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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1065294 |
審判番号 | 不服2001-6799 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-10-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-04-26 |
確定日 | 2002-10-15 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 88570号「動画像伸長装置及び方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年10月19日出願公開、特開平11-289536、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成10年4月1日の出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成13年2月5日付け及び平成14年9月10日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のとおりである。 「【請求項1】 キャッシュメモリを備えたCPUとメモリ装置と表示装置と前記CPUで動作するデコードソフトウエアとを有する動画像伸長装置において、 IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内において現在伸長中のマクロブロックと同じ位置にあるマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して動き補償処理を行い、 Bピクチャの伸長処理をする場合に、動き補償処理の後で伸長したマクロブロックを前記キャッシュメモリから前記表示装置へ転送することを特徴とする動画像伸長装置。 【請求項2】 キャッシュメモリを備えたCPUとメモリ装置と表示装置と前記CPUで動作するデコードソフトウエアとを有する動画像伸長装置において、 IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内の所定数のマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して前記所定数と同数のマクロブロックに対する伸長処理を行うという手順を全マクロブロックの伸長処理が終了するまで繰り返して行い、 Bピクチャの伸長処理をする場合に、動き補償処理の後で伸長したマクロブロックを前記キャッシュメモリから前記表示装置へ転送することを特徴とする動画像伸長装置。 【請求項3】 キャッシュメモリを備えたCPUとメモリ装置と表示装置と前記CPUで動作するデコードソフトウエアとを有する動画像伸長方法において、 IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内において現在伸長中のマクロブロックと同じ位置にあるマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して動き補償処理を行う第1のステップと、 Bピクチャの伸長処理をする場合に、動き補償処理の後で伸長したマクロブロックを前記キャッシュメモリから前記表示装置へ転送する第2のステップとを有することを特徴とする動画像伸長方法。 【請求項4】 キャッシュメモリを備えたCPUとメモリ装置と表示装置と前記CPUで動作するデコードソフトウエアとを有する動画像伸長装置において、 IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内の所定数のマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して前記所定数と同数のマクロブロックに対する伸長処理を行うという手順を全マクロブロックの伸長処理が終了するまで繰り返して行うステップと、 Bピクチャの伸長処理をする場合に、動き補償処理の後で伸長したマクロブロックを前記キャッシュメモリから前記表示装置へ転送するステップとを有することを特徴とする動画像伸長方法。」 2.刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(特開平9-312857号公報)には、画像データを圧縮又は復号する際に行う情報処理方法に関し、以下の事項が記載されている。 (1)「データメモリに格納された第1の画像データをデータキャッシュにコピーして、このデータキャッシュにコピーされた第1の画像データを参照しながら第2の画像データに対して所定の処理を行う情報処理方法において、上記第2の画像データの画素とその画素を処理する過程で高い確率で参照される上記第1の画像データの画素とをアクセスしたときに、それぞれの画素に対応する第1の画像データと第2の画像データとがそれぞれデータキャッシュの第1の番地と第2の番地とにコピーされるように、上記第1の画像データと上記第2の画像データとをそれぞれデータメモリの第1の場所と第2の場所に割り付けて格納し、上記データメモリに格納されている第1の画像データと第2の画像データとを読み出して、上記データキャッシュの第1の番地と第2の番地とにコピーし、上記第1の番地と第2の番地とにコピーされた第1の画像データと第2の画像データとに基づいて所定の処理を行うことを特徴とする。」(5頁右欄33行ないし50行) (2)「本発明に係る情報処理方法によれば、第2の画像データの画素とその画素を処理する過程で高い確率で参照される第1の画像データの画素とをアクセスしたときに、それぞれの画素に対応する第1の画像データと第2の画像データとがそれぞれデータキャッシュの第1の番地と第2の番地とにコピーされるように、第1の画像データと第2の画像データとをそれぞれデータメモリの第1の場所と第2の場所に割り付けて格納することにより、第1の画像データと第2の画像データとが上書きされることを回避することができる。すなわち、上記情報処理方法では、第1及び第2の画像データを繰り返し読み出す必要がなくなり、処理を一時中断するキャッシュミスがなくなり、高速でデータ処理することができる。」(17頁左欄36行ないし49行) 3.本願の請求項1ないし4に係る発明と刊行物に記載された発明との対比 本願の請求項1、3に係る発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、刊行物に記載された発明は、本願の請求項1、3に係る発明における次に掲げる主要な事項を備えておらず、また、当該事項を示唆する記載もなされていない。 (A)IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内において現在伸長中のマクロブロックと同じ位置にあるマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して動き補償処理を行うこと。 また、本願の請求項2、4に係る発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、刊行物に記載された発明は、本願の請求項2、4に係る発明における次に掲げる主要な事項を備えておらず、また、当該事項を示唆する記載もなされていない。 (2)IピクチャまたはPピクチャの伸長処理をする場合に、そのフレームの直前のIピクチャまたはPピクチャ内の所定数のマクロブロックを前記キャッシュメモリに格納し、前記キャッシュメモリの内容を前記表示装置に転送した後に前記キャッシュメモリに格納された内容を参照して前記所定数と同数のマクロブロックに対する伸長処理を行うという手順を全マクロブロックの伸長処理が終了するまで繰り返して行うこと。 すなわち、上記刊行物に記載された発明は、マクロブロックの動き補償処理において、キャッシュメモリに読み込まれた画像データが、他のマクロブロックの動き補償処理の時にもキャッシュメモリに残っているようにするために、ある画像データとその画像データを処理する過程で高い確率で参照される画像データとを、それぞれデータメモリの第1の場所と第2の場所に割り付けて格納することを示すに止まる。 そして、本願の請求項1ないし4に係る発明は、上記主要な事項により、明細書に記載された「Pピクチャの伸長処理においてマクロブロックの動き補償処理を行う直前に参照するフレームの同じ位置のマクロブロックを表示装置3へ転送するために、そのマクロブロックのデータはキャッシュメモリ装置5に格納されている。このことにより、動き補償処理でキャッシュミスが発生する確率を低くすることができ、動き補償処理と表示装置への転送処理におけるキャッシュミスを減らすことにより、デコードソフトウエアの処理速度の低下を防ぐことができる。」という作用効果を奏するものであり、この点は前記刊行物に記載のものからは期待することができない格別のものと認められる。 したがって、本願の請求項1ないし4に係る発明は、刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4.むすび したがって、本願の請求項1ないし4に係る発明は、刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-09-30 |
出願番号 | 特願平10-88570 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松永 隆志 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
小林 秀美 小松 正 |
発明の名称 | 動画像伸長装置及び方法 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 福田 修一 |