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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01C |
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管理番号 | 1064195 |
審判番号 | 審判1997-4200 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-09-21 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-03-21 |
確定日 | 2000-10-18 |
事件の表示 | 平成4年特許願第44527号「チップネットワーク型抵抗器」拒絶査定に対する審判事件(平成5年9月21日出願公開、特開平5-243020)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本件発明 本願は、平成4年3月2日の特許出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本件請求項1に係る発明」という。)は、平成9年4月17日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。 「基板に間隔を置いて並列させて形成した略四角形状の貫通孔と、この貫通孔を四角形状に直線的に連ねる切込み線とによって囲まれる部分を分離することで、側面に間隔を置いて切欠部が形成された基板に複数の抵抗器が連設されてなり、前記切欠部は、平坦な一対の側壁面と、前記基板側面と略平行で平坦な底面との三面を有し、この切欠部によって基板側面に形成される凸部の先端面の全面と、先端面の両側の側面及び先端面の上下側の面の先端面寄りの一部分とに各抵抗器の電極部が形成されたことを特徴とするチップネットワーク型抵抗器。」 2.引用例 一方、当審における拒絶の理由で引用した実願昭57-121274号(実開昭59-26201号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という。)には、明細書第1頁第11〜12行の『本考案は電気機器の構成部品の一つであるチップ部品に関するものである。』なる記載、同第2頁第13〜15行の『第2図に示すようにセラミック基板6の上面に二本の抵抗体7,8を設け、この抵抗体7,8の両端に電極9,10,11を設ける。』なる記載、同第2頁第17〜19の『セラミック基板6にはスリット13が設けられ電極9と10とを分離している。』なる記載、同第3頁第4〜7行の『第3図に示すように第2図の電極11を電極14,15に分割し、間にスリット16を設けてもよい。また抵抗体・・・は任意の数設けることができる。』なる記載、及び第2,3図の記載内容等からみて、 「側面に間隔を置いてスリット13,16が形成されたセラミック基板6に複数の抵抗体7,8が連設されてなり、前記スリット13,16は、平坦な一対の側壁面と、前記セラミック基板6側面と略平行で平坦な底面との三面を有し、このスリット13,16によってセラミック基板6側面に形成される凸部の先端面の全面と、先端面の上側の面とに各抵抗体7,8の電極9,10,14,15が形成されたチップ部品。」 が記載されている。 そして、明細書第2頁第19行〜第3頁第2行には『このようにスリット13を設けることによって半田付時に両者が接続状態になることはなく、二個の素子を有するチップ部品を小型に形成することができる。』、同第3頁第10〜12行には『チップにスリットを設けて電極を分離しているので半田付時に電極が短絡してしまうことがないものである。』との記載がある。 同じく引用した特開昭63-302502号公報(以下、「第2引用例」という。)には、第1図の従来例の記載を参照すると、 「絶縁性基板1に間隔を置いて並列させて形成した通孔3,3’と、この通孔3,3’を四角形状に直線的に連ねる分割用切溝2とによって囲まれる部分を分離することで、側面に間隔を置いて凹部側面10が形成された絶縁性基板1に複数の抵抗体6が連設されてなる小型抵抗体配列板。」 が記載されている。 同じく引用した特開昭63-7601号公報(以下、「第3引用例」という。)には、 「平板状基板6を、端子相当部分8が突出する形状に形成し、前記基板6の表面に抵抗体10ネットワークを形成するとともに、それらの抵抗体10から前記端子相当部分8に延びる引出し電極14を形成し、前記端子相当部分8では前記引出し電極14に接触し端子相当部分8の一部分である表面、側面及び裏面に渡って端面電極16を形成した面実装用ネットワーク抵抗器。」 が記載されている。 3.対比 そこで、本件請求項1に係る発明と第1引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「スリット13,16」,「セラミック基板6」,「抵抗体7,8」,「電極9,10,14,15」,「チップ部品」は、それぞれ、前者の「切欠部」,「基板」,「抵抗器」,「電極部」,「チップネットワーク型抵抗器」に相当する。 したがって、両者は、 「側面に間隔を置いて切欠部が形成された基板に複数の抵抗器が連設されてなり、前記切欠部は、平坦な一対の側壁面と、前記基板側面と略平行で平坦な底面との三面を有し、この切欠部によって基板側面に形成される凸部に各抵抗器の電極部が形成されたチップネットワーク型抵抗器。」 の点において一致し、以下の▲1▼▲2▼の点で相違する。 ▲1▼側面に間隔を置いて切欠部が形成された基板を、前者が、基板に間隔を置いて並列させて形成した略四角形状の貫通孔と、この貫通孔を四角形状に直線的に連ねる切込み線とによって囲まれる部分を分離することで形成するのに対し、後者が、どのようにして形成するのか不明である点。 ▲2▼凸部に形成される各抵抗器の電極部を、前者が、凸部の先端面の全面と、先端面の両側の側面及び先端面の上下側の面の先端面寄りの一部分とに形成するのに対し、後者が、凸部の先端面の全面と、先端面の上側の面とに形成する点。 4.当審の判断 上記相違点▲1▼▲2▼について検討する。 ▲1▼について:第2引用例には、側面に間隔を置いて凹部側面10が形成された絶縁性基板1を、「絶縁性基板1に間隔を置いて並列させて形成した通孔3,3’と、この通孔3,3’を四角形状に直線的に連ねる分割用切溝2とによって囲まれる部分を分離することで形成する」構成が記載されている。 そして、第2引用例記載の絶縁性基板1と第1引用例記載の基板(セラミック基板6)とは、共に複数の抵抗器(抵抗体)が連設されてなるチップネットワーク型抵抗器に用いられるものであって、その技術分野を共通するものであるから、第1引用例記載の切欠部(スリット13,16)を第2引用例記載の上記構成のようにして形成して本件請求項1に係る発明のような構成とする程度のことは、必要に応じて当業者が格別困難なくなし得る事項にすぎない。 ▲2▼について:第3引用例には、「端子相当部分8では引出し電極14に接触し端子相当部分8の一部分である表面、側面及び裏面に渡って端面電極16を形成した」構成が記載されている。 そして、第3引用例記載の端面電極16と第1引用例記載の電極部(電極9,10,14,15)とは、共に複数の抵抗器(抵抗体)が連設されてなるチップネットワーク型抵抗器に用いられるものであって、その技術分野を共通するものであるから、第1引用例記載の電極部として第3引用例記載の上記構成を採用して本件請求項1に係る発明のような構成とする程度のことは、必要に応じて当業者が格別困難なくなし得る事項にすぎない。 そして、本件請求項1に係る発明の効果は、第1〜3引用例に記載された発明から予測し得る程度のものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、第1〜3引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-22 |
結審通知日 | 1999-07-02 |
審決日 | 1999-07-12 |
出願番号 | 特願平4-44527 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 朋広、須原 宏光 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
西川 一 浜 勇 |
発明の名称 | チップネットワーク型抵抗器 |
代理人 | 中村 茂信 |