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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C30B
審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C30B
審判 一部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C30B
管理番号 1064273
異議申立番号 異議2000-73001  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-01-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-04 
確定日 2002-06-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3006669号「結晶欠陥の均一なシリコン単結晶の製造方法およびその製造装置」の請求項1〜4に係る発明の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3006669号の請求項1及び2に係る発明の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3006669号は、平成7年6月20日に出願されたものであって、平成11年11月26日に特許の設定登録がなされ、その後、村中祥世より、本件請求項1〜4に係る発明の特許について特許異議の申立がなされ、これに基づいて、取消理由通知がなされ、平成13年10月2日付けで特許権者より明細書の訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否
II-1.訂正事項
本件明細書につき、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されるとおりの次の(a)〜(e)の訂正を求めるものである。
(a)特許請求の範囲の請求項1における、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」を、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項2及び4を削除する。
(c)特許請求の範囲の請求項3における、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持することを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」を、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」と訂正する。
(d)請求項の表示方法につき、請求項3、及び5〜7を、それぞれ、請求項2〜5とする。
(e)明細書の段落0006における、
「・・・その主な要旨はチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、およびチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、・・・。」を、
「・・・その主な要旨はチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、およびチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、・・・。」と訂正する。

II-2.訂正の目的の適否
上記(a)の訂正は、シリコン単結晶の製造方法につき、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し」との構成を付加するものであり、これは、単結晶の温度を、処理区間及び温度範囲の観点から限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(b)の訂正は、請求項を削除するだけのものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(c)の訂正は、シリコン単結晶の製造方法につき、「育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるように」するとの構成を付加ものであり、これは、単結晶が成長時に通過する温度域の時間を限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(d)の訂正は、上記(b)の請求項2及び4の削除に伴い、それ以降の請求項を、繰り上げて整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
上記(e)の訂正は、上記(a)及び(c)の特許請求の範囲の記載の訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載をこれに整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

II-3.新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(a)の訂正事項は、本件明細書の段落0011等に記載され、また、上記(c)の訂正事項は、本件明細書の段落0011等に記載され、いずれも、本件明細書に記載した事項の範囲内でなされたものである。
また、上記(b)、(d)及び(e)は、その訂正内容からみて明らかなとおり、本件明細書に記載した事項の範囲内でなされたものである。
そして、上記(a)〜(e)の訂正は、発明の目的の範囲内で、特許請求の範囲の減縮を目的としてなされるものであり、ないしは、明細書の記載を整合させるだけのものであって、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

II-4.訂正の適否の結論
よって、上記訂正請求は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立について
III-1.本件発明
本件特許第3006669号の請求項1〜4は、上記訂正により、新たな請求項1及び2に訂正されたものである。
そして、訂正された本件請求項1及び2に係る発明(以下、必要に応じて、それぞれ、訂正発明1及び2という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載される次のとおりのものである。
【請求項1】チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項2】チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。

III-2.特許異議申立の概要
特許異議申立人は、証拠として
甲第1号証:応用物理 第60巻 第8号(1991)、「Si結晶の熱処
理過程と欠陥の形成」、第766-772頁
甲第2号証:千川圭吾編、「バルク結晶成長技術」、1994年5月20
日、株式会社培風館、第43〜54頁
甲第3号証:Journal OF CRYSTAL GROWTH、
Volume64(1983)No.3、「HEAT TR
ANSFER IN SILICON CZOCHRALS
KI CRYSTAL GROWTH」、p448〜460
甲第4号証:特開平4-198087号公報を引用し、
(イ)本件請求項1〜4(訂正後の請求項1及び2)に係る発明は、甲第1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであって、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり(理由-イ)、
(ロ)本件請求項1〜3(訂正後の請求項1及び2)に係る発明の特許は、特許法第36条第4項及び第6項の規定を満たしていない特許出願についてなされたものであり(理由-ロ)、したがって、それらの特許は取り消されるべきものである旨主張する。
III-3.証拠の記載内容
甲第1号証には、Si結晶の熱処理過程と欠陥の形成と題し、次のことが記載されている。
(A-1)「本論文では,Cz-Siのみを対象としている。」(第766頁左欄第10行)
(A-2)「われわれは,6インチ結晶の育成を可能とする実験用の引き上げ炉を用い,測温により冷却の状況を調べた.測定法は,図1に示すような2つの方法である.1つは,(a)に示すように,すでに引き上げられた結晶を用い,これに熱電対を挿入し再び炉内にもどし,熱平衡に達した後に通常の引き上げと同様に結晶を移動させながら測定する.・・・.もう1つは,(b)に示すように,熱電対を種子結晶にくくりつけ,結晶を成長させながら測定する.この方法では,熱電対の位置一点に関し凝固時も含む冷却過程を測定することができる。(b)の実験によって得られた冷却カーブを図2に実線で示す.横軸はメルト表面からの距離を示している.一方,(a)の実験によって得られた冷却カーブを図2の上に点線で描くと,わずかな差異は見られるがほぼ実線に重なる.実験結果をまとめると以下の点に整理できる。1)結晶中の各部位の温度はその位置のメルト表面からの距離によってほぼ決まる.2)厳密にみると,結晶のトップ部とボトム部とでは違いがあり、トップ部ほどやや冷却速度は速い.・・・通常の引き上げ速度(1.5mm/min以下)であれば結晶中の温度は常に炉内との熱的平衡状態にある.」(第766頁右欄第4行〜第767頁左欄下から第14行)、
(A-3)結晶の中心の冷却過程を表した図2をみると、結晶の中心温度が、メルト表面より0mmの位置の約1400℃から、メルト表面より1600mmの位置の約300℃まで推移している。
(A-4)「酸素析出欠陥の形成は,当然予想される事ではあるが,結晶の冷却条件によって変化する.図3に,2種類の製造条件により育成された,それぞれ数本の結晶の酸素析出量と初期酸素濃度(as-grown結晶中の固溶酸素濃度を指す)との関係を示す.・・・図において黒丸で示した結晶は,結晶成長後図2のカーブに沿って炉内で低温まで徐冷されたものである.一方,白丸で示した結晶は,成長終了後ただちに結晶を炉の上端に移動させると共に,炉の電源を落とし急冷されたものである。・・・.すなわち,二つの条件において大きく異なる点は,650℃以後の冷却にある.徐冷結晶は650℃以後も徐冷されているのに対し,急冷結晶は,650℃よりも高温側から急冷されている.・・・.二つの条件に対し,析出カーブは明瞭に二本のカーブに分かれる.650℃以下の低温域を徐冷されることによって,次段の800℃の熱処理で成長しうる析出核が多量に生成され,その結果,析出が進行したものと考えられる.以上の結果は,650℃以下の冷却が析出核形成に対し重要であることを示している.」(第767頁右欄第7行〜第768頁左欄本文第4行)

甲第2号証には、酸素析出に及ぼす熱履歴の影響と題し、次のことが記載されている。
(B-1)「図2.4にその方法を示す。この場合には5インチのP型(100)結晶を425mm引き上げたところで,そのままの状態で結晶の引上げを2時間停止した。そのままの状態とは,結晶下面をるつぼ中の融液に接触させたまま,結晶とるつぼの回転を続けた状態という意味である。2時間の停止の後に通常の方法でボトムを形成し,その後結晶を引上げ機の最上部まで上げて冷却した。こうすることにより結晶の各部位は,通常の熱履歴に加えて2時間の過剰な熱履歴を受けることになる。」(第45頁第19行〜第46頁5行)
(B-2)「1から8の部位の中心軸近傍のサンプルを,850℃で熱処理したときの酸素析出量を図2.5に示す。また図2.6には,種々の温度での熱処理で発生した析出物の密度を示した。これら二つの図で,横軸は引上げ停止中に各サンプルが保持された温度である。これらの図から,酸素析出は約800℃以下と約1100℃以上の熱履歴で促進されることがわかる。」(第46頁第12〜16行)
(B-3)図2.5及び2.6をみると、800℃で熱処理した場合より、700℃及び600℃で熱処理した場合の方が、酸素の析出率及び酸素析出物密度が、概ね、大きくなっている。

甲第3号証には、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶成長における熱伝導と題し、以下のことが記載されている。
(C-1)「チョクラルスキー育成法は、Fig.1に模式的に示される結晶成長炉で行われる。結晶成長炉には、石英ルツボと黒鉛サセプタで構成され、黒鉛製の回転軸で支持されたルツボを有する。ルツボは、結晶成長に必要なエネルギーを供給する黒鉛製の抵抗ヒーターに囲まれている。さらに、ヒーターは、黒鉛の固体層と3層の黒鉛フェルト製の断熱材からなる熱遮蔽材によって覆われている。」(第448頁左欄下から第12〜下から第3行)
(C-2)有限要素モデルを用いて、結晶育成時の温度分布を計算した結果が、Fig.7に示されており、同図をみると、結晶の温度につき、そのメルト隣接区域が約1400℃、最上端区域が約650℃で、メルト区域から最上端に向かって温度が降下し、その途中の中間位置にパージパイプが配置され、当該パージパイプの近傍では結晶の温度が約750〜約800℃となっている。(第454頁右欄及び第455頁Fig.7)
甲第4号証には、単結晶引き上げ方法に関し、以下のことが記載されている。
(D-1)「坩堝1の側方には坩堝1を側面から加熱する黒鉛製のヒータ4が配され、坩堝1,ヒータ4は、適宜厚みに成形された黒鉛製の断熱材6a,6bによって側方及び下方から覆われている。」(第2頁左下欄第13〜17行)

III-4.対比、判断
III-4-1.理由-イ(特許法第29条第2項)について
訂正発明1について
本件明細書の記載によれば、訂正発明1は(訂正発明2においても同じ)、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶のBMD密度(結晶欠陥密度)を結晶成長方向(結晶軸方向)で均一化することを目的とし(段落0005)、発明の構成として、シリコン単結晶の成長方法において、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことにより、その余の構成と相俟って、シリコン単結晶の種側の600〜700℃の通過時間を短縮し、単結晶の結晶成長方向におけるBMD密度のばらつきを抑制することができ(段落0007、段落0008、段落0013、図3、及び図5の記載を参照)、上記目的を達成することができたものである。
これに対して、甲第1号証には、チョクラルスキー法による単結晶の製造に関し、結晶成長時に、単結晶の温度を約1400℃から約300℃に推移させること(前記A-3を参照)、成長終了後ただちに結晶を炉の上端に移動させ急冷すること(前記A-4を参照)、又は、単結晶が650℃以下の低温域を徐冷されることによりそこに結晶欠陥の原因となる析出核が多量に生成されること(前記A-4を参照)が示されるものの、そこでは、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことについては何も記載されず、また、単結晶の結晶成長方向におけるBMD密度を均一化することについて配慮されるものでもない。
次に、当該700℃以上に保持する構成につき、甲第2〜4号証の記載を順次みる。
甲第2号証には、単結晶の酸素析出に及ぼす熱履歴の影響につき、800℃で熱処理した場合より、700℃及び600℃で熱処理した場合の方が、酸素の析出率及び酸素析出物密度が大きくなること(前記B-3)が示されるが、ここでは、単結晶の結晶成長方向におけるBMD密度を均一化することについての配慮はなく、また、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことについては何も記載されない。
甲第3号証には、結晶育成時の結晶の温度分布を計算すると結晶の温度が約1400℃〜約650℃の分布を有し、パージチューブの近傍では結晶の温度が約750〜約800℃であることが示されるだけであり、ここでは、単結晶の結晶成長方向におけるBMD密度を均一化することについての配慮はなく、また、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことについては何も記載されない。
なお、特許異議申立人は、該パージチューブにより結晶が急冷されると主張するが、その主張は根拠を欠き、採用することなどできるものではない。
甲第4号証には、単結晶引き上げ方法に関し、坩堝1及びヒータ4は、黒鉛製の断熱材6a,6bによって側方及び下方から覆われていることが示されるだけで、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことについて示唆されるものは何もない。

以上のとおり、甲第1〜4号証の記載からは、単結晶の結晶成長方向におけるBMD密度を均一化するための構成である、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持する」ことが教示されない。
したがって、訂正発明1は、上記構成を備える点で、甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1の構成の全てを具備するものであり、したがって、上記した理由と同じ理由により、甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

III-4-2.理由-ロ(特許法第36条第4項及び第6項)について
ここでの特許異議申立人の主張は、次のようなものである。
(a)請求項1(訂正後の請求項1)には、「育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにする」と規定しているが、明細書には、「通過時間が80分以下」とする数値の臨界的意義に関する記載がなく、また、それを達成するためにどのような手段を採用したかについても、当業者が実施できる程度に記載がなされていない。
(b)請求項2(訂正により削除)には、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」することを規定しているが、結晶温度の上限を規定していないので、1200℃または1300℃に保持することも包含する。ところが、本件明細書には「チャンバー首部の温度が上がり、首部での急冷効果が小さくなり、600℃〜700℃の温度領域を通過する時間が長めになってしまうからである。」と高温を回避すべきと記載され、上記規定内容と明細書の記載との間に齟齬をきたしており、請求項2の内容を不明確なものとしている。
(c)請求項3(訂正後の請求項2)では、ホットゾーンの大きさ、断熱筒の形状、寸法、材質、さらにチャンバー寸法等の詳細な製造条件を規定しないまま、「チャンバー上部内面までの距離をルツボ以上」とする必然性はなく、発明内容を不明瞭にしている。
以下、特許異議申立人の主張内容について検討する。
上記(a)について
訂正後の請求項1の、「育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにする」という構成については、
本件明細書には、「従来型の炉内構造図2(a)では、断熱筒はチャンバーの上部内面までは到達しておらず、この部分から熱の散逸があるため、成長結晶は上部より冷却が進み、チャンバー引き上げ室内に位置する時に既に上部は700℃未満になってしまう。従って、従来では結晶の種側の600〜700℃の通過時間が尾部側より長く、BMD密度の不均一が生じるのである。」(段落0009の抜粋)と、シリコン単結晶のBMD密度の不均一性は、結晶の種側の600〜700℃の通過時間が尾部側より長いことに起因することが記載され、そして、
「このような構造をもつ炉により、実際に結晶を成長させ温度分布を測定したところ図3に示したように、融液面よりチャンバー上部内面までの温度を700℃以上に保つことができ(図3a参照)、育成されるシリコン単結晶の種側が600〜700℃までの温度域を通過する時間を従来の100分以上から80分以下とすることができた(図3b参照)。このような炉から製造されたシリコン単結晶のBMD密度分布は図1の実線で示したごときになっており、種側のBMD密度が減少し、種側から尾部まで、BMD密度の均一な結晶を得ることが出来た。」(段落0011)と、育成されるシリコン単結晶の種側が600〜700℃までの温度域を通過する時間を80分以下とすることで、製造されたシリコン単結晶のBMD密度分布は、図1の実線で示したようになっており、種側のBMD密度が減少し、種側から尾部まで、BMD密度の均一な結晶を得ることができたと記載されるものである。
このように、当該構成については、シリコン単結晶の種側の600〜700℃の通過時間が尾部側より長いものであるところ、シリコン単結晶の種側が600〜700℃の温度域を通過する時間を80分以下とすることで、すなわち、種側と尾部側を含むシリコン単結晶全体が、600〜700℃の温度域を通過する時間を、80分以下とすることにより、BMD密度の均一な結晶を得ることができたと、実質上、説明されるものである。
してみれば、本件明細書には、上記構成の「通過時間が80分以下」とすることの意義が明らかに示されている。そして、数値限定の数値は、臨界的意義があればその発明がより明確になるといえるとしても、常に、そこに、臨界的意義が存しなければならないものでもない。
次に、本件明細書の図2及びそれを説明する段落0009、0010及び0013には、上記構成の「通過時間が80分以下」とするための手段が示されるものである。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明につき、それが不明瞭であるということはできず、また、当業者が容易に実施できる程度に発明が記載されていないといえるものではない。
上記(b)について
請求項2は、前記訂正請求により、削除されたものであり、これによれば、その不備を主張する対象がもはや存在せず、その主張は当たらないものである。
そうすると、これ以上、特許異議申立人の主張に対して触れる必要がないが、特許異議申立人は、本件の「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」するという構成が不明瞭であるというので、この点につき、検討することとする。
本件明細書の記載(段落007、0011、0013、図3及び5)によれば、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」することにより、製造された単結晶のBMD密度のばらつきを抑制することができたというものである。
そして、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上の「1200℃または1300℃」に保持するものとしても(当業者であれば、その生産効率からみて、このような高温度を採用することは考えられないが)、その後、常法により、冷却されるものであり、この場合においても、結晶成長時においては、単結晶の種側が700度未満の温度域に達することはなく、したがって、単結晶における、結晶成長方向におけるBMD密度のばらつきが抑制されるものである。
したがって、本件の「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」するという構成において、その上限の温度が規定されないとしても、そのことから、係る構成が不明瞭であるといえるものではない。
上記(c)について
訂正後の請求項2では、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」することを規定するものである。
そして、そのことにより、製造された単結晶のBMD密度のばらつきを抑制することができるものであり、このことは、上記(b)の箇所で説示したとおりである。
したがって、訂正後の請求項2に係る発明では、ホットゾーンの大きさ、断熱筒の形状、寸法、材質、さらにチャンバー寸法等につき各種態様のものが選択しうるとしても、「融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持」するのであるから、程度の差はあれ、製造された単結晶のBMD密度のばらつきを抑制することができるものである。
一方、訂正後の請求項2のその他の構成である「ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ以上」とすることについては、その規定内容が別段不明瞭であるということもできず、また、請求項に記載される構成について、常に、格別の意義が要求されるものでもない。
このように、訂正後の請求項2の記載は、全体として、不明瞭といえるものではない。

したがって、本件明細書の記載が、特許法第36条第4項、第5項及び第6項の規定を満たしていないといえるものではない。

IV. まとめ
訂正請求は認める。
特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
結晶欠陥の均一なシリコン単結晶の製造方法およびその製造装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項2】 チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項3】 チョクラルスキー法によるシリコン単結晶を製造する装置であって、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上に設定しかつ、ルツボ及びヒーターを囲繞する断熱筒をチャンバー上部内面まで延長したことを特徴とする、シリコン単結晶の製造装置。
【請求項4】 チョクラルスキー法によるシリコン単結晶を製造する装置であって、ルツボ及びヒーターを囲繞する断熱筒をチャンバー上部内面まで延長しルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持したことを特徴とする、シリコン単結晶の製造装置。
【請求項5】 チョクラルスキー法によるシリコン単結晶を製造する装置であって、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上に設定しかつ、ルツボ及びヒーターを囲繞する断熱筒をチャンバー上部内面まで延長しルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持したことを特徴とする、シリコン単結晶の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、結晶の成長方向で結晶欠陥が均一なチョクラルスキー法(引き上げ法)によるシリコン単結晶を製造する方法、およびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョクラルスキー法によって製造した単結晶シリコン中には、結晶成長中に種々の微小欠陥が導入される。これらの微小欠陥は、主に酸素析出起因の欠陥である場合が多く、シリコン単結晶より採取したウェーハを所定の酸素析出用の熱処理後、該ウェーハを劈開して選択エッチング後、その劈開面上を顕微鏡で観測することで検出され、このようにして検出された微小欠陥のことをBMD(Bulk Micro-Defect)と称される。しかして、このBMDはLSI製造工程においてゲッタリング中心として働き、デバイス製造工程中に導入される種々の不純物等を取り込み、デバイス形成領域を清浄に保ち、デバイス製造歩留りを向上させる機能を有する。
【0003】
一方、このBMDが多過ぎるとデバイス形成領域にも悪影響を及ぼし、リーク電流の発生等、特性劣化の原因となる。また、BMDが少なすぎると、前記ゲッタリング効果が望めなくなる。
従って、歩留りよくLSIを製造するためにはBMD密度を制御し、結晶中に過不足なく導入されることが重要となる。必要とされるBMDの密度は、デバイス工程の種類、熱処理条件、工程汚染度等により変るため、シリコン単結晶を成長させる際に、要求される目標のBMD密度の範囲内に入れられるか否かによって結晶の歩留りが大きく左右されることとなる。
【0004】
しかるに、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶中に導入されるBMD密度は、同一シリコン単結晶中でも種結晶側と尾部側とでは大幅に異なり、種結晶側は尾部の100倍以上、時には数1000倍もの密度となる。従って、一本のシリコン単結晶のうち、目標とするBMD密度の部分がわずかしかなく、著しく単結晶歩留りの低下をきたしてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の結晶欠陥密度(BMD密度)を結晶成長方向(結晶軸方向)で均一化し、シリコン単結晶の歩留り向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、チョクラルスキー法によって、シリコン単結晶成長時にその成長単結晶が受けた熱履歴と、導入された結晶欠陥密度との関係を種々、調査、検討した結果本発明を完成させたもので、その主な要旨はチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、およびチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、さらにはチョクラルスキー法によるシリコン単結晶を製造する装置であって、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上に設定しかつ、ルツボ及びヒーターを囲繞する断熱筒をチャンバー上部内面まで延長しルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持したことを特徴とするシリコン単結晶の製造装置というものである。
【0007】
以下、本発明につき詳細に説明する。
従来のチョクラルスキー法で製造したシリコン単結晶のBMD密度は図1の破線で示されているように種結晶側で多く、尾部側で少ない。これは結晶の種側と尾部側とでは熱履歴に著しい相異があるため、酸素析出の仕方や量に相違があり、結果としてBMD密度に影響を及ぼしているものと思われる。しかし、これはチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造するに当っては避けられない事であり、結晶成長中に結晶の各部位の熱履歴を全く同一にすることは不可能である。従って、例えば図2(a)に示したような従来型の炉内構造でシリコン単結晶を製造すると、必然的に図1の破線のようなBMD密度分布となり、目標とするBMD密度の範囲に入る結晶部位が少なくなり、結晶の歩留りが低下するのである。
【0008】
そこで、本発明者らは結晶成長中の熱履歴を結晶の種側と尾部とで全く同じにすることはできないことから、シリコン単結晶が結晶成長炉の引き上げ室内に位置する間に(チャンバー上部内面より下)、結晶を700℃以上に保持することとし、酸素析出に最も影響を与える600℃〜700℃にならないようにしたのである。
すなわち、一般にチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の酸素析出量は、600℃〜700℃の熱処理を加えることで著しく増加することが知られており(シリコン 培風館 阿部孝夫著 P195参照)、従って結晶成長中に、この温度領域の通過時間の長いシリコン単結晶の種側は酸素析出が多く、BMD密度も多いものとなる。よって、シリコン単結晶が成長中、引き上げ室内に位置する間は700℃以上に保てば、その後、結晶はチャンバー首部に到達し急冷却されるため、シリコン単結晶の種側の600℃〜700℃の通過時間を短縮することができ、種側と尾部とで600〜700℃の温度領域に関しては、その通過時間を略同一とすることができる。
【0009】
そこで、本発明者らは、この点に鑑みて各種炉内構造における結晶温度を、数値計算により推定した。その結果、融液面よりチャンバー上部内面までを700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶の600〜700℃までの温度域を通過する時間を短縮するためには、図2(b)のような炉内構造とすればよいことが判った。すなわち従来法図2(a)に対しヒーター4を取り巻く断熱筒5をそのままの状態で上部に延長し、チャンバー上部内面まで伸ばすことでチャンバー上部空間の保温をはかり、この部分に到達した結晶表面からの輻射熱の散逸が減少し、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保つことが出来るのである。
従来型の炉内構造図2(a)では、断熱筒はチャンバーの上部内面までは到達しておらず、この部分から熱の散逸があるため、成長結晶は上部より冷却が進み、チャンバー引き上げ室内に位置する時に既に上部は700℃未満になってしまう。従って、従来では結晶の種側の600〜700℃の通過時間が尾部側より長く、BMD密度の不均一が生じるのである。
【0010】
断熱筒の上部への延長の仕方は、従来の断熱筒5をそのまま上部に伸長させればよく、チャンバー上部内面まで伸ばす必要がある。その先端はチャンバー上部内面近傍まで達していればよく、先端が実際にチャンバー上部内面に接している必要はなく、数cmの間隙があってもよい。すなわち、結晶温度をチャンバー上部内面までの高さで700℃以上に保持できればよい。
またこの場合、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とするのが好ましい。なぜならば、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離が長くなれば、これに応じて結晶成長中に600〜700℃まで下がらない温度領域が拡大し、その後チャンバー首部で結晶は急冷却され600〜700℃の温度域を通過する時間が短縮され、種側のBMD密度の増加を抑制することができる。しかし、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径より小さくすると、チャンバー首部の温度が上り、首部での急冷却効果が小さくなり、600〜700℃の温度域を通過する時間が長めになってしまうからである(図4参照)。
【0011】
このような構造をもつ炉により、実際に結晶を成長させ温度分布を測定したところ図3に示したように、融液面よりチャンバー上部内面までの温度を700℃以上に保つことができ(図3a参照)、育成されるシリコン単結晶の種側が600〜700℃までの温度域を通過する時間を従来の100分以上から80分以下とすることができた(図3b参照)。このような炉から製造されたシリコン単結晶のBMD密度分布は図1の実線で示したごときになっており、種側のBMD密度が減少し、種側から尾部まで、BMD密度の均一な結晶を得ることが出来た。
【0012】
【作用】
本発明により、育成されるシリコン単結晶の種側の成長時における600〜700℃までの温度域を通過する時間が従来より短縮されるので、種側のBMD密度を減少させることができ、結晶成長方向におけるBMD密度の均一化をはかることができる。
【0013】
【実施例】
(実施例、比較例)
チョクラルスキー法で18”φ石英ルツボに、原料多結晶シリコン50kgをチャージし、6”φ,方位〈100〉の結晶を、図2(a)のごとき従来の急冷型の炉内構造と、図2(b)に示した本発明たる原料融液面からチャンバー上部内面までの温度を700℃以上に保持できる炉内構造で引き上げた。出来た結晶のBMD密度を測定し、結果を図5に示した。図5から明らかなように、実施例では種側のBMD密度が低下し、成長方向でほぼ均一な結晶が製造できた。
尚、BMDの測定は、結晶胴体部より切り出した約1mm厚のウェーハを、酸素雰囲気中で800℃/4時間の熱処理後、1000℃/16時間の熱処理を施し、そのウェーハの劈開面を選択エッチングで処理したあと、光学顕微鏡により半径方向へスキャンさせ目視でカウントする方法により行った。
【0014】
【発明の効果】
本発明により、チョクラルスキー法によって製造したシリコン単結晶の種側のBMD密度を下げることができ、引き上げたシリコン単結晶の軸方向のBMD密度を均一化することができる。よって、目標とするBMD密度の範囲内の結晶比率を高めることが出来るため、結晶歩留りの著しい向上が計れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
シリコン単結晶の成長方向におけるBMD密度分布を示した図である。
【図2】
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶製造装置の炉内構造を示した慨略図である。
(a)従来型 (b)本発明
【図3】
結晶温度と湯面からの距離(a)および各温度帯の通過時間(b)との関係を示した図である。
【図4】
ルツボ径と原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離との比の異なった炉内構造からできた結晶における、シリコン単結晶の成長方向のBMD密度分布を示した図である。
【図5】
実施例および比較例におけるシリコン単結晶の成長方向のBMD密度分布を示した図である。
【符号の説明】
1…チャンバー
2…シリコン単結晶
3…ルツボ
4…カーボンヒーター
5…断熱筒
6…上部伸長断熱筒
7…引き上げ室
 
訂正の要旨 訂正の要旨
本件特許第3006669号の明細書につき、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されたとおり、次の(a)〜(e)の訂正をする。
(a)特許請求の範囲の請求項1における、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項2及び4を削除する。
(c)特許請求の範囲の請求項3における、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持することを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とする、シリコン単結晶の製造方法。」と訂正する。
(d)請求項の表示方法につき、請求項3、及び5〜7を、明瞭でない記載の釈明を目的として、それぞれ、請求項2〜5とする。
(e)明細書の段落0006における、
「・・・その主な要旨はチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、およびチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、・・・。」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「・・・その主な要旨はチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、およびチョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造する場合において、ルツボ内の原料融液面よりチャンバー上部内面までの距離をルツボ径以上とし、融液面よりチャンバー上部内面までの結晶温度を700℃以上に保持し、育成されるシリコン単結晶が結晶成長時に600℃から700℃までの温度域を通過する時間が80分以下となるようにすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法、・・・。」と訂正する。
異議決定日 2002-05-16 
出願番号 特願平7-152841
審決分類 P 1 652・ 534- YA (C30B)
P 1 652・ 121- YA (C30B)
P 1 652・ 531- YA (C30B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 五十棲 毅  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 唐戸 光雄
山田 充
登録日 1999-11-26 
登録番号 特許第3006669号(P3006669)
権利者 信越半導体株式会社
発明の名称 結晶欠陥の均一なシリコン単結晶の製造方法およびその製造装置  
代理人 好宮 幹夫  
代理人 好宮 幹夫  

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