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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1066060 |
異議申立番号 | 異議2002-71610 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-03-05 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-06-28 |
確定日 | 2002-10-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3251004号「撮像装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3251004号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 本件に係る発明 本件特許第3251004号(平成13年11月16日設定登録、請求項の数2)に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次に掲げるとおりのものである。 「【請求項1】撮像対象から到来する入射光を受光して結像する光学系と、上記光学系により結像された上記入射光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、上記撮像信号を増幅する可変利得増幅回路とを有する撮像装置において、 上記光学系に設けられ、上記撮像素子に入射する上記入射光の入射光量を制限する絞りと、 上記撮像素子の電荷蓄積時間を切り換えるシヤツタ速度切り換え手段と、 上記撮像素子から出力される撮像信号の信号レベルを検出し、検出結果を出力する信号レベル検出回路と、 上記絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得を制御し、上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを一定に制御する制御手段とを具え、 上記制御手段は、 上記信号レベルの検出結果、上記絞りの開口量及び上記電荷蓄積時間に基づいて、上記光学系に入射する上記入射光の入射光量を逆算し、 上記光学系に入射する入射光量に対する上記絞りの開口量、上記電荷蓄積時間及び上記利得の各設定値が個別に記憶された複数の制御パターンの中から予め設定された制御パターンと上記逆算した入射光量とに基づいて、 上記設定された制御パターンの絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得がそれぞれ一意に定められる所定の値になるよう制御し、 上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを制御することを特徴とする撮像装置。 【請求項2】撮像対象から到来する入射光を受光して結像する光学系と、上記光学系により結像された上記入射光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、上記撮像信号を増幅する可変利得増幅回路とを有する撮像装置において、 上記光学系に設けられ、上記撮像素子に入射する上記入射光の入射光量を制限する絞りと、 上記撮像素子の電荷蓄積時間を切り換えるシヤツタ速度切り換え手段と、 上記可変利得増幅回路から出力される撮像信号の信号レベルを検出し、検出結果を出力する信号レベル検出回路と、 上記絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得を制御し、上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを一定に制御する制御手段とを具え、 上記制御手段は、 上記信号レベルの検出結果、上記絞りの開口量、上記電荷蓄積時間及び上記利得に基づいて、上記光学系に入射する上記入射光の入射光量を逆算し、 上記光学系に入射する入射光量に対する上記絞りの開口量、上記電荷蓄積時間及び上記利得の各設定値が個別に記憶された複数の制御パターンの中から予め設定された制御パターンと上記逆算した入射光量とに基づいて、 上記設定された制御パターンの絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得がそれぞれ一意に定められる所定の値になるよう制御し、 上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを制御することを特徴とする撮像装置。」 第2 特許異議申立の理由及び証拠の概要 特許異議申立人は、本件特許請求の範囲の請求項1,2に係る発明について、次に掲げる証拠(甲第1号証ないし甲第4号証)を提出し、本件請求項1,2に係る発明は、その証拠に記載された発明を組合わせることによって、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。したがって、本件請求項1,2に係る特許を取り消すべきである旨の主張をしている。 甲第1号証:特開平2-60378号公報(本件特許掲載公報の参考文献と同じ) 甲第2号証:特開平2-127878号公報 甲第3号証:特開昭63-99693号公報 甲第4号証:特開昭61-32670号公報 1 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、本件特許請求の範囲の請求項1,2に係る発明との関連において次に掲げる発明が記載ないしは示唆されているといえる。 「撮像対象から到来する入射光を受光して結像する光学系と、上記光学系により結像された上記入射光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、上記撮像信号を増幅する可変利得増幅回路とを有する撮像装置において、 上記光学系に設けられ、上記撮像素子に入射する上記入射光の入射光量を制限する絞りと、 上記撮像素子の電荷蓄積時間を切り換えるシヤツタ速度切り換え手段と、 上記撮像素子、又は、上記可変利得増幅回路から出力される撮像信号の信号レベルを検出し、検出結果を出力する信号レベル検出回路と、 上記絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得を制御し、上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを一定に制御する制御手段とを具え、 上記制御手段は、 上記信号レベルの検出結果、上記絞りの開口量及び上記電荷蓄積時間、又は、上記絞りの開口量、上記電荷蓄積時間及び上記利得に基づいて、上記光学系に入射する上記入射光の入射光量を逆算し、 上記絞りの開口量、上記撮像素子の電荷蓄積時間及び上記可変利得増幅回路の利得を制御し、 上記可変利得増幅回路から出力される上記撮像信号の信号レベルを制御することを特徴とする撮像装置」 2 甲第2号証に記載された発明 「検出される露光量、シャッタ速度、絞り位置から絞り開放時の露光量を算出する露光量算出手段と、この露光量算出手段の出力により絞り位置とシャッタ速度とを決定するテレビカメラ」 3 甲第3号証に記載された発明 「左右の輝度信号が与えられ、左右各映像の明るさが同等となるように絞りの絞り量を制御する絞り量制御手段を備えた立体撮像装置」 4 甲第4号証に記載された発明 「ゲインコントロール回路からの映像信号を積分して演算制御手段に与え、露出量を制御する撮像装置」 第3 本件請求項1,2に係る発明と甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明との対比・検討 本件請求項1,2に係る発明と甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明とを対比して、検討すると、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明は、本件請求項1,2に係る発明における次に掲げる主要な事項を備えていない。 制御手段が「設定された制御パターンの絞りの開口量、撮像素子の電荷蓄積時間及び可変利得増幅回路の利得がそれぞれ一意に定められる所定の値になるよう制御」すること この主要な事項を採用することにより、本件請求項1,2に係る発明は、本件特許掲載公報2頁4欄31行ないし35行に記載の 「テレビジヨンカメラにおいて、1眼レフカメラのように、絞りを優先したり、シヤツタ速度を優先して、撮像画像の明るさを制御することができれば、ユーザの使い勝手を向上し得、便利であると考えられる。」という問題を解決し、同4頁8欄44行ないし49行に記載の 「ユーザが選択した制御パターンに応じて絞りの開口量、撮像素子の電荷蓄積時間及び可変利得増幅回路の利得を独立に様々に変化して制御し得るとともに、それぞれを独立して速やかに各モードに適した値に制御し得、かくして使い勝手を向上した撮像装置を得ることができる。」という効果を奏するものである。 これに対して、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明は、上記主要な事項を備えてなく、また、甲第1号証ないし甲第4号証には、この主要な事項を示唆する記載もなされていない。 したがって、本件請求項1,2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。 第4 特許異議申立人の主張についての検討 異議申立人は、申立の理由で、上記主要な事項を検討することなく、本件請求項1,2に係る発明と甲第1号証の発明との異なる点は「逆算」であるとし、この「逆算」の点にのみ着目して、「逆算」に関して甲第2,3号証に記載されていることを甲第1号証の発明に適用することは容易である旨主張しているが、この主張は、上記主要な事項、特に「制御パターによる一意に定められる値」について検討していないので、採用できない。 第5 むすび 以上、本件特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1,2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1,2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-09-30 |
出願番号 | 特願平2-185083 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(H04N)
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最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
谷川 洋 |
特許庁審判官 |
小松 正 橋本 恵一 |
登録日 | 2001-11-16 |
登録番号 | 特許第3251004号(P3251004) |
権利者 | ソニー株式会社 |
発明の名称 | 撮像装置 |
代理人 | 田辺 恵基 |