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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 E06B |
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管理番号 | 1064479 |
異議申立番号 | 異議2002-70856 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-05 |
確定日 | 2002-09-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3216016号「引違い窓」の請求項1、3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3216016号の請求項1、3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 本件発明 本件特許第3216016号(平成8年11月7日出願の分割、平成13年8月3日設定登録)の請求項1及び3に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明3」という。)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1及び3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 上枠と下枠と左右の縦枠を方形状に連結した窓枠と、前記窓枠の面外方向室内寄りと面外方向室外寄りに面内方向に移動自在にそれぞれ装着した合成樹脂製障子を備えた引違い窓であって、前記それぞれの合成樹脂製障子を形成する合成樹脂製上框、合成樹脂製下框、合成樹脂製戸当り框及び召合せ框の合成樹脂製の框本体は、中空部と外向凹部と内向凹部を有する同一断面形状で、かつ同一見込み寸法、同一見付け寸法であり、それらの各端部を45度に切断して溶着等で連結され、前記窓枠の面外方向室内寄りに装着した合成樹脂製障子を形成する召合せ框の框本体における中空部に補強芯材が嵌合して取付けられ、この框本体の見込み方向室内面には、金属製の補強縦材が、前記補強芯材に螺合したビスで取付けられ、この補強縦材は、合成樹脂製の補強材カバーでカバーされ、この補強カバーの上部と下部にキャップがそれぞれ取付けてあることを特徴とする引違い窓。 【請求項3】 前記補強縦材の見付け方向両側面における見込み方向一端部に係合凹部を形成し、この係止凹部に、補強材カバーの両側板に設けた係止部を係合して補強材カバーが取付けてあり、その両側板に設けた係止部が前記框本体の見込み方向一側面に接触していることを特徴とする請求項1又は2記載の引違い窓。」 2 特許異議の申立ての理由 特許異議申立人佐藤文徳は、甲第1号証〜甲第5号証を提出して、本件発明1及び2は、甲第1号証〜甲第5号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1及び3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり、特許法113条1項2号に該当し、取り消されるべきである旨主張する。 甲第1号証:実願平5-69884号(実開平7-38555号)のCD -ROM 甲第2号証:実願平3-79621号(実開平5-32681号)のCD -ROM 甲第3号証:実願平3-22018号(実開平4-119016号)のマ イクロフィルム 甲第4号証:実願昭56-246号(実開昭57-114087号)のマ イクロフィルム 甲第5号証:実願昭63-22972号(実開平1-129487号)の マイクロフィルム 3 特許異議の申立てについての判断 3-1 甲各号証の記載事項 (1)甲第1号証には、実用新案登録請求の範囲、段落【0001】、同【0011】、同【0017】、同【0021】、同【0022】の記載及び図1〜図4によれば、「上枠と下枠と左右の縦枠を方形状に連結した窓枠と、前記窓枠の面外方向室内寄りと面外方向室外寄りに面内方向に移動自在にそれぞれ装着したFRP製障子を備えた引違い窓であって、前記それぞれのFRP製障子を形成するFRP製上框、縦框及び召合せ框は、H字形の同一断面形状かつ同一断面寸法であり、前記窓枠の面外方向室内寄りに装着したFRP製障子を形成する召合せ框の内部にスペーサーが取付けられ、室内側召合せ框と室外側召合せ框のそれぞれの対向面に召合せガイドが取り付けられ、召合せガイドに室内の気密保持のための召合せ框気密ビードが取り付けられている引違い窓」が記載されていると認められる。 (2)甲第2号証には、実用新案登録請求の範囲、段落【0013】の記載及び図1、図3によれば、「両端面を45度にカットした合成樹脂製の中空構造部材の端面同士が突き合わせ状態に熱溶着により接合して組立てられ、各部材内に補強材が挿入された合成樹脂製窓障子」が記載されていると認められる。 (3)甲第3号証には、実用新案登録請求の範囲、段落【0011】の記載及び図1〜図3によれば、「複数の枠材2が縦横に枠組みされて複数枠1が設けられ、各枠1の開口部内にガラス等のパネル3が取付けられてなる店舗のフロント装置において、既存のフロント装置の枠材2の店舗外側前面、店舗内側後面の一方又は両方に、枠材2の長さ方向に沿って取付基材4を介してカバー材5が取付けられ、取付基材4は枠材2に固定される帯状基板41の前面両側部に長さ方向に沿って係止片42が突設され、カバー材5は内側両側部に長さ方向に沿って係止片51が突設された長尺状となされ、上記係止片42,51どうしが係止されてカバー材5により枠材2が覆われた店舗のフロント装置」が記載され、「既存の枠材の店舗外側前面、店舗内側後面の一方又は両方に、取付基材を介してカバー材が取付けられているので、店舗改装時に枠材を取換える必要がなく、既存の枠材を使用したままで容易に改装できること」が記載されていると認められる。 (4)甲第4号証には、実用新案登録請求の範囲の記載によれば、「片引き障子窓の固定召し合せ框の補強部上下端にポリアミド製の小口カバーを配設した構造」が記載されていると認められる。 (5)甲第5号証には、実用新案登録請求の範囲、明細書4頁12〜15行の記載によれば、「防虫パッキンを家具部材に固着する基部材と、忌避剤入部材とに分割して形成し、忌避剤入部材を基部材に対して弾性を利用して着脱できるようにし、忌避剤入部材の両側下縁を延長して基部材を覆うと共にその先端が家具部材に接触するようにした脱着式防虫パッキン」が記載されていると認められる。 3-2 対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1は、従来の引違い窓における合成樹脂製障子は、各框の見込み寸法が同一であり、かつ見込み寸法大きくして見込み方向の剛性を大として合成樹脂製障子が風圧によって面外方向に湾曲変形しないようにしてあるから高価になるという課題を解決するものであって、前記の事項により特定されるものであり、「窓枠の面外方向室内寄りに装着した合成樹脂製障子を形成する召合せ框の合成樹脂製の框本体を、補強芯材と金属製の補強縦材で補強したことで合成樹脂製の召合せ框の剛性が大となるから、それぞれの合成樹脂製障子が風圧によって面外方向に湾曲変形することを防止できる。しかも、それぞれの合成樹脂製障子を形成する召合せ框の框本体は合成樹脂製で、かつそれぞれの合成樹脂製障子を形成する合成樹脂製上框、合成樹脂製下框、合成樹脂製戸当り框と同一断面形状で同一見込み寸法、同一見付け寸法であるから、框本体と、その框本体以外の他の各框の見込み寸法が召合せ框よりも小さく安価であるし、他の各框と框本体を45度切断で溶着等で強固に連結できる。さらに、補強縦材は合成樹脂製の補強材カバーで覆われて見えないし、框本体と補強材カバーが1つの部材であるように見えるので、見栄えが良い。」(本件明細書段落【0009】〜【0011】)との作用、効果を奏するものである。 本件発明1と甲第1号証記載のものとを対比すると、甲第1号証記載のものの「FRP」は合成樹脂であるので、両者は、「上枠と下枠と左右の縦枠を方形状に連結した窓枠と、前記窓枠の面外方向室内寄りと面外方向室外寄りに面内方向に移動自在にそれぞれ装着した合成樹脂製障子を備えた引違い窓であって、前記それぞれの合成樹脂製障子を形成する合成樹脂製上框、合成樹脂製戸当り框及び召合せ框の合成樹脂製の框本体は、同一断面形状で、かつ同一見込み寸法、同一見付け寸法である引違い窓」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 本件発明1では、前記窓枠の面外方向室内寄りに装着した合成樹脂製障子を形成する召合せ框の框本体における中空部に補強芯材が嵌合して取付けられ、この框本体の見込み方向室内面には、金属製の補強縦材が、前記補強芯材に螺合したビスで取付けられ、この補強縦材は、合成樹脂製の補強材カバーでカバーされ、この補強カバーの上部と下部にキャップがそれぞれ取付けてあるのに対し、甲第1号証記載のものは、そのような事項を備えていない。 相違点2 本件発明1では、合成樹脂製上框、合成樹脂製下框、合成樹脂製戸当り框及び召合せ框の合成樹脂製の框本体は、中空部と外向凹部と内向凹部を有する同一断面形状で、かつ同一見込み寸法、同一見付け寸法であり、それらの各端部を45度に切断して溶着等で連結されているのに対し、甲第1号証記載のものでは、そのような事項を備えているのか不明である。 なお、異議申立人は、甲第1号証記載の「スペーサー」及び「召合せガイド」が、それぞれ本件発明1の「補強芯材」及び「金属製の補強縦材」に相当すると主張するが、甲第1号証記載の「スペーサー」は図4によると、召合せ框を構成する二つの部材を接続するものであることは窺えるが、補強芯材であるのか否かは不明である。また、甲第1号証記載の「召合せガイド」は、室内側召合せ框と室外側召合せ框のそれぞれの対向面に取り付けられており、取り付け位置が本件発明1のように框本体の室内面ではなく、さらに、室内の気密保持のための召合せ框気密ビードが取り付けられていることからみて、本件発明1の「金属製の補強縦材」に相当するということはできない。 そこで、まず、上記相違点1について検討すると、甲第2号証〜甲第5号証のいずれにも、相違点1の本件発明1を特定する事項は記載されていないし、示唆もされていない。なお、甲第3号証には、枠材に取付基材4を介してカバー材5を取付けることが記載されているが、これは、カバー材を取り替え可能とすることにより、縦横に枠組みされた各枠1の開口部内にガラス等のパネル3が取付けられてなる店舗のフロント装置の改装を容易にすることを意図したものであって、合成樹脂製障子の框の補強を意図したものではなく、本件発明1の「取付基材」及び「カバー材」には当たらない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は甲第1号証〜甲第5号証記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (2)本件発明3について 本件発明3は本件発明1を引用してさらに限定したものであるから、本件発明1が甲第1号証〜甲第5号証記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明3も甲第1号証〜甲第5号証記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4 むすび 以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1及び3についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1及び3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-08-22 |
出願番号 | 特願平11-239385 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
Y
(E06B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 新井 夕起子 |
登録日 | 2001-08-03 |
登録番号 | 特許第3216016号(P3216016) |
権利者 | ワイケイケイアーキテクチュラルプロダクツ株式会社 |
発明の名称 | 引違い窓 |
代理人 | 高橋 邦彦 |
代理人 | 浜本 忠 |
代理人 | 佐藤 嘉明 |