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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1064039
審判番号 不服2000-4759  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-04-05 
確定日 2002-09-24 
事件の表示 平成9年特許願第220363号「回路基板の構造」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年3月9日出願公開、特開平11-68270、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年8月15日の出願であって、本願の請求項1,2に係る発明は、平成11年8月9日付け及び平成12年4月5日付けの各手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「 【請求項1】 第1の面に第1の絶縁性部材が形成され、第2の面に第2の絶縁性部材が形成され、前記第1の絶縁性部材と前記第2の絶縁性部材の間に導電性部材が積層して配置された回路基板であって、
前記回路基板は、
前記第1の面と前記第2の面を開口する貫通孔と、
前記第1の絶縁性部材の前記貫通孔の開口部の近傍に形成された配線パターンと、
前記第2の絶縁性部材の前記貫通孔の開口周縁が除去されて前記導電性部材の一部が露呈された露呈面と、
頭部を有し前記貫通孔に挿通され前記導電性パターンに電気的に接続された導通用ねじと、
前記導通ねじを締結固定するナットと、
前記頭部又は前記ナットの側に配置され、前記導電性部材に直接接触して前記導電性部材と前記導通用ねじとを電気的に接続させる導電性を有するスプリングワッシャと
を備えている ことを特徴とする回路基板の構造。
【請求項2】 前記回路基板が通信機器用の回路基板からなることを特徴とする請求項1記載の回路基板の構造。」(上記請求項1に係る発明を、以下、「本願発明」という。)

2.原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、本願の請求項1,2に係る発明は、本願出願前に日本国内において頒布された実願平1-7691号(実開平2-101565号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)及び実願平2-114888号(実開平4-70762号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.当審の判断
本願発明は、「頭部又はナットの側に配置され、導電性部材に直接接触して導電性部材と導通用ねじとを電気的に接続させる導電性を有するスプリングワッシャ」を備えていることを特徴とするものであり、上記スプリングワッシャを備えたことによって、本願明細書に記載の効果に加えて、物理的、機械的に安定した接触力を得られると共に、上記スプリングワッシャの一部が導電性部材の露呈面に食い込んで、電気的にも安定した接触(導通)が得られるという格別の効果を奏するものである。
一方、引用例1には、金属ベース回路基板の接地構造において、ボルト(導電性部材)6の頭部6bの下面に複数の突起6cが設けられ、これら突起6cを金属板2に食い込ませるようにした構造が記載されているが、当該引用例1に記載のものにおいては、ボルト6の締結は専ら突起6cが設けられた頭部6bとナット7とによるものであり、本願発明の特徴とする上記スプリングワッシャを備えることにより、物理的、機械的に安定な接触力と共に電気的にも安定した接触(導通)を一体的に得ることについては、記載も示唆もされていない。
また、引用例2には、「金属板2の両側の面に絶縁層を介して回路パターンを形成」(明細書第6頁第6行〜第7行)することは記載されているが、本願発明の特徴とする上記スプリングワッシャについては、記載も示唆もされていない。
更に、前置報告において周知例として挙げられた特公平5-63034号公報、実開昭55-135478号公報、実開平4-80080号公報には、それぞれ、回路基板に電気部品の端子をネジ止めする際にスプリングワッシャを用いることが記載されているが、これら周知例に記載のスプリングワッシャは、いずれも、ボルトの頭部と平ワッシャとの間又はナットと平ワッシャとの間に設けられるものであるので、本願発明の特徴とする、導電性部材の露呈面に食い込んで、電気的にも安定した接触(導通)を得られるようなスプリングワッシャを示唆するものではない。
よって、引用例1、2及び上記周知例のいずれにも、本願発明の特徴とする上記スプリングワッシャについては、記載も示唆もされておらず、また、上記スプリングワッシャを備えることが、従来周知・慣用の技術であることを示す客観的な証拠もみあたらない。
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び上記周知例に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願の請求項2に係る発明は、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに「前記回路基板が通信機器用の回路基板からなること」と限定したものであるから、上記で説示したのと同様な理由により、引用例1、2に記載された発明及び上記周知例に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1,2に係る発明は、引用例1、2に記載された発明及び上記周知例に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本願については、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-09-10 
出願番号 特願平9-220363
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 落合 弘之中川 隆司亀ヶ谷 明久  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 鈴木 久雄
鈴木 法明
発明の名称 回路基板の構造  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  

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