 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 久門 享 |