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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04D
管理番号 1065358
審判番号 不服2000-2791  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-02 
確定日 2002-09-26 
事件の表示 平成10年特許願第191351号「気密屋根」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月25日出願公開、特開2000- 27379]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成10年7月7日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成11年6月18日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】屋根の骨組材に固定され、ロール成形された金属製の下板と、下板の上に位置し、同じくロール成形され、折版状をした金属製の上板と、下板と上板との間に配置、もしくは充填される断熱材から構成され、下板と上板は共にそれぞれの長さ方向に連続し、骨組材には上板の断面形状に対応した溝形断面のフレーム材が固定され、上板はフレーム材に沿って配置され、固定されている気密屋根。」
なお、平成12年3月22日付けの手続補正については、別途、補正却下の決定がなされた。

2.引用例の記載事項
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平5-86692号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
a「【請求項1】平板状主板と僅かな高さの結合部とを連続させて平坦状下層屋根とし、該平坦状下層屋根上に底部と山形部とが交互に連続する上層折板屋根を葺成したことを特徴とした二重屋根。」(特許請求の範囲)
b「【従来の技術】室内の断熱,保温等に有効な二重屋根が多く使用されている。従来の二重屋根においては、下層屋根と上層屋根とが同一タイプのもので施工することが多く、例えば上層屋根が折板タイプの屋根であるならば、下層屋根も略同様の折板タイプのものとなることが多かった。」(【0002】)
c「符号Aは平坦状下層屋根であって、平坦状に形成されており、複数の平坦状下層屋根板A1,A1,…より構成されている。具体的には、平坦状主板1と僅かな高さの結合部とを連続させて平坦状に形成されている。その下層屋根板A1は、平坦状主板1の幅方向一側端に垂直状被係止部2が、他端には垂直状係止部3が各々形成されており、複数の下層屋根板A1,A1,…を配置し、その垂直状被係止部2に垂直状係止部3が重合して係止され、これが僅かの高さの結合部として形成され、平坦状下層屋根Aが施工されている。」(【0007】、【0008】)
d「符号Bは上層折板屋根であって、各種の折板タイプのものであり、何れも山形部4と底部5とが幅方向に交互に形成されている。その第1実施例としては、図1,図2,図5等に示すように、嵌合タイプのものであり、折板の両端部に被嵌合部4a,4aが形成された屋根板B1とキャップ材B2にて構成され、隣接する屋根板B1,B1の被嵌合部4a,4aにキャップ材B2が被嵌されて、嵌合タイプの上層折板屋根Bが葺成施工されている。」(【0009】、【0010】)
e「また、上層折板屋根Bの第3実施例としては、図4に示すように、重合タイプのものであり、隣接する屋根板B1,B1の山形部4,4同士が重合固着され、重合タイプの上層折板屋根Bが葺成施工されている。」(【0013】)
f「上層折板屋根Bは、隣接する山部間に補強杆8が設けられることもある。さらに、平坦状下層屋根Aと上層折板屋根Bとの間にはグラスウール等の断熱材9が内装されることもある。平坦状下層屋根Aの下方には母屋10,10,…が配置され、該母屋10,10,…は、これと直交する複数の梁材11,11,…にて支持されている。」(【0014】〜【0016】)
以上の記載並びに図1、図2、図4及び図5によれば、引用例1には、
「屋根の母屋10に固定された下層屋根板A1と、下層屋根板A1の上に位置し、折板状をした屋根板B1と、下層屋根板A1と屋根板B1との間に配置される断熱材9から構成され、母屋10には屋根板B1の断面形状に対応した溝形断面の補強杆8が固定され、屋根板B1は補強杆8に沿って配置され、固定されている二重屋根」 の発明が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「下層屋根板A1」、「屋根板B1」、「折板状」及び「補強杆8」は、それぞれ本願発明1の「下板」、「上板」、「折版状」及び「フレーム材」に相当し、引用例1記載の発明の「母屋10」は、屋根の骨組材である。また、引用例1記載の発明に係る二重屋根は、室内の断熱、保温に有効な二重屋根である(上記bの記載参照。)ことから、室内の断熱、保温を有効に行う程度の気密性を有していると考えられるので、両者は、
「屋根の骨組材に固定された下板と、下板の上に位置し、折版状をした上板と、下板と上板との間に配置される断熱材から構成され、骨組材には上板の断面形状に対応した溝形断面のフレーム材が固定され、上板はフレーム材に沿って配置され、固定されている気密屋根。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1
本願発明1では、下板と上板が、ロール成形された金属製であるのに対し、引用例1記載の発明では、下板と上板が、ロール成形された金属製であるのか不明である。
相違点2
本願発明1では、下板と上板は共にそれぞれの長さ方向に連続しているのに対し、引用例1記載の発明では、下板と上板がそれぞれの長さ方向に連続しているのか不明である。
そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
屋根板をロール成形された金属製とすることは、本願の出願前に周知の技術事項(例えば、特開平5-141056号公報、特開平9-184251号公報、特開平9-88251号公報、参照。)であり、この周知の技術事項を引用例1記載の発明の上板及び下板に適用して、本願発明1の相違点1における事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
相違点2について
屋根板をその長さ方向に連続したものとし、長さ方向に接続部をつくらないようにすることは、本願の出願前に周知の技術事項(上記周知例参照。)であり、この周知の技術事項を引用例1記載の発明の上板及び下板に適用して、本願発明1の相違点2における事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

4.むすび
したがって、本願発明1は、引用例1記載の発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-07-23 
結審通知日 2002-07-30 
審決日 2002-08-13 
出願番号 特願平10-191351
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青山 敏  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 公子
蔵野 いづみ
発明の名称 気密屋根  
代理人 久門 知  
代理人 久門 享  

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