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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1063754
審判番号 不服2000-18562  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-02-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-24 
確定日 2002-08-21 
事件の表示 平成 3年特許願第195336号「導波型光部品」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 2月12日出願公開、特開平 5- 34543]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年8月5日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成12年6月8日付け、平成12年9月11日付け及び平成12年12月25日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された次のとおりのものである。
「各々が筐体に保持され、かつ、互いの光軸が一致するように筐体どうしを固定することによって互いに接続された光導波路アレイと入出力用光ファイバの光ファイバアレイとから構成される導波型光部品において、
屈折率整合剤として、前記光導波路アレイと光ファイバアレイとの間に温度変化によっても剥離しないように弾性を富ませた接着剤を充填したことを特徴とする導波型光部品。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開昭61-18903号公報(以下、「引用例1」という。)、同じく特開昭62-170913号公報(以下、「引用例2」という。)、及び同じく特開平3-75708号公報(以下、「引用例3」という。)にはそれぞれ、次の事項が記載されている。
引用例1;
光ファイバを信号の伝送路とした通信に用いられ、複数本の伝送路に光信号を等分配する光スターカプラに関するもので、
(1)[発明の概要]の項の2頁左下欄8行〜16行には、「この発明は・・・・・・入力ファイバアレーとミクサおよびミクサと出力ファイバアレーとをホルダどうしを溶接により接合するようにするとともに、それぞれの接合面の間隙に無色透明で1.5近傍の屈折率をもつシリコーンを充填することにより、使用温度範囲の拡大および挿入損失の改善を図ったもの」と記載されている。
特許請求の範囲第1項の記載には、「入力端より入力された光信号を内部でかき混ぜ、出力端において一様な強度分布とする機能をもつミクサ」と記載されている。
(2)[発明の実施例]の項の2頁左下欄下から2行〜同頁右下欄6行には「この発明の実施例は溶接可能な金属からなる第2図および第3図のファイバアレーホルダ(6)およびミクサホルダ(9)により入力ファイバアレー(2)、出力ファイバアレー(4)およびミクサ(3)を構成し、入力ファイバアレー(2)とミクサ(3)およびミクサ(3)と出力ファイバアレー(4)とを、ファイバアレーホルダ(6)とミクサホルダ(9)を溶接することにより接合して第1図の構成を実現したものである。」と記載され、
また3頁左上欄2行〜14行には、「また、溶接後、上記入力ファイバアレー(2)とミクサ(3)およびミクサ(3)と出力ファイバアレー(4)の接合面には数μmの間隙ができるが上記間隙に無色透明で1.5近傍の屈折率をもつシリコーンを充填すれば上記間隙におけるフレネル反射損失を軽減できる利点がある。さらに、上記間隙の間隔は従来の光スターカプラと同様に熱変動により変化するが、上記間隙に充填したシリコーンは-60℃〜200℃の広い温度範囲で安定したゴム弾性体の性質をもっているため上記間隔の変化にも十分対応でき、エポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂において生じる剥離や変質もおこらないため耐熱性能を大幅に向上できる。」と記載されている。
引用例2;
該引用例の明細書及び図面(第1図ないし第4図)を見ると、平板光導波路素子を第一の金属基台に固着し、該光導波路に接続する光ファイバの先端近傍を金属製のファイバ固定部材に設けられた孔または溝に固着するとともに、該ファイバ固定部材を第二の金属基台に設けた孔または溝内に挿通し、前記光ファイバと導波路を芯合せした状態で、第一、第二金属基台の端面間およびファイバ固定部材と第二基台との間を点熔着で接合した光導波モジュール、が把握される。
引用例3;
該引用例の図面(第1図、第2図)には、光導波路のホルダと光部品のホルダとをろう材を介してレーザ溶接した光ユニット、が記載されており、実施例においては具体的に、前記光部品として光ファイバを使用している。

3.対比・判断
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。
引用例1の「光スターカプラ」は、本願発明にいう「導波型光部品」の概念に包含されるものである。
引用例1の「(ファイバアレーとミクサの)各ホルダ」は、本願発明の「筐体」に相当する。
引用例1に記載された発明において、入力ファイバアレーとミクサおよびミクサと出力ファイバアレーとをホルダどうしを溶接により接合する際に、互いの光軸が一致するようにホルダどうしを接合することは当然のことである。また、引用例1の「溶接による接合」は、本願発明の「固定」に相当する。
引用例1の「入力ファイバアレー(2)とミクサ(3)およびミクサ(3)と出力ファイバアレー(4)の接合面の間隙に充填される、無色透明で1.5近傍の屈折率をもつシリコーン」は、上記間隙におけるフレネル反射損失を軽減するものであるから、本願発明にいう「屈折率整合剤」としての機能を有する。また、引用例1の「上記間隙に充填したシリコーン」は-60℃〜200℃の広い温度範囲で安定したゴム弾性体の性質をもっているため上記間隙の間隔の変化にも十分対応でき、エポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂において生じる剥離や変質もおこらないため耐熱性能を大幅に向上できるものであるから、本願発明との対比において「ミクサとファイバアレーとの間に温度変化によっても剥離しないように弾性を富ませた物」であるといえる。
本願発明と引用例1に記載された発明との対比において、引用例1の「ミクサ」と本願発明の「光導波路アレイ」とは、いずれも「光導波路要素」ということができ、この点で一致する。
したがって、両者は、「各々が筐体に保持され、かつ、互いの光軸が一致するように筐体どうしを固定することによって互いに接続された光導波路要素と入出力用光ファイバの光ファイバアレイとから構成される導波型光部品において、屈折率整合剤として、前記光導波路要素と光ファイバアレイとの間に温度変化によっても剥離しないように弾性を富ませた物を充填した導波型光部品」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
(1)入出力用光ファイバアレイと接続される光導波路要素が、本願発明は光導波路アレイであるのに対して、引用例1はミクサである点、
(2)前記光導波路要素と光ファイバアレイとの間に充填する弾性を富ませた物が、本願発明は接着剤であるのに対して、引用例1には接着剤であることの記載がない点。

上記相違点について検討する。
相違点(1)について:
引用例2の「第1図ないし第4図の平板光導波路素子」、引用例3の「第3図〜第5図の光導波路」はいずれも、本願発明の「光導波路アレイ」に相当するから、引用例2,3には、本願発明の「各々が筐体に保持され、かつ、互いの光軸が一致するように筐体どうしを固定することによって互いに接続された光導波路アレイと入出力用光ファイバの光ファイバアレイとから構成される導波型光部品」が記載されているといえる。
そして、導波型光部品を製作する際に、製作目的とする導波型光部品の種類に応じて、使用する前記光導波路要素としてミクサを選択するか或いは光導波路アレイを選択するかは当業者が適宜設計し得る事項であるから、入出力用光ファイバアレイと接続される前記光導波路要素として、引用例1のミクサに換えて引用例2,3の光導波路アレイを採用することに格別の困難性はない。
相違点(2)について:
引用例1の「間隙に充填するシリコーン」は、-60℃〜200℃の広い温度範囲で安定したゴム弾性体の性質をもっているものであるから、樹脂状のものと認められる。そして、シリコーン樹脂を接着剤として用いることは普通に知られたことであり(「化学大辞典4、縮刷版」1963年10月15日、縮刷版第1刷発行、872頁の「シリコーン」の項、873頁の「シリコーン樹脂」の項参照。)、しかも、引用例1に記載されているように、前記間隙に充填するシリコーンとして熱変動に伴なう接合面の剥離が起こらない物を採用することが知られているのであるから、該接合面の剥離防止を十分なものとする為に、引用例1のシリコーンを接着剤とすることに格別の困難性はない。

そして、本願発明が奏する作用効果は、引用例1〜3に記載された発明から予測し得る程度のものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-06-05 
結審通知日 2002-06-11 
審決日 2002-06-27 
出願番号 特願平3-195336
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 吉美  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 吉田 禎治
土屋 知久
発明の名称 導波型光部品  
代理人 澤井 敬史  
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