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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08G
管理番号 1065320
審判番号 不服2001-12769  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-03-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-19 
確定日 2002-09-26 
事件の表示 平成 9年特許願第160291号「駐車場予約管理システム」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 3月17日出願公開、特開平10- 74300]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年6月17日(優先権主張平成8年6月28日)の出願であって、その発明は請求項1乃至11に記載されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、請求項1に記載された次のとおりのものである。
「道路に設置された道路側通信機(1)と、駐車場の利用状況を管理する管理装置(6、7)とを備え、車両に搭載された車載機(2)が、前記道路側通信機と通信を行い、前記道路側通信機を介して、前記管理装置(6、7)に駐車場の予約を行うことができるようにした駐車場管理システムであって、
前記管理装置は、前記道路側通信機を介して、前記車載機に駐車場の予約処理番号を記録させるとともに、予約先の駐車場の駐車場入口通信機(4)に前記予約処理番号を転送し、
前記駐車場入口通信機は、前記車載機から前記記録された予約処理番号を受信し、先に転送されていた予約処理番号との照合を行って、予約された車両であるか否かを判定することを特徴とする駐車場予約管理システム。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-301890号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「中央処理装置1は、ハードウェアとしての入出力部、処理部、記憶部を持つ一般的なオフィスコンピュータにて構成されており、屋外案内表示盤3と対応して屋外に設けられた表示制御機2との間のデータ通信機能を有している。そして、屋外案内表示盤3に商用目的の案内表示を行うと同時に車載機4から表示制御機2を経由して送られてくる予約情報を受信して予約処理を行い、その処理結果としての予約結果情報を、予約送信してきた表示制御機2を通して、予約送信してきた車載機4に返送する。上記予約結果情報は、受付番号と、商品販売地点または商用サービス地点等の目的地番号とを有する。」(3頁右欄35行-46行)、
「車載機4では、上記屋外案内表示盤3に対応する表示制御機2から返送される予約結果を空中線5が受信すると、無線機6を介して車載制御機8がその予約結果情報としての予約番号と特定の目的地経路情報とを記憶する」(4頁左欄36行-40行)、
「実施例2.この発明の実施例2を図5について説明する。なお、この実施例2において、車載機は実施例1の図3と図4に示した車載機4を使用する。図5は実施例2による道路案内表示装置の固定設備を示す構成図である。図5において、中央処理装置1には、複数の表示制御機2と、この複数の表示制御機2に対応する屋外案内表示盤3とに加えて、複数の駐車場15に対応するローカル処理装置16が接続される。ローカル処理装置16は対応付けられた駐車場15に応じて予め記憶した満車となる数(満車数)と現在の入出車数との差を演算し、まだ何台の車を駐車することができるという空車数と、もう1台も駐車することはできないという満車を表現する空車・満車情報を中央処理装置1に伝送しておく。
・・・・・・(中略)・・・・・・
この実施例2の装置の動作を説明する。駐車場を探す自動車の乗員が、道路沿線の屋外案内表示盤3を見て空車・満車表示領域18中で空車点灯表示がなされている案内表示から自分の希望する駐車場案内情報に相当する予約番号と現在位置とを入力すると、その予約番号と現在位置とに相当する予約情報が車載機4の空中線5から近くの屋外案内表示盤3と対応する表示制御機2の空中線2aおよび表示制御機2を経て中央処理装置1に伝送される。この車載機4からの予約情報を受けた中央処置装置1は、その予約情報に対応する予約処理を行い、その予約処理に対応する予約結果としての受付番号と目的地番号等の情報を上記予約送信してきた表示制御機2に返送する。そして、表示制御機2が予約結果情報を屋外案内表示盤3に表示させると同時に予約結果情報中の目的地番号により、その目的地番号に対応する特定の目的地経路情報を選択して、車載機4の空中線5に返送する。この結果、車載制御機8は予約結果のとしての特定の目的地経路情報に応じて、現在位置から目的地までの経路を誘導案内表示器9に表示させると同時に、特定の目的地経路情報を得た場所を起点として、車速センサ7からの車速情報により距離計数を行い、上記キーとなる交差点ごとの一定距離手前において、その目的地経路情報による方向指示を、誘導案内表示器9に表示するとともに、音声合成器10を通してスピーカ11から音声出力して乗員に知らせる。これにより乗員は、誘導案内表示器9の表示を見ることにより、またスピーカ11からの音声情報を聴取することにより、例えば、自分が駐車を希望した駐車場15に迷うことなく最短距離を通って容易に行ことができるとともに、駐車場に到着したときは満車で待つことなく即座に駐車することができ、周辺道路の混雑を招くことがなくなる。」(5頁左欄1行-同頁右欄3行)、
と記載されていることが認められ、これらの記載によれば引用例1には
「道路に設置された表示制御機(2)と、駐車場の利用状況を管理するローカル処理装置(16)及び中央処理装置(1)とを備え、車両に搭載された車載機(4)が、前記表示制御機と通信を行い、前記表示制御機を介して、前記中央処理装置に駐車場の予約を行うことができるようにした駐車場管理システムであって、
前記中央処理装置は、前記表示制御機を介して、前記車載機に受付番号を返送する駐車場予約管理システム。」
との発明(以下、引用例1発明という。)が開示されていると認めることができる。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-336852号公報(拒絶査定時に引用された周知例。以下、引用例2という。)に、
「利用者ごとに用意され、所定の釦ごとに記録されたデータを送信する送信機を有するリモートコントロール装置と、前記リモートコントロール装置からのデータを受信する受信機を備えた運転盤と、基本データが登録された記憶手段と、前記受信機で受信したデータを前記記憶手段の基本データと照合し、選択的に制御を実行する制御手段と、前記制御手段のコントロールのもとで自動車の入出庫の作動を行なう駆動装置とを備えたリモートコントロール装置により運転する機械式駐車設備。」(8頁左欄10行-同頁右欄5行)、
「入出庫に関する個々のリモートコントロール装置1が有する個別の入力データになりうるデータはリモートコントロール装置1毎に対応する駐車装置を特定する物件データ、リモートコントロール装置1毎の区別する該当リモコン番号あるいは連番などの番号、ユーザ(個人)を特定する使用者暗証番号、入出庫予約時刻、或いは入庫から出庫までの駐車時間を示す入出庫操作時間等であり、個々のリモートコントロール装置1の区別手段は区別する番号又は暗証番号であり、・・・(中略)・・・メモリー5に記憶されるデータは基本データであり、基本データには1台分のトレーを駐車する駐車区画毎について収容したトレー番号のデータ及びトレー番号毎についてリモートコントロール装置1毎の区別手段としての区別する番号又は暗証番号のデータをROM又はRAMとして記憶されたものだけでなく、全てのリモートコントロール装置1が有する前記の個別のデータが含まれ、機械式駐車設備を制御するための情報は全て含まれる。
入庫操作について、図2にしたがって説明すると、まずドア前に自動車を停止させて運転者が自動車に乗ったままでリモートコントロール装置1の送信機2で入庫操作のデータ送信を行なう。すると受信機3がデータを受信する。データが正常であれば空トレーの呼出し運転を開始する。空トレーが着床し、ドアが開く。しかる後、自動車を入庫させて運転者は退出する。次いで、運転者が送信機2で入庫完了操作のデータ送信を行なう。すると受信機3がデータを受信する。データが正常であればドアが閉じて入庫は完了する。」(10頁左欄11行-48行)、
と記載されていることが認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明における「表示制御機」、「ローカル処理装置及び中央処理装置」は、それぞれ、本願発明における「道路側通信機」、「管理装置」に相当するものであり、引用例1発明における「受付番号」は、予約処理に対応する予約結果としての番号であるから、「予約処理番号」ということができるものである。そうすると、両者は、
「道路に設置された道路側通信機と、駐車場の利用状況を管理する管理装置とを備え、車両に搭載された車載機が、前記道路側通信機と通信を行い、前記道路側通信機を介して、前記管理装置に駐車場の予約を行うことができるようにした駐車場管理システムであって、
前記管理装置は、前記道路側通信機を介して、前記車載機に駐車場の予約処理番号を与えることを特徴とする駐車場予約管理システム。」
の点で一致し、以下の点で相違が認められる。
[相違点]本願発明が、車載機に駐車場の予約処理番号を記録させるとともに、予約先の駐車場の駐車場入口通信機に前記予約処理番号を転送し、前記駐車場入口通信機は、前記車載機から前記記録された予約処理番号を受信し、先に転送されていた予約処理番号との照合を行って、予約された車両であるか否かを判定するとの構成を備えるのに対し、引用例1発明が、かかる構成につき記載するところがない点。

そこで、前記相違点について検討する。
引用例2の前示記載によれば、機械式駐車設備への入庫操作時の技術ではあるが、駐車設備が車両から受信したデータを先に記憶しておいたデータと照合することにより入庫の可否を判別するとの技術事項を把握することができる。
そして、引用例1発明において、車両が予約した駐車場に到着した際、その車両が予約された車両であるか否かを判別する必要のあることは当業者が直ちに理解できることであるとともに、前記引用例2の技術事項は特定の車両を判別するとの観点では、予約された車両を判別することと共通するのである。
そうすると、引用例2に接した当業者であれば、引用例1発明において車両が予約された車両であるか否かを判別するために、前記引用例2の技術事項を適用しようとすることは、容易に着想できたことということができる。
そして、かかる適用にあたっては、引用例1発明の車載機が受け取った予約結果のデータ(受付番号等)を照合のためのデータとして採用し、前記データを駐車場設備側にも送信して記憶させておくとともに、駐車場入口にて前記データを車載機から駐車場設備側へ送信して両者を照合するものとして足りるのであるから、そうすると、前記相違点に係る本願発明の構成は、当業者が容易に想到しえたものというべきである。

なお、審判請求人は、「本願発明は、管理装置から転送されてきたデータに基づいて照合判定しているのに対し、上記周知技術(審決注:引用例2に同じ)は、駐車設備のメモリ5に予め記憶されたデータに基づいて照合判定しており、照合判定するための基準となるデータが全く異なる形態となっています。・・・(中略)・・・以上のように、上記引用文献1および周知技術には、本願発明の特徴である・・・(中略)・・・は示されていなく、当業者でも容易に想到し得るものではないと考えます。」(平成13年8月10日付手続補正書5頁10行-24行)と主張しているので、この点につき検討すると、引用例1発明に引用例2の技術事項を適用して本願発明の構成を当業者が容易に想到しえたこと前示のとおりであって、引用例2に管理装置から転送されてきたデータに基づいて照合判定することが記載されていなければ、これを引用例1発明に適用できないとする理由も認められないから、前記審判請求人の主張を採用することはできない。

そして、本願発明が奏する作用効果も、引用例1及び引用例2から当業者が予測できる範囲のものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-07-25 
結審通知日 2002-07-30 
審決日 2002-08-16 
出願番号 特願平9-160291
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 仲村 靖  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 紀本 孝
大野 覚美
発明の名称 駐車場予約管理システム  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 矢作 和行  
代理人 加藤 大登  

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