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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C09K |
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管理番号 | 1067354 |
異議申立番号 | 異議2001-71710 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-06-18 |
確定日 | 2002-06-07 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3118303号「複合脱酸素剤の製造方法および製造装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3118303号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3118303号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成4年3月6日に特許出願され、平成12年10月6日にその特許権の設定登録がなされ、その後、異議申立人 三菱瓦斯化学株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年12月28日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 ア.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1に「台紙から剥離された酸素検知剤シート」とあるのを「台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 イ.訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2に「台紙上に設けられた酸素検知剤シート」とあるのを「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 ウ.訂正事項c 特許明細書の段落0009(特許公報第2頁第3欄第33行)に「台紙から剥離された酸素検知剤シート」とあるのを「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 エ.訂正事項d 特許明細書の段落0010(特許公報第2頁第3欄第39行〜40行)に 「台紙上に設けられた酸素検知剤シート」とあるのを「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aについては、請求項1に記載された「台紙から剥離された酸素検知剤シート」をより下位概念である「台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」に限定しようとするものでり、また、訂正事項bについては、請求項2に記載された「台紙上に設けられた酸素検知剤シート」をより下位概念である「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」に限定しようとするものであるから、そのいずれも特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。 また、訂正事項c及びdについては、上記訂正事項a及びbと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 そして、上記訂正事項aないしdは、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)本件発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1及び2に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートに、台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付し、複合シートとした後、該複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断することを特徴とする複合脱酸素剤の製造方法。 【請求項2】(1)連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートを移送する移送機構と、 (2)台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを送り出す送り出し機構と、 (3)該酸素検知剤シートを台紙から剥離し、該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付する剥離・貼付機構と、 (4)得られた複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断する切断機構とからなることを特徴とする複合脱酸素剤の製造装置。」 (2)引用刊行物に記載された発明 当審が平成13年10月30日付けで通知した取消しの理由で引用した刊行物1(実願平2-44626号(実開平4-3980号公報)のマイクロフィルム)には、以下のア〜ウの事項が記載されている。 ア.「脱酸素剤袋に酸素検知剤シートをはりつけてなる脱酸素剤包装袋。」 (実用新案登録請求の範囲) イ.「脱酸素剤包装袋への酸素検知剤シート張りつけの態様としては、テープ状あるいはワッペン状の酸素検知剤シートが脱酸素剤包装袋表面の一部、好ましくは中央部に張りつけられたものである。」(マイクロフイルム4頁7行〜10行) ウ.「脱酸素剤袋4への酸素検知剤シート2の張りつけは、脱酸素剤袋4と酸素検知剤シート2を重ね合わせ、外側からたとえばヒートロールまたはヒートバー等で熱接着する、あるいは接着剤を塗布する、あるいは両面接着テープにより接着することで達成される。」(マイクロフイルム6頁14行〜19行) また、刊行物1の図1には、脱酸素剤包装袋のシールされていない折り目と平行にテープ状の酸素検知剤を張りつけてなる脱酸素剤包装袋が示され、さらに脱酸素剤袋の折り目と垂直な切断箇所と、酸素検知剤シートの両端の切断箇所とが一致していることが示されている。 同じく、取消しの理由で引用した刊行物3(特開平2-233307号公報)には、「複数個の鮮度保持剤12からなる帯状包装体10を自動的に繰り出す帯状包装体供給手段Aと、この帯状包装体供給手段Aから送出される帯状包装体10の片面に両面粘着ないし接着テープ20を自動貼着し次いで単一の接着剤付き鮮度保持剤を形成する接着層形成手段Bと、……………」(4頁左下欄4行〜10行)、「帯状包装体供給手段Aは、第2図および第3図に示されるようにシール部分X、Yで隔てられた単一の鮮度保持剤12が複数個連なってなる帯状包装体10を、ガイドローラを経由して順次自動的に繰り出すものであり、帯状包装体10は接着剤層形成手段Bに送られる。接着剤層形成手段Bは、第4図に拡大して示されるように、両面テープアンリール21より両面粘着ないし接着テープ20を繰り出し、一方前記送り込まれた帯状包装体の片面と両面粘着ないし接着テープ20の接着面とを合わせるようにして、受けローラ23とこれに対向する圧着ローラ24に挟着し、接着テープ20が帯状包装体10に貼着されるとともに両面テープの離形紙27は離形紙巻き取りリール22に巻き取り除去される。こうして接着剤層26が貼着された帯状包装体のシール部を、カッター29で単一の鮮度保持剤に切断する。」(4頁左下欄末行〜同右下欄17行)、及び「従来から、脱酸素剤や乾燥剤等で例示される食品類の鮮度保持剤は小袋となっており、………」(2頁左上欄14行〜15行)と記載されている。 かかる記載からみて、刊行物3には、連続して送り出される複数の脱酸素剤袋からなる帯状包装体のシートの片面の所定位置に、離形紙から剥離された両面接着テープを連続して自動貼着し、次いで両面接着テープが貼着された帯状包装体のシール部をカッターで単一の脱酸素剤袋に切断すること、及び単一の脱酸素剤袋が複数個連なってなる帯状包装体をガイドローラを経由して順次自動的に繰り出す帯状包装体供給手段Aと、離形紙上に設けられた両面接着テープを両面テープアンリールより繰り出す手段と、該両面接着テープを離形紙から剥離し、脱酸素剤袋が複数個連なってなる帯状包装体の所定位置に貼付する剥離・貼付手段と、両面接着テープが貼付された帯状包装体を脱酸素剤袋の封止部分で切断する切断手段を備えてなる脱酸素剤袋の製造装置が記載されているものと認める。 (3)対比・判断 (請求項1に係る発明について) 刊行物1に記載のような三方シールの包装体の製造において、帯状シートを移送しつつ両幅を合わせて折り畳み、合わせた両幅を互いにシールするとともに、所定間隔ごとに折り目に直角方向の封止部を設けて連続した複数の包装体からなる帯状シートとし、該シートの包装体の封止部で切断して単一の三方シール包装体を連続して製造することは、本件特許の出願時当業者において周知であった(必要なら、特開昭59ー156433号、特開平3ー226410号、特開昭61-11312号公報等参照。)と認められるところ、刊行物1に記載されているような三方シールの脱酸素剤袋を連続して製造するとき、上記周知の方法が用いられることは、当業者ならば直ちに想起することができるといえるから、刊行物1には、連続した複数の脱酸素剤袋からなる帯状シートを脱酸素剤袋の封止部分で切断することにより脱酸素剤袋を製造することが実質的に開示されているものと認める。 そこで、本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、両者は、連続した複数の脱酸素剤袋からなるシートを脱酸素剤袋の封止部分で切断して脱酸素剤袋を製造する方法に関する技術である点で一致し、前者は、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートに、台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付し、複合シートとした後、該複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断することにより複合脱酸素剤を製造するのに対して、後者には、酸素検知剤シートが接着剤あるいは両面接着テープを介して脱酸素剤製袋の所定位置に貼付されることは記載されているものの、酸素検知剤シートを脱酸素剤製袋の所定位置に貼付する方法、及び貼付した後の切断方法が具体的に記載されていない点で、両者は相違する。 上記相違点について検討する。 刊行物3には、連続して送り出される複数の脱酸素剤袋からなる包装体の帯状シートの片面の所定位置に、離形紙から剥離された両面接着テープを連続して自動貼着し、次いで両面接着テープが貼着された包装体の帯状シートを脱酸素剤袋のシール部で切断することが記載されている。 刊行物1に記載の発明と刊行物3に記載の発明は、連続して送り出される複数の脱酸素剤袋からなる包装体の帯状シートの片面の所定位置に、接着剤等の接着手段を介して帯状シート(テープ)を連続して自動貼着し、次いで単一の脱酸素剤袋になるように切断する点で共通することから、刊行物1において、酸素検知剤シートを脱酸素剤製袋の所定位置に貼付し、次いで切断して脱酸素剤袋を製造するにあたり、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートに、台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付し、複合シートとした後、該複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断するようにすることは、刊行物3の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。 そして、上記相違点を勘案するに、本件請求項1に係る発明は、格別の効果を奏するものとは認められない。 したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1及び3に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (請求項2に係る発明について) 本件請求項2に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、両者は、連続した複数の脱酸素剤袋からなる帯状シートを脱酸素剤袋の封止部分で切断して単一の脱酸素剤袋を製造する技術に関する点で一致し、前者は、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートを移送する移送機構と、台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを送り出す送り出し機構と、該酸素検知剤シートを台紙から剥離し、該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付する剥離・貼付機構と、得られた複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断する切断機構とからなる、複合脱酸素剤の製造装置であるのに対して、後者には、脱酸素剤袋に酸素検知剤シートを貼り付け一体化させてなる複合脱酸素剤の製造装置が具体的に記載されていない点で、両者は相違する。 上記相違点について検討する。 刊行物1に記載の脱酸素剤製袋と酸素検知剤シートとを一体化させてなる複合脱酸素剤製袋を製造するにあたり、刊行物3に記載の両面接着シート(テープ)を接着剤が塗布されている酸素検知剤シートに置き換えれば、刊行物3に記載の装置をそのまま用いて上記複合脱酸素剤製袋を連続して製造できることは、当業者ならば容易に想到し得ることであるから、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートを移送する移送機構と、台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを送り出す送り出し機構と、該酸素検知剤シートを台紙から剥離し、該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付する剥離・貼付機構と、得られた複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断する切断機構とから、複合脱酸素剤の製造装置を構成することは、刊行物3の記載に基づいて当業者が容易になし得ることである。 そして、上記相違点を勘案するに、本件請求項2に係る発明は、格別の効果を奏するものとは認められない。 したがって、本件請求項2に係る発明は、刊行物1及び3に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件請求項1及び2に係る発明は、上記刊行物1及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1及び2に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 複合脱酸素剤の製造方法および製造装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートに、台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付し、複合シートとした後、該複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断することを特徴とする複合脱酸素剤の製造方法。 【請求項2】 (1)連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートを移送する移送機構と、 (2)台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを送り出す送り出し機構と、 (3)該酸素検知剤シートを台紙から剥離し、該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付する剥離・貼付機構と、 (4)得られた複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断する切断機構とからなることを特徴とする複合脱酸素剤の製造装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ガス雰囲気中の酸素を吸収する機能を有する脱酸素剤と、酸素の存在の有無を肉眼で判定可能となるように酸素の存在によって色の変化を生じる機能を有する酸素検知剤とを一体化させた複合脱酸素剤の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、脱酸素剤を使用して食品等の被保存物質を無酸素状態で保存する技術が急速に普及し、それに伴って脱酸素包袋や密閉容器等の内部の無酸素状態を管理するための簡便なモニターとして酸素検知剤が研究開発され、例えばシート状酸素検知剤等が提案されている(実開昭62-91242号公報)。従来、このような酸素検知剤を脱酸素剤と共に使用する際には、それぞれ別個に製造された脱酸素剤と酸素検知剤を個々に脱酸素包袋や密閉容器等の中に封入して用いられていた。 【0003】 しかしながら、この方法では、脱酸素剤と酸素検知剤とが別個であるので取り扱いが煩雑であり、時としては脱酸素剤または酸素検知剤の封入を怠ることも少なくなかった。また、脱酸素包袋等の中に脱酸素剤や酸素検知剤を個々に封入する作業には手間と時間がかかり、大量の脱酸素包袋等の中にこれらを封入する場合には殊更であった。 【0004】 このような課題を解決すべく、脱酸素剤と酸素検知剤を一体化した複合脱酸素剤が提案されている(特開平2-167057号公報)。このように脱酸素剤と酸素検知剤を一体化し、複合脱酸素剤とするには種々の手段があるが、脱酸素剤製袋の所定位置に酸素検知剤を貼付するのが一般的である。 【0005】 しかしながら、この場合にも脱酸素剤と酸素検知剤は、各々の別のラインで製造され、最終的に脱酸素剤製袋に酸素検知剤を手作業で貼付していた。 【0006】 従って、この際に脱酸素剤製袋に酸素検知剤の貼付を怠る危険性や貼付ずれが生じる危険性が多々あり、また極めて生産性に劣るものであった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 本発明はかかる課題を解決すべくなされたもので、生産性に優れ、しかも酸素検知剤の貼付忘れや貼付ずれがなく確実な複合脱酸素剤の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明の上記課題は、次に示す製造方法および製造装置によって解決される。 【0009】 すなわち、本発明の複合脱酸素剤の製造方法は、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートに、台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付し、複合シートとした後、該複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断することを特徴とする。 【0010】 また、本発明の複合脱酸素剤の製造装置は、(1)連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートを移送する移送機構と、(2)台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シートを送り出す送り出し機構と、(3)該酸素検知剤シートを台紙から剥離し、該脱酸素剤製袋からなるシートの所定位置に貼付する剥離・貼付機構と、(4)得られた複合シートを脱酸素剤製袋の封止部分で切断する切断機構とからなることを特徴とする。 【0011】 【作用】 本発明では、連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートは、等速で移動し、この速度に同期して酸素検知剤シートを台紙から剥離し、さらに脱酸素剤製袋からなるシートに貼付し、さらに切断を行なう。このため、脱酸素剤製袋シートの所定位置に酸素検知剤シートを貼付することが可能となり、また脱酸素剤製袋の封止部分での切断が可能となる。従って、複合脱酸素剤が連続的、かつ確実に高い生産性をもって得られる。 【0012】 【実施例】 以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。 【0013】 実施例図1は、本発明の複合脱酸素剤の製造装置の概略図であり、同図中、Aは連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシート、Bは台紙上に設けられた酸素検知剤シート、Cは剥離台紙、Dは剥離された酸素検知剤シート、Eは複合脱酸素検知剤(複合シート)、Fは脱酸素剤製袋の封止部分をそれぞれ示す。また、1は固定式ローラ、2は移動式ローラ、3は送りローラ、4はダンサーローラ、5は固定式ローラ、6はガイド、7は送り出しモーター、8は切断カッターをそれぞれ示す。 【0014】 (1)先ず移送機構について説明する。連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシートAは移送機構によって一定の等速で移送される。この移送は駆動手段(図示せず)によって変速可能な送りローラ3を回転させることによってなされる。また、脱酸素剤製袋からなるシートAの支持や酸素検知剤シートDの貼付制御は、固定式ローラ1と移動式ローラ2の移動、回転によってなされる。 【0015】 ここに用いられる脱酸素剤は特に制限はなく、良好に脱酸素剤として機能するものであれば、成分が有機系の脱酸素剤でも、鉄粉系等の無機系の脱酸素剤でも良い。 【0016】 (2)次に、送り出し機構について説明する。台紙上に設けられた酸素検知剤シートBは予めロール状等の形状で準備され、送り出しモーター7によって送り出される。この送り出し速度と脱酸素剤製袋からなるシートAの移送速度を調整すべく、移動可能なダンサーローラ4が設けられ、移送速度と最終的な酸素検知剤シートDの引き取り速度を同期させている。 【0017】 ここに用いられる酸素検知剤も特に制限されず、その詳細は、特開平2-167057号公報に詳述されている。 【0018】 (3)次いで、剥離・貼付機構について説明する。台紙上に設けられた酸素検知剤シートBは、固定式ローラ5において、剥離台紙Cと酸素検知剤シートDに剥離される。剥離台紙Cは引き取りモーター(図示せず)等により引き取られ、破棄される。一方、酸素検知剤シートDは、送りローラ3により引き取られ、捩れや弛みがないようにガイト6を通過させ、次に固定式ローラ1に巻き込まれ、脱酸素剤製袋からなるシートAの所定位置に貼付され、さらに送りローラ3によって貼付が確実なものとなる。この酸素検知剤シートDの貼付面、換言するならば剥離台紙Cとの剥離面には、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている。このようにして脱酸素剤製袋からなるシートAに、酸素検知剤シートDが貼付され、複合シート(複合脱酸素剤)Eが得られる。 【0019】 (4)最後に切断機構について説明する。上記のようにして得られた複合シートEは、脱酸素剤製袋の封止部分Fにおいて、切断カッター8により切断され、個々の複合脱酸素剤Eが得られる。この脱酸素剤製袋の封止部分Fで切断するためには、切断カッター8による切断速度と複合シートEの移送速度が同期している必要がある。このためには、上記した移送のための駆動手段とカッター8を作動させる駆動手段とが同軸モーター等を用いて駆動制御されていることが必要である。 【0020】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、複合脱酸素剤が連続的に、しかも酸素検知剤の貼付忘れや貼付ずれがなく確実に得られる。この結果、短時間に大量の複合脱酸素剤の生産が可能であり、その結果として経済性に優れたものとなる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の複合脱酸素剤の製造装置の一例を示す概略図。 【符号の説明】 A:連続した複数の脱酸素剤製袋からなるシート、B:台紙上に設けられた酸素検知剤シート、C:剥離台紙、D:剥離された酸素検知剤シート、E:複合脱酸素検知剤(複合シート)、F:脱酸素剤製袋の封止部分、1:固定式ローラ、2:移動式ローラ、3:送りローラ、4:ダンサーローラ、5:固定式ローラ、6:ガイド、7:送り出しモーター、8:切断カッター。 |
訂正の要旨 |
訂正事項 (a)特許請求の範囲の請求項1に「台紙から剥離された酸素検知剤シート」とあるのを「台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性をとるため、特許公報第2頁第3欄第33行(特許明細書【0009】欄)に「台紙から剥離された酸素検知剤シート」とあるのを「台紙から剥離された、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 (b)特許請求の範囲の請求項2に「台紙上に設けられた酸素検知剤シート」とあるのを「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性をとるため、特許公報第2頁第3欄第39〜40行(特許明細書【0010】欄)に「台紙上に設けられた酸素検知剤シート」とあるのを「台紙上に設けられた、接着剤、粘着テープ、糊料等の接着手段が塗布もしくは張り付けられている連続した酸素検知剤シート」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-04-16 |
出願番号 | 特願平4-83016 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(C09K)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 鈴木 恵理子 |
特許庁審判長 |
田中 久直 |
特許庁審判官 |
大久保 元浩 斎藤 真由美 |
登録日 | 2000-10-06 |
登録番号 | 特許第3118303号(P3118303) |
権利者 | パウダーテック株式会社 |
発明の名称 | 複合脱酸素剤の製造方法および製造装置 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 保坂 延寿 |
代理人 | 鈴木 亨 |
代理人 | 牧村 浩次 |
代理人 | 大賀 眞司 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 高畑 ちより |