ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 C23C |
---|---|
管理番号 | 1066774 |
審判番号 | 不服2002-9152 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-22 |
確定日 | 2002-11-08 |
事件の表示 | 平成6年特許願第513633号「連鋳材の表面の被覆方法及び装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成6年6月23日国際公開、WO94/13850、平成8年4月30日国内公表、特表平8-504000、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は平成5年10月22日(優先権主張 1992年12月8日 ドイツ)に国際出願されたものであって、平成13年3月22日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成13年6月26日に意見書及び手続補正書が提出され、続いて、平成13年8月16日付けで特許法第36条第4項の規定に基づく拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成13年12月19日付けで意見書及び手続補正書が提出された後、平成14年2月12日付けで上記平成13年8月16日付けの拒絶理由により拒絶査定され(以下、「原査定」という。)、その後、平成14年5月22日に審判請求されたものである。 II.原査定の理由 原査定の理由は以下のとおりのものである。 「この出願については、平成13年8月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものである。 なお、意見書及び手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。 備考 上記拒絶理由通知書記1.で指摘した事項に対する補正、「一定電流による交流磁界」とはどのようなものか依然として不明である。すなわち、交流磁界を作るためには、交流電流が必要であり、交流とは一定周期で電流値が変化するものでり直ちに一定電流とはいえず、これについての説明がされていない。」 III.判断 本願明細書(上記各手続補正書により補正済み。)には、「本発明により、3相交流磁界の移動する磁界に、容器付近の領域内で、・・・前記3相交流磁界の方向と反対方向の、一定電流による交流磁界を重畳させ、これにより前記被覆材料溶融金属の動きを減衰させることにより解決される。」(第6頁第14〜17行)、「前記3相交流磁界に、前記一定電流による交流磁界が抗するようにすることにより、前記電磁力が、特に前記貫通案内チャンネルの前記容器側入口の領域内で減衰され、これによりこの個所における等しくない力が均一化される。」(第6頁第17〜20行)、「本発明の方法による、一定電流による交流磁界を重畳して、これにより前記被覆材料溶融金属の動きが、この領域内で静められる。」(第7頁第1〜2行)、「この巻線4,4には、交流電流が流され、前記貫通案内チャンネル5内に一定電流による交流磁界が発生する。」(第8頁第14〜15行)、及び、「この一定電流による交流磁界は、前記3相交流磁界と前記溶融金属の中の誘導電流との相互作用により溶融金属中に発生する電磁力と、反対の方向の電磁力を該溶融金属中に発生するようにできる。これにより、前記貫通案内チャンネル5の上部領域内では前記被覆材料溶融金属Zの渦流が減衰され、溶融金属浴の流動が大幅に低減される。」(第8頁第20〜24行)のとおり、交流磁界の構成及びその作用・効果について説明されており、また、交流の大きさが実効値等の一定の値で表されることは当技術分野で周知の事項である。 してみれば、本願明細書には、特許請求の範囲の請求項1における「一定電流による交流磁界を前記3相交流磁界に重畳させ」なる構成、及び、同請求項2における「一定電流による交流磁界を発生させるとともに、該交流磁界を前記3相交流磁界に重畳させ」なる構成についての合理的な説明がなされていると認められ、したがって、本願明細書には、「一定電流による交流磁界」について、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、発明の目的、構成及び効果が記載されていないとすることはできない。 以上のとおりであるから、「「一定電流による交流磁界」とはどのようなものか依然として不明である。」としたことに基づく原査定の上記判断は採用できない。 IV.むすび 以上のとおりであるから、本願明細書には原査定にいう記載不備があるということはできず、したがって、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-10-29 |
出願番号 | 特願平6-513633 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
WY
(C23C)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 孔一 |
特許庁審判長 |
城所 宏 |
特許庁審判官 |
三崎 仁 池田 正人 |
発明の名称 | 連鋳材の表面の被覆方法及び装置 |
代理人 | 奥山 尚男 |