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審決分類 審判 一部申し立て 特29条の2  G02B
審判 一部申し立て 特17条の2、3項新規事項追加の補正  G02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1065886
異議申立番号 異議2002-70542  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-04 
確定日 2002-08-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3205530号「カラー顕微鏡撮像装置」の請求項1、3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3205530号の請求項1、3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3205530号の請求項1〜15に係る発明についての出願は、平成9年9月12日に特許出願され、平成13年6月29日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人 貝瀬 英淳より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成14年7月8日に訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下の訂正事項aのとおりである。
訂正事項a.特許請求の範囲の【請求項1】を次のように訂正する。

「【請求項1】色情報を取り出すための可視光領域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、
白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、
これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、
このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、
を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。」を
「【請求項1】色情報を取り出すための白色光の波長帯域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、
白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、
これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、
このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、
を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。」と、訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立ての概要
特許異議申立人 貝瀬 英淳は、請求項1、3に係る発明は、以下の理由により、特許を取り消すべき旨主張している。

・請求項1、3に係る発明の特許は、甲第1号証(特開平8-210819号公報)、甲第2号証(特開昭57-205954号公報)、甲第3号証(特表平4-505971号公報)、甲第4号証(特開平5-127096号公報)、甲第6号証(特開平6-201999号公報)、甲第7号証(特開平7-270307号公報)、甲第8号証(特開平8-160306号公報)により、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

・請求項1、3に係る発明の特許は、甲第5号証(特願平9-180647号(特開平11-14907号公報))により、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

・請求項1は、新規事項が記載されており、特許法第17条の2第3項の要件を満たしていない。

4.特許異議申立てについての判断
特許法第17条の2第3項の要件については、上記の訂正により、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものとなった。また、異議申立人は、「色情報を取り出すための」が「レーザ光源」を修飾するものと解釈すると、特許法第17条の2第3項の要件を満たさなくなると主張しているが、発明の詳細な説明の記載から、そのように解釈できないことは明らかであるので、該主張には、理由がない。
したがって、以下、特許法第29条第2項、特許法第29条の2の各規定に違反しているかどうかについて検討する。

(1)本件発明
本件発明は、上記「2.訂正の適否についての判断」において示したように、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定され、また、下記に示すとおり請求項3に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下、本件発明1、3という。)。


「【請求項3】 前記レーザ光源を紫外線レーザ光源としたことを特徴とする請求項1または2に記載のカラー顕微鏡撮像装置。」

(2)甲第1号証乃至甲第8号証記載の発明
甲第1号証には、赤色のレーザ光L1を出射するHe-Neレーザ10と一次元イメージセンサ19を含む共焦点光学系1と白色光L2を出射するランプ20とCCDカメラ24を含む観察光学系2とからなるレーザ顕微鏡でスーパーインポーザ31は、CCDカメラ24の画像と共焦点光学系1による深度情報を重ね合わせ、モニタ32に出力する点、深度情報を得るのに試料ステージ30を光軸方向に段階的に下降させて各段階における光量を記憶素子に記憶されている前回までの最大受光光量と比較する点が記載されている。

甲第2号証には、ランプ11とカラーテレビ14を含み試料2の透過光学顕微鏡像を得る光学顕微鏡と電子銃1と2次電子検出器7を含み試料2の走査電子顕微鏡像を得る電子顕微鏡、及びカメラ14による光学顕微鏡像に走査電子顕微鏡像を重畳して表示した点が記載されている。

甲第3号証には、波長0.325μmで動作するHeCdレーザ1、光学処理プレート7、検出器11、テレビモニタ13を含む透過式走査型顕微鏡が記載されている。

甲第4号証には、可視カラー画像と紫外画像とを重畳させて表示できる紫外線顕微鏡で、光源18の光を被検体28で反射させた後、結像レンズ系24を透過し、ダイクロイックミラー30aにより紫外線の光路と可視光の光路に分離し、紫外線テレビカメラ34aとカラーテレビカメラ34bに結像させ、画像処理装置130を介してRGBモニタ140に重畳させて表示した点、重畳させる場合には、画像の縁部分に偽信号が発生しないように、紫外テレビカメラ34aとカラーテレビカメラ34bとは、各々の倍率、焦点、撮像範囲、像の向き等の撮像条件が一致していることが要請される点が記載されている。

甲第5号証には、レーザ光学系1と白色光学系2とを備えた走査顕微鏡で、レーザ光学系は、赤色のレーザ光L1を出射するHe-Neレーザ10と第1受光素子19bを含む共焦点光学系からなり、白色光学系2は、白色光L2を出射する白色光源20、カラーCCD24を含み、カラー共焦点画像モードにおいて第1受光素子19bからの輝度情報とカラーCCD24からの色情報とを組み合わせてカラー映像用のデジタル信号を作成するカラー映像信号作成手段5を有する点、カラー共焦点画像モードが選択されるとレーザ駆動回路44とCCD駆動回路43とが交互に駆動され、カラーCCDによって撮像する際には、レーザ駆動回路を停止してレーザ光L1がカラーCCDに入射しないようにしているので、レーザ光L1の色を帯びた映像になることがない点が記載されている。

甲第6、7号証には、波長351ナノメータの紫外光のレーザ光源、フォトマルチプライヤ、CRTディスプレイユニットを含む走査型コンフォーカル顕微鏡が記載されている。

甲第8号証には、甲第1号証のものとほぼ同様の構成の光学顕微鏡が記載されている。

(3)対比・判断
そこで、本件発明1と、甲第1号証乃至甲第8号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証乃至甲第8号証のいずれにも、本件発明1の「色情報を取り出すための白色光の波長帯域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、
白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、
これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、
このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、
を具えた」た点についての記載がなく、示唆もない。

本件発明1は、カラー顕微鏡の解像度及び色再現性を改善することを目的とするものであるが、甲第1号証及び甲第8号証のものには、カラー顕微鏡について何ら記載されておらず、リアルタイムで表示するために輝度情報と色情報とを同時に生成する点についても記載がない。

甲第2号証のものは、電子顕微鏡であって、技術分野が異なるものであり、試料表面からの反射により得られる輝度情報が異なるので、白色光源により得られるカラー画像と重畳した場合の作用効果においても本件発明1とは異なると判断される。

甲第3、6、7号証のものは、紫外線レーザを用いたコンフォーカル顕微鏡が記載されるのみで、カラー画像を撮像する際の混色を防止するため紫外線レーザを用いる技術思想が開示されていないので、他の証拠と組み合わせることは、当業者にとって容易とは言えない。

甲第4号証のものは、紫外線画像とカラー画像とを重畳することが記載されているが、カラー画像と、高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系により得られた輝度情報とを重畳する点については、何ら記載されていない。

甲第5号証のものには、白色光照射とレーザビーム照射とを同時に行う際に生ずる混色を防止するために白色光の波長帯域以外の波長のレーザビームを放射する点については、何ら記載されていない。

したがって、本件発明1は、甲第1〜4号証、及び甲第6〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲第5号証に記載された発明でもない。

また、本件発明3は、本件発明1を更に限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、上記甲第1〜4号証、及び甲第6〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲第5号証に記載された発明でもない。

5.むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の理由及び証拠によっては、本件発明1、3についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1、3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カラー顕微鏡撮像装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 色情報を取り出すための白色光の波長帯域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項2】 前記第1の撮像手段および前記第2の撮像手段が、光ビームを2次元的に偏向する手段と、試料に光ビームを照射する対物レンズと、レーザビームと白色光とを分離するダイクロイックミラーとを共通に具えることを特徴とする請求項1に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項3】 前記レーザ光源を紫外線レーザ光源としたことを特徴とする請求項1または2に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項4】 単色光を放射する高輝度ランプと、この単色光を試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を試料に照射して試料の色情報を取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、これら輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段と、を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項5】 前記第1の撮像手段および前記第2の撮像手段を時間的に異なるタイミングで動作させるとともに少なくとも先に動作させた撮像手段から出力される輝度情報または色情報を格納する記憶手段を設け、この記憶手段から読み出した輝度情報または色情報に基づいて試料のカラー画像を表示するように構成したことを特徴とする請求項4に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項6】 前記第1の撮像手段および前記第2の撮像手段が、試料に光ビームを照射する対物レンズを共通に具えることを特徴とする請求項4または5に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項7】 前記第1の撮像手段に、前記高輝度ランプから放射される単色光を主走査方向に延在するスリット状の光ビームに変換する光ビーム変換手段を設けると共に前記主走査方向と直交する副走査方向に光ビームを偏向する1次元偏向手段を設け、前記第2の撮像手段の非コンフォーカル光学系に、前記光ビーム変換手段および1次元偏向手段によって走査される試料面上の領域全体を同時に照射するように構成したことを特徴とする請求項5または6に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項8】 前記第1の撮像手段の光ビーム変換手段に、高輝度ランプと対向する端部を点状に集合し、他端を直線状に配列した点一直線変換用ファイバ束と、このファイバ束の直線端と対向して配置されたスリットとを設けたことを特徴とする請求項7に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項9】 前記第1の撮像手段を、その単色光源の輝点を試料表面に結像し、試料から反射される光ビームをピンホールの開口位置に結像し、この開口を透過した光ビームを受光素子で受光するように構成し、前記第2の撮像手段を、その白色光源から放射される光ビームを試料に投射し、試料を透過してその裏面で反射される光ビームを3原色色分解光学系を介して3原色の光ビームに分解し、それぞれの色の光を受光素子で順次または同時に受光するように構成したことを特徴とする請求項4に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項10】 単色光を放射する光源と、この単色光を試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を試料に照射して試料の色情報を取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、これら輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段と、を具え、前記第1および第2の撮像手段に、前記単色光および白色光を受光する受光素子と、この受光素子の前面に配置され、前記単色光をそのまま通過させる開口、赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタを設けた回転フィルタとを共通に設けたことを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項11】 赤、緑および青色のレーザビームを放射するレーザ光源を設け、これらのレーザビームを試料上に投射し、試料から反射される各色のレーザビームの中心部分のみをコンフォーカル光学系を介して受光する中心受光領域と、各色のレーザビームの周辺部分のみを非コンフォーカル光学系を介して受光する周辺受光領域を有する受光素子を設け、中心部分を受光する中心受光領域の出力信号から輝度情報を、周辺部分を受光する周辺受光領域の出力信号から色情報を生成する手段と、これら輝度情報および色情報から試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段とを設けたことを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項12】 前記赤、緑および青色のレーザビームを試料上に同時に投射し、試料から反射されるレーザビームを各色のレーザビームに分解し、各色のレーザビームの中心部分のみをコンフォーカル光学系を介して受光する受光領域と、ビームの周辺部分のみを非コンフォーカル光学系を介して受光する受光領域を有する受光素子を各色のレーザビーム毎に設け、これらの受光素子の、レーザビームの中心部分を受光する受光領域の出力信号から輝度情報を生成すると同時に、レーザビームの周辺部分を受光する受光領域の出力信号から色情報を生成し、カラー画像をリアルタイムで表示するように構成したことを特徴とする請求項11に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項13】 試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系を含む第1の撮像手段と、試料の色情報を取り出す非コンフォーカル光学系を含む第2の撮像手段と、これら輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段とを具えるカラー顕微鏡撮像装置において、前記第1および第2の撮像手段に共通の光源手段を設けたことを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項14】 前記共通の光源手段が、それぞれ赤色、緑色および青色のレーザビームを放射する3つのレーザ光源を具えることを特徴とする請求項13に記載のカラー顕微鏡撮像装置。
【請求項15】 試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系を含む第1の撮像手段と、試料の色情報を取り出す非コンフォーカル光学系を含む第2の撮像手段と、これら輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段とを具えるカラー顕微鏡撮像装置において、前記第1および第2の撮像手段に、前記コンフォーカル光学系を介して光ビームの中心部のみを受光して輝度情報を出力する中心受光領域と、前記非コンフォーカル光学系を介して光ビームの周辺部のみを受光して色情報を出力する周辺受光領域とを有する受光素子を共通に設けたことを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顕微鏡によって観察される試料の像を撮像して表示するようにした顕微鏡撮像装置、特に試料の像を高解像度でしかも良好な色再現性を以て表示することができるカラー顕微鏡装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、試料の顕微鏡によって観察される像を撮像装置によって光電変換してカラー画像信号を取り出し、この画像信号をモニタ上で表示して試料のカラー画像を得るようにした顕微鏡撮像装置は種々の形式のものが提案されている。その最も一般的な装置においては、白色光源から放射される白色ビームを対物レンズを介して試料上にスポットとして投射し、試料からの反射光を対物レンズで集光し、ダイクロイックミラーによって赤、青、緑の3原色の光に分離し、それぞれの光を受光素子によって受光して赤、青および緑の色信号を取り出し、カラーモニタ上に試料のカラー画像を表示するようにしている。このような、カラー顕微鏡撮像装置によれば、カラーモニタ上に映出される試料のカラー画像の色再現性は優れているが、非コンフォーカル光学系を採用しているので解像度が低いという欠点がある。
【0003】本願人は上述した非コンフォーカル光学系を具えるカラー顕微鏡撮像装置の欠点を解消するために、コンフォーカル光学系を採用したカラー顕微鏡撮像装置を既に開発している。図1はこのようなカラー顕微鏡撮像装置の構成を線図的に示すものである。それぞれ赤、緑および青色のレーザ光を放射するレーザ光源1,2および3から光をビームエキスパンダ4、5および6によって平行光束とし、ミラー7およびダイクロイックミラー8、9によって反射させて共通の光路を経てビームスプリッタ10に入射させ、このビームスプリッタを透過する光を互いに直交するxおよびy方向に偏向するx-yスキャナ11で偏向してラスタを形成し、このラスタ像を対物レンズ12によって試料13上に投射するようにしている。
【0004】試料13で反射される光を対物レンズ12で集光し、再びx-yスキャナ11に通してデスキャンを行った後、ビームスプリッタ10に入射させ、ここで反射される光をダイクロイックミラー14、15およびミラー16で反射させて3原色光に分離し、それぞれの光をリレーレンズ17、18、19およびピンホール20、21、22を経て受光素子24、25、26で受光するようにしている。それぞれ青、緑および赤色の光を受光する受光素子23、24および25から出力される信号をそれぞれ増幅器26、27および28で増幅して青色信号B、緑色信号Gおよび赤色信号Rを生成し、これらの色信号をカラーモニタ29に供給して試料13のカラー画像を表示するようにしている。ここで、レーザ光源1〜3の出射点と試料13とは対物レンズ12に関して共役になっているとともに試料13とピンホール20〜22は対物レンズ12に関して共役となっており、コンフォーカル光学系を構成しているので、カラー画像の解像度は非常に高いものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したコンフォーカル光学系を採用したカラー顕微鏡撮像装置は、きわめて解像度の高い画像を映出することができるが、試料によっては色再現性が低いとともに色収差が大きいという欠点がある。以下これについて詳細に説明する。図2はコンフォーカル光学系における青色光束の光路を示すものである。青色レーザ3の出射点Oは点光源と見做すことができ、この点Oの像を対物レンズ12によって試料13の表面上の点Pに形成する。この点Pの像を対物レンズ13によってピンホール20の開口内の点Qに形成し、この像を受光素子23によって撮像するようにしている。このようなコンフォーカル光学系によれば試料の高解像度の像を表示することができる。
【0006】ここで色の再現性について考えると、試料13が金属のように表面反射率の高いものであれば、試料表面からの反射光を受光することによって色を再現することはできる。また、試料13が薄膜の場合には、干渉像を良好な色再現性を以て表示することができる。しかし、試料13が印刷物や着色した樹脂や半導体デバイスチップのような場合には、試料の表面からの反射光を受光するだけでは殆ど色を再現することができなかったり、正確な色相を再現することができない。例えば、印刷物である試料13の色を再現するためには、図2に示すように試料を透過してその内部や底面で反射される光を受光する必要があるが、コンフォーカル光学系ではこのような光はピンホール20によって遮られ、受光素子23には入射しない。このような光を受光するようにピンホールを取り除くと最早やコンフォーカル光学系とはならず、解像度が低下してしまうことになる。
【0007】また、図1に示すように赤、緑および青の3原色の光を用いる場合には、対物レンズ12の色収差をこれらすべての色の光に対して補正することは難しく、したがって色収差の影響が大きくなり、コンフォーカル光学系が本来的に持っているきわめて高い解像度を有する画像を表示することが非常に難しい。例えば、倍率の色収差が大きい場合には、3原色光の像の大きさは相違したものとなり、画像の輪郭が鮮鋭に表示されなくなる。このような問題はコンフォーカル光学系に限られたものではなく、非コンフォーカル光学系を用いた従来のカラー顕微鏡撮像装置においても生じるものである。
【0008】したがって、本発明の目的は上述した従来の欠点を除去し、任意の試料のカラー画像を、コンフォーカル光学系の特徴であるきわめて高い解像度でしかも良好な色再現性を伴って表示することができるカラー顕微鏡撮像装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるカラー顕微鏡撮像装置は、コンフォーカル光学系による試料の高解像度の輝度情報を取り出す際1の撮像手段と、非コンフォーカル光学系による試料の低解像度の色情報を取り出す第2の撮像手段と、前記輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像を表示する手段とを具えることを特徴とするものである。
【0010】このような本発明によるカラー顕微鏡撮像装置を実現する際には、コンフォーカル光学系による輝度情報を取り込む動作と、非コンフォーカル光学系による色情報を取り込む動作とを同時に行なう方式(Y-C同時方式)と順次に行なう方式(Y-C順次方式)とが考えられる。装置の構成を簡単とするには順次方式が有利であるが、リアルタイムでの画像表示が必要な場合には同時方式を採用する必要がある。
【0011】
【発明の実施の形態】図3は本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の原理的な構成を示す線図である。本例では順次方式を採用するものであるが、説明の便宜上コンフォーカル光学系と非コンフォーカル光学系とを別個の光学系として示してあるが、実際には共通の光学素子を以て構成できるものである。したがって、共通に構成できる素子には同じ符号を付けて示した。先ず、試料の高解像度の輝度情報を取り出すためのコンフォーカル光学系について説明する。レーザ光源31から放射されるレーザビームをビームエキスパンダ32、ビームスプリッタ33、x-yスキャナ34および対物レンズ35を経て試料36上に投射する。本発明においては、コンフォーカル光学系は試料の輝度情報を取り出すために使用するので、レーザ光源31から放射されるレーザビームの波長には特別な制限はないが、対物レンズ35における収差補正が良好になされる波長とするのが良い。
【0012】試料36で反射されるレーザビームを対物レンズ35で集光し、ビームスプリッタ33、ミラー37および結像レンズ38を経てピンホール39の開口位置に収束させ、このピンホールを透過する光を受光素子40によって受光する。この受光素子40の出力信号を増幅器41によって増幅し、輝度情報を表す明度信号L*を生成する。この明度信号L*は、CIELAB(L*a*b*)表色系においてメトリック明度と呼ばれているものであり、輝度情報を表すものである。また、後述するように色情報を表す量a*およびb*は色相と彩度に関係するものであり、本明細書においては色度信号と称することにする。
【0013】図3に示すように、上述した光学系はコンフォーカル光学系を構成しており、したがって増幅器41から得られる明度信号L*は試料36の高解像度の輝度情報を表すものである。本発明においては、さらに非コンフォーカル光学系によって試料の色情報を取り出すために、白色光源42を設け、この光源から放射される白色光をビームスプリッタ33、x-yスキャナ34および対物レンズ35を経て試料36上に投射する。図3では、非コンフォーカル光学系のビームスプリッタ33、x-yスキャナ34および対物レンズ35をコンフォーカル光学系のものと別個に示してあるが、これらは同一のものである。
【0014】試料36で反射される白色光を対物レンズ35およびx-yスキャナ34を経てビームスプリッタ33に入射させ、ここで反射される光をダイクロイックミラー43、44およびミラー45によって青色光、緑色光および赤色光に分離し、それぞれ結像レンズ46、47および48を経て受光素子49、50および51に入射させる。色情報を取り出す光学系は非コンフォーカル光学系であるので、これらの受光素子49、50および51の前面にはピンホールは配置しない。ここで、ミラー37とダイクロイックミラー43,44およびミラー45とは同一の光路上に配置する必要があるので、ミラー37を光路に対して挿脱自在とする。上述した受光素子49、50および51からの出力信号をそれぞれ増幅器52、53および54で増幅して青、緑および赤の3原色信号B,G,Rを生成する。これらの3原色信号を第1の変換回路55へ供給し、所定の式にしたがって上述したCIELAB(L*a*b*)表色系の色度信号a*およびb*を生成する。この際、明度信号L*も生成されるが、この信号は出力端子56から外部へ出力できるようにしているが、本発明によるカラー画像を表示する上ではこの明度信号は必要でない。
【0015】上述した第1の変換回路54から出力される色度信号a*およびb*をメモリ57に供給してここに一時的に格納する。上述したコンフォーカル光学系によって試料の高解像度の明度信号L*を取り出すのに同期してメモリ57から読み出した色度信号色度a*およびb*を明度信号L*とともに第2の変換回路58へ供給し、ここで所定の式にしたがってCIELAB(L*a*b*)表色系の信号を3原色信号R,G,Bへ変換する。本発明では、色情報は非コンフォーカル光学系によって取り出し、輝度情報はコンフォーカル光学系によって取り出しているので、第2の変換回路57で生成される3原色信号R,G,Bは高解像度であるとともに色再現性も高いものとなる。したがって、このようにして得られる3原色信号をカラーモニタ59へ供給することにより高解像度であるとともに色再現性の良いカラー画像を表示することができる。
【0016】図4は図3に示した原理的な構成に基づく本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第1の実施例の光学系の部分の構成を示すものである。コンフォーカル光学系は、光源61、それから放射される光ビームをガイドする光ファイバ62、多数の光ファイバの一端を集めて光ファイバ62の出射端と対向させ、他端を一方向に配列した点-直線変換用ファイバ束63、このファイバ束の直線状の出射端と対向するように配置されたスリット64、リレーレンズ65、ビームスプリッタ66、ドライバ67によって光を副走査方向に偏向するように駆動される走査ミラー68、リレーレンズ69、ハーフミラー70および対物レンズ71を具えており、スリット64の像を対物レンズ71によって試料72上に形成するようにしている。光源61は反射鏡付きの水銀ランプやキセノンランプなどの高輝度ランプとすることができる。ハーフミラー70は選択的に光路に挿入できるようになっており、コンフォーカル光学系による輝度情報を取り込む際には光路から外しておく。走査ミラー68は、スリット64を透過する光束の長手方向と直交する方向に偏向するものであるので、スリットと走査ミラーとによって光ビームのラスタが形成され、それが試料72上に投射されるものとなる。
【0017】コンフォーカル光学系においては、試料72で反射された光は対物レンズ71で集光され、リレーレンズ69を介して走査ミラー68に再び入射されてデスキャン作用を受け、直線状の光束に変換される。この直線状の光束は、さらにビームスプリッタ66を透過し、結像レンズ73によって回転フィルタ74を経て1次元CCDより成る受光素子75上に結像される。回転フィルタ74には、赤、緑、青色のフィルタ部分74R,74G,74Bと、単なる開口74Tとを設け、コンフォーカル光学系によって試料72の高解像度の輝度情報を取り出す際には、開口74Tを光路中に位置させる。
【0018】さらに、非コンフォーカル光学系によって試料72の色情報を取り出すために、全可視域の光を放射する白色光源76を設け、それから放射される白色光を光ファイバ77によって点-円変換用のファイバ束78に導き、このファイバ束から出射される直径の大きな光ビームをリレーレンズ78,79、開口絞り81、リレーレンズ82、視野絞り83およびリレーレンズ84を経てハーフミラー70に入射させる。すなわち、この場合には、ハーフミラー70は光路内に挿入しておく。ハーフミラー70で反射された白色光は対物レンズ71によって試料72上に大きなスポットとして投射される。
【0019】試料72で反射された白色光は対物レンズ71で集光され、ハーフミラー70およびリレーレンズ69を経て走査ミラー68に入射され、ここで副走査方向に偏向される。走査ミラー68で偏向された白色光はビームスプリッタ66を透過し、結像レンズ73によって受光素子75上に結像される。非コンフォーカル光学系を用いて試料72の色情報を取り出す際には、回転フィルタ74の赤色、緑色および青色フィルタ74R,74G,74Bを順次に光路内に挿入してそれぞれ赤色、緑色および青色信号R、G、Bを取り出すようにする。このようにして1次元CCD75から順次に出力される信号を、図3に示した処理回路によって処理して試料の高解像度の輝度情報と色情報とを取り出すことができるが、本例では3原色信号も順次に取り出されるのでメモリ57は第1の変換回路55の入力側に配置する必要がある。本例では、高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系の一部と、色再現性の良い色情報を取り出す非コンフォーカル光学系の一部とを共用したので、全体の構成を簡単とすることができるが、リアルタイムで試料のカラー画像を表示することはできない。また、このようにメモリを使用する場合には、リサイジングなどの画像処理を施すことができる。
【0020】図5は本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第2の実施例の構成を示すものであり、本例ではY-C同時方式のものである。コンフォーカル光学系による試料の高解像度の輝度情報を取り出すために、レーザ光源91を設け、これから放射されるレーザ光をビームエキスパンダ92によって所定の径のレーザビームとし、ミラー93、ダイクロイックミラー94、ビームスプリッタ95、x-yスキャナ96および対物レンズ97を介して試料98上に投射する。
【0021】試料98で反射されるレーザビームを、対物レンズ97,x-yスキャナ96を経てビームスプリッタ95に入射させ、このビームスプリッタで反射されるレーザビームをダイクロイックミラー99で反射させた後、結像レンズ100によってピンホール101の開口位置に試料の像を形成する。このピンホール101を透過した光を受光素子102によって受光し、その出力信号を増幅器103によって増幅することにより試料の高解像度の輝度情報を表す明度信号L*を生成する。
【0022】一方、色情報を取り出すための非コンフォーカル光学系には、白色光源104を設け、それから放射される白色光ビームをダイクロイックミラー94で反射させ、ビームスプリッタ95、x-yスキャナ96および対物レンズ97を経て試料98上に投射する。試料98から反射される白色光ビームを、対物レンズ97、x-yスキャナ96、ビームスプリッタ95およびダイクロイックミラー99を介してダイクロイックミラー105、106および107に順次に入射させ、青色光、緑色光および赤色光に分割し、それぞれの色の光を結像レンズ108,109および110を経て受光素子111,112および113へ入射させる。これらの受光素子111,112および113からの出力信号をそれぞれ増幅器114,115および116で増幅して3原色信号B,G,Rを生成する。このようにして非コンフォーカル光学系による色再現性の良い色情報を取り出すことができる。
【0023】上述したように増幅器114,115および116から出力される3原色信号B,G,Rを第1の変換回路117へ供給し、3原色信号から所定の式にしたがって上述したCIELAB(L*a*b*)表色系の色度信号a*およびb*を生成する。この際、明度信号L*も生成されるが、上述したようにこの信号は使用しない。このようにして得られる色度信号a*およびb*を第2の変換回路118へ供給する。この第2の変換回路118へは、増幅器103から出力される明度信号L*をも供給し、これら色度信号a*およびb*と明度信号L*を3原色信号R,G,Bへ変換し、これらの3原色信号をカラーモニタ119へ供給して試料98のカラー画像を表示する。このようにしてきわめて解像度が高いとともに色再現性の良好なカラー画像を得ることができる。本例ではY-C同時方式を採用しているので、輝度情報を取り出すためのレーザビームは色情報を取り出すための白色光の波長帯域外のものとする必要があるので、レーザ光源91としては紫外線レーザを放射するものとする。また、それに応じてダイクロイックミラー94は紫外線は透過するが、可視光は反射するようなものであり、ダイクロイックミラー99は紫外線は反射するが可視光は透過するようなものである。
【0024】図6は本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第3の実施例の構成を示すものである。本例の装置は図5に示した第2の実施例において、非コンフォーカル光学系を透過照明としたものであり、図5に示した素子を同じ素子には同じ符号を付けて示した。本例では、非コンフォーカル光学系の白色光源104から放射される白色光をミラー94aによって反射させ、コリメータレンズ120を介して試料98にその裏面から投射する。試料98を透過した白色光は、図5に示した第2の実施例と同様にして青色光、緑色光および赤色光に分離されてそれぞれ受光素子111,112および113で受光される。したがって、これらの受光素子111,112および113から色再現性の良い3原色信号が得られることになる。本例のコンフォーカル光学系は図5に示した第2の実施例のものと本質的に同じであるが、ミラー93とビームスプリッタ95との間にダイクロイックミラーは配置されていない。
【0025】図7は本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第4の実施例の構成を示すものである。本例では、赤色レーザ光源121、緑色レーザ光源122および青色レーザ光源123を設け、これらのレーザ光源から放射されるレーザビームをそれぞれビームエキスパンダ124,125および126で成形した後、ミラー127およびダイクロイックミラー128,129によって共通の光路に導く。これらのレーザビームをビームスプリッタ130、x-yスキャナ131および対物レンズ132を経て試料133上に投射する。試料133で反射されるレーザビームを対物レンズ132、x-yスキャナ131およびビームスプリッタ130を介してダイクロイックミラー134,135および136に導き、それぞれ青色レーザビーム、緑色レーザビームおよび赤色レーザビームに分離し、これらのレーザビームをそれぞれ結像レンズ137,138および139を介して受光素子140,141および142へ入射させる。
【0026】ここで、それぞれ青色レーザビーム、緑色レーザビームおよび赤色レーザビームを受光素子140,141および142は、中心の狭い面積を有する中心受光領域140a,141aおよび142aと、周辺の広い面積の周辺受光領域140b,140bおよび140bとを有し、中心受光領域でコンフォーカル光学系による光を受光し、周辺受光領域で非コンフォーカル光学系による光を受光するように構成する。したがって、中心受光領域140a,141aおよび142aの出力信号を増幅器143a,144aおよび145aで増幅することによりコンフォーカル光学系による高解像度の3原色信号BH,GHおよびRHが得られ、周辺受光領域140b,141bおよび142bの出力信号をそれぞれ増幅器143b,144bおよび145bで増幅することにより非コンフォーカル光学系による低解像度であるが色再現性の良い3原色信号BL,GLおよびRLが得られる。
【0027】上述したようにして得られる非コンフォーカル光学系による3原色信号BL,GLおよびRLを第1の変換回路146に供給し、3原色信号からCIELAB(L*a*b*)表色系の明度信号L*および色度信号a*,b*を生成する。このようにして得られる色度信号a*,b*を第2の変換回路147へ供給する。この第2の変換回路147には、高解像度の3原色信号BHGHおよびRHの内のいずれかをスイッチ148で選択して供給する。周知のように、3原色信号のなかでは緑色信号が最も輝度情報を多く含んでいるので、通常は緑色信号GHを選択すれば良い。第2の変換回路147においては、この緑色信号GHを明度信号L*として見做して上述した色度信号a*,b*とともに処理し、3原色信号R,G,Bを生成する。このようにして得られる3原色信号R,G,Bをカラーモニタ149へ供給することにより高解像度であるとともに色再現性の良いカラー画像を表示することができる。なお、本例においては、コンフォーカル光学系による高解像度の3原色信号BH,GHおよびRHおよび非コンフォーカル光学系による低解像度ではあるが色再現性の良い3原色信号BL,GLおよびRLをそれぞれカラーモニタ15および151へ供給して画像を表示するようにしている。
【0028】本発明は上述した実施例にのみ限定されるものではなく、幾多の変更や変形が可能である。例えば、Y-C同時方式に基づく第2〜第4の実施例においては、コンフォーカル光学系の光源を紫外線を放射するものとしたが、可視域の中の特定の波長の光を放射するものとすることもできる。この場合には、可視域の中の特定の波長の光を選択的に透過または反射する狭帯域のフィルタをダイクロイックミラーの代わりに用いれば良い。さらに、図7に示した第4の実施例においては、コンフォーカル光学系によって取り出した何れか一つの色信号をスイッチ148によって選択して第2の変換回路147へ供給するようにしたが、3原色信号BH,GHおよびRHを0.11BH+0.59GH+0.30RHの割合で混合して得られる輝度信号Yを第2の変換回路へ供給するようにしても良い。また、図7に示す第4の実施例においては、3原色の光をそれぞれ放射するレーザ光源を使用しているので、倍率の色収差の影響が出る可能性があるが、そのような影響を軽減するためにリサイジング処理を施すこともできる。
【0029】
【発明の効果】上述したように、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置においては、コンフォーカル光学系によって取り出した高解像度の輝度情報と、非コンフォーカル光学系によって取り出した色再現性の良好な色情報とを合成してカラー画像信号を作成するようにしたので、高解像度であるとともに色再現性の良いカラー画像を表示することができる。この場合、色情報には色収差による誤差が入っているが、輝度情報には色収差による誤差がないので、画像として見た場合には色収差による影響は眼には目立たない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のコンフォーカル光学系によるカラー顕微鏡撮像装置の構成を示す線図である。
【図2】図2は、同じくその動作を説明するための線図である。
【図3】図3は、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の基本的な構成を示す線図である。
【図4】図4は、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第1の実施例の構成を示す線図である。
【図5】図5は、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第2の実施例の構成を示す線図である。
【図6】図6は、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第3の実施例の構成を示す線図である。
【図7】図7は、本発明によるカラー顕微鏡撮像装置の第4の実施例の構成を示す線図である。
【符号の説明】
31 レーザ光源、32 ビームエキスパンダ、33 ビームスプリッタ、34x-yスキャナ、35 対物レンズ、36 試料、37 ミラー、38 結像レンズ、39 ピンホール、40 受光素子、41 増幅器、42 白色光源、43,44 ダイクロイックミラー、45 ミラー、46,46,48 結像レンズ、49,50,51 受光素子、52,53,54 増幅器、55 第1変換回路、57 メモリ、58 第2変換回路、59 カラーモニタ、61 コンフォーカル光学系用光源、62 光ファイバ、63 点-直線変換用ファイバ束、64 スリット、65 リレーレンズ、66 ビームスプリッタ、67 ドライバ、68 走査ミラー、69 リレーレンズ、70 ハーフミラー、71 対物レンズ、72 試料、73結像レンズ、74 回転フィルタ、75 1次元CCD、76 非コンフォーカル光学系用光源、77 光ファイバ、78 点-円変換用ファイバ束、79,80,82,84 リレーレンズ、81 開口絞り、82 視野絞り、91 紫外線レーザ、92 ビームエキスパンダ、93 ミラー、94 ダイクロイックミラー、94a ミラー、95 ビームスプリッタ、96 x-yスキャナ、97 対物レンズ、98 試料、99,105,106 ダイクロイックミラー、100,108,109,110 結像レンズ、101 ピンホール、102,111,112,113受光素子、103,114,115,116 増幅器、117 第1変換回路、118 第2変換回路、119 カラーモニタ、120 コリメータレンズ、121,122,123 レーザ光源、124,125,126 ビームエキスパンダ、127 ミラー、128,129 ダイクロイックミラー、130ビームスプリッタ、131 x-yエキスパンダ、132 対物レンズ、133 試料、134,135 ダイクロイックミラー、136 ミラー、137,138,139 結像レンズ、140,141,142 受光素子、143a,143b,144a,144b,145a,145b増幅器、146 第1変換回路、147 第2変換回路、148 スイッチ、149,150,151 カラーモニタ
 
訂正の要旨 (訂正の要旨)
特許権者が求めている訂正の内容は以下の訂正事項aのとおりである。
訂正事項a.特許請求の範囲の【請求項1】を次のように訂正する。
「【請求項1】色情報を取り出すための可視光領域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、
白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、
これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、
このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、
を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。」を
「【請求項1】色情報を取り出すための白色光の波長帯域以外の波長のレーザビームを放射するレーザ光源と、このレーザビームを試料に照射して試料の高解像度の輝度情報を取り出すコンフォーカル光学系とを含む第1の撮像手段と、
白色光を放射する白色光源と、この白色光源から放射される白色光を前記レーザビームと同時に試料に照射して試料の色情報を前記輝度情報と同時に取り出す非コンフォーカル光学系とを含む第2の撮像手段と、
これら同時に生成される輝度情報と色情報とから試料のカラー画像信号を生成する手段と、
このカラー画像信号を受けて試料のカラー画像をリアルタイムで表示する手段と、
を具えることを特徴とするカラー顕微鏡撮像装置。」と、訂正する。
異議決定日 2002-07-18 
出願番号 特願平9-248557
審決分類 P 1 652・ 16- YA (G02B)
P 1 652・ 561- YA (G02B)
P 1 652・ 121- YA (G02B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 北川 清伸
國島 明弘
登録日 2001-06-29 
登録番号 特許第3205530号(P3205530)
権利者 レーザーテック株式会社
発明の名称 カラー顕微鏡撮像装置  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 杉村 暁秀  
代理人 梅本 政夫  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 高見 和明  
代理人 高見 和明  
代理人 青木 純雄  
代理人 杉村 純子  
代理人 中谷 光夫  
代理人 青木 純雄  
代理人 杉村 興作  
代理人 梅本 政夫  
代理人 杉村 暁秀  
代理人 徳永 博  
代理人 中谷 光夫  
代理人 杉村 純子  
代理人 杉村 興作  
代理人 徳永 博  

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