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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 C09K 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C09K |
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管理番号 | 1065851 |
異議申立番号 | 異議1999-74764 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-07-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-21 |
確定日 | 2002-07-29 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2907172号「液晶添加剤、液晶組成物およびそれを用いた液晶表示素子」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2907172号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第2907172号の発明は、平成9年1月13日に特許出願され、平成11年4月2日に特許権の設定登録がされ、その後、チッソ株式会社より特許異議の申立てがされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年6月15日に訂正請求されたものである。 II.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 (1)訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の記載について、「ハロゲン原子、水素原子、水酸基」とあるのを「ハロゲン原子、水酸基」と訂正する。 (2)訂正事項b 段落【0008】、【0014】の記載について、「ハロゲン原子、水素原子、水酸基」とあるのを「ハロゲン原子、水酸基」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1)訂正事項aは、X、Yの置換基から水素原子を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2)訂正事項bは、訂正事項aの訂正に伴い不整合となる明細書の記載を整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、これらの訂正は、願書に添付した明細書、又は図面に記載された事項の範囲内において訂正するものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.独立特許要件の判断 (1)訂正発明 本件特許第2907172号の請求項1ないし7に係る発明(以下、「訂正発明1ないし7」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】下記一般式(1)で表される有機シリコン化合物よりなる液晶添加剤。 【化1】 X | A-Si-CH2-B (1) | Y (ただし、式中、A、Bは相互に独立した炭素数5または6の環状置換基で、X、Yはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基より選ばれたいずれか1種の置換基を示す。) 【請求項2】前記環状置換基AおよびBが、置換もしくは非置換のフェニル基、または、置換もしくは非置換のシクロヘキシル基である請求項1に記載の液晶添加剤。 【請求項3】前記環状置換基AおよびBが、4-置換フェニル基、または4-置換シクロヘキシル基である請求項1に記載の液晶添加剤。 【請求項4】前記環状置換基Aに含まれる置換基が、-CnH2n+1、-OCnH2n+1、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-CF3、または-CN(式中nは0〜10の整数)である請求項1乃至3いずれかに記載の液晶添加剤。 【請求項5】前記X、Yがメチル基である請求項1乃至4いずれかに記載の液晶添加剤。 【請求項6】母体液晶組成物がネマチック液晶組成物またはスメクチック組成物であって、請求項1乃至5いずれかに記載の液晶添加剤を前記母体液晶組成物に対して1〜50重量%含有することを特徴とする液晶組成物。 【請求項7】請求項6に記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。」 (2)先願明細書1(特願平9-507462号、(国際公開97/05144)、甲第1号証)に記載された発明 先願明細書1には、 「1.一般式(1) Ra-A(-Z1-A1)m(-Z2-A2)n(-Z3-A3)o-Rb(1) (式中、Ra、Rb、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは-SiH2-を有しており、Raは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示し、該アルキル基中の1つ以上の-CH2-は-SiH2-、-O-、-S-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-または1,3-シクロブチレンで置換されていてもよいが、-O-および/または-S-が連続することはない。またRa中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはCNで置換されていてもよい。RbはRaから選ばれる基、ハロゲン原子またはCNを示し、A、A1、A2およびA3はそれぞれ2価環基であって、相互に独立して炭素数3〜10のシクロアルキレン、炭素数4〜10のシクロアルケニレン、炭素数5〜10のシクロアルカジエニレン、フェニレン、炭素数4〜10のビシクロアルキレンまたは炭素数5〜12のスピロ環2価基を示し、これらの環中の1つ以上の-CH2-は-O-、-S-または-NH-で、また-CH=は-N=でそれぞれ置換されていてもよく、さらに環上の1つ以上の水素原子はハロゲン原子またはCNで置換されていてもよい。Z1、Z2およびZ3は相互に独立して共有結合または-(CH2)p-を示し、該-(CH2)p-中の1つ以上の-CH2-は-SiH2-、-O-、-S-、-CO-、-CH=CH-または-C≡C-で置換されていてもよいが、-O-および/または-S-が連続することはない。また、Z1、Z2およびZ3中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。pは1〜4の整数、m、nおよびoは相互に独立して0または1を示す。)で示される有機ケイ素化合物。 8.請求の範囲1〜7のいずれかに記載の有機ケイ素化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。 12.請求の範囲8に記載の液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子。」(特許請求の範囲の請求項1、8、12)と記載されている。 (3)対比・判断 ア.当審の通知した取消理由は、訂正前の請求項1〜4、6〜7に係る発明は、先願明細書1(特願平9-507462号(国際公開97/05144号)、甲第1号証)に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないということにある。 [訂正発明1について] 先願明細書1の請求項1に記載された一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、-SiH2-基を必須の化学構造とするものであり、明細書中に具体的に開示された化合物にもケイ素として、-SiH2-基以外のものは開示がない。 一方、訂正発明1の一般式(1)で表されるケイ素化合物は、ケイ素の4つの結合には、水素原子が含まれていない。 したがって、先願明細書1には、訂正発明1の一般式(1)で表される化合物よりなる液晶添加剤は記載されておらず、訂正発明1は、先願明細書1に記載された発明と同一ということはできない。 [訂正発明2ないし4について] 訂正発明2ないし4は、訂正発明1の一般式(1)の化合物の環状置換基A、Bを更に限定するものであるが、訂正発明1についてと同じことがいえる。 したがって、訂正発明2ないし4は、先願明細書1に記載された発明と同一ということはできない。 [訂正発明6について] 訂正発明6は、訂正発明1ないし5のいずれかに記載の液晶添加剤を含有する液晶組成物であるが、訂正発明1ないし4についてと同じことがいえる。 したがって、訂正発明6が先願明細書1に記載された発明と同一ということはできない。 [訂正発明7について] 訂正発明7は、訂正発明6の液晶組成物を用いた液晶表示素子であるが、訂正発明1についてと同じことがいえる。 したがって、訂正発明7は、先願明細書1に記載された発明と同一ということはできない。 イ.異議申立人は、訂正前の請求項1〜7に係る発明は、一般式(1)で表される化合物の置換基の定義において、発明の詳細な説明で支持のないものが多数含まれ、発明の技術的範囲が不明瞭であるから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないとの主張している。 異議申立人の主張を善解すると、実施可能要件の不備を主張するものではなく、同条第6項第1号に規定する要件「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」を満たしていないということにある。 そこで、訂正後の明細書をみると、発明の詳細な説明には、シクロヘキサン及びベンゼンが開示されているから、本件発明1の一般式(1)において、置換基A、Bは炭素数5または6の環状置換基と定義することに格別不備な点はないし、同様に、訂正発明2ないし4の、更に環の置換基あるいは置換位置を限定するもの、訂正発明5のメチル基に特定ものも開示されているから、訂正発明1ないし7は、発明の詳細な説明に記載されており、技術的範囲が不明瞭でもない。 4.まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議の申立について 1.特許異議の申立ての概要 特許異議申立人は、申立理由として次の2点を主張している。 (1)訂正前の請求項1〜4、6〜7に係る発明は、先願明細書1(特願平9-507462号(国際公開97/05144号)、甲第1号証)に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に該当し特許を受けることができない(「申立理由1」という。)。 (2)訂正前の請求項1〜7に係る発明は、一般式(1)で表される化合物の置換基の定義において、発明の詳細な説明で支持のないものが多数含まれ、発明の技術的範囲が不明瞭であるから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない(「申立理由2」という。)。 2.本件発明 上記II.で示したように上記訂正が認められるから、本件発明は、上記II.3.(1)に記載のとおりである。 3.先願明細書1(特願平9-507462号、(国際公開97/05144)、甲第1号証)に記載された発明 先願明細書1には、上記II.3.(2)に記載された発明が記載されている。 4.当審の判断 (1)申立理由1について 上記II.3.(3)ア.に示したのと同じ理由により、本件発明1〜4、6〜7は、それぞれ先願明細書1に記載された発明と同一ということはできない。 したがって、異議申立人の主張は採用できない。 (2)申立理由2について 本件発明1ないし7の技術的範囲が不明瞭とすることができないとする理由は、上記II.3.(3)イ.に記載のとおりである。 したがって、異議申立人の主張は採用できない。 IV.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および証拠によっては本件発明1ないし7に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件発明1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 液晶添加剤、液晶組成物およびそれを用いた液晶表示素子 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(1)で表される有機シリコン化合物よりなる液晶添加剤。 【化1】 (ただし、式中、A、Bは相互に独立した炭素数5または6の環状置換基で、X、Yはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基より選ばれたいずれか1種の置換基を示す。) 【請求項2】 前記環状置換基AおよびBが、置換もしくは非置換のフェニル基、または、置換もしくは非置換のシクロヘキシル基である請求項1に記載の液晶添加剤。 【請求項3】 前記環状置換基AおよびBが、4-置換フェニル基、または4-置換シクロヘキシル基である請求項1に記載の液晶添加剤。 【請求項4】 前記環状置換基Aに含まれる置換基が、-CnH2n+1、-OCnH2n+1、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-CF3、または-CN(式中nは0〜10の整数)である請求項1乃至3いずれかに記載の液晶添加剤。 【請求項5】 前記X、Yがメチル基である請求項1乃至4いずれかに記載の液晶添加剤。 【請求項6】 母体液晶組成物がネマチック液晶組成物またはスメクチック組成物であって、請求項1乃至5いずれかに記載の液晶添加剤を前記母体液晶組成物に対して1〜50重量%含有することを特徴とする液晶組成物。 【請求項7】 請求項6に記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気光学的な液晶ディスプレイに用いられる液晶添加剤、液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関するものである。 【0002】 【従来の技術】液晶ディスプレイは従来の時計、電卓のみならず、現在では携帯端末、ノートPC、ワークステーション用表示装置として実用化されており、その用途は拡大している。そして、これら用途の要求性能としては、高精細動画再生表示可能な高速応答性液晶デイスプレイが求められている。 【0003】高精細動画対応可能なディスプレイを実現するためには、それを構成する液晶表示素子の高速化、即ち高速応答可能な液晶組成物が必要とされる。現在のところ、高速応答可能な液晶組成物を得る有効な手段として、液晶組成物の配合成分として環状化合物(フェニル基、シクロヘキシル基等)の側鎖及び末端にフッ素原子を導入したフッ素置換化合物が開発されている。その例として、メルク(E.Merck)社のプロシーディング・オブ・エスピーアイイー・カンファレンス(V.Reiffenrath et.al. Proc. of SPIEConference (1990) p84 )からフッ素置換トラン化合物が報告されている。 【0004】一方、高速応答可能な液晶組成物を得る別の手段として、シリコン原子を有する有機シリコン化合物の開発がされている。その開発例として、信越化学の特開平7-70148号公報「シラシクロヘキサン化合物、その製造法及びこれを含有する液晶組成物」で示されるシラシクロヘキサンが挙げられる。この化合物は高速応答可能な液晶組成物の配合成分として有効であるとされているが、具体的な応答時間の数値については報告されていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】液晶デイスプレイは従来からの時計、計算機用表示装置をはじめ、現在では携帯用端末として用いられており、様々な製品への用途を持っており、用途が拡大するにつれ、液晶材料に対する要求性能が厳しいものになりつつある。高精細動画表示可能な液晶ディスプレイを実現するためには液晶組成物の高速化が必要とされるが、前記の従来の化合物では十分な高速化を達成したものは得られてはいなかった。 【0006】本発明の目的は、高速応答可能な液晶表示素子を得るための液晶添加剤、液晶組成物を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、一つの環状置換基と、一つの環状置換基をメチレン基を介して有するSi原子を持つ有機シリコン化合物からなる液晶添加剤と、ネマチック組成物またはスメクチック液晶組成物から構成される液晶組成物が高速応答性に優れていること見いだし、本発明に至った。 【0008】すなわち本発明の液晶添加剤に用いられる有機シリコン化合物は、一つの環状置換基と、一つの環状置換基をメチレン基を介して有するSi原子を有する有機シリコン化合物であり、下記一般式(1)で示される化合物である。ただし、式中、A、Bは相互に独立した好ましくは炭素数5または6の置換基であり、X、Yはいずれもアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、又はハロゲン原子、水酸基、シアノ基である。 【0009】 【化2】 このような化合物として、例えば、次式で示されるシリコン化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。 【0010】 【化3】 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の液晶添加剤においては、相溶性の観点から、環状置換基A、Bのうち少なくともAが、-CnH2n+1、-OCnH2n+1、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-CF3、CN(式中nは0〜10の整数)より選ばれる置換基を有することが好ましく、この例としては以下のようなものがあげられる。 【0012】 【化4】 またさらなる相溶性を考慮すると、A、Bの両方が上記の置換基を有していることが好ましい。 【0013】また、高速応答性の観点から、環状置換基A、Bは、置換もしくは非置換のフェニル基、又は置換もしくは非置換のシクロヘキシル基であることが好ましい。これらが置換基を有することがさらに好ましく、特に環状置換基A、Bがともに4-置換フェニル基、もしくは4-置換シクロヘキシル基であることが好ましい。例えば次式で示されるようなシリコン化合物があげられる。 【0014】 【化5】 X、Yは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基より選ばれたいずれか1種の置換基であるが、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基またはハロゲン化アルコキシル基である場合は、母体液晶組成物に対する相溶性の観点から、炭素数1〜10であることが望ましい。また、化学安定性、高速応答性の観点からは、X、Yがメチル基であることがさらに好ましい。この例としては次式のようなものがある。 【0015】 【化6】 また本発明の液晶組成物は、組成比率が母体液晶組成物に対して前記のようなシリコン化合物のいずれかを1〜50重量%含有するのが好ましい。前期シリコン化合物は添加量50重量%を越える条件では母体液晶組成物に対する相溶性が著しく低下する。また、前期シリコン化合物を1重量%以下含む液晶組成物では、応答速度の向上が殆ど見られない。このため、組成比率が母体液晶組成物に対して前記のようなシリコン化合物のいずれかを1〜50重量%含有するのが好ましく、5〜25重量%含有するのがさらに好ましい。なお、母体液晶組成物とは液晶組成物の主体をなすものであり、既存のネマチック液晶組成物やスメクチック組成物を用いることができる。 【0016】本発明の液晶組成物は、高速応答性が優れており、液晶表示装置用素子として使用できる。本発明の液晶組成物は高速応答性が優れており、液晶表示素子に好適に使用できる。本発明の液晶表示素子は、上記液晶組成物を用いたことを特徴としており、その構造は従来より用いられている一般的な液晶表示素子の構造と同等である。すなわち、電極層を備えた対向する2枚の透明基板間に本発明の液晶組成物が配置された構造を有し、例えば図3に示すような構造を有するものである。 【0017】 【実施例】以下、本発明を各実施例を用いて詳細に説明するが、本発明をその旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。 【0018】(実施例1)ベンジル(シクロヘキシル)ジメチルシランの合成 【0019】 【化7】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、ベンジルブロマイド(5g、0.029mol)、無水ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(18.2ml、0.029mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりベンジルリチウムを生成した。得られた反応溶液にクロロシクロヘキシルジメチルシラン(5.1g、0.030mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌する。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物をベンジル(シクロヘキシル)ジメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0020】(実施例2)ベンジル(シクロペンチル)ジメチルシランの合成 【0021】 【化8】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、ベンジルブロマイド(5g、0.029mol)、無水ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(18.2ml、0.029mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりベンジルリチウムを生成した。得られた反応溶液にジクロロジメチルシラン(3.7g、0.029mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、0℃で1時間、撹拌させ、クロロベンジルジメチルシランを生成させた。一方、乾燥させた500mlの三口フラスコにペンチルブロマイド(4.3g、0.029mol)、無水ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(18.2ml、0.029mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりシクロペンチルリチウムを生成させる。この反応溶液を、先程得られたクロロベンジルジメチルシランの反応溶液にゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌させた。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物ベンジル(シクロペンチル)ジメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0022】(実施例3)ベンジル(4-クロロフェニル)ジメチルシランの合成 【0023】 【化9】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、4-ブロモクロロベンゼン(5g、0.026mol)、無水ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(16.5ml、0.026mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりクロロフェニルリチウムを生成した。得られた反応溶液にベンジルジメチルクロロシラン(4.8g、0.026mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌する。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物ベンジル(4-クロロフェニル)ジメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0024】(実施例4)ベンジル(4-シアノフェニル)ジメチルシランの合成 【0025】 【化10】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、4-ブロモベンゾニトリル(5g、0.027mol)、無水ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(17.0ml、0.027mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりリチウムベンゾニトリルを生成した。得られた反応溶液にベンジルジメチルクロロシラン(5.0g、0.027mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌する。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物ベンジル(4-シアノフェニル)ジメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0026】(実施例5)ベンジル(4-ブチルフェニル)ジメチルシランの合成 【0027】 【化11】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、1-ブロモ-4-ブチルベンゼン(5g、0.023mol)、無水ジエチルエーテル(40ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(14.6ml、0.023mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりp-ブチルフェニルリチウムを生成した。得られた反応溶液にベンジルジメチルクロロシラン(4.2g、0.023mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌する。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物ベンジル(4-ブチルフェニル)ジメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0028】(実施例6)ジブチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランの合成 【0029】 【化12】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、1-ブロモ-4-ブチルベンゼン(5g、0.023mol)、無水ジエチルエーテル(40ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(14.6ml、0.023mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりp-ブチルフェニルリチウムを生成した。次に、得られた反応溶液にジクロロジブチルシラン(5.0g、0.024mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌させ、クロロブチルフェニルジブチルシランを生成させた。一方、乾燥させた500mlの三口をアルゴン置換し、4-ブチルベンジルブロマイド(5.2g、0.023mol)、ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(14.6ml、0.023mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応により、4-ブチルベンジルリチウムを生成させる。そして、この反応溶液に先程得られたクロロブチルフェニルジブチルシランの反応溶液を-78℃でゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ、3時間撹拌させた。得られた反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させ、濃縮、減圧蒸留により目的のシリコン化合物ジブチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0030】(実施例7)ジメチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランの合成 【0031】 【化13】 本化合物は上記反応経路に従って合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、1-ブロモ-4-ブチルベンゼン(5g、0.023mol)、無水ジエチルエーテル(40ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(14.6ml、0.023mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、Br-Li交換反応によりp-ブチルフェニルリチウムを生成した。得られた反応溶液にクロロメチルジメチルクロロシラン(1.68g、0.0118mol)をゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌する。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物、ジメチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析は、1H、13C-NMRスペクトル分析、元素分析により行った。本化合物の性状は無色透明な液体で液晶性は示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0032】(実施例8)ジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランの合成 【0033】 【化14】 本化合物は上記反応経路にしたがい合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、1-クロロ-4-ブチルシクロヘキサン(5g、0.0356mol)、無水ジエチルエーテル(40ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(22.3ml、0.0356mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、p-ブチルシクロヘキシルリチウムを生成した。得られた反応溶液にクロロメチルジメチルクロロシラン(2.54g、0.0178mol)を-78℃でゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温まで昇温させ1時間撹拌した。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物、ジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析を1H、13C-NMRスペクトル分析より行ったところ、生成化合物はジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランであることが確認された。本化合物の性状は無色透明な液体で、液晶性を示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0034】(実施例9)ジメチル(4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロベンジル)4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロフェニルシランの合成 【0035】 【化15】 本化合物は上記反応経路にしたがい合成した。乾燥した200mlの三口フラスコをアルゴン置換し、1-ブチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン(5g、0.0175mol)、ジエチルエーテル(50ml)を入れ、-78℃で撹拌しながら、n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(11ml、0.0175mol)をゆっくり滴下し、3時間撹拌させ、4-ブチル-2,3,5,6テトラフルオロフェニルリチウムを生成させた。得られた反応溶液にクロロメチルジメチルクロロシラン(0.13g、0.0088mol)を-78℃でゆっくり滴下し、-78℃で2時間、室温で1時間撹拌した。反応溶液をガラスフィルターで濾過し、濃縮後、ヘキサンを投入、再びガラスフィルターで濾過し、この操作を数回繰り返すことにより副生成物である塩化リチウムを除去させた。そして、反応溶液を濃縮させ、減圧蒸留により目的のシリコン化合物、ジメチル(4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロベンジル)4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロフェニルシランを単離した。化合物の精製は減圧蒸留を数回繰り返すことにより行った。化合物の構造解析を1H、13C-NMRスペクトル分析より行ったところ、生成化合物はジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランであることが確認された。本化合物の性状は無色透明な液体で、液晶性を示さなかった。本化合物を既存液晶組成物に添加したところ、非常に優れた相溶性を示した。 【0036】(比較例1)液晶組成物を配向膜としてポリイミドを塗布し、表面をラビングして90°ツイスト配向処理を施した透明電極を備えたセル間隔5μmの液晶セルに真空封入し、透過率-電圧曲線、応答時間を測定した。透過率-電圧曲線は、液晶セルを2枚の直交する偏光子の間に設置し、液晶セルに1KHz,0〜5Vの電圧を印加し、ノーマリーホワイトモードで測定した。この透過率-電圧曲線において透過率の最大値を100%、最小値を0%とし、透過率が90%を示す印加電圧をV90、透過率が10%を示す印加電圧をV10とした(図1)。応答速度は、1KHz、5Vの電圧を1s間隔で印加し、透過率が100%から10%に変化するのに要する時間をτとした(図2)。また、液晶組成物を配向膜としてポリイミドを塗布し、表面をラビングして180°配向処理を施した透明電極を備えたセル間隔25μmの液晶セルに真空封入し、静電容量の電圧依存性より誘電率異方性Δεを測定した。 【0037】末端にフッ素原子を有する化合物のみで構成された液晶組成物1では、V90=1.78V、V10=2.90V、τ=15.2ms、Δε=4.4であった。 【0038】(比較例2)末端にフッ素原子を有する化合物のみで構成された液晶組成物2を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=2.02V、V10=2.96V、τ=17.6ms、Δε=5.1であった。 【0039】(実施例10)比較例1における液晶組成物1に実施例1記載の化合物ベンジル(シクロヘキシル)ジメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.52V、V10=2.68V、τ=10.8ms、Δε=3.2であった。 【0040】(実施例11)比較例1における液晶組成物1に実施例2記載の化合物ベンジル(シクロペンチル)ジメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.52V、V10=2.69V、τ=10.7ms、Δε=3.2であった。 【0041】(実施例12)比較例1における液晶組成物1に実施例3記載の化合物ベンジル(4-クロロフェニル)ジメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.53V、V10=2.64V、τ=10.6ms、Δε=4.6であった。 【0042】(実施例13)比較例1における液晶組成物1に実施例4記載の化合物ベンジル(4-シアノフェニル)ジメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.52V、V10=2.61V、τ=10.8ms、Δε=4.7であった。 【0043】(実施例14)比較例1における液晶組成物1に実施例5記載の化合物ベンジル(4-ブチルフェニル)ジメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.63V、V10=2.72V、τ=9.8ms、Δε=4.3であった。 【0044】(実施例15)比較例1における液晶組成物1に実施例6記載の化合物ジブチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.76V、V10=2.89V、τ=13.4ms、Δε=3.9であった。 【0045】(実施例16)比較例1における液晶組成物1に実施例7記載の化合物ジメチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.63V、V10=2.70V、τ=9.6ms、Δε=4.4であった。 【0046】(実施例17)比較例2における液晶組成物2に実施例7記載の化合物ジメチル(4-ブチルベンジル)4-ブチルフェニルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.75V、V10=2.80V、τ=10.7ms、Δε=4.8であった。 【0047】(実施例18)比較例1における液晶組成物1に実施例8記載の化合物ジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.51V、V10=2.68V、τ=11.1ms、Δε=3.3であった。 【0048】(実施例19)比較例2における液晶組成物2に実施例8記載の化合物ジメチル(4-ブチルシクロヘキシル)4-ブチルシクロヘキシルメチルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=2.80V、V10=1.70V、τ=13.1ms、Δε=3.6であった。 【0049】(実施例20)比較例1における液晶組成物1に実施例9記載の化合物ジメチル(4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロベンジル)4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロフェニルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.58V、V10=2.78V、τ=10.5ms、Δε=4.0であった。 【0050】(実施例21)比較例2における液晶組成物2に実施例9記載の化合物ジメチル(4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロベンジル)4-ブチル2,3,5,6-テトラフルオロフェニルシランを16.7重量%添加した組成物を比較例1と同様な方法で、透過率-電圧曲線、応答時間および誘電率異方性を測定したところ、V90=1.78V、V10=2.93V、τ=11.3ms、Δε=4.4であった。 【0051】 【発明の効果】本発明により得られた有機シリコン化合物は、種々の液晶組成物への相溶性が良好であり、化学安定性もきわめて良好である。この化合物を添加した液晶組成物は高速応答可能な液晶表示素子を提供するものであり、高精細動画表示可能な液晶ディスプレイを実現するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】透過率-電圧曲線の測定方法を示すグラフである。 【図2】応答時間の測定方法を示す図である。 【図3】本発明の液晶表示素子の構造を示す模式図である。 【符号の説明】 1 偏光板 2 透明基板 3 電極層 4 液晶配向膜 5 液晶組成物 6 交流電源 【図面】 |
訂正の要旨 |
(訂正の要旨) (1)訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の記載について、「ハロゲン原子、水素原子、水酸基」とあるのを「ハロゲン原子、水酸基」と訂正する。 (2)訂正事項b 段落【0008】、【0014】の記載について、「ハロゲン原子、水素原子、水酸基」とあるのを「ハロゲン原子、水酸基」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-07-05 |
出願番号 | 特願平9-3887 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YA
(C09K)
P 1 651・ 161- YA (C09K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤森 知郎 |
特許庁審判長 |
板橋 一隆 |
特許庁審判官 |
岩瀬 眞紀子 佐藤 修 |
登録日 | 1999-04-02 |
登録番号 | 特許第2907172号(P2907172) |
権利者 | 日本電気株式会社 |
発明の名称 | 液晶添加剤、液晶組成物およびそれを用いた液晶表示素子 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 庄子 幸男 |
代理人 | 福田 修一 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 福田 修一 |