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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1065722
審判番号 不服2001-17606  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-03 
確定日 2002-10-10 
事件の表示 平成 5年特許願第 98954号「ICカード用端末装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月18日出願公開、特開平 6-290312]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本願は、平成5年3月31日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年10月31日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本件発明」という。)
「携帯可能に構成され、メモリにデータおよび簡易言語によるプログラムを格納した複数のICカードとの間で通信を行うICカード用端末装置であって、
入力パスワードとICカードに登録されたパスワードとを照合し、一致したら上記データおよび簡易言語によるプログラムの読み込みを許可する許可手段と、
上記ICカードのメモリからデータおよび簡易言語によるプログラムを読み込む読込手段と、これらのデータおよび簡易言語によるプログラムを記憶する記憶手段と、
上記読み込まれたデータをデータ処理するデータ処理手段と、
上記各ICカードのメモリから読み込まれた簡易言語によるプログラムを解釈、実行するプログラム実行手段と、
上記データ読込手段により読み込んだデータを表示する表示手段とを備えたICカード用端末装置。」

2.引用発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した、本願の出願の日前である平成元年1月31日に頒布された特開昭64-29051号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「この発明は、ICカードを使用する電話機に関し、ICカードに格納されたプログラムに基づき電話機の機能動作を指定するようにしたICカード電話方式に関するものである。」(第1頁右下欄第20行目乃至第2頁左上欄第3行目)
(2)「この発明の目的は、上記の欠点を解消するため、1枚のICカードで多目的利用の実現と、かつ1台の電話機などの端末においても複数のアプリケーションを可能とすることにある。このため、表示部のガイダンス表示や入力部のキー操作との連係、通信手順の設定などを記述でき、プログラム量が圧縮できる簡易言語を用い、業務に応じてこの簡易言語によりアプリケーションプログラムを作成すれば、ICカードを電話機に結合した後上記アプリケーションプログラムをローディングすることにより、上記複数の業務が遂行できるICカード電話方式を提供するものである。
[問題を解決するための手段]
この発明に係るICカード電話方式は、ICカードにはコマンドとパラメータからなる簡易言語により記述された業務プログラムを格納し、ICカードを電話機と結合し、業務プログラムをこの電話機にダウンロードし、業務プログラムにしたがって必要な業務を遂行することを特徴とするものである。
[作用]
この発明においては、サービス提供者または個人の利用者は、ICカードとICカードを使用する電話機を用い、さらにはセンタとのデータ通信や電話機のPB信号による各種センタサービスを利用しようとした場合、先ず行おうとする業務プログラムを簡易言語により作成し、ICカードに格納する。
次に、利用者はこのICカードを電話機に挿入すると、電話機はICカードとの通常の初期設定手順を経て、利用者がアプリケーションを指定した時、指定されたアプリケーションプログラム(簡易言語で記述)が電話機にローディングされ、電話機内部のRAM上に常駐し、電話機はこの簡易言語を解釈するインタプリタを内蔵し、アプリケーションで指定された機能動作をする。すなわち、このICカードによって、電話機はICカード内に格納されている簡易言語により作成されたアプリケーションプログラムを実行する。」(第2頁右下欄第1行目乃至第3頁左上欄第19行目)
(3)「第1図において、1はICカード、2は電話機である。21〜27は前記電話機2を構成するユニットで、21は主制御部、22はICカードインタフェースディバイス部で、電話機2に挿入されたICカード1とISOで規定されているコンタクトを介し通信するためのユニットであり、23は前記ICカード1内のデータを格納しておくカード内情報記憶部、24は情報入出力部で、24a,24bから構成され、24aは液晶ディスプレイなどの(「などの」は“などで”の誤記)構成される表示部、24bは透明ディジタイザからなる入力部であり、本図では情報入出力部は通常タッチパネルと称される。25は電話を行うための通話回路部、26はデータ通信に必要なモデム、27は通話かデータかを切り替える通信制御部である。
これら各ユニットは内部バスなどにより主制御部21に接続され、主制御部21は電話機2の全体としての動作を制御する。
一般的に主制御部21は第2図に示すように、CPU21aとRAM21c、ROM21bおよびI/O21dなどで構成され、ROM21b内に持つプログラムによって動作可能となっている。一方、カード内情報記憶部23は、ICカード1内の業務プログラムをICカードインタフェースディバイス部22を介して主制御部21が読取り、情報を記憶させるためのもので、RAMであったり不揮発性のメモリ(電池によるバックアップ電源付きRAM)であったりする。すなわち、主制御部21のROM21bが電話機2の全体の動作を制約する基本プログラムを格納するものであるとすれば、カード内情報記憶部23はこの電話機2でいろいろな業務をさせるために用意されたアプリケーションプログラムを格納するためのものである。すなわち、利用者がICカードを電話機2に挿入し、ICカード1内の簡易言語で作成された業務アプリケーションの内容を電話機1にローディングしてカード内情報記憶部23の(「の」は“に”の誤記)格納後、主制御部21はカード内情報記憶部23にあるアプリケーションプログラムで動作するようになっている。」(第3頁左下欄第1行目乃至右下欄第20行目)
(4)「第3図(d)は簡易言語で記述されたアプリケーションプログラム(AP)のダウンローディングとプログラムの走行を示す概念図で、同図の(1)〜(6)にしたがって動作することを示している。
まず、ICカード制御プログラムが実行され、CPU21aに対して一括コマンド送信を依頼する([1]の一括コマンド送信依頼)。CPU21aではICカード1のプロセッサに対してICカード1内の業務アプリケーションの内容を電話機にローディングするよう通知([2]の一括リードコマンドの送信)する。ICカード1のプロセッサは、ICカード1内の処理、実行プログラムを実行し、これによって業務APのサーチが行われる([3]の業務APのサーチ)。利用者によって、希望の業務APが指定されると、指定されたICカード1内の業務APは電話機2内のカード内情報記憶部23に転送される([4]の業務APのダウンロード)。次に、電話機2内のCPU21aは、簡易言語を解釈するための簡易言語インタプリタを起動し([5]の起動)、ダウンラインローディングされた業務APが1コマンド毎に解釈、実行される([6]の1コマンド毎に実行解釈)。
第4図は簡易言語で記述されたアプリケーションプログラムがどのように作用するかを示すサービス提供手順の説明図で、ICカード1の挿入からカード内のアプリケーションの選択,実行そしてアプリケーション終了後のICカード1の排出まで示している。これによれば、アプリケーションの選択のための表示、利用者のキー入力による選択、アプリケーションプログラムのローディング、相手への自動ダイヤル、データ通信方式の設定、センタとのデータのやりとり、アプリケーションの終了、カード排出までを記述すれば、電話機2は記述された通りに動作する。」(第4頁右上欄第17行目乃至右下欄第12行目)
(5)「いわゆるICカードは、一般に、セキュリティの高いシステムに多く用いられることが予想され、そのために端末は各アプリケーション毎に個別に用意しなければならないことが予想される。セキュリティ用のデータファイルとしての使い方では、銀行のATMや店舗のPOSなどで使用できるが、例えば零細な企業や個人の家庭でICカードが有効なサービスを享受したくとも、各サービスに依存する端末を用意するのは困難であるし、仮に、いわゆるパーソナルコンピュータ(PC)にICカードリードライタを付加して、FDにより各サービスを提供することができても、操作性の点で難点がある。したがって、この発明のように、誰でもが親しんでいる電話機の操作イメージでサービスの享受ができるのは、きわめて優れていることは明らかである。」(第5頁左上欄第16行目乃至右上欄第12行目)

上記記載事項によると、引用刊行物には、
EEPROMに簡易言語記述の業務APを格納した複数のICカードとの間で通信を行うICカード電話機であって、
前記ICカードのEEPROMから簡易言語記述の業務APをダウンローディングするダウンローディング手段と、前記簡易言語記述の業務APを記憶するカード内情報記憶部と、
データ処理するCPUと、
前記ICカードのEEPROMからダウンローディングされた簡易言語記述の業務APを1コマンド毎に解釈・実行する簡易言語インタプリタと、
表示部とを備えたICカード電話機の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

3.対比
本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明のICカード電話機は、ICカード用端末装置として捉えることができるものであって、引用発明の
(ア)EEPROMに簡易言語記述の業務APを格納した複数のICカード
(イ)前記ICカードのEEPROMから簡易言語記述の業務APをダウンローディングするダウンローディング手段
(ウ)前記簡易言語記述の業務APを記憶するカード内情報記憶部
(エ)データ処理するCPU
(オ)前記ICカードのEEPROMからダウンローディングされた簡易言語記述の業務APを1コマンド毎に解釈・実行する簡易言語インタプリタ
は、それぞれ、本件発明の
(ア')メモリに簡易言語によるプログラムを格納した複数のICカード
(イ')上記ICカードのメモリから簡易言語によるプログラムを読み込む読込手段
(ウ')簡易言語によるプログラムを記憶する記憶手段
(エ')データ処理するデータ処理手段
(オ')上記各ICカードのメモリから読み込まれた簡易言語によるプログラムを解釈、実行するプログラム実行手段
に相当する。
よって、本件発明も引用発明も、どちらも、
メモリに簡易言語によるプログラムを格納した複数のICカードとの間で通信を行うICカード用端末装置であって、
上記ICカードのメモリから簡易言語によるプログラムを読み込む読込手段と、簡易言語によるプログラムを記憶する記憶手段と、
データ処理するデータ処理手段と、
上記各ICカードのメモリから読み込まれた簡易言語によるプログラムを解釈、実行するプログラム実行手段と、
表示手段とを備えたICカード用端末装置の発明である点で一致し、次の点(A)、(B)、(C)で相違する。
相違点:
(A)本件発明は、携帯可能に構成されているのに対して、引用発明は、携帯可能に構成されていない点。
(B)本件発明は、入力パスワードとICカードに登録されたパスワードとを照合し、一致したらICカードからの読み込みを許可する許可手段を備えているのに対して、引用発明は、そのような許可手段を備えていない点。
(C)本件発明は、ICカードのメモリに、簡易言語によるプログラムとともにデータを格納するもので、ICカードのメモリから前記簡易言語によるプログラムとともにデータを読込手段で読み込んで記憶手段に記憶し、前記データをデータ処理手段で処理したり、前記データを表示手段で表示したりするのに対して、引用発明は、ICカードのメモリに、簡易言語記述の業務APとともにデータを格納しているか明確でない点。

4.当審の判断
相違点(A)について:
引用刊行物には、ICカード電話機を携帯可能に構成することは記載されていないけれども、携帯可能に構成したICカード電話機は周知(特開平3-76364号公報、特開平4-86034号公報、特開平4-83447号公報参照)であるから、引用発明のICカード電話機を携帯可能に構成することは、当業者ならば容易に想到し得るものである。

相違点(B)について:
引用刊行物の上記(5)には、ICカードをセキュリティの高いシステムに用いることが示唆されている。
セキュリティの高いシステムでは、入力パスワードとICカードに登録されたパスワードとを照合し、一致したらICカードからの読み込みを許可する許可手段を備えるようにするのは、技術常識(特開昭64-8492号公報第5頁右下欄参照)であるから、引用発明に、入力パスワードとICカードに登録されたパスワードとを照合し、一致したらICカードからの読み込みを許可する許可手段を付加することは、当業者ならば容易に想到し得るものである。

相違点(C)について:
引用刊行物の上記(5)には、ICカード電話機を用いて、銀行のATMや店舗のPOSで受けるのと同様のサービスを受けられるようにすることが示唆されている。
ICカードを用いて、銀行のATMや店舗のPOSで受けるのと同様のサービスを受ける場合に、ICカードに預貯金カードやクレジットカードとしての機能を持たせ、該ICカードのメモリに預貯金残高や購買の記録を格納し、これらのデータをICカードのメモリから端末装置に読込手段で読み込んで記憶手段に記憶し、前記データをデータ処理手段で処理したり、前記データを表示手段で表示したりできるようにするのは技術常識である。(特開昭64-8492号公報第1頁右下欄及び第5頁右下欄参照)
そうすると、前記技術常識を踏まえた上で、引用刊行物の示唆に従い、引用発明を、ICカードのメモリに簡易言語記述の業務APとともにデータを格納するものとし、ICカードのメモリから前記簡易言語記述の業務APとともにデータを読込手段で読み込んで記憶手段に記憶し、前記データをデータ処理手段で処理したり、前記データを表示手段で表示したりするようにすることは、当業者ならば容易に想到し得るものである。

5.むすび
したがって、本件発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-07-30 
結審通知日 2002-08-06 
審決日 2002-08-27 
出願番号 特願平5-98954
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 仁  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 堀田 和義
大橋 隆夫
発明の名称 ICカード用端末装置  
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