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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1064139 |
審判番号 | 不服2001-2966 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-03-01 |
確定日 | 2002-09-06 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第362479号「有効化手段または無効化手段を備えたカード」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 6月29日出願公開、特開平11-170752]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成9年12月15日の出願であって、その請求項2に係る発明は、平成12年12月22日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。 「【請求項2】無線呼び出し信号を受信する受信手段と、カードとして機能するための情報を記憶する記憶手段と、情報を読み書きする手段と、所定の無線呼び出し信号を受信した際にカードとして機能するための情報を前記記憶手段から消去することによりカードの利用を無効化する手段を備えたカード。」 なお、平成13年3月30日付け手続補正は同日付けで却下された。 2.引用例の記載 これに対し、原審で引用した特開昭62-184571号公報(以下「引用例1」という。)、特開平2-96897号公報(以下「引用例2」という。)には、下記の事項が記載されている。 (引用例1) 「〔従来技術〕 このような装置は金融、流通等に用いられているが、カードを紛失したり盗難にあったときにカードを悪用されるおそれがある。このカードが異なる金融機関等で独立に管理されているコンピュータである本体装置に共通に使用可能な場合は、上記紛失等にあったときに直ちにすべてのコンピュータに使用不能等のデータ処理をさせるようにしている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 カードが複数の本体装置に使用可能である場合は、紛失等においてすべての本体装置で使用を不能とするための早急な手配が困難な場合が少なくない。それは本体装置が独立に管理されていることと、カードの使用者が使用できる本体装置をすべて知らない場合が少なくないからである。」(第1頁左下欄第19行〜右下欄第14行) 「〔実施例〕 以下、図によって本発明の一実施例を説明する。 11・・・1mはコンピュータである本体装置であって、カードの暗証キーワードに基づきカードとのデータ処理を行なう。これら本体装置11・・・1mは異なる金融機関、流通機関等によって独立に管理されているものである。211・・・21n,・・・2m1・・・2mnは夫々の本体装置11・・・1mに設けられた複数の端末機である。 3はこれら端末機211・・・21n,・・・2m1・・・2mnに装填可能なカードであってデータの演算回路4を有する。このカード3は所定の暗証キーワードに基づき本体装置11・・・1mとのデータ処理を行ない例えば貯金残高等のデータを演算記憶する機能を有するものである。5はカード3に設けられた特定信号を受信するための受信回路、6は受信回路5(誤記と認めて訂正した。)の出力信号に基づき演算回路4の演算処理を停止させるための停止回路である。7はこれらの回路等の電源である。8はカード3と別体に設けられた前記特定信号を発生させるための信号発生装置である。前記特定信号は暗証キーワードに対応するものである。又、特定信号は信号発生装置8より無線で送信され、前記受信回路5によって受信される。受信された特定信号はカード3の暗証キーワードとの照合をとる照合回路9によって照合される。照合結果、当該カード3の暗証キーワードに対応した特定信号の場合にのみ前記停止回路6を作動させる出力信号を発生させるものである。 上記実施例による動作は、カードを紛失したとき、信号発生装置8によりカードの暗証キーワードに対応した特定信号を送信させる。特定信号はカード3の受信回路5で受信されるが、照合回路9によってそのカードの暗証キーワードと対応したときのみ停止回路6が作動される。従って、他カードの暗証キーワードに対応した特定信号では作動しない。演算回路4は停止回路6によって、演算動作が停止されるように設定されるため端末機211・・・21n,・・・2m1・・・2mnに装填してもデータ処理がなされない。」(第2頁左上欄第8行〜左下欄第7行) 上記の「カード3は所定の暗証キーワードに基づき本体装置11・・・1mとのデータ処理を行ない例えば貯金残高等のデータを演算記憶する機能を有するものである」という記載からみて、カード3は、所定の暗証キーワードを記憶する記憶手段、及びデータを読み書きする手段を備えているものと認められる。 上記記載によれば、引用例1には、金融機関等で使用可能なカード3を紛失したときに当該カード3の暗証キーワードに対応する特定信号を発生させる信号発生装置8と、無線で送信される前記特定信号を受信する受信回路5と、カード3の暗証キーワードを記憶する記憶手段と、データを読み書きする手段と、特定信号を受信した際に当該カード3の暗証キーワードに対応した特定信号の場合にのみ停止回路6を作動させて、カード3を端末機に装填してもデータ処理を停止するカードが記載されている。 (引用例2) 「第2図に示すようにカードの磁気ストライプ部20には、他のカードシステムと区別するための特定データ30やオペレータコード31,そしてカードの有している金銭的価値を示すデータ32が記録されている。本例の特定データは”TSEC”の4つのキャラクタで構成されている。またカ-ドが不正に引き戻されるとこの磁気ストライプ部20には全て”1”または”0”の無効データが記録される。」(第2頁右下欄第5行〜第13行) 「(ト)発明の効果 本発明によると、カードが不正により引き戻されると、このカードには無効データが記録されるために、再度使用することはできない。従って不正で引き戻された場合のみ無効とするために、故障等で引き戻された場合にはカードデータは破壊されることがなく、信頼性の優れたカード式自動販売機が提供される。」(第4頁左上欄第15行〜右上欄第2行) 3.対比・判断 本願の請求項1に係る発明(以下「前者」という。)と上記引用例1記載の発明(以下「後者」という。)を比較する。 両者は、カードであって、 後者の「データ」は情報に含まれるものであるから、後者の「情報」に対応し、 後者の「暗証キーワード」もカードとして機能するための情報ということができるから、前者の「カードとして機能するための情報」に対応しており、 両者は、無線呼び出し信号を受信する受信手段と、カードとして機能するための情報を記憶する記憶手段と、情報を読み書きする手段と、所定の無線呼び出し信号を受信した際にカードの利用を不能にする手段を備えたカードである点で一致し、 カードの利用を不能にする手段が、前者は、カードとして機能するための情報を前記記憶手段から消去することによりカードの利用を無効化する手段であるのに対し、後者は、カードのデータ処理を停止する停止回路6である点で相違している。 次に、上記相違点について検討する。 引用例2には、カードの磁気ストライプ部20には、他のカードシステムと区別するための特定データ30やオペレータコード31,そしてカードの有している金銭的価値を示すデータ32が記録され、カ-ドが不正に引き戻されるとこの磁気ストライプ部20には全て”1”または”0”の無効データが記録されることが記載されている。上記「カードが不正に引き戻される」は、前者や後者におけるカードを紛失したときに対応し、そのカードをそれ以後利用できないようにするという点で一致している。 更に、ICカードの記憶部に記憶されているID情報を消去してカードを無効とすることは実願昭61-195816号(実開昭63-103164号)のマイクロフィルムに記載されるように周知である。 したがって、後者において、停止回路に代えて、かかるカードに記録されているデータを無効データとする手段を採用して、カードとして機能するための情報を前記記憶手段から消去することによりカードの利用を無効化する手段とすることは当業者が容易に推考し得ることである。 また、本願発明の効果についてみても、上記事項の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 4.むすび 以上のとおりであって、本願の請求項2に係る発明は、上記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-06-21 |
結審通知日 | 2002-07-02 |
審決日 | 2002-07-16 |
出願番号 | 特願平9-362479 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
馬場 清 |
特許庁審判官 |
吉岡 浩 堀田 和義 |
発明の名称 | 有効化手段または無効化手段を備えたカード |
代理人 | 吉澤 敬夫 |