• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08G
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08G
管理番号 1065922
異議申立番号 異議2001-72239  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-02-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-08-13 
確定日 2002-08-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3134293号「シリカ系被膜形成用塗布液の製造方法,シリカ系被膜形成用塗布液,シリカ系被膜の製造方法,シリカ系被膜およびシリカ系被膜の形成されたデバイス」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3134293号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3134293号は、平成2年6月21日に特許出願され、平成12年12月1日に特許権設定の登録がされ、平成13年2月13日に特許掲載公報が発行され、その後、平成13年8月13日にジェイエスアール株式会社から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知に対し平成14年1月29日付けで特許異議意見書が提出されるとともに訂正請求がなされたものである。
2.本件訂正請求
(1)訂正事項
本件訂正請求は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである。
(a)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1〜2を、
「 【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンボリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。」を
「 【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。ただし、RおよびR′がともにメチル基の場合を除く)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンポリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリ力系被膜形成用塗布液の製造方法。」と訂正する。
(2)訂正の適否の判断
次に本件訂正請求の適否について検討する。
訂正事項aは、請求項1に記載される一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物に「ただし、RおよびR′がともにメチル基の場合を除く」との限定を加えることにより、取消理由通知で引用した刊行物1(特開昭61-250032号公報)に記載された「メチルメトキシシラン」を除くものであって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。そして、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、この訂正により特許請求の範囲が拡張ないし変更されるものでないことも明らかである。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号(以下「平成6年改正法」という。))附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.本件特許異議申立てについての判断
(1)本件訂正前の特許に対する特許異議申立人の主張の概要
特許異議申立人ジェイエスアール株式会社は、証拠として甲第1号証(特開昭61-250032号公報)を提出し、本件請求項1〜2に係る発明は、本件の出願前頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、本件請求項1〜2に係る発明の特許は取り消されるべきものであり、また、本件請求項1〜2に係る発明は、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、本件請求項1〜2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、本件請求項1〜2に係る発明の特許は、その明細書が特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべき旨主張している。
(2)本件発明
本件特許第3134293号の発明は、上記訂正された特許請求の範囲の請求項1〜2に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、順次「本件発明1」、「本件発明2」という。)である。
「 【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。ただし、RおよびR′がともにメチル基の場合を除く)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンポリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリ力系被膜形成用塗布液の製造方法。」
(3)引用刊行物
刊行物1:特開昭61-250032号公報(特許異議申立人ジェイエスアール株式会社の提出した甲第1号証)
(4)引用刊行物に記載された発明
刊行物1には「溶媒の存在下でメチルメトキシシランと水とを触媒を用いて加水分解縮合させる際に、溶媒として、メチルメトキシシランのメトキシ基と反応しない溶媒(ただしメタノールおよびメタノールエステルを含む)を用いることを特徴とするシラノールオリゴマー液の製造法。」(特許請求の範囲第1項)が記載され、さらに「本発明は、シリコン、ガラス、セラミツク、アルミ等の基体表面上に厚いシリカ系被膜を容易に形成可能なシラノールオリゴマー液の製造法に関する。」(第1頁左下欄第15〜18行)、「アルコキシシランは……加水分解し,次にシラノール基(≡Si-OH)が縮合して……最終的にはシリカ系重合体となる。溶媒中で加水分解反応を行なつた場合これらの反応は即座に完結するわけではなく,部分的に加水分解されたシラノールオリゴマー液を作製することが可能である。このシラノールオリゴマー液を基体上に塗布し,……焼成すると……シリカ系被膜を形成する」(第2頁左上欄第19行〜右上欄第11行)、「この際アルコキシ基が大きい,すなわち炭素数が多いと,アルコキシ基の脱離による収縮歪が大きくなりクラツクが発生する。また,膜中に多量の炭素残渣が残存し,完全なシリカ系被膜とならない。本発明者らの詳細な検討に寄れば,アルコキシ基として使用可能なのはメトキシ基のみである。同様にしてアルキル基についてもメチル基のみが用いられる。」(第2頁右上欄第12〜19行)、「次に本発明に用いるメチルメトキシシランの共重合組成としては……Si(OCH3)4 20〜40モル%、CH3Si(OCH3)3 40〜60モル%、(CH3)2Si(OCH3)2 10〜20モル%の範囲のものが好ましい。」(第2頁右上欄第20行〜左下欄第4行)、「従つて本発明に用いられる溶媒はメトキシシランとこの様な交換反応を生じない溶媒もしくは,交換反応をしても再びメトキシシランを生じるメタノール,メタノールエステルに限定される。」(第2頁右下欄第2〜6行)及び「次に本発明に用いられる反応触媒としては,塩酸,硫酸,リン酸,ホウ酸等の無機酸……等を用いることが可能であるが,……リン酸,ホウ酸等が好ましい。」(第2頁右下欄第15〜20行)と記載されている。
(5)対比・判断
(i)特許法第29条第1項に係る特許異議申立理由について
本件発明1〜2において「一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物」から「RおよびR′がともにメチル基の場合」が除かれることにより、刊行物1に記載されているメチルメトキシシランである場合が除外されているので、本件発明1〜2は刊行物1記載の発明とすることはできない。
(ii)特許法第29条第2項に係る特許異議申立理由について
刊行物1には、アルコキシ基が大きいと、アルコキシ基の脱離による収縮歪が大きくなりクラックが発生し、また膜中に多量の炭素残渣が残存して完全なシリカ系被膜とならない旨記載されており、さらに、アルコキシ基として使用可能なのはメトキシ基のみであり、アルキル基についてもメチル基のみが用いられる旨が記載されている。これらの記載によると、通常、メチルメトキシシラン以外の化合物の使用には不都合が生じるものと理解するものであるから、あえて刊行物1に記載されるメチルメトキシシランに代えて、本件発明1〜2における一般式(I)の化合物を用いることは当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、本件発明1〜2は当業者が刊行物1に記載された発明に基づき容易に発明できたものとすることはできない。
(iii)特許法第36条第4項第2号に係る特許異議申立理由について
特許異議申立人は「本件請求項2は請求項1を引用して記載されている。したがって、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の下位概念ないし実施態様に相当すると解釈できる。そして、請求項2記載の発明は、請求項1の発明に係る製造方法で用いる溶媒について「溶媒が、単一である」場合に限定したものと考えられる。」とした上で「反応溶媒として混合溶媒を用いる態様をも包含されるがのごとき請求項1の記載は、不明りょうであり、特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものとすることはできない。」と主張する。
請求項1には、一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
について、「nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。」との記載があり、しかも「2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。」との記載もあることから、「加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコール」はHOR′の一種のみと認められる。
したがって、請求項1における「加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒」は単一溶媒と認められる。
そして、特許法第36条第5項に「前項の規定は、その記載が一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である特許請求の範囲の記載となることを妨げない。」と規定されており、異なる請求項に係る発明が同一である記載となってもよいのであるから、請求項2に「溶媒が、単一である請求項1記載の……」と記載されているとしても、請求項1における「加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒」は前記のとおり単一溶媒であるから、この記載を混合溶媒をも包含するものと解すべき必然性はなく、請求項1の記載が不明りょうであって、特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものでないとすることはできない。
したがって、本件発明1〜2に係る特許は、その明細書が特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものとすることはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明1〜2についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1〜2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
シリカ系被膜形成用塗布液の製造方法,シリカ系被膜形成用塗布液,シリカ系被膜の製造方法,シリカ系被膜およびシリカ系被膜の形成されたデバイス
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。ただし、RおよびR′がともにメチル基の場合を除く)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンポリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明はシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法に関する。
(従来の技術)
近年,超LSI製造技術の発展に伴つて,高累積化,高速化及び多機能化による高度の多層配線技術が要求されている。例えば、超LSIの製造においては,配線上に配線パターンや絶縁膜を形成することが必要であるが,この際,基板上に段差を生じ,この段差を有する基板上に更に配線パターンを形成することが困難なため,段差をなくす平坦化処理が不可欠となつている。
従来,このような基板上の段差をなくす平坦化技術としては,例えば,シリコンラダー系,ポリイミドやポリイミドシリコーンのような有機系材料を用いる方法が知られている。しかし,得られる被膜が300〜450℃程度の温度で熱分解し易く,耐熱性,耐湿性に劣る欠点がある。
また基板中に水素,酸素,窒素などの残留ガスを含まないように基板を荷電粒子で軽くたたきながら被膜を形成する,いわゆるバイアススパツタリング法が知られている。この方法は,微細な部分での平坦化に適しているが,膜の累積過程で下地基板に損傷を与える欠点がある。
一方,シラノール及びアルキルシラノールを有機溶媒中に溶解して塗布液を調整し,この塗布液を用いて段差を埋めるとともに全面を覆うように塗布した後,熱処理によるシリカ系被膜を形成して平坦化する,いわゆるスピンオングラス法(SOG塗布法)が一般に実用化されている。しかし,上記塗布液を例えば前述のようなLSIなどの基板上に回転塗布すると,基板の回転中心部から周辺に向かつて放射状の塗布ムラが発生し,形成フイルムの膜厚にバラツキが生じ段差の平坦化を損う欠点があつた。そのため,この様なシリカ系被膜を形成して作製したデバイスは配線の一部が断線しやすいなど信頼性に問題があつた。
(発明が解決しようとする課題)
本発明の目的は,前記従来技術の問題点を解決し,塗布ムラが生じにくく平坦性の高い絶縁膜を形成することができる新規なシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法,シリカ系被膜形成用塗布液,シリカ系被膜形成方法,シリカ系被膜および該シリカ系被膜を用いることにより信頼性の高いデバイスを提供するものである。
(課題を解決するための手段)
本発明者らは前記課題に鑑み,鋭意研究を重ねた結果,特定のアルコキシシラン化合物の少なくとも2種を特定の有機溶媒に溶解させ,水と触媒の存在下で加水分解して得られる溶液により前記目的を達成できることを見い出し,本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンポリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法に関する。
本発明に用いられる前記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物としては一般式
Si(OR′)4 (III)
RSi(OR′)3 (IV)
または
R2Si(OR′)2 (V)
(式中R及びR′は前記と同じ)で表される化合物が挙げられる。ここでRとR′とがアルキル基である場合は,同一でも異なつてもよい。
一般式(III)で表されるテトラアルコキシシラン化合物の具体例としては,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトライソプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テトライソブトキシシラン,テトラフエノキシシラン,テトラ(2-メトキシエトキシ)シラン,テトラ(2-エトキシエトキシ)シラン,テトラ(2-プロポキシエトキシ)シラン,テトラ(2-ブトキシエトキシ)シラン,テトラ(3-メトキシプロポキシ)シラン,テトラ(3-エトキシプロポキシ)シラン,テトラ(3-プロポキシプロポキシ)シラン,テトラ(3-ブトキシプロポキシ)シラン等が挙げられる。特にテトラプロポキシシラン,テトライソプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テトライソブトキシシランが好適に用いられる。
一般式(IV)で表わされるトリアルコキシシラン化合物の具体例としては,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,メチルトリプロポキシシラン,メチルトリイソプロポキシシラン,エチルトリメトキシシラン,エチルトリエトキシシラン,エチルトリプロポキシシラン,エチルトリイソプロポキシシラン,フエニルトリメトキシシラン,フエニルトリエトキシシラン,フエニルトリプロポキシシラン,フエニルトリイソプロポキシシラン,メチルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン,メチルトリ(2-エトキシエトキシ)シラン,メチルトリ(2-プロポキシエトキシ)シラン,メチルトリ(2-ブトキシエトキシ)シラン,メチルトリ(3-メトキシプロポキシ)シラン,メチルトリ(3-エトキシプロポキシ)シラン,メチルトリ(3-プロポキシプロポキシ)シラン,メチルトリ(3-ブトキシプロポキシ)シラン等が挙げられる。特にメチルトリプロポキシシラン,メチルトリイソプロポキシシラン,メチルトリブトキシシラン,メチルトリブトキシシランが好適に用いられる。
一般式(V)で表されるジアルコキシシラン化合物の具体例としては,ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,ジメチルジプロポキシシラン,ジメチルジイソプロポキシシラン,ジエチルジメトキシシラン,ジエチルジエトキシシラン,ジエチルジプロポキシシラン,ジエチルジイソプロポキシシラン,ジフエニルジメトキシシラン,ジフエニルジエトキシシラン,ジフエニルジプロポキシシラン,ジフエニルジイソプロポキシシラン,ジメチルジ(2-メトキシエトキシ)シラン,ジメチルジ(2-エトキシエトキシ)シラン,ジメチルジ(2-プロポキシエトキシ)シラン,ジメチルジ(2-ブトキシエトキシ)シラン,ジメチルジ(3-メトキシプロポキシ)シラン,ジメチルジ(3-エトキシプロポキシ)シラン,ジメチルジ(3-プロポキシプロポキシ)シラン,ジメチルジ(3-ブトキシプロポキシ)シラン等が挙げられる。特にジメチルジプロポキシシラン,ジメチルジイソプロポキシシラン,ジメチルジブトキシシラン,ジメチルジイソブトキシシランが好適に用いられる。一般式(III),(IV)または(V)で表されるアルコキシシラン化合物はそれぞれ2種以上を併用してもよい。
一般式(I)において,アルキル基の炭素数は,反応性の点から通常1〜4とされる。アルコキシル基で置換されたアルキル基の炭素数は,アルコキシル基とアルキル基の炭素数の総計が反応性の点から通常2〜10とされる。
また,加水分解重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒としては,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,イソブタノール等のアルコール類,2価アルコールのモノエーテルなどが用いられる。2価アルコールのモノエーテルとしては,エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノプロピルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノイソブチルエーテル,エチレングリコールモノヘキシルエーテル,エチレングリコールモノフエニルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノプロピルエーテル,プロピレングリコールモノブチルエーテル,プロピレングリコールモノフエニルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル,ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエーテル,トリエチレングリコールモノブチルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル,ジプロピレングリコールモノブチルエーテル,トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどがある。
これら溶媒は,一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物が加水分解重縮合反応の過程において生成するアルコールや2価アルコールのモノエーテルと同一のものが用いられる。
触媒としては、蟻酸,マレイン酸,フマル酸,酢酸などの有機酸,塩酸,燐酸,硝酸,ほう酸などの無機酸が用いられる。これら触媒は原料となるアルコキシシラン化合物の量に応じて適当量用いられるが、好適にはアルコキシシラン化合物1モルに対し0.001〜0.5ミルの範囲で用いられる。
アルコキシシラン化合物の加水分解に用いられる水の量も適宜決められるが,余り少ない場合や多すぎる場合には塗布液の保存安定性が低下するなどの問題がある。そのためシリカ系被膜形成用塗布液として水はアルコキシシラン化合物1モルに対して0.5〜4モルの範囲で用いることが好ましい。
シリカ系被膜の形成は,シリカ系被膜形成用塗布液を半導体基板等の上にスピナー,ハケ,スプレー等で塗布した後,好ましくは50〜250℃,より好ましくは100〜200℃の温度で乾燥後,窒素雰囲気下で260〜600℃、好ましくは300〜600℃,より好ましくは400〜500℃の温度で加熱硬化させて行われる。
本発明の塗布液は,デバイス一般に適用することができ,例えばメモリー,ロジツク等の層間絶縁膜,パツシベーシヨン膜等に用いられる。
例えばアルミニウム等の金属配線を設け,その上にp-SiO膜(プラズマCVD法で形成された酸化けい素膜),TEOS膜(テトラエトキシシランから形成された被膜)等を形成した半導体基板上に,本発明のシリカ系被膜形成用塗布液を塗布し,加熱硬化して,この半導体基板上のp-SiO膜等の上にシリカ系被膜を形成したデバイスとされる。
(実施例)
以下本発明を実施例により説明するが,本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお,最大塗布ムラの測定は次のようにして行つた。
<最大塗布ムラ>
パターンの形成されたウエハ(以下,パターンとする)上の凹凸によつてパターンの周辺方向に向かつてスジ状の塗布ムラが発生するが,パターン周辺の平坦部について,スローン(SLOAN)社製触針式段差計Dektak II Aを用い,スジ状に生じた塗布ムラに対して垂直に掃引幅を10mmとして表面の凹凸を測定し,その中で最も大きな凸部の厚さをMax HTとした。この測定パターン上の5点について行い,Max HTの平均AV.Max HTを求めた。
また溶媒の種類によつて形成したシリカ系被膜の膜厚が異なるため,膜厚を0.3μmとしたときに換算した値を最大塗布ムラとして下式によつて求めた。

実施例1
一般式(III),(IV),(V)
Si(OR′)4 (III)
RSi(OR′)3 (IV)
R2Si(OR′)2 (V)
で表されるアルコキシシラン化合物でRがメチル基であるものをモル比で一般式(III):(IV):(V)が2:2:1の割合で計1モルになるように混合した。このとき,(III),(IV),(V)式はR′は同一とし,R′は-C2H5,-CH2CH2CH3,-CH(CH3)2,-CH2CH2CH2CH3,-CH2CH2CCH3または-CH(CH3)CH2OCH2CH2CH3とした。
溶媒は上記R′に対応して順次エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,エチレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用い上記アルコキシシラン化合物の混合液1モルと溶媒の重さの合計が500gになるように各溶媒に各々溶解した。これにリン酸3gを純水40gに溶解させた水溶液を添加して加水分解重縮合を行い,シリカ系被膜形成用塗布液を作製した。リン酸水溶液は30分かけて滴下した。リン酸水溶液を滴下すると液温は上昇するものとしないものとがあり,液温が上昇しないものは加熱昇温し50℃,1時間保持した。
このようにして作製したシリカ系被膜形成用塗布液をスピンナーを用いて3000rpmでパターン上に回転塗布し,ホツトプレート上に150℃で30秒および250℃で30秒加熱した。さらに450℃の硬化炉で30分間加熱硬化した。パターンは段差1μmで表面にp-SiO膜を形成したTEG(TEST ELEMENT GROUPの略)を用いた。
次にパターンの平坦部において,シリカ系被膜表面の凹凸の測定を行い,上記の測定法に従つて最大塗布ムラを求めた。その結果を第1表に示した。
比較例1
テトラメトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシランをモル比で2:2:1の割合で混合し合計が1モルになるようにした。溶媒としてエタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,エチレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用い上記アルコキシシラン混合液1モルと溶媒の重さの合計が500gになるように各々溶解した。これにリン酸3gを純水40gに溶解させた水溶液を添加して加水分解重縮合を行い,シリカ系被膜形成用塗布液を作製した。
リン酸水溶液は30分かけて滴下した。リン酸水溶液を滴下すると液温が上昇し,50℃以上になるときには水冷し,50℃以下になるようにした。
このようにして作製したシリカ系被膜形成用塗布液を実施例1と同様にスピンナーを用いて3000rpmでパターン上に回転塗布し,ホツトプレート上150℃で30秒および250℃で30秒加熱した。さらに450℃の硬化炉で30分間加熱硬化した。パターンは段差1μmで表面にp-SiO膜を形成したTEGを用いた。
次にパターンの平坦部において,シリカ系被膜表面の凹凸の測定を行い,上記の測定法に従つて最大塗布ムラを求めた。その結果を第1表に示した。
第1表において明らかなように,実施例1と比較例1を比較すると実施例1の最大塗布ムラの値が小さいことが示される。

比較例2
一般式(III),(IV),(V)で表されるアルコキシシラン化合物でRがメチル基であるものをモル比で2:2:1の割合で計1モルになるように混合した。このとき,一般式(III),(IV),(V)式のR′は同一としR′は-C2H5,-CH2CH2CH3,-CH(CH3)2または-CH2CH2CH2CH3とした。
溶媒はプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用い上記アルコキシシラン化合物の混合液1モルと溶媒の重さの合計が500gになるように各々溶解した。これにリン酸3gを純水40gに溶解させた水溶液を添加して加水分解重縮合を行い,シリカ系被膜形成用塗布液を作製した。リン酸水溶液は30分かけて滴下した。リン酸水溶液を滴下すると液温が上昇するものとしないものとがあり、液温が上昇しないものは加熱昇温し50℃,1時間保持した。
このようにして作製したシリカ系被膜形成用塗布液を実施例1及び比較例1と同様にスピンナーを用いて3000rpmでパターン上に回転塗布し,ホツトプレート上150℃で30秒および250℃で30秒加熱した。さらに450℃の硬化炉で30分間加熱硬化した。パターンは段差1μmで表面にp-SiO膜を形成したTEGを用いた。
次にパターンの平坦部において,シリカ系被膜表面の凹凸の測定を行い,上記の測定法に従つて最大塗布ムラを求めた。その結果を第2表に示した。
実施例1においてR′が-CH(CH3)CH2OCH2CH2CH3で,溶媒にプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用いて作製した塗布液の最大塗布ムラの値と比較例2の塗布液を用いて評価した最大塗布ムラの値とを比較すると比較例2のほうが大きくなつていることが示される。

比較例3
一般式(III),(IV),(V)で表されるアルコキシシラン化合物でRがメチル基であるものをモル比で2:2:1の割合で計1モルになるように混合する。このとき,一般式(III),(IV),(V)式のアルコキシ基はメトキシ基を用いた。
溶媒は2種類の溶媒を重量比が1:1になるように混合し用いた。溶媒の組合せは第3表に示した。アルコキシシラン化合物の混合液1モルと上記混合溶媒の重さの合計が500gになるように各々溶解した。これにリン酸3gを純水40gに溶解させた水溶液を添加して加水分解重縮合を行い,シリカ系被膜形成用塗布液を作製した。リン酸水溶液は30分かけて滴下した。
このようにして作製したシリカ系被膜形成用塗布液を実施例1,比較例1及び比較例2と同様にスピンナーを用いて3000rpmでパターン上に回転塗布し,ホツトプレート上150℃で30秒および250℃で30秒加熱した。さらに450℃の硬化炉で30分間加熱硬化した。パターンは段差1μmで表面にp-SiO膜を形成したTEGを用いた。
次にパターンの平坦部において,シリカ系被膜表面の凹凸の測定を行い,上記の測定法に従つて最大塗布ムラを求めた。その結果を第3表に示した。
第3表に示した最大塗布ムラの値と,第1表に示した実施例1の個々の溶媒を用いた結果とを比較すると混合溶媒にすると塗布ムラは大きくなつていることが示される。

(発明の効果)
本発明により,塗布ムラ小さいシリカ系被膜形成用塗布液を作製することが可能となる。このシリカ系被膜形成用塗布液を半導体デバイスの層間絶縁膜やパツシベーシヨン膜等を用いることで平坦化が可能となり信頼性の高いデバイスを製造することができる。
 
訂正の要旨 (a)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1〜2を、
「 【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンボリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。」を
「 【請求項1】 一般式(I)
R4-nSi(OR′)n (I)
(式中Rは低級アルキル基又はアリール基、R′は低級アルキル基またはアルコキシル基で置換された低級アルキル基、nは2〜4の整数を示し、2〜4個のR′は互いに同一である。ただし、RおよびR′がともにメチル基の場合を除く)で表されるアルコキシシラン化合物の少なくとも2種(2種以上のアルコキシシラン化合物においてR′は互いの化合物で同一である。)を混合し、混合物を水及び酸触媒の存在下に加水分解縮重合させてシロキサンポリマーを合成する際に、加水分解縮重合反応の過程において生成するアルコールまたは2価アルコールのモノエーテルと同一の溶媒中で反応させることを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】溶媒が、単一である請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法。」と訂正する。
異議決定日 2002-07-18 
出願番号 特願平2-163237
審決分類 P 1 651・ 534- YA (C08G)
P 1 651・ 113- YA (C08G)
P 1 651・ 121- YA (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 耕一郎  
特許庁審判長 谷口 浩行
特許庁審判官 佐野 整博
村上 騎見高
登録日 2000-12-01 
登録番号 特許第3134293号(P3134293)
権利者 日立化成工業株式会社
発明の名称 シリカ系被膜形成用塗布液の製造方法,シリカ系被膜形成用塗布液,シリカ系被膜の製造方法,シリカ系被膜およびシリカ系被膜の形成されたデバイス  
代理人 若林 邦彦  
代理人 岩見谷 周志  
代理人 三好 秀和  
代理人 若林 邦彦  
代理人 三好 秀和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ