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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1063833 |
審判番号 | 不服2000-7477 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-05-18 |
確定日 | 2002-09-17 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第304299号「データ処理方法および装置、情報記憶媒体」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年 5月28日出願公開、特開平11-143919、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年11月6日の出願であって、その請求項1〜15に係る発明は、平成11年12月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された次のとおりである。 「【請求項1】 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報を事前に用意しておき、 この回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するデータ処理方法において、 探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報を事前に用意しておき、 この無効パス情報と回路構造情報から縦型探索されるパスとの整合の有無を検出し、 この整合を検出すると探索中のパスを放棄するようにしたことを特徴とするデータ処理方法。 【請求項2】 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報を事前に用意しておき、 この回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するデータ処理方法において、 探索が無用なパスの両端に位置する第一第二のノードからなる少なくとも一つの無効パス情報を事前に用意しておき、 この無効パス情報の第一のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出し、 この一致を検出すると無効パス情報の対応する第二のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出し、 この一致も検出されると探索中のパスを放棄するようにしたことを特徴とするデータ処理方法。 【請求項3】 探索中のパスが放棄されると無効パス情報の第二のノードより手前の位置からパスの縦型探索を再開させるようにした請求項2記載のデータ処理方法。 【請求項4】 集積回路装置の回路動作を検証するために回路構造情報に対して信号経路となるパスを探索するスタティックタイミング解析のデータ処理方法であって、 請求項1ないし3の何れか一項に記載のデータ処理方法の縦型探索で前記スタティックタイミング解析を実行するようにしたデータ処理方法。 【請求項5】 無効パス情報は、実動作として有り得ないパス、テスト用のユーザは使用しないパス、非同期のクロックで制御されるパス、すでにタイミングを検証済みのパス、の少なくとも一つを特定するようにデータ設定されている請求項4記載のデータ処理方法。 【請求項6】 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報が事前に格納されている回路記憶手段と、 該回路記憶手段に保持された回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するパス探索手段と、 該パス探索手段による探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報が事前に格納されているパス記憶手段と、 該パス記憶手段に格納された無効パス情報と前記パス探索手段が回路構造情報から縦型探索するパスとの整合の有無を検出するパス比較手段と、 該パス比較手段が整合を検出すると前記パス探索手段が探索中のパスを放棄させる探索制御手段と、 を具備しているデータ処理装置。 【請求項7】 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報が事前に格納されている回路記憶手段と、 該回路記憶手段に保持された回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するパス探索手段と、 該パス探索手段による探索が無用なパスの両端に位置する第一第二のノードからなる少なくとも一つの無効パス情報が事前に格納されているパス記憶手段と、 該パス記憶手段に格納された無効パス情報の第一のノードと前記パス探索手段が回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出するノードとの一致の有無を検出する第一パス比較手段と、 該第一パス比較手段が一致を検出すると無効パス情報の対応する第二のノードと前記パス探索手段が回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出するノードとの一致の有無を検出する第二パス比較手段と、 該第二パス比較手段が一致を検出すると前記パス探索手段が探索中のパスを放棄させる探索制御手段と、 を具備しているデータ処理装置。 【請求項8】 前記探索制御手段は、前記パス探索手段に探索中のパスを放棄させると無効パス情報の第二のノードより手前の位置からパスの縦型探索を再開させる請求項7記載のデータ処理装置。 【請求項9】 集積回路装置の回路動作を検証するために回路構造情報に対して信号経路となるパスを探索するスタティックタイミング解析のデータ処理装置であって、 請求項6ないし8の何れか一項に記載のデータ処理装置による縦型探索で前記スタティックタイミング解析を実行するデータ処理装置。 【請求項10】 前記パス記憶手段は、実動作として有り得ないパス、テスト用のユーザは使用しないパス、非同期のクロックで制御されるパス、すでにタイミングを検証済みのパス、の少なくとも一つを特定するようにデータ設定された無効パス情報が格納されている請求項9記載のデータ処理装置。 【請求項11】 コンピュータが読取自在なソフトウェアが格納されている情報記憶媒体において、 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報を取り込むこと、 この回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索すること、 探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報を取り込むこと、 この無効パス情報と回路構造情報から縦型探索されるパスとの整合の有無を検出すること、 この整合を検出すると探索中のパスを放棄すること、 を前記コンピュータに実行させるためのプログラムが格納されていることを特徴とする情報記憶媒体。 【請求項12】 コンピュータが読取自在なソフトウェアが格納されている情報記憶媒体において、 回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報を取り込むこと、 この回路構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索すること、 探索が無用なパスの両端に位置する第一第二のノードからなる少なくとも一つの無効パス情報を取り込むこと、 この無効パス情報の第一のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出すること、 この一致を検出すると無効パス情報の対応する第二のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出すること、 この一致も検出されると探索中のパスを放棄すること、 を前記コンピュータに実行させるためのプログラムが格納されていることを特徴とする情報記憶媒体。 【請求項13】 探索中のパスが放棄されると無効パス情報の第二のノードより手前の位置からパスの縦型探索を再開させること、を前記コンピュータに実行させるためのプログラムも格納されている請求項12記載の情報記憶媒体。 【請求項14】 集積回路装置の回路動作を検証するために回路構造情報に対して信号経路となるパスを探索するスタティックタイミング解析を前記コンピュータに実行させるためのプログラムが格納されている情報記憶媒体であって、 請求項11ないし13の何れか一項に記載の情報記憶媒体のプログラムによる縦型探索で前記コンピュータに前記スタティックタイミング解析を実行させるためのプログラムが格納されていることを特徴とする情報記憶媒体。 【請求項15】 無効パス情報は、実動作として有り得ないパス、テスト用のユーザは使用しないパス、非同期のクロックで制御されるパス、すでにタイミングを検証済みのパス、の少なくとも一つを特定するようにデータ設定されている請求項14記載の情報記憶媒体。」 2.引用例 これに対して、原査定の平成12年1月20日付け拒絶理由通知書で、引用された特開平2-310676号公報、及び、特開平6-295324号公報には、次の事項が記載されている。 (1)特開平2-310676号公報(平成2年12月26日出願公開。以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「従来、2次元空間や3次元空間で、既構築物を避けながらパイプや電線などを配管・配線するルートを探索しようとする場合、障害物のない場所をさぐりながら試行錯誤を繰り返し、最終的にルートを決定するようにしている。」(第2頁上右欄第14行〜第18行) b.「第1図(イ)において、レコード1は、空間の次元数に対応した数の可能な行き先を登録する領域である。」(第3頁上左欄第19行〜上右欄第2行) c.「第1図(ロ)は、予め与えられた障害物の位置、始点、終点などの情報を持つダイヤグラムなどから取り出したルートを木構造で1部分を表したものである。」(第3頁上右欄第15行〜第18行) d.「第2図において、11は各地点における可能な候補をレコードに登録する。 12は、レコードを1つ進める。 13は、行く方向がなくなったか否かを判別する。YESの場合には、14NO、15ないし18によってバックトラックする。NOの場合には、11,12を繰り返し、例えば既述した第1図(ハ)レコード番号1ないし7に示すように、可能な行き先を順次登録する。そして、レコード番号7のときに第1図(ロ)1に示すように第1候補“東”について行き先がなくなったので、13NO(「YES」の誤記であるものと解される。)となり、14以降のバックトラックを行う。 14は、完成したか否かを判別する。これは、終点に達したか否かを判別することを意味している。YESの場合には、始点から終点に向かうルートの探索を終了する(END)。」(第3頁下左欄第15行〜下右欄第10行) 上記a〜d及び図面の記載によると、 刊行物1記載の発明は、木構造のルートを始点から順次探索し、行き先がなくなるとバックトラックしながら終点へ向かう探索を行っていることから、縦型探索を行っていることは明らかである。 そして、第1図(ロ)には、1に示す位置に「×」が記されていることと、行き先に障害物があれば、そのルートを先に進めず、行き先がなくなるという技術常識に鑑みると、当業者であれば、該「×」が障害物の位置を表すものと解することは明らかであり、また、該「障害物の位置」がそのルートが無効であることを表す無効情報であることは明らかである。 このため、刊行物1には、 「空間の次元数に対応した数の可能な行き先を登録しておき、 既構築物を避けながらパイプや電線などを配管・配線するルートを探索しようと、始点から終点までルートを順次探索する縦型のルート探索方式において、 無効情報である障害物の位置をあらかじめ与えておき、 無効情報を縦型探索されるルートをの整合の有無を検出し、 障害物の位置に達したら、バックトラックを行うルート探索方式」の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されている。 (2)特開平6-295324号公報(平成6年10月21日日出願公開。以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。 e.「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は論理回路の遅延時間検証装置に関し、特に論理回路をグラフ理論に従って表現し、このグラフ論理により表わされた遅延時間検証用の情報を用いて論理回路の遅延検証を行う遅延時間検証方式に関するものである。」(第2頁第1欄第17欄〜第23欄) f.「【0021】 【実施例】 図1は本発明による遅延時間検証装置の機能ブロック図である。被検証モデル情報ファイル1は遅延時間検証用情報を予め格納するものであり、図2,3のモデルでは、図4,5に示す情報が予め格納されている。 【0021】 すなわち、遅延時間が検証されるべき論理回路の各外部端子及び各回路素子の端子をノードとし、各ノード間の信号の流れをその方向として有するアークと、更にこれ等各アークの重みとして各々が有する遅延時間を与え、この遅延時間はアーク対応に始点と終点のR/F種別毎に与えられる。 【0022】 無効指定部2は、これ等アークのうち信号が立上り及び立下りの一つのみが有効となる様なアークに関して、そのアークと無効となる立上り(R)または立下り(F)を指定するものである。図2,3の例では、経路25(アークcに相当)の信号の立上り(R)を無効とする必要があるので、図6に示す如く、アークc,立上りRが指定される。 【0023】 被検証モデル情報修正部3は無効指定部2にて指定された無効となるべきアーク及び信号立上りまたは立下りに従って、被検証モデル情報ファイル1内の情報を修正する。すなちわ、図6の無効指定に従って、図5の情報を図7の情報に変更するのである。」(第3頁第3欄第44行〜第4欄第17行) g.「【0027】 そこで、先ず、縦形探索(深さ優先探索:Depth First Search,DFS)法により深さ方向のパスを求める(ステップ81)。このDFSの詳細は前述の文献に開示されている。このうちの1つのパスを第1のパスとして選択し(ステップ82)、当該パスの全ノードのR/F種別を、例えばオールRにセットする(ステップ84)。 【0028】 図4の例では、第1のパスをa→b→c→d→eとすると、そのパスの各ノードはp,q,r,s,t,uであり、これ等全てが信号立上りRにセットされるものとする。そして、全ノードのR/F種別の現在の組合せ、すなわち上記例では、オールRにおける全アークa〜eの重み(遅延時間)を夫々求める(ステップ86)。 【0029】 この重みは図7の修正後の情報を基に求められるものであり、その結果が図9の最上行に示されている。例えば、アークaの重みについてみると、始点はp,終点はqであり、現在のそれらのR/F種別は全てRであるから、図7のアークaの始点/終点のR/Rを参照すると、重み0であることが検索される。 【0030】 同様に、アークbの重みについてみると、始点q,終点rのR/F種別には全てRであり、よって図7のアークbのR/Rを参照すると、重み1であることが検索される。また同じく、アークcの重みについてみると、始点r,終点sのR/F種別は全てRであり、よって図7のアークcのR/Rを参照すると、無効×に修正されていることが判る。 【0031】 この様にして、全ノードのR/F種別がオールRの場合は、図9の最上行に示された各アーク重みが得られ、重みの合計が算出される(ステップ87)。しかし、この場合、重みに1つでも無効×があれば、合計も無効×とされる。」(第3頁第4欄第44行〜第4頁第5欄第13行) 上記e〜g及び図面の記載によると、 刊行物2記載の発明における遅延検証は、検証したい回路部分の始点ノードと終点ノードとの間に生じる遅延を検証することであることは明らかである。 そして、図4の記載から、ノードpからノードtまでのルートが複数あることは明らかである。 このため、刊行物2には、 「遅延時間が検証されるべき論理回路の各外部端子及び各回路素子の端子をノードとし、各ノード間の信号の流れをその方向として有するアークと、更にこれ等各アークの重みとして各々が有する遅延時間を事前に用意しておき、 始点ノードから終点ノードまでの遅延検証を行う遅延時間検証方式において、 これ等アークのうち信号が立上り及び立下りの一つのみが有効となる様なアークに関して、そのアークと無効となる立上り(R)または立下り(F)を無効指定部2で指定し、 縦形探索(深さ優先探索:Depth First Search,DFS)法により深さ方向のパスを求め、 求められた複数のパスにおいて、パス上のアークの重みを、無効指定部2で指定・変更した情報を基にそれぞれ求め、 重みに1つでも無効×があれば、合計も無効×とする遅延時間検証方式」の発明(以下、「刊行物2記載の発明」という。)が記載されている。 4.対比・判断 ア)本願請求項1に係る発明について 本願請求項1に係る発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、 刊行物1記載の発明は「ルート探索方式」なる物として発明が表現されているが、これを方法として発明を表現し得ることは自明であって、単なる表現上の問題にすぎないから、 本願請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とは、 「多数のノードが接続関係に対応して連結された構造を反映した構造情報を事前に用意しておき、 この構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するデータ処理方法において、 少なくとも一つの無効情報を事前に用意しておき、 この無効情報と構造情報から縦型探索されるパスとの整合の有無を検出し、 この整合を検出すると探索中のパスを放棄するようにしたことを特徴とするデータ処理方法。」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本願請求項1に係る発明は、構造情報が「回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報」であるのに対して、刊行物1記載の発明は、構造情報が既構築物を避けながらパイプや電線などを配管・配線することに関した情報である点。 (相違点2) 本願請求項1に係る発明は、無効情報が「探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報」であるのに対して、刊行物1記載の発明は、無効情報が「障害物の位置」の情報、すなわち、そのルートが行きづまったこと示す情報である点。 相違点2を検討すると、刊行物2記載の発明における「無効指定部2」で指定する無効情報が、パス探索が無用なパスを特定する情報ではなく、パス探索により求められたパスの遅延時間の無効を特定するものであるから、上記刊行物2記載の発明は、無効情報を「探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報」とする事項を備えていないから、刊行物1及び2記載の発明をどのように組み合わせても上記の点に至らない。 また、刊行物1及び2には、刊行物1及び2記載の発明の他であっても、当該事項に係る記載又は当該事項を示唆する記載はなされていない。 そして、当該構成によって、「無用なパスの探索を途中で放棄できるので、必要なパスのみを確実かつ迅速に探索することができる」という効果が得られるものと認められる。 したがって、相違点1を検討するまでもなく、本願請求項1に係る発明は、刊行物1及び2に記載された発明から当業者が容易に推考し得るものではない。 イ)本願請求項2に係る発明について 本願請求項2に係る発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、 刊行物1記載の発明は「ルート探索方式」なる物として発明が表現されているが、これを方法として発明を表現し得ることは自明であって、単なる表現上の問題にすぎないから、 本願請求項2に係る発明と刊行物1記載の発明とは、 「多数のノードが接続関係に対応して連結された構造を反映した構造情報を事前に用意しておき、 この構造情報の始点となる特定のノードから終点となる任意のノードまで多数のパスを順番に縦型探索するデータ処理方法において、 少なくとも一つの無効情報を事前に用意しておき、 この無効情報との一致の有無を検出し、 この一致も検出されると探索中のパスを放棄するようにしたことを特徴とするデータ処理方法。」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点3) 本願請求項2に係る発明は、構造情報が「回路素子に個々に対応した多数のノードが接続関係に対応して連結されて集積回路装置の構造を反映した回路構造情報」であるのに対して、刊行物1記載の発明は、構造情報が既構築物を避けながらパイプや電線などを配管・配線することに関した情報である点。 (相違点4) 本願請求項2に係る発明は、無効情報が「探索が無用なパスを特定する少なくとも一つの無効パス情報」であるのに対して、刊行物1記載の発明は、無効情報が「障害物の位置」の情報、すなわち、そのルートが行きづまったこと示す情報である点。 (相違点5) 本願請求項2に係る発明は、無効情報との一致の検出を「この無効パス情報の第一のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出し、この一致を検出すると無効パス情報の対応する第二のノードと回路構造情報から縦型探索の過程で順次検出されるノードとの一致の有無を検出」することにより求めているのに対して、刊行物1記載の発明は、無効情報と縦型探索されるパスとの一致の検出することで求めている点。 相違点4を検討すると、上記刊行物2記載の発明における「無効指定部2」で指定する無効情報は、パス探索が無用なパスを特定する情報ではなく、パス探索により求められたパスの遅延時間の無効を特定するものであるから、上記刊行物2記載の発明は、無効情報を「探索が無用なパスの両端に位置する第一第二のノードからなる少なくとも一つの無効パス情報」とする事項を備えていないから、刊行物1及び2記載の発明をどのように組み合わせても上記の点に至らない。 また、刊行物1及び2には、刊行物1及び2記載の発明の他であっても、当該事項に係る記載又は当該事項を示唆する記載はなされていない。 そして、当該構成によって、「無用なパスの探索を途中で放棄できるので、必要なパスのみを確実かつ迅速に探索することができる」という効果が得られるものと認められる。 したがって、相違点3及び5を検討するまでもなく、本願請求項2に係る発明は、刊行物1及び2に記載された発明から当業者が容易に推考し得るものではない。 ウ)本願請求項3〜5に係る発明について 本願請求項3〜5に係る発明と上記刊行物1及び2に記載された発明とを対比すると、 請求項3〜5に係る発明は、請求項1又は2に係る発明を更に限定したものであるから、上記請求項1又は2に係る発明についての判断と同様な理由により、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に推考し得るものではない。 エ)本願請求項6〜10に係る発明について 本願請求項6〜10に係る発明と上記刊行物1及び2に記載された発明とを対比すると、 本願請求項6〜10に係る発明は、本願請求項1〜5に係る発明をデータ処理装置なる物の発明として表現した発明であるから、上記請求項1〜5に係る発明についての判断と同様な理由により、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に推考し得るものではない。 オ)本願請求項11〜15に係る発明について 本願請求項11〜15に係る発明と上記刊行物1及び2に記載された発明とを対比すると、 本願請求項11〜15に係る発明は、本願請求項1〜5に係る発明を情報記憶媒体なる物の発明として表現した発明であるから、上記請求項1〜5に係る発明についての判断と同様な理由により、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に推考し得るものではない。 4.むすび したがって、本願請求項1〜15に係る発明は、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-09-03 |
出願番号 | 特願平9-304299 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 月野 洋一郎 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 加藤 恵一 |
発明の名称 | データ処理方法および装置、情報記憶媒体 |
代理人 | 福田 修一 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 京本 直樹 |