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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23D |
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管理番号 | 1066957 |
審判番号 | 不服2000-12072 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-03-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-08-03 |
確定日 | 2002-10-17 |
事件の表示 | 平成2年特許願第195394号「こんろバーナ」拒絶査定に対する審判事件[平成4年3月13日出願公開、特開平4-80508]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願は、平成2年7月23日の出願であって、その発明は、平成12年8月3日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下のものにあると認める。 「請求項1 内側上面に複数の内炎孔と、外周に複数の主炎孔を備え、前記主炎孔と異なる炎孔形状とした点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔を隣接して並設し、かつ上記点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔との間の間隔は前記主炎孔同志間の間隔よりも小さくしたこんろバーナ。 請求項2 主炎孔と異なる炎孔形状とした点火用炎孔と立ち消え安全装置用炎孔は主炎孔と同心円の内周面上に設けた請求項1記載のこんろバーナ。」 なお、平成13年5月11日付け手続補正は却下された。 2.これに対して、当審における拒絶の理由に引用された特開昭63-259321号公報(以下「引用例1」という。)には、コンロバーナについて、第1〜5図とともに、以下の記載がある。 (ア)「外周に凹所が設けられた頭部を有し、内部が中空とされたバーナボディ、および前記頭部に載置され前記凹所の上方およびバーナボディの上端開口を覆うバーナキャップを備え、バーナボディとバーナキャップとの接合部の外周に前記凹所に対応する位置が凹んだ環状の主火口を形成するバーナーと、 前記凹所に配され該凹所に位置する主火口により加熱される消火センサと、 前記凹所に前記消火センサと並行して配され該凹所に位置する主火口に点火する点火源とを有するコンロバーナ。」(特許請求の範囲) (イ)「バーナキャップの傘部71の下面の外縁部には前記バーナボディの上端面に対応して櫛歯状の突条7Aが周設され、前記バーナボディの上端開口の外周縁64との間に円環上の主火口12を形成している。前記凹所62には、消火センサである熱電対41が取りつけられるとともに該熱電対41に並行して火花放電電極31が取りつけられ、前記バーナボディの凹所62の下面に突設された突起6Aとの間に火花放電間隙3Aを形成している。」(第2頁左下欄第13行〜同右下欄第2行) (ウ)「前記つまみの押し動作に連動してつまみ23を回転動させると、点火装置3が作動し、火花放電間隙3Aで火花が生じ、混合気の供給路である前記凹所62に面した主火口から吹き出した混合気に点火され、種火炎Aが生じる。この種火炎Aにより前記混合気の供給路である前記凹所に面した主火口から吹き出した混合気で点火され、熱電対41の加熱炎Bが生じる。この種火炎Aおよび加熱炎Bはバーナキャップ7の外周から外側に吹き出され、バーナの主火口12から吹き出される混合気に点火される。」(第3頁左上欄第17行〜同右上欄第7行) 3.本願請求項1に係る発明と引用例1に記載された発明とを対比する。 引用例1に記載された発明の、1)「主炎口12」、2)「火花放電電極31のための種火炎(A)孔」、3)「熱電対のための加熱炎(B)孔」、4)「コンロバーナ」は、本願請求項1に係る発明の、1)’「主炎孔」、2)’「点火用炎孔」、3)’「立消え安全装置用炎孔」、4)’「こんろバーナ」に相当するものと認められる。 したがって、引用例1に記載された発明は、「外周に複数の主炎孔(主炎口12)を備え、点火用炎孔(種火炎(A)孔)と立消え安全装置用炎孔(加熱炎(B)孔)を隣接して並設したこんろバーナ」であるという主要部において本願請求項1に係る発明と一致している。また、「確実な点火と正確な炎検知が可能なこんろバーナ」を提供することを課題としている点で、両者は、実質的に一致している。 一方、両者は、下記の点で相違するものと認められる。 (相違点1) 本願の請求項1に係る発明が、内周上面に複数の内炎孔を備えているのに対し、引用例1には、内炎孔についての記載がない点。 (相違点2) 本願の請求項1に係る発明が、点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔は、主炎孔と異なる炎孔形状であるのに対し、引用例1の記載では、点火用炎孔(種火炎(A)孔)及び立消え安全装置用炎孔(加熱炎(B)孔)と主炎孔(主炎口12)とが異なる炎孔形状であるかどうか明らかでない点。 (相違点3) 本願の請求項1に係る発明は、点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔との間隔は、主炎孔同志間の間隔より小さいのに対し、引用例1の記載では、点火用炎孔(種火炎(A)孔)と立消え安全装置用炎孔(加熱炎(B)孔)との間の間隔は、主炎孔(主炎口12)同志間の間隔より小さいかどうか明らかでない点。 4.そこで、上記相違点について検討する。 (相違点1について) 前記拒絶理由通知において引用例1とともに引用した実願昭61-100674号(実開昭63-12020号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)に記載されたものの、「内炎孔4」、「外炎孔6」、「ガスバーナ」は、本願の請求項1に係る発明の、「内炎孔」、「主炎孔」、「こんろバーナ」に相当するものであり、引用例2には、「内周上面に複数の内炎孔を備えたもの」が記載されており、このように、こんろバーナにおいて内周上面に複数の内炎孔を設けることは、従来から広く行われていることであり、相違点1は、単に従来の構成を採用したにすぎない。 (相違点2について) 引用例2の図面を見ると、外炎孔6(主炎孔)の炎孔形状と、点火器具13及び熱電対21の通孔23,23の孔形状(炎孔形状)は異なっており、他方、相違点2による効果として、本願明細書には、「最適の炎孔とすることができる」と記載されているにすぎず、相違点2は、単なる設計的事項にすぎないというべきである。 (相違点3につて) 本願明細書の記載に徴して、本願の請求項1に係る発明の目的(課題)を達成するには、「点火用炎孔から立消え安全装置用炎孔への火移り時間を瞬間的のものとする」ことにあるものと認められ、そのための構成は、「点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔とを隣接して並設する」ことであり、「点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔との間の間隔を主炎孔同志間の間隔より小さくした」ことによる技術的意義は明らかでない。そうすると、相違点3も単なる設計的事項にすぎないというべきである。 また、本願請求項1に係る発明を全体としてみても、当業者が予想できないような格別な作用効果を奏するものであるとも認められない。 5.以上によれば、本願請求項1に係る発明は、周知技術を考慮すれば、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得る程度のものとするが相当であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。 6.したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。 なお、請求人は、平成13年12月28付け上申書において、特許請求の範囲の請求項1を、「内側上面に複数の内炎孔と、外周に複数の主炎孔を備え、前記主炎孔と異なる炎孔形状とした点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔を隣接して並設し、かつ上記点火用炎孔と立消え安全装置用炎孔との間の間隔は前記主炎孔同志間の間隔より小さくするとともに、上記点火炎孔は主炎孔より幅を大きくし、かつ立消え安全装置用炎孔は前記点火炎孔より幅を小さくしたしたこんろバーナ。」と補正し、明細書の発明の詳細な説明に、「点火炎孔は主炎孔より幅を大きくし、かつ立消え安全装置用炎孔は前記点火炎孔より幅を小さくした構成としてあるので、点火プラグの組立誤差等があってもこの誤差を吸収し点火プラグを点火炎孔の範疇に確実に位置させることができる上に、立消え安全装置用炎孔は前記点火炎孔より幅が小さいので立消え安全装置がこの立消え安全装置用炎孔に形成される炎の中心部に埋もれてしまって感度が低下することもなく、確実な点火と正確な炎検知が可能である。」を加入する旨上申している。しかしながら、願書に最初に添付した明細書には、上記の明示はなく、またそれを示唆する記載も見あたらない。また、図面(第2図)からは、「点火炎孔は主炎孔より幅が大きく、立消え安全装置用炎孔は点火炎孔より幅が小さい」点を確定することもできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-08-13 |
結審通知日 | 2002-08-20 |
審決日 | 2002-09-02 |
出願番号 | 特願平2-195394 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F23D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 蓮井 雅之、鈴木 洋昭 |
特許庁審判長 |
青山 紘一 |
特許庁審判官 |
井上 茂夫 櫻井 康平 |
発明の名称 | こんろバーナ |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 内藤 浩樹 |