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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B |
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管理番号 | 1066755 |
審判番号 | 不服2000-4146 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-05-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-23 |
確定日 | 2002-10-17 |
事件の表示 | 平成5年特許願第278688号「冷凍装置」拒絶査定に対する審判事件[平成7年5月19日出願公開、特開平7-127925]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願は、平成5年11月8日の出願であって、その発明は、平成13年7月18日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下のものにあると認める。 「請求項1 圧縮機、凝縮器、受液器、減圧装置及び蒸発器を順次環状に接続すると共に、前記受液器内に貯留された液冷媒を前記圧縮機に供給するリキッドインジェクション回路を設けた冷凍装置において、 前記凝縮器からの配管は受液器内上部に引き入れられて上方に開口しており、前記受液器における前記リキッドインジェクション回路への液冷媒導出口を、前記減圧装置への液冷媒導出口より下方に配置すると共に下へ向け、且つ前記リキッドインジェクション回路の液冷媒供給先を前記圧縮機の圧縮途中の中間圧力部に設定したことを特徴とする冷凍装置。 請求項2 リキッドインジェクション回路には、前記圧縮機の吐出ガス温度に基づいてインジェクション量を制御する手段を介設したことを特徴とする請求項1の冷凍装置。」 2.これに対して、当審における平成13年5月15日付け拒絶理由通知で引用した実願昭57-193818号(実開昭59-96562号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、冷凍装置について、第1〜3図とともに、下記の記載がある。 (ア)「圧縮機,凝縮器,気液分離器,出口冷媒管,主キャピラリチューブ,蒸発器を順次、冷媒管により連通して冷凍サイクルを構成すると共に前記気液分離器と前記圧縮機を連通する液冷媒供給管を備え、前記液冷媒供給管の開口端を、前記主キャピラリチューブに接続する前記出口冷媒管の開口端より前記気体分離器内において下方に位置させた冷凍装置。」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「実施例の説明 以下本考案の一実施例を第2図,第3図に従い説明する。尚、従来例と同一部品は同一符号を付し説明を省略する。8は気液分離器であり、冷凍サイクル中の凝縮器2と主キャピラリチューブ3間に設けられる。また気液分離器8には、液冷媒供給管9が接続され副キャピラリチューブ7を介して圧縮機1の冷媒圧縮室(図示せず)に連通し、更に冷媒供給管9の気液分離器8内の開口端9aは、主キャピラリチューブ3に接続する出口冷媒管10の気液分離器8内に延出した開口端10aより下方に位置している。」(明細書第4頁第5〜16行) 3.本願請求項1に係る発明と引用例1に記載された発明とを対比する。 引用例1に記載された発明の、1)「圧縮機1」、2)「凝縮器2」、3)「気液分離器8」、4)「主キャピラルチューブ3」、5)「蒸発器4」、6)「液冷媒供給管9」、7)「液冷媒供給管9の開口端9a」、8)「主キャピラリチューブ3への出口冷媒管10の開口端10a」は、本願請求項1に係る発明の、1)’「圧縮機」、2)’「凝縮器」、3)’「受液器」、4)’「減圧装置」、5)’「蒸発器」、6)’「リキッドインジェクション回路」、7)’「リキッドインジェクション回路への液冷媒導出口」、8)’「減圧装置への液冷媒導出口」に、それぞれ相当するものと認められる。 したがって、引用例1に記載の発明は、「凝縮器からの配管は受液器(気液分離器8)内上部において開口しており、受液器(気液分離器8)におけるリキッドインジェクション回路(液冷媒供給管9)への液冷媒導出口(開口端9a)を、減圧装置(主キャピラルチューブ3)への液冷媒導出口(開口端10a)より下方に配置した冷凍装置」であるという主要部において本願請求項1に係る発明と実質的に一致しているものと認められる。また、「圧縮機を安定して冷却できると共に、冷凍能力の低下も生じない冷凍装置」を提供することを課題としている点で、両者は、実質的に一致している。 一方、両者は、下記の点で相違するものであると認められる。 (相違点1) 本願の請求項1に係る発明が、凝縮器からの配管は受液器内において上方に開口しているのに対して、引用例1に記載のものでは、凝縮器からな配管(冷媒管5a)は受液器(気液分離器8)内において下方に開口している点。 (相違点2) 本願の請求項1に係る発明が、リキッドインジェクション回路への液冷媒導出口は受液器内において下へ向いているのに対して、引用例1に記載のものでは、リキッドインジェクション回路(液冷媒供給管9)への液冷媒導出口(開口端9a)は受液器(気液分離器8)内において上へ向いている点。 (相違点3) 本願の請求項1に係る発明では、リキッドインジェクション回路の液冷媒供給先が圧縮機の圧縮途中の中間圧力部に設定されているのに対して、引用例1には、「気液分離器8には、液冷媒供給管9が接続され副キャピラリチューブ7を介して圧縮機1の冷媒圧縮室(図示せず)に連通し、」(明細書第4頁第10〜12行)と記載されているが、液冷媒供給管9(リキッドインジェクション回路)の接続先は明示されていない点。 4.そこで、上記相違点について検討する。 (相違点1について) 容器内に引き入れた配管を上方に開口させることは、従来より広く行われていることであり、相違点1は単なる設計的事項にすぎないものと認められる。 なお、請求人は意見書において、「気液混合冷媒の入り口が上方を向いていると、吐出した気液混合冷媒は受液器の天壁に当たって、横方向に拡散するため、受液器の下部に溜まっている液冷媒を波立たせる事を極力防止できるものである」と主張するが、かかる点は、当業者が容易に予測し得る程度のことであって、顕著な作用効果とは認められない。 (相違点2について) 前記拒絶理由通知において引用例1とともに引用した特開平5-196306号公報(以下「引用例2」という。)に記載のものの、「液インジェクション用配管39」は、本願の請求項1に係る発明の、「リキッドインジェクション回路」に相当するものであり、その液冷媒導出口は、本願の請求項1に係る発明と同様に、受液器25内において下に向けられており(図6)、相違点2は、従来から行われていた構成にすぎないものである。 (相違点3について) 液冷媒の一部をリキッドインジェクション回路を介して圧縮機に供給し、圧縮機の冷却を行うに際し、「リキッドインジェクション回路の液冷媒供給先を圧縮機の圧縮途中の中間圧力部に設定する」ことは、前記拒絶理由通知において例示した特開平3-105155号公報、特開平4-48160号公報、特開平2-287057号公報、特開平3-59349号公報にも見られるように本願出願前周知の事項にすぎない。 また、本願請求項1に係る発明を全体としてみても、当業者が予測できないような格別な作用、効果を奏するものであるとも認められない。 5.以上によれば、本願請求項1に係る発明は、周知技術を考慮すれば、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとするのが相当であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-08-12 |
結審通知日 | 2002-08-20 |
審決日 | 2002-09-02 |
出願番号 | 特願平5-278688 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F25B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐伯 義文、山本 信平 |
特許庁審判長 |
青山 紘一 |
特許庁審判官 |
櫻井 康平 長浜 義憲 |
発明の名称 | 冷凍装置 |
代理人 | 芝野 正雅 |