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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A47J |
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管理番号 | 1065953 |
異議申立番号 | 異議2000-74064 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-12-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-11-08 |
確定日 | 2002-08-03 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3039353号「電動ポット」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3039353号の請求項1、2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3039353号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成2年10月3日に出願された実用新案登録出願である実願平2-104778号の一部を、平成8年2月5日に実願平8-333号として分割し、さらに特願平8-18925号として特許出願に変更したものであって、平成12年3月3日に設定登録されたが、その後、四宮唯泰より特許異議申立がなされ、取消理由が通知がされた後、平成13年7月24日付けで訂正請求がなされ、再度取消理由が通知され、この訂正請求を取り下げた後、平成14年5月10日付けで再度訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)本件訂正請求は、以下の事項について訂正するものである。 (ア)特許請求の範囲請求項1の 「電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中に押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作する押し釦と、押し釦の押し下げに連動して前記弁が開いたときにオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備えたことを特徴とする電動ポット。」を、 「電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とする電動ポット。」と訂正する。 (イ)特許請求の範囲請求項2の 「導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側にて分岐し導出内容液を器体に戻すバイパス路を設けた請求項1に記載の電動ポット。」を、 「導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し導出内容液を器体に戻すバイパス路を設けた請求項1に記載の電動ポット。」と訂正する。 (ウ)発明の詳細な説明の段落【0012】の、 「【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中に押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作する押し釦と、押し釦の押し下げに連動して前記弁が開いたときにオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備えたことを特徴とするものである。」を、 「【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とするものである。」と訂正する。 (エ)発明の詳細な説明の段落【0013】の 「このような構成では、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動してポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出されるようにすることができる上、」を、 「このような構成では、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、」と訂正する。 (オ)発明の詳細な説明の段落【0015】の 「導出方向上流側にて分岐し」を、「導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し」と訂正する。 (カ)発明の詳細な説明の段落【0016】の 「開閉部分の上流側で分岐」を、「開閉部分の上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐」と訂正する。 (キ)発明の詳細な説明の段落【0022】の 「内容液導出方向下流側」を、「内容液導出方向上流側」と訂正する。 (ク)発明の詳細な説明の段落【0031】の 「開閉部分の上流側で分岐」を、「開閉部分の上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐」と訂正する。 (ケ)発明の詳細な説明の段落【0036】の 「請求項1の発明によれば、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動してポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出されるようにすることができる上、」を、 「請求項1の発明によれば、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、」と訂正する。 (コ)発明の詳細な説明の段落【0038】の 「導出方向上流側にて分岐し」を、 「導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し」と訂正する。 (2)そこで、上記訂正事項について検討する。 訂正事項(ア)は、「押し釦」について配置位置が「肩部に形成した嘴状突出部」で、機能として「押し下げ度合いに応じて開度調節」するものであることを限定し、「ポンプ駆動スイッチ」について「ばねおよびレバーによって」連動し、弁が「開いている間押し釦に」よってオン操作されるものであることを限定し、「電動ポンプ」についてその配置位置を限定するように訂正したもので、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 訂正事項(イ)は、「バイパス路」について「電動ポンプまでの位置にて分岐」するものであることを限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 訂正事項(ウ)乃至(カ),(ク)乃至(コ)は、特許請求の範囲の訂正に伴い、その記載にあわせるために発明の詳細な説明を訂正したもので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項(キ)は、「内容液導出方向上流側」とするべきところを「内容液導出方向下流側」と記載していたものを訂正するもので、誤記の訂正を目的としたものである。 訂正事項(ア)について、「肩部に形成した嘴状突出部」との事項は、特許明細書の段落【0017】に「肩部材8の嘴状突出部9の内側に」と記載され、「押し下げ度合いに応じて開度調節」との事項は、特許明細書の段落【0019】に「押し釦18の押し下げ度合いに応じた量だけ」と記載され、「ばねおよびレバーによって」との事項は、特許明細書の段落【0020】に「押し釦18が下動されると、この下動に操作レバー22がバネ24の付勢によって同動し、押し釦18の下動初期にスイッチ25を押動して駆動させ、」と記載され、「開いている間押し釦に」との事項は、特許明細書の段落【0024】に「特に押し釦18をさらに押し下げていくと、操作レバー22によるスイッチ25のオン状態を保ちつつ、」と記載されており、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされ、また、訂正事項(イ)の「電動ポンプまでの位置にて分岐」との事項、及び訂正事項(キ)の「内容液導出方向上流側」との事項は、特許明細書の段落【0018】に「導出路7の内容器2よりも下位となっている部分に電動ポンプ14が設けられ、導出路7に流入する内容液を導出路7を通じて導出する。導出路7の吐出口11よりも少し上流側に弁室16を設けてこれに弁15を収容している。」と、同じく段落【0038】に「導出路の前記弁による開閉部分の上流側で分岐しているバイパス路」と記載されており、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、さらに訂正事項(ウ)乃至(カ),(ク)乃至(コ)も、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。 そして、訂正事項(ア)乃至(コ)は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (3)以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)特許異議申立人四宮唯泰は、甲第1号証(実願昭55-81191号(実開昭57-5120号)のマイクロフィルム)を提出して、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に違反してなされたものであり、さらに甲第2号証(実願昭63-47155号(実開平1-149745号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(特開平1-110318号公報)、甲第4号証(特開平2-111328号公報)を提出して、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであると主張している。 (2)本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下「本件第1発明及び本件第2発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認める。(上記2.(1)(ア),(イ)) (3)当審が平成14年2月27日付けで通知した取消しの理由に引用された、実願昭55-81191号(実開昭57-5120号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)には、「電動ポンプ(電動の内容液注出ポンプ9)の駆動によって内容液注出路5を通じ内容液を導出するようにした電動注出式ポットにおいて、内容液注出路5の途中に押し下げ操作で開かれる常閉の弁16と、栓蓋10の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁16の上方に延びる弁棒16cを介し前記弁16を開き操作する上端操作部20bと、上端操作部20bの押し下げに連動してオンオフ操作されるスイッチ19とを備えた電動注出式ポット。」の発明が記載されていると認められるものの、スイッチのオンオフ操作時期と弁の開閉操作時期について、刊行物1の実施例として示された第1図に開示されているものは、スイッチの受動子19aと操作片20aの間にストロークがあり、スイッチがオンされる前に弁16bが開操作されるものであるから、本件第1発明及び本件第2発明の「押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチ」に係る構成は、刊行物1に記載されておらず、また、この構成は、特許異議申立人が提出した証拠のいずれにも記載されていない。 そして、この構成により、ポンプ駆動スイッチのオン状態を無理なく保ったまま、押し釦を押し下げる深さの度合いを増していくことができ、流量を少量から多量まで使用者の思い通りに調節しやすいものとすることができるという効果を奏するものである。 したがって、本件第1発明及び本件第2発明は、特許異議申立人が提出した証拠に記載された発明ではなく、また、これらに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件第1発明及び本件第2発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件第1発明及び本件第2発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件第1発明及び本件第2発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 電動ポット (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、 導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とする電動ポット。 【請求項2】 導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し導出内容液を器体に戻すバイパス路を設けた請求項1に記載の電動ポット。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は電動ポンプによって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 内容液を導出する導出路を持ったポットでは、使用の有無や内容液の導出の有無に係わりなく、器体内は常に外部に通じている。これにより器体が転倒すると内容液は導出路を通じて自然に流出してしまう。内容液の導出の妨げにならないでこれを解消するのに、従来導出路の途中に、器体の転倒時に導出路を閉じるように自動的に働く弁を設けている。この弁は器体が正立状態にあるとき、自重で開いており、器体が転倒すると導出路を通じて流出しようとする内容液に押されて導出路を閉じるようにした、いわゆる転倒時止水弁が一般的である。 【0003】 特開昭63-229010号公報▲1▼、特開平1-110318号公報▲2▼、特開平2-111328号公報▲3▼は、そのような構造の電動ポットを開示している。 【0004】 ▲1▼に開示された電動ポットは1つの操作部材の操作で、電動ポンプをオン操作するのと同時に、電動ポンプのオンによって導出される内容液の導出流量を調節できるようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかし上記のような転倒時止水弁の閉止機能は万全でなく、器体が転倒したときの初期の止水が間に合わないことが多い。したがって転倒時に少しであるにしても熱湯が流出して危険であるし、回りを濡らしてしまうので、転倒時の止水の完全なものが望まれている。 【0006】 一方、上記公報に開示の電動ポットは、導出する内容液が大半の場合熱湯であるので、思った導出流量に自由に調節して安全に導出できることも望まれるし、転倒時止水弁の機能不安を考えると、器体の安定を損なわずに、スムーズに内容液を導出できるのが好適である。 【0007】 器体の安定のためにはキー操作によって電動ポンプを働かせるのが有利であり、圧力スイッチを用いると導出流量を調節することもできる。しかし、これでは特別な圧力スイッチと、この圧力スイッチの押圧度合いの違いを検出し、押圧度に応じた導出流量を設定する制御が必要になるので、比較的高価なものになる。 【0008】 同時に、キー操作の感触と導出流量との関係が間接的に過ぎて、導出流量の設定状態が実感しにくく、導出流量が思いのほか少ないために初期給湯に時間が掛かり過ぎたり、思いのほか少ない導出流量を多くしようとして押圧力を強め過ぎて導出流量が急激に増大してびっくりし、あるいは危ない思いをすることが稀にある。 【0009】 従って、導出流量の調節は開閉弁を操作して行うのが簡単で実感を持ちやすい利点がある。▲1▼の公報に開示のものはこれを満足している。 【0010】 しかし、転倒時止水弁の機能不安は解消されていないし、導出流量の調節をするのに回動方式の操作ツマミを採用することにより、弁を開閉し、また開度調節するのに必要な操作ストロークを得ているので、簡単なタッチ操作にはならず操作が面倒で内容液の導出を瞬時に行えない不便がある。また、導出流量を小さくするように弁の開度を絞った場合を考えると、モータの回転数は変化しないので、最大流量で導出されよすとするのを無理に制限することになるので、流速が増してしまったり、流速が増さなければ圧力が上昇するし、双方が分担して増大することもあるので、内容液の導出に無理が生じる分だけ導出内容液が勢いよく飛びだしたり、スプラッシュ状態に噴き出したりする危険もある。さらに、▲1▼に開示の操作ツマミをタッチ式のものに代替するにしても、器体の上部前面に設けられていて、大きなストローク分をタッチ操作するのでは器体を転倒させてしまう不安がある。 【0011】 そこで本発明は、内容液導出路に常閉の弁を設けて転倒時の止水の不安をなくすとともに、押し釦の操作で電動ポンプを駆動操作できるとともに前記弁を開度調節するように開き操作でき、しかも、操作が容易な電動ポットを提供することを目的とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とするものである。 【0013】 このような構成では、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、押し釦は押し下げが解除されると弁は閉じるのに併せ、ポンプ駆動スイッチがオフ状態になって内容液の導出動作がとまるので、前記常閉状態に復帰するとともに、押し釦が前記単純操作で弁を開操作するものであっても器体の上面にあることによって、ポットが転倒しても転倒したテーブルや床の面に触れて押し下げ操作されてしまうようなことはなく、転倒時の止水機能を損なうようなことが解消される。 【0014】 なお、弁が開くとポンプ駆動スイッチがオン操作されて内容液の導出が開始されるが、それ以降の押し釦の押し下げのストロークに応じて弁の開き度を大きくしていく開度調節もでき、内容液の導出流量を調節することができる。 【0015】 請求項2の発明では、請求項1の発明において、さらに、導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し導出内容液を器体内に戻すバイパス路を設けている。 【0016】 このような構成では、請求項1の発明に加え、さらに、前記押し釦による押し下げ操作に際し前記弁を開度調節すると、導出路を所望の度合いに開いて内容液の導出流量を制限する一方、導出路の前記弁による開閉部分の上流側で分岐しているバイパス路をつうじた内容液の余剰分のポット内への戻しとによって、前記弁の開度調節のみで内容液の導出流量を無理無く的確に調節することができ、使用に便利であるとともに構造が特に複雑化することもない。 【0017】 【発明の実施の形態】 (第1の実施の形態) 図1、図2に示す本発明の第1の実施の形態は、図に示すように外装ケース1内に内容器2を収容しポットの器体6を形成している。内容器2の底部下面にはヒータ3が添え付けられ、内容液を沸騰させ、また所定の保温温度に保つように適宜加熱するようになっている。4は温度センサ、5は温度センサによる温度情報をもとにヒータ3を通電制御する制御回路基板である。内容器2の底部には導出路7が接続されている。導出路7は内容器2と外装ケース1との間で立ち上がり、器体6の外装ケース1および内容器2の各口部を連結している肩部材8の嘴状突出部9の内側に達し、この位置にて吐出口11が下向きに開口している。嘴状突出部9の下端開口を閉じる蓋板12に前記吐出口11から流出する内容液を一旦大気に開放して受入れ、静かに下方に案内する注液管13が設けられている。 【0018】 導出路7の内容器2よりも下位となっている部分に電動ポンプ14が設けられ、導出路7に流入する内容液を導出路7を通じて導出する。導出路7の吐出口11よりも少し上流側に弁室16を設けてこれに弁15を収容している。弁15は上方に延びて導出路7から上方に突出する弁棒17を有し、この弁棒17は前記突出部を覆うバネ26入りの蛇腹状シールパッキング27と連結されて、導出路7からの液漏れを防止するとともに、弁15を上動付勢して前記弁室16の流出側の弁座19を常時閉じるようにしている。 【0019】 また弁棒17の上端は器体6の上面、本第1の実施の形態では特に嘴状突出部9の上面に一部が露出するように設けられた押し釦18とバネ119を介し連結され、押し釦18の下動により前記弁15がバネ26に抗し開かれるようにしている。従って押し釦18はバネ26によって常時上動位置にあるように付勢され、上方からの押し下げ操作で簡易に押し下げ操作されるものであり、バネ119の介入による弾性的な動作伝達部を持ちながらも、無理な操作でないことを条件に押し釦18の押し下げ度合いに応じた量だけ弁14を弁座19を閉じた状態から下方に押し開き、導出路7の開度を調節することができる。押し釦18には操作レバー22がピン23によって上方への揺動が可能なように支持されており、バネ24により押し釦18に対して水平な下動位置に常時あるように付勢されている。これによって操作レバー22は押し釦18が上動位置に復帰しているときバネ24に抗し水平姿勢のまま上動位置に保持され、ポンプ駆動スイッチ25から離れている。したがってスイッチ25はオフの状態を保ち電動ポンプ14をオフの状態にしている。 【0020】 押し釦18が下動されると、この下動に操作レバー22がバネ24の付勢によって同動し、押し釦18の下動初期にスイッチ25を押動して駆動させ、この駆動操作により電動ポンプ14が駆動されるようにする。 【0021】 しかし押し釦18はさらに下動操作可能であり、以後押し釦18のさらなる下動による押し下げ度合いに応じて弁15をさらに開いていくことにより、導出路7の開き度を自由に調節することができる。このとき操作レバー22はスイッチ25をオン操作した位置のままにあり、押し釦18との相対移動は前記ピン23を中心とした押し釦18に対する上方への揺動により可能となる。 【0022】 前記弁15が導出路7を開閉する部分である弁座19よりも内容液導出方向上流側となる弁室16の周壁一部から分岐して内容器2の上部に通じるバイパス路21が設けられている。 【0023】 なお器体6の上端には蓋31が設けられている。蓋31は後部が肩部材8の軸受部32に軸33によって開閉可能に枢支され、バネ41によって開き方向に付勢されている。蓋31の下面には内容器2の開口をシールパッキング35を介して閉じる内蓋34が設けられている。蓋31の前部には蓋31を閉じ状態にロックするロック部材36と、このロック部材36のロックを解除するロック解除部材37と、ロック解除部材37の不用意なロック解除操作を阻止する係止部材38とが設けられている。蓋31の内蓋34の裏側には内容器2内で発生する蒸気を蓋31外に逃がす蒸気抜き通路39が設けられている。40は蒸気抜き通路39に設けられた弁である。 【0024】 押し釦18を押し下げると、弁15が押し下げ度合いに応じて下動されて開弁されていき、導出路7を次第に開く。一方操作レバー22は前記押し釦18の下動に連動してその下動の初期に、ポンプ駆動スイッチ25をオンする。したがって弁15の開き動作とともに電動ポンプ14が駆動され、特別な操作を行わないで常閉の弁15が邪魔になるようなことなく、内容液の導出路を通じた導出が行われる。特に押し釦18をさらに押し下げていくと、操作レバー22によるスイッチ25のオン状態を保ちつつ、弁15の開き度を増していけるので、電動ポンプ14による内容液の導出を継続しながら導出路7の通路断面積を大きくしていくことができ、流量が増大するように調節することができる。 【0025】 この流量調節において弁15の開度が小さいとき、導出路7の弁座19部の通路抵抗が大きくなるが、弁座19の上流側にある前記バイパス路21が過剰の内容液を内容器2内に逃がし戻すので、導出内容液の導出流速が増大したり、圧力が増大したりして、導出内容液が勢いよく流出したり、スプラッシュ状態のように噴き出したりするような危険なく、前記弁15の開度調節に応じた流量での内容液の導出が無理なく的確に達成される。また、押し釦18の押し下げ操作による弁15の開度調節とこれによる導出流量の調節は機械的な連動により、必要かつ十分な操作ストロークのもとに、しかも、調節度合いの実感を持って思い通りに適正に行える。 【0026】 押し釦18の押し下げを解除すると、押し釦18は弁15とともにバネ26の付勢によって上動位置に復帰され、弁15を閉じる。またこの弁15の閉じ動作に連動して操作レバー22はバネ24の付勢に抗して上動復帰され、ポンプ駆動スイッチ25をオフにするので、内容液の導出は停止する。また弁15は常閉状態に復帰するので、以後ポットが転倒するようなことがあっても、内容液が導出路7を通じて自然に流出するようなことを回避することができる。 【0027】 要するに、本第1の実施の形態では、導出路7が常閉の弁15によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても内容液が導出路7を通じて流出するようなことが確実に解消される。 【0028】 そして上動位置に付勢された押し釦18を押し下げ操作することによって電動ポンプ14を駆動操作するとともに前記常閉の弁15を開き操作して導出路7を開き、電動ポンプ14による内容液の導出路7を通じた導出を特別な操作を行わないで達成することができる。 【0029】 特に、前記押し釦18の押し下げ操作に際し押し下げ量を調節すると、弁15をこの押し下げ度合いに応じて開度調節して導出路7を所望の度合いに開き内容液の導出流量を、押し釦18の押し下げ度合いに応じた操作抵抗の増大による実感通りに調節することができ、所望の導出流量を得ることができる。 【0030】 また、押し釦18を押し下げ操作するのに、押し釦18が器体6の上面に位置するので、押し下げ操作が簡易な押し下げ操作で行うことができ、操作の容易性および的確性を確保することができる。 【0031】 さらに、前記押し釦18による押し下げ操作に際し弁15を開度調節すると、導出路7を所望の度合いに開いて内容液の導出流量を制限する一方、導出路7の弁15による開閉部分の上流側で分岐しているバイパス路21をつうじた内容液の余剰分のポット内への戻しとによって、弁15の開度調節のみで内容液の導出流量を無理無く的確に調節することができ、使用に便利であるとともに構造が特に複雑化することもない。 【0032】 (第2の実施の形態) 図3に示す本発明の第2の実施の形態は、弁15を下動付勢して、弁室16の流入側の弁座42を常時閉じ、図示しない操作部材の操作によって弁15が上動されて導出路7が開かれるとともに、ポンプ駆動スイッチがオンされるようにしてある。 【0033】 したがってバイパス路21は前記弁座42の上流側にて導出路7から分岐するようにされている。その他の構造および作用は前記第1の実施の形態の場合と変わらないので説明は省略する。 【0034】 (第3の実施の形態) 図4に示す本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態における押し釦18と、操作レバー22との組合せ構造とバネ119の働かせ方を変更している。図に示すように、操作レバー22はその基部を押し釦18内に枢支し、操作レバー22は押し釦18から突出してポンプ駆動スイッチ25と対向し、押し釦18内で押し釦18と操作レバー22との間に働かされたバネ51の付勢によって、押し釦18に対する水平な最下動位置にあるようにされている。これによって押し釦18の下動初期に、操作レバー22はポンプ駆動スイッチ25に当接し、バネ51の力によってスイッチ25をオンさせるが、押し釦18がそれ以上下動されて弁15の開き度を大きくしていくとき、操作レバー22はバネ51の付勢に抗して押し釦18に対し上方に回動されてスイッチ25のオン状態を無理なく保持する。 【0035】 押し釦18には安全ストッパ52が働かされている。安全ストッパ52は押し釦18のまわりに回動可能であり、この回動によってストッパ部52aを押し釦18の周壁のスリット18aから外れた係止段部18bに対向するロック位置と、前記スリット18aに対向するロック解除位置との間で下動なようにされている。これによりロック位置では押し釦18はその係止段部18bがストッパ部52aに当接して下動を阻止されるので、導出操作が不能である。またロック解除位置では、押し釦18はスリット18aがストッパ部52aに対向していて、下動を妨げられないので、導出操作可能となる。 【0036】 【発明の効果】 請求項1の発明によれば、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、押し釦は押し下げが解除されると弁は閉じるのに併せ、ポンプ駆動スイッチがオフ状態になって内容液の導出動作が止まるので、前記常閉状態に復帰するとともに、押し釦が前記単純操作で弁を開操作するものであっても器体の上面にあることによって、ポットが転倒しても転倒したテーブルや床の面に触れて押し下げ操作されてしまうようなことはなく、転倒時の止水機能を損なうようなことが解消される。 【0037】 特に、前記弁をこの押し下げ度合いに応じて開度調節して導出路を所望の度合いに開き内容液の導出流量を、押し釦の押し下げ度合いに応じて調節することができ、所望の導出流量を得ることができる。また、押し釦を押し下げ操作するのに、押し釦が器体の上面に位置するので、押し下げ操作が器体が転倒するような不安なく簡易な押し下げ操作で行うことができ、操作の容易性および的確性を確保することができる。 【0038】 請求項2の発明によれば、請求項1の発明に加え、さらに、前記押し釦による押し下げ操作に際し前記弁を開度調節すると、導出路を所望の度合いに開いて内容液の導出流量を制限する一方、導出路の前記弁による開閉部分の上流側で分岐しているバイパス路をつうじた内容液の余剰分のポット内への戻しとによって、前記弁の開度調節のみで内容液の導出流量を無理無く的確に調節することができ、使用に便利であるとともに構造が特に複雑化することもない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す電気ポットの上部の断面図である。 【図2】 本発明の第1の実施の形態を示す電気ポットの下部の断面図である。 【図3】 本発明の第2の実施の形態を示す電気ポットの要部の拡大断面図である。 【図4】 本発明の第3の実施の形態を示す電気ポットの要部の拡大断面図である。 【符号の説明】 7 導出路 14 電動ポンプ 15 弁 18 押し釦 21 バイパス路 22 操作レバー 25 ポンプ駆動スイッチ 26 バネ |
訂正の要旨 |
(ア)特許請求の範囲請求項1の 「電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中に押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作する押し釦と、押し釦の押し下げに連動して前記弁が開いたときにオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備えたことを特徴とする電動ポット。」を、 「電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とする電動ポット。」と訂正する。 (イ)特許請求の範囲請求項2の 「導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側にて分岐し導出内容液を器体に戻すバイパス路を設けた請求項1に記載の電動ポット。」を、 「導出路の前記弁による開閉部分よりも導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し導出内容液を器体に戻すバイパス路を設けた請求項1に記載の電動ポット。」と訂正する。 (ウ)発明の詳細な説明の段落【0012】の、 「【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中に押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作する押し釦と、押し釦の押し下げに連動して前記弁が開いたときにオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備えたことを特徴とするものである。」を、 「【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、電動ポンプの駆動によって導出路を通じ内容液を導出するようにした電動ポットにおいて、導出路の途中にて押し下げ操作で開かれる常閉の弁と、器体の肩部に形成した嘴状突出部の上面に押し下げ操作できるように設けられ、この押し下げ操作によって前記弁の上方に延びる弁棒を介し前記弁を開き操作するとともに押し下げ度合いに応じて開度調節する押し釦と、押し釦の押し下げにばねおよびレバーによって連動して前記弁が開いている間押し釦にオン操作され、前記弁が閉じるとオフ状態とされるポンプ駆動スイッチとを備え、前記常閉の弁およびポンプ駆動スイッチは前記肩部を含む嘴状突出部内に位置し、前記電動ポンプは導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中に位置することを特徴とするものである。」と訂正する。 (エ)発明の詳細な説明の段落【0013】の 「このような構成では、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動してポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出されるようにすることができる上、」を、 「このような構成では、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、」と訂正する。 (オ)発明の詳細な説明の段落【0015】の 「導出方向上流側にて分岐し」を、 「導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し」と訂正する。 (カ)発明の詳細な説明の段落【0016】の 「開閉部分の上流側で分岐」を、「開閉部分の上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐」と訂正する。 (キ)発明の詳細な説明の段落【0022】の 「内容液導出方向下流側」を、「内容液導出方向上流側」と訂正する。 (ク)発明の詳細な説明の段落【0031】の 「開閉部分の上流側で分岐」を、「開閉部分の上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐」と訂正する。 (ケ)発明の詳細な説明の段落【0036】の 「請求項1の発明によれば、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動してポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出されるようにすることができる上、」を、 「請求項1の発明によれば、導出路が常閉の弁によって常時閉じられており、不使用時にポットが転倒しても、内容液が導出路を通じて流出するようなことが確実に防止される。また、押し釦は器体の肩部の嘴状突出部の上面にあって、視認しやすく、かつ器体を不安定にすることなしに容易に押し下げ操作され、しかも、この押し下げ操作で前記肩部を含む嘴状突出部内に位置する弁をその上方へ延びる弁棒を介した同じ方向の動きをするものどうしの動作伝達によって、こじれなどなく、かつ、器体への導出路の配置構造による操作釦と弁との距離の違いに対応して、容易に開き操作し、また弁の開操作に連動して前記肩部を含む嘴状突出部内にあるポンプ駆動スイッチをオン操作して内容液が導出路の前記弁よりも導出方向上流側の途中にある電動ポンプによって導出されるようにすることができる上、」と訂正する。 (コ)発明の詳細な説明の段落【0038】の 「導出方向上流側にて分岐し」を、 「導出方向上流側で前記電動ポンプまでの位置にて分岐し」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-07-15 |
出願番号 | 特願平8-18925 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A47J)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 種村 慈樹、内田 俊生 |
特許庁審判長 |
橋本 康重 |
特許庁審判官 |
井上 茂夫 櫻井 康平 |
登録日 | 2000-03-03 |
登録番号 | 特許第3039353号(P3039353) |
権利者 | タイガー魔法瓶株式会社 |
発明の名称 | 電動ポット |
代理人 | 石原 勝 |
代理人 | 石原 勝 |