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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08L |
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管理番号 | 1064368 |
異議申立番号 | 異議2001-71071 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-06-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-04-06 |
確定日 | 2002-05-30 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3103074号「オルガノポリシロキサン組成物及びその製法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3103074号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 |
理由 |
[1] 手続の経緯 本件特許第3103074号は、平成11年11月16日(優先権主張、平成10年11月19日及び平成11年2月11日、ドイツ)に出願された特願平11-325227号の出願に係り、平成12年8月25日に設定の登録がなされたものであり、その後、本件請求項1〜4に係る特許はいずれも取り消されるべきとする2件の特許異議申立てがあり、それに基づく特許取消の理由通知に対し、平成13年12月26日付けで訂正請求がなされたものである。 [2] 本件訂正請求 本件訂正請求の要旨は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、即ち、特許請求の範囲の請求項1〜4の各項における「過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物1種のみ又は少なくとも2種」を「過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)」に訂正することを求めるものである。 次にこの訂正の適否について検討するに、この訂正は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内で特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかであり、かかる訂正により特許請求の範囲が拡張ないし変更されるものとも認められない。 したがつて、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項で準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するものである。 [3] 本件発明 本件発明は、上記訂正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、順次「本件第1発明」、「本件第2発明」・・「本件第4発明」といい、これら全発明を一括して「本件発明」ということがある。)と認める。 「【請求項1】 オルガノポリシロキサン及び架橋剤をベースとして製造可能であり、その際、該架橋剤が過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを含む、オルガノポリシロキサン組成物。 【請求項2】 過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを質量比1:0.3〜1:1で含む架橋剤を含有している、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン組成物。 【請求項3】 オルガノポリシロキサン及び過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを含有する架橋剤を混合することを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物の製法。 【請求項4】 過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを質量比1:0.3〜1:1で含む架橋剤を混合添加する、請求項3に記載のオルガノポリシロキサン組成物の製法。」 [4] 引用例の記載事項 平成13年7月10日付け(発送日)で通知した本件特許の取消理由に引用された、本件の優先権主張日前頒布された刊行物である特開平10-212412号公報(平成10年8月11日出願公開、以下「引用例」という。)には、 「(A)平均組成式RaSiO(4-a)/2(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基であり、aは1.8〜2.3の数である。)で示され、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン生ゴム 100重量部、 (B)微粉末状シリカ 10〜100重量部、 (C)メチル基置換ベンゾイルパーオキサイド 0.05〜10重量部、 および (D)ジアルキルパーオキサイド 0.05〜10重量部 からなるシリコーンゴム組成物」(特許請求の範囲の請求項1)の発明が記載され、「本発明者らは上記問題点を解消すべく鋭意研究した結果、シリコーンゴム組成物の硬化剤として特定の有機パーオキサイドを組み合わせて使用すれば上記問題点は解決することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的は、硬化時に異臭を発さず、発泡を起こさず、硬化後は、表面の粘着性が少なく、圧縮永久歪の小さいシリコーンゴム成形物となり得る、シリコーンゴム組成物を提供することにある。」(段落【0003】)、「本発明に使用される(C)成分のメチル基置換ベンゾイルパーオキサイドは、本発明の組成物を硬化させるための硬化剤であり、かかる(C)成分としては、ビス(オルソ-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(メタ-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(パラ-メチルベンゾイル)パーオキサイド等のモノメチルベンゾイルパーオキサイド・・・が例示される。本成分の添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲内であり、0.1〜5重量部の範囲内が好ましい。」(段落【0007】)、「本発明に使用される(D)成分のジアルキルパーオキサイドは、上記(C)成分と同様に硬化剤である。そしてこのものは(C)成分と併用することにより本発明の組成物の硬化物であるシリコーンゴムの圧縮永久歪性と表面粘着性を改善する。このようなジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド・・が例示される。本成分の添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲内であり、0.1〜5重量部が好ましい。また、(D)成分の配合量は(C)成分100重量部に対して10〜90重量部の範囲内が好ましく、10〜50重量部の範囲内がより好ましい、」(段落【0008】)、「本発明の組成物は上記(A)成分〜(D)成分を均一に混合することによって容易に製造されたが、予め(A)成分と(B)成分をニーダーミキサー等の混練機で均一に加熱混練した後、2本ロール等の混練手段を用いて、(C)成分および(D)成分を添加配合することが好ましい。」(段落【0010】)、そして、【実施例1】の後、それを受けて「【実施例2】実施例1において、ビス(オルソ-メチルベンゾイル)パーオキサイドの50重量%シリコーンオイルペーストをビス(パラ-メチルベンゾイル)パーオキサイドの50重量%シリコーンオイルペーストに替え、ジクミルパーオキサイドの40重量%シリコーンオイルペーストを2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンの50重量%シリコーンオイルペーストに替えた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を製造した。このとき、異臭の発生は認められなかった。」(段落【0015】)の各記載がなされていることが認められる。 [5] 対比・検討 [5-1] 本件第1発明について 引用例には、シリコーンゴム組成物の硬化剤として「(C)メチル基置換ベンゾイルパーオキサイド」と「(D)ジアルキルパーオキサイド」の2種の有機パーオキサイドを併用する発明が記載され、ここで、(C)成分としてビス(パラ-メチルベンゾイル)パーオキサイドが、(D)成分として2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが、いずれも明記され、しかも実施例2においては、実施例1で使用したシリコーンゴムベースコンパウンド100部に対し、ビス(パラ-メチルベンゾイル)パーオキサイドの50重量%シリコーンオイルペースト1.2部、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンの50重量%シリコーンオイルペースト0.5部を添加し混練してシリコーンゴム組成物を得たことが具体的に記載されている。 この発明(以下「引用例発明」という。)と本件第1発明とを対比すると、引用例発明におけるビス(パラ-メチルベンゾイル)パーオキサイドは、本件第1発明における過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)に相当し、引用例発明における2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンは、本件第1発明における過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)に相当するものであり、当該技術分野において、過酸化物は架橋剤とも硬化剤とも称されるものであるから、結局のところ本件第1発明の構成は全て引用例に記載されていると認めざるを得ない。 したがって、本件第1発明は、引用例に記載された発明である。 [5-2] 本件第2発明について 本件第2発明は、本件第1発明において、過酸化ビス-4-メチルベンゾイルと過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチルとの質量比を1:0.3〜1:1に規定するものであるが、引用例には、「(D)成分の配合量は(C)成分100重量部に対して10〜90重量部の範囲内が好ましく、10〜50重量部の範囲内がより好ましい。」と記載されているのであるから、引用例発明と本件第2発明とではその規定する範囲が重複していることは明らかである。 よって、本件第2発明もまた引用例に記載された発明とせざるを得ない。 [5-3] 本件第3発明について 本件第3発明は、実質的には本件第1発明の組成物の製造法に相当し、オルガノポリシロキサンおよび特定の2種の架橋剤を混合することを特徴とするものであるが、引用例には、「本発明の組成物は上記(A)〜(D)成分を均一に混合することによって容易に製造されたが、予め(A)成分と(B)成分をニーダーミキサー等の混練機で均一に加熱混練した後、2本ロール等の混練手段を用いて、(C)成分および(D)成分を添加配合することが好ましい。」と記載されているのであるから、この製造法上の特徴も引用例に記載されていることになる。 したがって、本件第3発明もまた引用例に記載された発明である。 [5-4] 本件第4発明について 本件第4発明は、上記本件第3発明の組成物の製造法において、過酸化ビス-4-メチルベンゾイルと過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチルとの質量比を1:0.3〜1:1に規定するものであるが、この点は、本件第2発明で検討したとおり、引用例にそれと重複する範囲が明記されている。 したがって、本件第4発明もまた引用例に記載された発明である。 [6] むすび 以上のとおりであるから、本件発明は、結局のところ、すべて引用例に記載された発明といわざるを得ず、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであるから、同法第114条第1項第2号の規定により取り消すほかはない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 オルガノポリシロキサン組成物及びその製法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 オルガノポリシロキサン及び架橋剤をベースとして製造可能であり、その際、該架橋剤が過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを含む、オルガノポリシロキサン組成物。 【請求項2】 過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを質量比1:0.3〜1:1で含む架橋剤を含有している、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン組成物。 【請求項3】 オルガノポリシロキサン及び過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを含有する架橋剤を混合することを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物の製法。 【請求項4】 過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)とを質量比1:0.3〜1:1で含む架橋剤を混合添加する、請求項3に記載のオルガノポリシロキサン組成物の製法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明はオルガノポリシロキサン組成物及びその製法に関する。 【0002】 【従来の技術】 シリコーンゴム押出物の常圧架橋のために今日では、過酸化2,4-ジクロロベンゾイル(US4260536号)及び過酸化パラメチルベンジルのみが取りあげられている。これらの過酸化物の両方が欠点を有する。例えば、過酸化2,4-ジクロロベンゾイルは部分的に毒性の分解生成物を形成し、かつ過酸化パラメチルベンジルは強い臭気障害をもたらし、加硫速度は遅く、かつ透明な加硫生成物はやや黄変を示すことがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題は、従来技術の欠点を克服する、殊に臭気障害及び黄変を伴うことなく迅速な架橋を達成することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 この課題は本発明により解決される。 【0005】 本発明の目的は、オルガノポリシロキサン及び架橋剤をベースとして製造可能なオルガノポリシロキサン組成物であり、その際、該架橋剤は過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物1種のみ又は少なくとも2種とを含む。 【0006】 オルガノポリシロキサンとして、過酸化物により架橋可能なオルガノポリシロキサン全てを使用することができるが、一般式: 【0007】 ◎ 【化1】 【0008】 [式中、Rは同じか又は異なってよく、かつ場合により置換されていてよい炭化水素基を表し、かつ rは0、1、2又は3であり、かつ平均値1.9〜2.1を有する]の単位からなるオルガノポリシロキサン(A)が有利である。 【0009】 炭化水素基Rの例は、アルキル基、例えばメチル-、エチル-、n-プロピル-、イソ-プロピル-、n-ブチル-、イソ-ブチル-、t-ブチル-、n-ペンチル-、イソ-ペンチル-、ネオ-ペンチル-、t-ペンチル基、ヘキシル基、例えばn-ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn-ヘプチル基、オクチル基、例えばn-オクチル基及びイソ-オクチル基、例えば2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn-ノニル基、デシル基、例えばn-デシル基、ドデシル基、例えばn-ドデシル基、オクタデシル基、例えばn-オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル-、シクロヘキシル-、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル-、ビフェニル-、ナフチル-及びアントリル-及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基である。 【0010】 置換された炭化水素基Rの例はハロゲン化アルキル基、例えば3-クロロプロピル-、3,3,3-トリフルオロプロピル-及びペルフルオロヘキシルエチル基、ハロゲン化アリール基、例えばp-クロロフェニル-及びp-クロロベンジル基である。 【0011】 有利には基Rは水素原子及び炭素原子1〜8個を有する炭化水素基、特に有利にはメチル基である。 【0012】 基Rの他の例はビニル-、アリル-、メタリル-、1-プロペニル-、1-ブテニル-、1-ペンテニル基、5-ヘキセニル-、ブタジエニル-、ヘキサジエニル-、シクロペンテニル-、シクロペンタジエニル-、シクロヘキセニル-、エチニル-、プロパルギル-及び1-プロビニル基である。 【0013】 基Rは2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、特に有利にはビニル基である。 【0014】 1〜8個の炭素原子を有する場合により置換された炭化水素基では、メチル-、ビニル-、フェニル-及び3,3,3-トリフルオロプロピル基が特に有利である。 【0015】 式(I)の単位からなるオルガノポリシロキサン(A)中に含まれるSi-原子の最低70モル%に、アルキル基、殊にメチル基が結合しているのが有利である。オルガノポリシロキサンがSi-結合されたメチル-及び/又は3,3,3-トリフルオロプロピル基の他に更にSi-結合されたビニル-及び/又はフェニル基を含有する場合には、後者は有利には0.001〜30モル%の量である。 【0016】 オルガノポリシロキサン(A)は主にジオルガノシロキサン単位からなるのが有利である。オルガノポリシロキサンの末端基は、トリアルキルシロキシ基、殊にトリメチルシロキシ基又はジメチルビニルシロキシ基であってよい;しかし、これらのアルキル基の1つ以上が、ヒドロキシ基又はアルコキシ基、例えばメトキシ-又はエトキシ基によって置換されていてもよい。 【0017】 オルガノポリシロキサン(A)は液体又は高粘度物質であってよい。有利には、オルガノポリシロキサン(A)は25℃で103〜108mm2/sの粘度を有する。 【0018】 架橋剤として、質量比1:0.3〜1:1、有利に質量比1:0.8の、過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物1種のみ又は少なくとも2種とからなる混合物を使用するのが有利である。過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群から少なくとも2種の化合物を使用する場合には、これらは任意の混合比で、初めに記載の質量比の範囲内で使用することができる。しかしこの場合、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物の等質量の混合物が有利であり、その際、過酸化ベンゾイル及び過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(DHBP)からの質量比1:1混合物が特に有利である。 【0019】 更に、本発明のオルガノポリシロキサン(A)は強化及び/又は非強化充填剤を含有するのが有利である。 【0020】 強化充填剤の例は最低50m2/gのBET-表面を有する熱分解ケイ酸又は沈降ケイ酸である。 【0021】 前記のケイ酸充填物は親水性を有してよいし、又は公知の方法で疎水化されていてもよい。このために例えば、DE3839900A号(Wacker-Chemie GmbH;1988年11月25日出願)もしくは相応するUS-A5057151号を参照することができる。通常、疎水化を、オルガノポリシロキサン組成物の全質量に対してそれぞれヘキサメチルジシラザン及び/又はジビニルテトラメチルジシラザン1〜20質量%及び水0.5〜5質量%を用いて行い、その際、これらの反応試薬を有利には好適な混合装置、例えばニーダー又は内部ミキサ中で、既に予め挿入されたオルガノポリシロキサン(A)に添加し、その後、親水性ケイ酸を徐々に導入する。 【0022】 非強化充填剤の例は、石英粉末、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄又は酸化亜鉛、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石こう及びプラスチック粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末又はポリテトラフルオロエチレン粉末である。更に繊維成分、例えばガラス繊維及び合成繊維を充填物として使用することもできる。これらの充填物のBET表面性は有利には50m2/gである。 【0023】 エラストマーに架橋しうる本発明のオルガノポリシロキサン組成物は充填剤(B)をそれぞれオルガノポリシロキサン(A)100質量部に対して有利に1〜200質量部、特に有利に30〜100質量部の量で含有する。 【0024】 それぞれの使用に相応して、エラストマーに架橋しうる本発明のオルガノポリシロキサン組成物に添加物(C)、例えば処理助剤、例えば軟化剤、顔料及び安定剤、例えば熱安定剤を添加することができる。 【0025】 添加剤(C)として使用可能な軟化剤の例は、25℃で最大1000mm2/sの粘度を有するトリメチルシリル基又はヒドロキシ基で4級化されたポリジメチルシロキサン又はジフェニルシランジオールである。 【0026】 添加剤(C)として使用可能な熱安定剤の例は遷移金属脂肪酸塩、例えばオクタン酸鉄、遷移金属シラノレート、例えば鉄シラノレート並びにCer(IV)-化合物である。 【0027】 更に、本発明の組成物は色顔料の他に、有利には他の物質は含有しない。 【0028】 本発明の組成物を製造するためにそれぞれ使用される各成分は、このような成分の個々の種又は、このような成分の少なくとも2つの異なる種から成る混合物である。 【0029】 本発明のもう1つの目的はオルガノポリシロキサン組成物の製法であり、これはオルガノポリシロキサン及び架橋剤を混合し、その際、該架橋剤は過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)と、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物1種のみ又は少なくとも2種とを有利には質量比1:0.3〜1:1で含むことを特徴とする。 【0030】 該オルガノポリシロキサンは有利には前記と同様の意味であるオルガノポリシロキサン(A)であるのが有利である。 【0031】 過酸化物により架橋可能な本発明のオルガノポリシロキサン組成物の製造は公知の方法で、例えば個々の成分の単純な混合により行うことができる。その場合、本発明で使用される低分子量の有機ケイ素化合物の導入は混合の様々な方法で、例えばシリコーンゴム組成物の個々の成分の混合の任意の段階で行うことができる。有利には、過酸化物により架橋可能な本発明の組成物を用意するために、低分子量の有機ケイ素化合物を充填剤の導入の間に塊状で混合導入する。他の可能性は、粉末ミキサー中での混合によるか、又は充填剤、不活性有機溶剤及び低分子量の有機ケイ素化合物の懸濁液中での混合により本発明で使用される低分子量の有機ケイ素化合物を充填剤に施与し、引き続き有機溶剤を乾燥するまで除去して、これに続いて同様の方法で、担体としての充填剤と共に導入することである。もう1つの可能性は、本発明で使用される低分子量の有機ケイ素化合物を化学反応により、例えば前記の方法変法2と同様に、充填剤上で製造し、かつこれに負荷することにある。 【0032】 過酸化物により架橋可能なこの本発明の組成物は、過酸化物により架橋可能な従来公知の組成物と同じ条件で架橋させることができる。 【0033】 過酸化物により架橋可能な本発明の組成物は、それから製造されたエラストマーが殊に引き裂き抵抗に関して非常に良好な機械的特性を示すという利点を有する。更に、これは黄変を示さず、かつ臭気障害をもたらさない。 【0034】 本発明のオルガノポリシロキサン組成物並びに本発明によりそれから製造されたエラストマーは、エラストマーに架橋可能なオルガノポリシロキサン組成物もしくはエラストマーをそのために従来も使用した全ての目的に使用することができる。殊に本発明のオルガノポリシロキサン組成物並びに本発明によりそれから製造されたエラストマーは、引き裂き抵抗の改善を要した使用、例えばホース、ケーブル外装、自動車部品及びシーリングのために好適である。 【0035】 【実施例】 実施例1 25℃で粘度8・106mPa・sを有する、ジメチルシロキサン単位99.93モル%及びビニルメチルシロキサン単位0.07モル%からなるトリメチルシロキシ基により末端ブロックされたジオルガノポリシロキサン100部を、150℃で運転されるニーダー中で、先ず表面積200m2/gを有する熱分解により気相で製造された二酸化ケイ素50部と、次いで25℃で96mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ基で末端ブロックされたジメチルポリシロキサン1部と、次いで25℃で40mPa・sの粘度を有する、末端単位にそれぞれ1つのSi結合したヒドロキシ基を有するジメチルポリシロキサン7部と混合する。架橋のために、過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(=PMBP)1重量%及び過酸化ベンゾイル0.8重量%からなる混合物を混入する。 【0036】 例2 25℃で粘度8・106mPa・sを有し、ジメチルシロキサン単位99.93モル%及びビニルメチルシロキサン単位0.07モル%からなるトリメチルシロキシ基により末端ブロックされたジオルガノポリシロキサン100部を150℃で運転されるニーダー中で、先ず表面積200m2/gを有する熱分解により気相中で製造された二酸化ケイ素50部と、次いで25℃で粘度96mPa・sを有するトリメチルシロキシ基により末端ブロックされたジメチルポリシロキサン1部と、次いで25℃で粘度40mPa・sを有する末端単位にそれぞれSi結合したヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン7部と混合する。架橋のために、過酸化ビス-4-メチルベンゾイル(PMBP)1重量%並びに過酸化ベンゾイル及び過酸化2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(DHBP)からなる同部混合物0.8重量%からなる混合物を混入する。 【0037】 比較例1 例1及び2に記載の処理法を繰り返すが、但しその際、架橋剤としてPMBP1.5重量%のみを混入する。 【0038】 比較例2 例1に記載の処理法を繰り返すが、但しその際、架橋剤として過酸化ベンゾイル1.5質量%のみを混入する。 【0039】 比較例3 例2に記載の処理法を繰り返すが、但しその際、架橋剤として、過酸化ベンゾイル1.5重量%及び2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-過酸化ジ-t-ブチル(=DHBP)からなる混合物のみを混入する。 【0040】 例1及び2並びに比較例1、2及び3に記載の組成物を用いて、電気導体(撚線1.5mm2)を押出により絶縁する。絶縁体の壁圧は0.6mmである。このために、クロスヘッドダイを有する45/10dのスクリューを備えた押出機を使用する。加熱域の温度は入口の所で470℃、中間で350℃、かつ末端で250℃である。引き取り速度は20m/分である。加熱域での滞留時間は20秒である。 【0041】 結果: 例1及び2によるケーブル: 気泡は無し、完全に架橋した絶縁体、僅かのみの臭気障害、絶縁体の極く僅かな黄変。 【0042】 比較例1によるケーブル: やや架橋不足の絶縁体、部分的に軽い気泡形成、強い臭気障害、絶縁体の黄変。十分に架橋するためには、25秒の滞留時間の延長が必要。 【0043】 比較例2及び3によるケーブル: 気泡形成を伴う絶縁体、粘着性表面、臭気障害はなし、黄変はなし。 |
訂正の要旨 |
訂正請求の要旨 本件訂正請求は、特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1〜4の各項における「過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)、過酸化ジ-t-ブチルからなる群からの化合物1種のみ又は少なくとも2種」を「過酸化2,5-ジメチル-ヘキサン-2,5-ジ-t-ブチル(=DHBP)」に訂正するものである。 |
異議決定日 | 2002-01-11 |
出願番号 | 特願平11-325227 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
ZA
(C08L)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 服部 智 |
特許庁審判長 |
柿崎 良男 |
特許庁審判官 |
佐野 整博 柿沢紀世雄 |
登録日 | 2000-08-25 |
登録番号 | 特許第3103074号(P3103074) |
権利者 | ワツカー-ケミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング |
発明の名称 | オルガノポリシロキサン組成物及びその製法 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | 岩見谷 周志 |
代理人 | 山崎 利臣 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | 山崎 利臣 |
代理人 | 久保田 芳譽 |