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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B66F
管理番号 1064475
異議申立番号 異議2001-71933  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-11-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-11 
確定日 2002-08-28 
異議申立件数
事件の表示 特許第3134151号「シャーシー用台車」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3134151号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
(1)本件特許第3134151号(出願:平成11年5月21日、特許権の設定登録:平成12年12月1日)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)についての特許は、平成13年2月13日にその特許掲載公報が発行されたものである。
(2)その特許掲載公報の発行の日から6月以内である平成13年7月11日に、大洋製器工業株式会社より特許異議の申立てがなされた。
(3)平成13年12月20日(発送日:平成14年1月11日)に、期間を指定して取消しの理由を通知したところ、その指定期間内である平成14年3月12日に意見書が提出された。

2.本件発明
本件発明は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりであって、該請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】 シャーシー(26)の下方に運搬されて前記シャーシー(26)を持上げ保持するシャーシー用台車(1)であって、
台車本体(2)と、前記台車本体(2)に搭載された車輪押出しジャッキ(10)及び支持台押上げジャッキ(15)と、前記車輪押出しジャッキ(10)の作動により前記台車本体(2)の下方へ押し出されて前記台車本体(2)を持ち上げる走行車輪(12)(13)と、前記支持台押上げジャッキ(15)の作動により前記台車本体(2)の上方へ押し上げられて前記シャーシー(26)を受ける支持台(17)と、前記台車本体(2)に搭載されるとともに手動ポンプレバー(21)を備えた油圧ポンプ(20)と、前記手動ポンプレバー(21)の操作による前記油圧ポンプ(20)の駆動により何れの前記ジャッキ(10)(15)を作動させるかを切換操作する切換スイッチ(24)とを有し、
走行車輪(12)(13)が台車本体(2)の下方へ押し出されているときであって切換スイッチ(24)または油圧回路(22)を支持台押上げジャッキ(15)が作動するように切換操作したときに、車輪押出しジャッキ(10)の作動油圧が自動排出されて前記台車本体(2)が自動降下し、
上記したところにより車輪押出しジャッキ(10)の作動油圧が自動排出されて台車本体(2)が自動降下したときに限って、油圧ポンプ(20)から支持台押上げジャッキ(15)へ作動油圧を供給可能であることを特徴とするシャーシー用台車。」

3.通知した取消しの理由に引用した刊行物に記載された発明
(1)刊行物3:実公昭45-16336号公報
通知した取消しの理由に引用した刊行物3には、次のような事項が記載されている。
イ.「本考案は、…自走式ジャッキに関するもので、…ジャッキ使用時には台車に全く荷重をかけずに自らの動力源で油圧ジャッキを作動せしめさらにその変換作動をも共に一つの動力源で駆動する様にしたものである。」(第1欄第21〜27行)
ロ.「ジャッキ体1は四角錐台形イと…直方体ロを一体に…張殻構造で形成し、四角錐台形イの中央部に油圧ジャッキ3を…内設し、電動式油圧ポンプ4を内蔵設置してある。」(第1欄第30〜35行)
ハ.「台車2には…両側に駆動車輪6、6’を車軸7を介して軸架し、」(第1欄第35〜40行)
ニ.「第4図は…油圧回路にして、油圧供給源の電動式油圧ポンプ4に対して、ジャッキ体1の主ジャッキ3、台車2の駆動油圧モーター10及び台車2にジャッキ体1を搭載支承する三個又は四個の支承ジャッキ15のそれぞれを二個の切換弁19,20で図の様に接続している。」(第2欄第37行〜第3欄第4行)
ホ.「走行及びジャッキの揚降操作を司る切換弁19,20の把手25は第1図の如くジャッキ体1の直方体形上部に設置してある。」(第3欄第9〜12行)
ヘ.「本考案は…押し上げ作業時には切換弁19を操作して、支承ジャッキ15を開放してジャッキ体1を台車2に対して下降せしめて接地なし、台車に荷重がかからない状態にしてジャッキ体1の主ジャッキ3を同じ高圧油源で伸張揚程し、荷重をジャッキ体1の張殻構造で支持するものであって」(第4欄第9〜20行)
ト.第2図の記載及び技術常識からみて、第2図から、「主ジャッキ3の頂部には、被支持物を受ける受け部材が設けられていること」が看取できる。
これらの記載事項からみて、刊行物3には、次のような発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認めることができる。
「自走式ジャッキであって、
ジャッキ体1と、前記ジャッキ体1に取付けられた主ジャッキ3と車輪6、6’を有する台車2に搭載されて前記ジャッキ体1を支承する支承ジャッキ15と、前記支承ジャッキ15の作動により前記ジャッキ体1の下方へ押し出されて前記ジャッキ体1を持ち上げる台車2の車輪6、6’と、前記主ジャッキ3の作動により前記ジャッキ体1の上方へ押し上げられて前記被支持物を受ける受け部材と、前記ジャッキ体1に搭載されると、前記電動式油圧ポンプ4の駆動により何れの前記ジャッキ3、15を作動させるかを切換操作する切換弁19の把手25とを有し、
車輪6、6’がジャッキ体1の下方へ押し出されているときであって切換弁19の把手25を主ジャッキ3が作動するように切換操作したときに、支承ジャッキ15の作動油圧が自動排出されて前記ジャッキ体1が自動降下し、
上記したところにより押し上げ作業時には切換弁19の把手25を切換操作して、支承ジャッキ15を開放してジャッキ体1を台車2に対して下降せしめて接地をなし、車輪6、6’を有する台車2に荷重がかからない状態にしてジャッキ体1の主ジャッキ3を油圧で伸張揚程し、荷重をジャッキ体1の張殻構造で支持する自走式ジャッキ。」
(2)刊行物1:特開平10-01293号公報
通知した取消しの理由に引用した刊行物1には、次のような事項が記載されている。
イ.「本発明は、たとえば大型のトレーラ等をフェリーに載せて運搬する際にこのトレーラをジャッキアップして安定した積荷を保持できるようにした油圧駆動によるリフトスタンドに関する。」(【0001】)
ロ.「スタンドジャッキへの油圧ポンプからの作動油の供給がある期間ではリフトシリンダのピストンロッドが上昇しないような方向切換え弁の配置とした回路構成とすることによって、リフトスタンドをトレーラの下に潜り込ませる移動が可能となる。
トレーラの下に潜り込ませた後には、スタンドジャッキへの作動油の供給を停止して負荷を零とするようにすれば、フレームに固定されていてしかも連接されているホイールが着座面に載っているスタンドジャッキにはリフトスタンドのほぼ全体の重量が加わる。」(【0010】〜【0011】)
ハ.「シャーシ51cの前端側であってドリーに連結される部分の下面を本発明のリフトスタンドAによって支持されている。」(【0013】)
ニ.「ホイール2を繰り出した後には、図1に示したようにリフトスタンドAをトレーラ51のシャーシ51cの下側に潜り込ませて位置決めし、たとえば受圧板6cがトレーラ51のキングピン(図示せず)に整合するようにセットする。そして、方向切換え弁19を図5に示すようにシフトとすると回路が切り換わり、低圧回路21,24が連通する。これにより、スタンドジャッキ4とリフトシリンダ5との間の流路が接続され、スタンドジャッキ4の作動油はフレーム1の自重によって負荷を受けたままなのでこの作動油がリフトシリンダ5に圧入し、これによってピストンロッド5aを押し上げる。」(【0023】)
ホ.「切換えハンドル19aを切換え操作するだけで、スタンドジャッキ4からの作動油の排出によるジャッキピストン4aの下降の操作が行われると同時に、メインシリンダ6がリフトシリンダ5によって上昇を開始する。これによってホイール2がフレーム1側に入り込むようになり、図3に示したようにフレーム1の下端が甲板50の上に着座していき、受圧板6cがシャーシ51cの下面を受ける態勢へと移行していく。」(【0024】)
これらの記載事項からみて、刊行物1には、次のような発明が記載されていると認めることができる。
「移動されてシャーシー51cの下面を支持するリフトスタンドAであって、
リフトスタンドのフレーム1と、前記リフトスタンドのフレーム1に搭載されたスタンドジャッキ4及びメインシリンダ6と、前記スタンドジャッキ4の作動により前記リフトスタンドのフレーム1の下方へ押し出されて前記リフトスタンドのフレーム1を持ち上げるホイール2と、前記メインシリンダ6の作動により前記リフトスタンドのフレーム1の上方へ押し上げられて前記シャーシー51cの下面を受ける受圧板6cと、前記リフトスタンドのフレーム1に搭載されるとともに手動操作式のレバー3aを備えた油圧ポンプ3と、前記手動操作式のレバー3aの操作による前記油圧ポンプ3の駆動により前記スタンドジャッキ4又はメインシリンダ6を作動させるかを切換操作する切換えハンドル18aとを有し、
ホイール2がリフトスタンドのフレーム1の下方へ押し出されているときであって別の切換えハンドル19aをメインシリンダ6に接続されたリフトシリンダ5が作動するように切換操作したときに、スタンドジャッキ4の作動油圧が自動排出されて前記リフトスタンドのフレーム1が自動降下し、
上記したところによりスタンドジャッキ4の作動油圧が自動排出されてリフトスタンドのフレーム1が自動降下しているとき、油圧ポンプ3からメインシリンダ6へ作動油圧を供給可能であるリフトスタンドA。」

4.対比及び判断
本件発明と引用発明3を対比すると、引用発明3の「ジャッキ体1」は、その技術的意義において、本件発明の「台車本体(2)」に相当し、以下同様に、「ジャッキ体1に取付けられた主ジャッキ3」は「台車本体(2)に搭載された支持台押上げジャッキ(15)」に、「支承ジャッキ15」は「車輪押出しジャッキ(10)」に、「台車2の車輪6、6’」は「走行車輪(12)(13)」に、「切換操作する切換弁19の把手25」は「切換操作する切換スイッチ(24)」に、それぞれ相当すると認められる。
また、本件発明の「シャーシー(26)の下方に運搬されて前記シャーシー(26)を持上げ保持するシャーシー用台車(1)」と引用発明3の「自走式ジャッキ」は、「車輪付きジャッキ」の限度で一致し、本件発明の「手動ポンプレバー(21)を備えた油圧ポンプ」と引用発明3の「電動式油圧ポンプ4」は、「油圧ポンプ」の限度で一致すると認められる。
してみると、本件発明と引用発明3の一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。
<一致点>
車輪付きジャッキであって、
台車本体と、車輪押出しジャッキ及び前記台車本体に搭載された支持台押上げジャッキと、前記車輪押出しジャッキの作動により前記台車本体の下方へ押し出されて前記台車本体を持ち上げる走行車輪と、前記支持台押上げジャッキの作動により前記台車本体の上方へ押し上げられて被支持物を受ける受け部材と、前記台車本体に搭載される油圧ポンプと、前記油圧ポンプの駆動により何れの前記ジャッキを作動させるかを切換操作する切換スイッチとを有し、
走行車輪が台車本体の下方へ押し出されているときであって切換スイッチを支持台押上げジャッキが作動するように切換操作したときに、車輪押出しジャッキの作動油圧が自動排出されて前記台車本体が自動降下する車輪付きジャッキ。
<相違点>
イ.車輪付きジャッキの使用態様について、本件発明では、「シャーシー(26)の下方に運搬されて前記シャーシー(26)を持上げ保持するシャーシー用台車(1)」となっているのに対し、引用発明3では、「自走式ジャッキ」となっていて、シャーシーとの関係が特定されていない点(以下、「相違点イ」という。)。
ロ.車輪押出しジャッキの取付け態様について、本件発明では、「台車本体(2)に搭載された車輪押出しジャッキ(10)」となっているのに対し、引用発明3では、「車輪6、6’(走行車輪(12)(13))を有する台車2に搭載されてジャッキ体1(台車本体(2))を支承する支承ジャッキ15」となっている点(以下、「相違点ロ」という。)。
ハ.被支持物を受ける受け部材の態様について、本件発明では、「シャーシー(26)を受ける支持台(17)」となっているのに対し、引用発明3では、「被支持物を受ける受け部材」となっている点(以下、「相違点ハ」という。)。
ニ.油圧ポンプの態様について、本件発明では、「手動ポンプレバー(21)を備えた油圧ポンプ(20)」となっているのに対し、引用発明3では、「電動式油圧ポンプ4」となっている点(以下、「相違点ニ」という。)。
ホ.支持台押上げジャッキへ作動油圧を供給する態様について、本件発明では、「車輪押出しジャッキ(10)の作動油圧が自動排出されて台車本体(2)が自動降下したときに限って、油圧ポンプ(20)から支持台押上げジャッキ(15)へ作動油圧を供給可能である」となっているのに対し、引用発明3では、「押し上げ作業時には切換弁19の把手25(切換スイッチ(24))を切換操作して、支承ジャッキ15(車輪押出しジャッキ(10))を開放してジャッキ体1(台車本体(2))を台車2に対して下降せしめて接地をなし、車輪6、6’(走行車輪(12)(13))を有する台車2に荷重がかからない状態にしてジャッキ体1(台車本体(2))の主ジャッキ3(支持台押上げジャッキ(15))を油圧で伸張揚程し、荷重をジャッキ体1(台車本体(2))の張殻構造で支持する」となっている点(以下、「相違点ホ」という。)。
次いで、これらの相違点について検討する。
<相違点の検討>
イ.相違点イについて
「シャーシーの下方に運搬されて前記シャーシーを持上げ保持するシャーシー用台車」は、刊行物1にもみられるように従来周知のものであって、引用発明3の「自走式ジャッキ」を「シャーシーの下方に運搬されて前記シャーシーを持上げ保持する」ようにすることを妨げる特段の事情も見当たらない。
してみると、相違点イに係る本件発明の構成要件は、引用発明3の実施に際し、当業者が必要に応じてなし得る設計的事項というべきものである。
ロ.相違点ロについて
この相違点ロは、ジャッキの主体的な固定を相対移動する二つの部材のいずれにするかの相違に基づくものであって、それによって生じる効果も双方とも当業者の予測の範囲を超えるものではない。
また、引用発明3の「支承ジャッキ15」の主体的な固定を「ジャッキ体1(台車本体(2))」側とすることを妨げる特段の事情も見当たらない。
してみると、相違点ロに係る本件発明の構成要件は、引用発明3の実施に際し、当業者が必要に応じてなし得る設計的事項というべきものである。
ハ.相違点ハについて
被支持物を受ける受け部材の態様として、「シャーシーを受ける支持台」は、刊行物1にもみられるように従来周知のものであって、引用発明3の「被支持物を受ける受け部材」を「シャーシーを受ける支持台」のようにすることを妨げる特段の事情も見当たらない。
してみると、相違点ハに係る本件発明の構成要件は、引用発明3の実施に際し、当業者が必要に応じてなし得る設計的事項というべきものである。
ニ.相違点ニについて
「手動ポンプレバーを備えた油圧ポンプ」は、刊行物1にもみられるように従来周知のものであって、引用発明3の「電動式油圧ポンプ」を「手動ポンプレバーを備えた油圧ポンプ」に置換することを妨げる特段の事情も見当たらない。
してみると、相違点ニに係る本件発明の構成要件は、引用発明3の実施に際し、当業者が必要に応じてなし得る設計的事項というべきものである。
ホ.相違点ホについて
本件発明の「車輪押出しジャッキ(10)の作動油圧が自動排出されて台車本体(2)が自動降下したときに限って、油圧ポンプ(20)から支持台押上げジャッキ(15)へ作動油圧を供給可能である」(以下、「特定事項A」という。)の技術的意義についてみるに、本件発明の願書に添付された明細書には、「上記構成を備えたシャーシー用台車1においては、走行車輪12,13が台車本体2の下方へ押し出されているときであって切換スイッチ24または油圧回路22の切換弁23を支持台押上げジャッキ15が作動するように切換操作したときに、車輪押出しジャッキ10の作動油圧が自動排出されて台車本体2が自動降下するために、支持台押上げジャッキ15が作動して支持台17が上昇するよりも先に必ず、走行車輪12,13が収容される。また車輪押出しジャッキ10の作動油圧が自動排出されて台車本体2が自動降下したときに限って、油圧ポンプ20から支持台押上げジャッキ15へ作動油圧を供給することが可能とされているために、走行車輪12,13が収容されない限り、支持台押上げジャッキ15が作動せず支持台16が上昇することがない。したがってこれらのことから、走行車輪12,13を出したままでシャーシー26の荷重を受けると云う事態が発生するのを未然に防止することができ、もって固縛を確実かつ安全に行なうことができるとともに、走行車輪12,13が早期に破損することもないシャーシー用台車1を提供することができる。」(【0021】)との記載がある。
この記載からみて、上記特定事項Aの技術的意義は、「走行車輪12,13が収容されない限り、支持台押上げジャッキ15が作動せず支持台16が上昇することがないようにして、走行車輪12,13を出したままでシャーシー26の荷重を受けると云う事態が発生するのを未然に防止することができるもの」と解することができる。
これに対して、引用発明3の「押し上げ作業時には切換弁19の把手25(切換スイッチ(24))を切換操作して、支承ジャッキ15(車輪押出しジャッキ(10))を開放してジャッキ体1(台車本体(2))を台車2に対して下降せしめて接地をなし、車輪6、6’(走行車輪(12)(13))を有する台車2に荷重がかからない状態にしてジャッキ体1(台車本体(2))の主ジャッキ3(支持台押上げジャッキ(15))を油圧で伸張揚程し、荷重をジャッキ体1(台車本体(2))の張殻構造で支持する」の技術的意義は、刊行物3の記載事項イ及びヘ(上記3.(1)参照)からみて、「車輪6、6’(走行車輪(12)(13))を有する台車2に荷重が全くかからない状態にして、主ジャッキ3(支持台押上げジャッキ(15))を油圧で伸張揚程し、被支持物の荷重をジャッキ体1(台車本体(2))の張殻構造で支持するもの」であるから、「走行車輪を出したままでシャーシーの荷重を受けると云う事態が発生するのを防止する」点において、上記特定事項Aの技術的意義と共通している。
そして、走行車輪を出したままでシャーシーの荷重を受けるようにすると、走行車輪が破損する恐れがあることは、刊行物3の記載及び技術常識からみて、当業者にとって容易に予測できる程度のことにすぎない。
また、複数の工程が同時に生じないようにするために、先行する工程が完全に終了することを確認してから、次の工程を開始するようなことは、従来よりセンサーやタイマー等の手段を用いて適宜実施されている周知の技術的事項にすぎない。
してみると、相違点ホに係る本件発明の構成要件は、引用発明3に周知の技術的事項を適用して、当業者が容易に想到できたものというべきものである。
そして、本件発明が奏する効果は、引用発明3及び周知の技術的事項に基づいて当業者が予測できる範囲を超えるものではない。
したがって、本件発明は、引用発明3及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明の特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-07-10 
出願番号 特願平11-142017
審決分類 P 1 651・ 121- Z (B66F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 清田 栄章
亀井 孝志
登録日 2000-12-01 
登録番号 特許第3134151号(P3134151)
権利者 光栄金属工業株式会社
発明の名称 シャーシー用台車  
代理人 野本 陽一  
代理人 岡田 収司  

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