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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1065175
審判番号 不服2000-11972  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-05-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-03 
確定日 2002-09-19 
事件の表示 平成10年特許願第259635号「パチンコ島台」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 5月18日出願公開、特開平11-128490]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 〔この出願の経緯及びこの出願の発明〕
この出願は、平成3年9月13日に出願された特許出願(特願平3-234317号)の一部が平成9年1月24日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願平9-26149号)とされ、この新たな特許出願の一部が平成10年9月14日に同規定により新たな特許出願とされたものであって、その請求項1及び2に係る各発明は、平成12年9月4日付け手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された下記のとおりのものである。
「1・パチンコ機を設置するパチンコ島台であって、
前記パチンコ機の設置位置の下方であって返却球計数装置のさらに下方の板部の全体を開閉自在に形成したことを特徴とするパチンコ島台。
2・設置されるパチンコ機毎に前記板部の全体を開閉自在に形成したことを特徴とする請求項1記載のパチンコ島台」
〔引用例に記載された発明〕
これに対して、原査定の拒絶理由において引用された、この出願の出願前に国内で頒布された刊行物である特開平2-228991号公報(引用例1)には、
特に、「パチンコ島台1の下方には、島台全体を支える支持板3bと、該支持板3bから斜めに立設される腰板3aとから構成され、腰板3aの上端から水平方向にカウンタ7が突設されている。このカウンタ7は、遊技客の手荷物や、あるいは獲得した景品球を入れた玉皿を載置するために設けられるものである。一方、パチンコ島台1の上部には、幕板4と、該幕板4の上部に位置する開閉板5とから構成される・・・開閉板5は、島台1内部に設けられるパチンコ玉分配樋・・・を流下するパチンコ玉が詰ったときに開放して、その玉詰まりを解消するために設けられるものである」(第2頁左下欄第18行〜同右下欄第12行)の記載からみて、
「パチンコ機2を設置するパチンコ島台1であって、
前記パチンコ機2の設置位置の下方に腰板3aを形成したパチンコ島台1」を構成とする発明が、
同じく実願昭54-178308号(実開昭56-95280号)のマイクロフィルム(引用例2)には、
特に、「島台単位で球が自動循環する省力機構に推移しているが、この通称「島還元方式」に不可欠なパチンコ球の揚送機(玉磨揚送機を含む)は従来日常の保守整備上から便利なように島台一端に起設されていたが、近年遊技場の華麗化に伴い装飾効果の大きな役割を果たす島台両端の化粧に支障するようになり、又島台を循環する球集配給路の効率を高める設計変更と共に、さらに揚送機の性能向上から運転中のトラブル等の激減等諸条件から、揚送機を島台中間部に移設する手段が取られているが、この場合揚送機が島台に予め略封入設置され、従って整備等の際には重要部が集中している揚送機の上下部においては、本考案者が先に提案した島台を構成する上部幕板箇所及び島台腰部が扉様に開閉できることで、一応保守便宜がはかられている」(明細書第2頁第1〜16行)の記載からみて、
「パチンコ機を設置するパチンコ島台であって、
前記パチンコ機の設置位置の島台腰部を扉様に開閉できるパチンコ島台」を構成とする発明が、
それぞれ記載されているものと認められる。
〔この出願の請求項1に係る発明と引用例に記載された発明との対比及び判断〕
この出願の請求項1に係る発明(前者)と引用例1に記載された発明(後者)とを対比すると、
後者の
「腰板3a」
がその機能に照らし、
前者の
「板部」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「パチンコ機を設置するパチンコ島台であって、
前記パチンコ機の設置位置の下方に板部を形成したパチンコ島台」である
点において一致し、
(1)パチンコ機の設置位置の下方であって板部の上方に、返却球計数装置が、
前者は、取り付けられている、
のに対し、
後者は、取り付けられていない、
(2)板部が、
前者は、その全体を開閉自在に形成されている、
のに対し、
後者は、かかる構成を備えているのか否か明らかではない、
点において相違するものと認められる。
そこで、相違点(1)についてみるに、
パチンコ島台において、パチンコ機の設置位置の下方であって板部の上方に、返却球計数装置を取り付けることは、例えば、実公昭55-14373号公報(同公報の「パチンコ島11」及び「景品玉の計数装置」が前者の「パチンコ島台」及び「返却球計数装置」に相当する)、特開昭60-31782号公報(同公報の「景品球計数装置」が前者の「返却球計数装置」に相当する)、実願平1-128020号(実開平3-67687号)のマイクロフィルム(同マイクロフィルムの「所謂島」及び「パチンコ玉計数装置」が前者の「パチンコ島台」及び「返却球計数装置」に相当する)にも記載されているように、従来周知の構成であるものと認められるから、パチンコ島台である後者に、この従来周知の構成を適用し、後者において、パチンコ機の設置位置の下方であって板部の上方に、返却球計数装置を取り付けることは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、相違点(1)の前者の効果が、後者及び従来周知の構成の各効果の総和以上の格別なものとも認められない。
相違点(2)についてみるに、
前者が板部を開閉自在に形成したのは、この出願の明細書の段落番号【0006】及び【0019】の「板部の内面における修理作業を簡単に行うことができる」という記載からも明らかなように、内部の修理作業のためであるところ、一般に、内部の修理作業のために所要部分を開閉自在に形成するということ自体は、従来周知の構成にすぎず、後者自体にも、内部の球詰まりを解消するために、すなわち、内部の修理作業のために、開閉板5を形成する構成、またその第5図によれば、揚送装置の下部の腰板部分に、明文の記載はないものの開閉扉の存在が認められる。
しかも、
引用例2に記載された発明の
「島台腰部」及び「扉様に開閉できる」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「下方の板部」及び「開閉自在に形成する」
に相当するものと認められ、
引用例2に記載された発明には、整備乃至保守便宜のために(引用例2の所で特に摘示した記載を参照されたい)、すなわち、内部の修理作業のために、「パチンコ機の設置位置の下方の板部を開閉自在に形成する」という具体的構成が備わっているのであるから、
パチンコ島台である後者において、その板部を開閉自在に形成することは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、板部の「全体」を開閉自在にするか否かは、パチンコ島台内部の機器の配置状況に応じて当業者が適宜行う単なる設計事項にすぎない。
そして、相違点(2)の前者の効果も格別なものとは認められない。
〔この出願の請求項2に係る発明と引用例に記載された発明との対比及び判断〕
この出願の請求項2に係る発明(前者)と引用例1に記載された発明(後者)とを対比すると、
両者間には、前記相違点(1)及び(2)に加えて、
(3)板部の全体を開閉自在に形成するのが、
前者は、パチンコ機毎である、
のに対し、
後者は、かかる構成を備えているのか否か明らかではない、
という新たな相違点が認められる。
この新たな相違点(3)についてみるに、
引用例2に記載された発明に、「パチンコ機の設置位置の下方の板部を開閉自在に形成する」という構成が備わっている以上、板部の全体を開閉自在に形成するのを、「パチンコ機毎に」行う程度のことは、パチンコ島台内部の機器の配置状況に応じて当業者が適宜行う単なる設計事項にすぎない。
そして、前記相違点(1)及び(2)については、この出願の発明の請求項1に係る発明と引用例との対比及び判断の所で判断済みである。
〔まとめ〕
したがって、この出願の請求項1及び2に係る各発明は、引用例1、2に記載された発明、及び従来周知の構成に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-07-17 
結審通知日 2002-07-23 
審決日 2002-08-06 
出願番号 特願平10-259635
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗澤田 真治  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
白樫 泰子
発明の名称 パチンコ島台  
代理人 今崎 一司  

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