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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1065908
異議申立番号 異議2001-73115  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-01-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-13 
確定日 2002-07-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3170521号「基板ベーク装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3170521号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3170521号に係る手続きの主な経緯は次のとおりである。
特許出願(特願平4-158080号)平成 4年 6月17日
特許権設定登録 平成13年 3月16日
特許異議申立(堀尚弘) 平成13年11月13日
特許異議申立(安井哲也) 平成13年11月28日
取消理由通知 平成14年 1月29日
意見書・訂正請求書 平成14年 4月 5日

2.訂正の適否についての判断
2.1 訂正の内容
2.1.1 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1である
「【請求項1】上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。」を
「【請求項1】上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。」と訂正する。

2.1.2 訂正事項b
明細書の段落番号【0006】である
「【課題を解決するための手段】本発明に係る基板ベーク装置は、上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを備えたものである。」を
「【課題を解決するための手段】本発明に係る基板ベーク装置は、上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたものである。」と訂正する。

2.2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
2.2.1 訂正事項a
上記訂正事項aは、複数のクールプレートと複数のホットプレートとでベーク部を構成する点と、「最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボット」とを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当する。
そして、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書の段落【0009】〜【0013】の記載に基づいているので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2.2.2 訂正事項b
上記訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴って、発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。
また、上記訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2.3 訂正の適否のむすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立についての判断
3.1 本件発明
上記2.で示したように上記訂正は認められるから、本件の請求項1,2に係る発明(以下、「本件発明1,2」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。
【請求項2】前記各プレート間に断熱材を備えたことを特徴とする請求項1記載の基板ベーク装置。」

3.2 取消理由通知で引用した刊行物記載の発明
3.2.1 刊行物1(特許異議申立人堀尚弘が提出した甲第1号証):実願平1-67814号(実開平3-8424号)のマイクロフィルム
刊行物1は、基板の熱処理装置に関するものであり、第1,2図と共に以下の点が記載されている。
「この考案は、前段処理部より給送された半導体基板等(以下、単に基板と称する)を加熱、冷却処理するのに用いられる基板の熱処理装置に関するものである。」(第1頁第15行〜第18行)
「この熱処理装置は複数の熱処理板2〜4を上下多段に配置して構成した熱処理部1と、熱処理部1の上側に配置固定した基板Wのバッファ収容部6と、基板Wを熱処理部1及びバッファ収容部6へ給排する前後一組の基板移載ロボット10・10とを具備して成り」(第4頁第2行〜第7行)
「上記熱処理部1は上段より順に加熱板2・3と、冷却板4とを備え、基板Wを加熱板2又は3で加熱処理した後、1枚の冷却板4で常温まで冷却するように構成され、この実施例では加熱処理に対して冷却処理能力が2倍となるように設定されている。なお、加熱板や冷却板の数は、基板Wのサイズや種類に対応して適宜増減し得ることは云うまでもない。」(第4頁第12行〜第19行)
「第2図は本考案の別の実施例を略示した概要図である。
この実施例は、バッファ収容部6を熱処理部1の下側に配置した点が上記の実施例と異なり、その他の点では第1図に示すものと同様に構成されている。」(第6頁第20行〜第7頁第5行)
そして、これらの部分の記述に対応した構成を表す「第1図」および「第2図」には、1枚の冷却板4の上方に、上下方向に所定間隔で配置された2枚の加熱板2,3が示されている。
以上より、刊行物1には「冷却板と、前記冷却板より上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数の加熱板とを有する熱処理部と、基板を熱処理部へ給排する基板移載ロボットとを備えた基板の熱処理装置。」が記載されている。

3.2.2 刊行物2(特許異議申立人堀尚弘が提出した甲第2号証、特許異議申立人安井哲也が提出した甲第1号証):特開昭63-13332号公報
刊行物2は、半導体製造装置に関するものであり、第1〜4図と共に以下の点が記載されている。
「3.縦に多段構成のオーブンの下部にウエハ強制冷却ユニットを配置した特許請求の範囲第1項に記載の半導体製造装置。」(第1頁左下欄第20行〜同頁右下欄第2行)
「装置全体の長大化を回避し、コンパクト化を達成する」(第2頁左上欄第6行〜第7行)。
「強制コールドユニット6とその上にホットプレートを縦に多段配置した多段オーブン9が重ねて配置され」(第2頁左下欄第18行〜第20行)
「各段のプレートには第4A図にも示すようにステップアップビーム8の各ビーム8a〜8dが侵入して上下動できる溝132が設けられている。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左上欄第1行)
「以上の一連の動作でウエハは1つ上のオーブンに搬送される。これを一定ベ-ク時間ごとに繰り返すことでウエハは多段オーブン9の各段オーブンを順番に上まで経由し、最後に最上段からステップダウンビーム10により外部のチャック7へ搬送されることになる。多段各オーブンのベ-ク温度は上段へ行く程高くなっており、ウエハは上段へ行くまでに徐々に高い熱処理を受けるので急激な熱変化ではがれるようなレジストでも熱処理可能である。この温度差は場合に応じて逆にしたり差をなくしたりしてもよい。」(第5頁左下欄第16行〜同頁右下欄第7行)
「多段オーブンの一番上の段を強制コールドユニットにし、多段オーブンで加熱処理されたウエハを次にすぐに冷却して、常温にもどった状態でインデクサにもどすことができるようにしてもよい。」(第6頁右下欄第5行〜第9行)
以上より、刊行物2には「ホットプレートを縦に多段配置した多段オーブンの一番上の段を強制コールドユニットにし、ステップアップビームによりウエハは多段オーブンの各段オーブンを順番に上まで経由して加熱処理され、次に強制コールドユニットですぐに冷却される」ことが記載されている。

3.2.3 刊行物3(特許異議申立人堀尚弘が提出した甲第3号証):特開平4-45514号公報
刊行物3は、基板の熱処理方法に関するものであり、第1,2図と共に以下の点が記載されている。
「各熱処理ユニット23A〜23Cは、第2図に示すように、上段にホットプレート24が、下段にクールプレート25が断熱仕切り壁27で仕切って配置され」(第3頁左上欄第20行〜同頁右上欄第3行)
「これらの熱処理では、ホットプレート24の設定温度は100℃、クールプレート25の設定温度は23℃とし、所定のタクトタイムTの満了後、直ちに基板Wをクールプレート25へ移載する」(第3頁左下欄第8行〜第11行)

3.2.4 刊行物4(特許異議申立人堀尚弘が提出した甲第4号証、特許異議申立人安井哲也が提出した甲第3号証):特開平1-241124号公報
刊行物4は、レジスト被塗布体の加熱装置に関するものであり、第1〜3図と共に以下の点が記載されている。
「半導体ウエハ1を加熱する加熱板2を所定の間隔を形成して縦方向に積層し、複数段設けることによって、設置面積の縮小を図っている。」(第1頁右下欄第16行〜第19行)
「上方に配置された加熱板2の熱が下方に配置された加熱板2の周囲に運ばれるため、下方に配置された加熱板2と上方に配置された加熱板2との間で熱的な条件に違いが生じ、温度精度が低下するという問題がある。」(第2頁左上欄第13行〜第17行)
「上記構成の本発明のレジスト被塗布体の加熱装置では、縦方向に複数段設けられた加熱板の周囲がそれぞれ断熱材層で囲まれており」(第2頁右上欄第12行〜第14行)
「従来に較べて処理温度精度の向上を図ることができるとともに、加熱板の熱による周辺の機器に対する影響を従来に較べて大幅に軽減することができる。」(第2頁左下欄第2行〜第5行)。
「加熱板2の周囲は、例えば低発塵性材料の断熱材層5によって覆われている。すなわち、この断熱材層5は、加熱板2の下部および側部を覆う如く円板状、環状ブロックを積み重ねた断熱材層5aと、この断熱材層5aと別体に構成され加熱板2の上部を覆う有底筒体状断熱材層5bとから構成されている。」(第2頁左下欄第13行〜第19行)
「加熱板2、断熱材層5、エアシリンダ6、支持部材8等を収容する筐体10が第2図に示すように、縦方向に間隔を設けて複数積層されて、レジスト被塗布体の加熱装置が構成されている。」(第3頁左上欄第4行〜第8行)

3.2.5 刊行物5(特許異議申立人安井哲也が提出した甲第2号証):特開昭62-132319号公報
刊行物5は、ウエハ熱処理装置に関するものであり、第1図と共に以下の点が記載されている。
「(8)は加熱ヒータにより温度制御され、ウエハを加熱処理する加熱プレート、(9)は加熱プレート(8)で加熱処理後のウエハを冷却するために、強制冷却水により冷却制御されている強制冷却プレートである、第1冷却プレート(10)はウエハを所要時間、自然冷却する冷却プレートであってアルミ板からなり、強制的な冷却手段を持たない第2冷却プレートである。」(第2頁左下欄第16行〜同頁右下欄第4行)
「ウエハ(21)を(22)の位置へ、ウエハ(22)を(23)の位置へ、ウエハ(23)を(24)の位置へそれぞれ所定量移動する。」(第3頁左下欄第6行〜第9行)

3.2.6 刊行物6(特許異議申立人安井哲也が提出した甲第4号証):特開平2-196414号公報
刊行物6は、レジスト処理装置に関するものであり、第1図と共に以下の点が記載されている。
「装置類の設置面積と、ウェーハを搬送する移動距離を小さくすることを目的とし」(第1頁左下欄第17行〜第18行)
「例えば、80℃のベーキング槽5aの中へ運び込み、レジストのベーキングが行われる。
ベーキングが終わったウェーハ2は、次に冷却槽6の中に運ばれ、室温に温度が下げられる。」(第2頁右下欄第2行〜第6行)
「最下段に冷却槽を配置し、その上に温度が順次高いベーキング槽を多段に重ね」(第3頁右上欄第9行〜第10行)
「冷却槽と複数個のべ一キング槽を多段に重ねる構成を採ることにより、ウェーハを持ち運ぶ搬送ユニットの移動距離を可能な限り短くなるようにしている。」(第3頁右上欄第15行〜第18行)
「冷却槽6と、3つのべ一キング槽5a、5b、5cとを、下から順に垂直に重ねて配置した。」(第3頁左下欄第5行〜第7行)
「さらに、冷却槽やベーキング槽の並べる順序も、この実施例では熱効率を考慮して、下から順に高い温度になるように配置したが、この順序に限定されるものではない。」(第4頁左上欄第12行〜第15行)

3.3 本件発明と刊行物記載の発明との対比・判断
3.3.1 本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「冷却板」,「加熱板」,「熱処理部」,「基板を熱処理部へ給排する基板移載ロボット」,「基板の熱処理装置」は、それぞれ本件発明1の「クールプレート」,「ホットプレート」,「ベーク部」,「最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボット」,「基板ベーク装置」に相当する。
したがって、両者は
「クールプレートと、前記クールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。」
である点で一致し、
相違点1:本件発明1では、複数のクールプレートを上下方向に所定間隔でホットプレートの下方に位置させると共に、リフターロボットが、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うのに対して、刊行物1記載の発明では、1個のクールプレートをホットプレートの下方に位置させると共に、リフターロボットの制御が異なる点、
において、相違する。

そこで、上記相違点1について検討する。
まず、基板を複数のホットプレート(多段オーブン)で連続加熱処理した後、冷却することが刊行物2に記載されており、また、基板を加熱後、複数のクールプレート(冷却プレート)で連続冷却処理することが刊行物5に記載されている。即ち、連続加熱処理や連続冷却処理は、従来必要に応じて適宜なされていたことである。さらに、刊行物1〜3,5及び6にも記載されているように、通常加熱処理後に冷却処理を行っている。
また、刊行物1には「加熱板や冷却板の数は、基板Wのサイズや種類に対応して適宜増減し得ることは云うまでもない。」と記載されていると共に、刊行物1〜3及び6では、クールプレートをホットプレートの下に配置している。即ち、従来からホットプレートやクールプレートの数は、必要に応じて適宜増減されるものであり、また通常クールプレートをホットプレートの下に配置していた。
さらに、刊行物2では、多段オーブンの各段オーブンを順番に下から上まで経由し最上段の強制コールドユニットで冷却しており、刊行物6には、ウェーハを搬送する移動距離を小さくするという目的が記載されていると共に「冷却槽やベーキング槽の並べる順序も、実施例の順序に限定されるものではない」旨記載されており、基板を処理する順番に応じて処理プレートを並べることにより移動距離を小さくすることは、当業者が当然考慮することである。
そして、これら刊行物1〜3,5及び6は、全て基板の熱処理という同じ技術分野に関するものであり、また、刊行物1〜3,5及び6に記載された技術を刊行物1記載の発明に用いることに、格別の阻害要因があるとは認められない。
したがって、刊行物1記載の発明において、基板を複数のホットプレートで連続加熱処理後、さらに複数のクールプレートで連続冷却処理するために、複数のクールプレートを上下方向に所定間隔でホットプレートの下方に位置させると共に、リフターロボットが、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うように構成することは、刊行物1〜3,5及び6に記載された技術を考慮すれば、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。
なお、本件発明1の効果についても、当業者の予想を超えるものとは認められない。
ゆえに、本件発明1は、刊行物1〜3,5及び6から当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.3.2 本件発明2について
本件発明2と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、上記相違点1の他に
相違点2:本件発明2では、各プレート間に断熱材を備えているのに対して、刊行物1記載の発明では、断熱材を備えていない点、
において、相違する。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1については、本件発明1の理由と同様である。
相違点2:プレート間に断熱材を備えることは、刊行物3,4に示されており、そして、これら刊行物3,4は、どちらも基板の熱処理という刊行物1記載の発明と同じ技術分野に関するものである。
また、刊行物1記載の発明において、各プレート間に断熱材を備えることに、格別の阻害要因があるとは認められない。
したがって、刊行物1記載の発明において、各プレート間に断熱材を備えた点に格別の困難性は認められない。
なお、本件発明2の効果についても、当業者の予想を超えるものとは認められない。
ゆえに、本件発明2は、刊行物1〜6から当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.4 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1,2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明1,2についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
基板ベーク装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。
【請求項2】 前記各プレート間に断熱材を備えたことを特徴とする請求項1記載の基板ベーク装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はIC製造における基板のベーク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の基板ベーク装置を示す概略平面図である。この基板ベーク装置は、ローダ1から搬出された基板(図示せず)が、第1ホットプレート2、第2ホットプレート3、第3ホットプレート4、第1クールプレート5、第2クールプレート6の順に、予め設定した時間だけ滞在し、アンローダ7に収納される。
【0003】
なお、8a〜8dは断熱材である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の装置では、(A)装置の長さが長くなり、場所をとること、(B)第3ホットプレートと第1クールプレートの温度差のため、たとえ、断熱材を基板間に入れても、各プレート表面の温度差により、基板が均一にベークまたは冷却することができないこと、などという問題点があった。
【0005】
本発明は、以上述べた、装置が場所をとること、基板が均一にベークまたは冷却されないという問題点を除去するため、各ホットプレートおよび各クールプレートを立体的に配置した優れた装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基板ベーク装置は、上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフタ-ロボットとを備えたものである。
【0007】
【作用】
本発明は、装置の場所をとらず、しかも基板を均一にベークまたは冷却することができる。
【0008】
【実施例】
図1は本発明に係る基板ベーク装置の一実施例を示す平面図であり、図2は図1の側面図である。
【0009】
図において、9はアーム10を備え、左右方向および上下方向に移動可能なリフターロボット、11はローダ1に対向して設けた第1バッファ、12はアンローダ7に対向して設けた第2バッファ、13はその詳細を図2に示すベーク部である。
【0010】
なお、このベーク部13(図2参照)において、14,15,16および17は、それぞれ下面に断熱材18が固定され、所定間隔で上下方向に配置された第1ホットプレート、第2ホットプレート、第3ホットプレートおよび第1クールプレート、19はこの第1クールプレート17の下方に所定の間隔をもって配置した第2クールプレートである。
【0011】
この構成による基板ベーク装置について説明すると、まず、ローダ1から搬出された基板(図示せず)は、第1バッファ11へ搬送される。そして、位置Lへ移動したリフターロボット9のアーム10が、基板(図示せず)をクランプする。そして、このリフターロボット9は、そのアーム10が基板(図示せず)をクランプした状態で、位置Cへ移動したのち、第1ホットプレート14(図2参照)の位置まで上昇する。そして、このアーム10が伸びて、クランプを解除すると、基板(図示せず)はこの第1ホットプレート14上に載る。
【0012】
そして、指定時間が経過したのち、再びアーム10が基板(図示せず)をクランプし、後退し、第2ホットプレート15の位置まで下降し、アーム10が前進し、クランプを解除すると、基板(図示せず)は第2ホットプレート15上に載る。
【0013】
そして、上述の動作を繰り返し、基板(図示せず)が第2クールプレート19に載り、指定時間が経過すると、アーム10が基板(図示せず)をクランプし、リフターロボット9は位置Rへ移動する。そして、基板(図示せず)は、アーム10により第2バッファ12へ搬送されたのち、アンローダ12に収納される。
【0014】
なお、以上の実施例は、ホットプレートを3個、クールプレートを2個配置した場合について説明したが、これに限定せず、必要により所定数だけ配置すればよいことはもちろんである。
【0015】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る基板ベーク装置によれば、所定数のホットプレートおよびクールプレートを上下方向に、所定間隔をもって配置したので、装置の設置スペースを狭くすることができ、しかも、各プレート間に断熱材があるため、基板を均一にベークまたは冷却することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板ベーク装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】従来の基板ベーク装置を示す平面図である。
【符号の説明】
9 リフターロボット
10 アーム
11 第1バッファ
12 第2バッファ
13 ベーク部
14 第1ホットプレート
15 第2ホットプレート
16 第3ホットプレート
17 第1クールプレート
18 断熱材
19 第2クールプレート
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1である
「【請求項1】上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。」を
「【請求項1】上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、前記複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたことを特徴とする基板ベーク装置。」と訂正する。
訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の段落番号【0006】である
「【課題を解決するための手段】本発明に係る基板ベーク装置は、上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを備えたものである。」を
「【課題を解決するための手段】本発明に係る基板ベーク装置は、上下方向に所定間隔で配置された複数のクールプレートと、複数のクールプレートより上方に、かつ、上下方向に所定間隔で配置された複数のホットプレートとを有するベーク部と、最上位に位置するホットプレートから最下位に位置するクールプレートに対して、上から順に各プレートにて基板への処理が行われるように該基板の移動を行うリフターロボットとを備えたものである。」と訂正する。
異議決定日 2002-05-27 
出願番号 特願平4-158080
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H01L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 内野 春喜
特許庁審判官 小田 裕
橋本 武
登録日 2001-03-16 
登録番号 特許第3170521号(P3170521)
権利者 沖電気工業株式会社
発明の名称 基板ベーク装置  
代理人 大西 健治  
代理人 大西 健治  

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