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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1067491
異議申立番号 異議2001-70905  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-26 
確定日 2002-09-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3091535号「フォントデータ管理方式」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3091535号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 同請求項4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許出願 平成3年8月23日
特許権設定登録 平成12年7月21日
特許異議申立て(申立人 渡部廣美、請求項1-4に対して)
平成13年3月26日
取消理由通知 平成13年11月7日
訂正請求 平成14年1月15日

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。
「 【請求項1】
外字用のフォントデータをダウンロード可能な周辺出力装置が接続されたコンピュータシステムにおいて、
前記フォントデータのダウンロードは前記周辺出力装置用の外字データファイルのダウンロードの形態で行われ、 前記周辺出力装置毎にダウンロードしたフォントデータを同定する情報を格納したダウンロード管理テーブルを設け、
フォントデータのダウンロードの必要性を判断するに当って前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報がダウンロードすべきフォントデータと同じものを指示するか否かを照合し、別のものを指示していると判定された場合に前記ダウンロードを実行することを特徴とするフォントデータ管理方式。
【請求項2】
前記ダウンロードすべきフォントデータとは、当該コンピュータシステムが現在有しているフォントデータであることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【請求項3】
前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードを行った時点に関する情報であることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【請求項4】
前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードしたフォントデータが適合する周辺出力装置の名前であることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。」
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正は、請求項1に 記載された「ダウンロード」につき「前記フォントデータのダウンロードは前記周辺出力装置用の外字データファイルのダウンロードの形態で行われ、」という願書に添付した明細書に記載した事項を付加し、請求項1に技術的限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)むすび
よって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項で準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、この訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
申立人渡部廣美は、下記の甲第1、2号証により、請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:特開昭62-78587号公報
甲第2号証:特開平2-162447号公報

4.本件発明
本件特許第3091535号の請求項1ないし4に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものである(上記、2.(1)訂正の内容を参照)。

5.請求項1に係る発明の特許について
(1)刊行物記載の発明
当審が通知した取消の理由に引用された刊行物1(特開昭62-78587号公報)には、次の技術事項が記載されている。
(a1)「〔発明の技術分野〕
本発明は漢字表示端末装置に係り、特に外字表示可能な端末装置に外字を登録して表示する漢字表示端末制御装置に関する。」(第2頁左上欄第7-10行目)
(a2)「第1図は本発明の実施例の回路構成図である。コンピュータシステム1はプロセッサ(CPU)1-1とプロセッサ1-1に接続されたメインメモリ1-3、IPL・ROM1-2、漢字データ制御部1-4、追加漢字フォント記憶装置1-6、外部記憶装置1-7と、漢字データ制御部1-4に接続され、漢字表示装置2-1、2-2、2-3に回線を介して漢字データ制御部1-4により加わる漢字コードを出力する回線制御部より成る。」(第3頁左上欄第9-17行目)
(a3)「漢字フォントがすでにダウンロードすなわち目的とする漢字表示端末装置に登録済みであるかの判別6-10を行う。ダウンロード済みの時(YES)には、以前に同じ漢字が漢字表示端末装置に登録されているので再度登録をする必要がなく、追加漢字コードを対応する登録されている外字コードに変換(6-11)し、処理6-9を実行する。漢字フォントが登録されていないときには、表示すべき漢字フォントを登録する処理6-12〜6-15を実行する。」(第4頁右上欄第16行目-左下欄第5行目)
(a4)「第1図に示した漢字フォント記憶装置1-6に記憶されている出力すべき漢字コードに対応した漢字フォントを読み出す処理6-13を行うとともに、」(第4頁左下欄第10-13行目)
(a5)「本発明の実施例の漢字データ制御部は出力する漢字表示端末装置に対応して、追加漢字のテーブルを有している。第3図は追加漢字とその追加漢字を割り当てた外字コードと追加漢字が登録済みであるか否かを現す漢字フォントダウンロードフラグのテーブルを表すテーブル構成図である。」(第4頁右下欄第3-8行目)
(a6)「漢字フォントがダウンロード済みか否かの判別処理6-10は追加漢字コードに対応する漢字フォントダウンロードフラグが0か1かを判別することによってなされる。」(第5頁左上欄第5-9行目)
(a7)「第1図は本発明の実施例の回路構成図」「第2図は本発明の実施例の漢字データ制御部の詳細な動作フローチャート」「第3図は追加漢字コード、外字コード、ダウンロードフラグを格納するテーブル図」(第5頁左下欄第9-13行目)

以上の記載から、刊行物1には、次の発明が記載されている。
「外字用の漢字フォントをダウンロード可能な漢字表示端末装置2-1、2-2、2-3が接続されたコンピュータシステムにおいて、
前記漢字フォントのダウンロードは前記漢字表示端末装置用の外字用の漢字フォントのダウンロードの形態で行われ、
前記漢字表示端末装置に対応して、追加漢字のテーブルを有し、追加漢字とその追加漢字を割り当てた外字コードと追加漢字がダウンロード済みであるか否かを現す漢字フォントダウンロードフラグのテーブル(第3図)を設け、
漢字フォントのダウンロードが必要かどうかを漢字フォントダウンロードフラグが0か1かによって判別し、以前に同じ漢字が漢字表示端末装置にダウンロードされていない場合にダウンロードを実行する漢字フォントの制御装置。」

また、当審が通知した取消の理由に引用された刊行物3(特開平2-23437号公報)には、次の技術事項が記載されている。
(b1)「管理情報記憶手段C1,C2,・・・のそれぞれは、対応するデータ・ファイルの最終転送日および更新日を記憶している。
データ転送処理手段120は、データ転送を行う際、管理情報記憶手段の最終転送日と更新日を比較し、これにより当該管理情報記憶手段に対応するデータ・ファイルが転送済みか否かを判断し、転送済みでないと判断された場合にのみ当該データ・ファイルを転送すると共に、対応する最終転送日を書き換える処理を行うように構成されている。」(第2ページ右上欄第13行目-左下欄第2行目)
(2)対比
そこで、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1に記載された発明の「漢字フォント」、「漢字表示端末装置」、「外字用の漢字フォント」、「テーブル(第3図)」、「制御装置」は、請求項1に係る発明における「フォントデータ」、「周辺出力装置」、「外字データ」、「ダウンロード管理テーブル」、「管理方式」に相当する。
また、刊行物1記載の発明において、複数の漢字表示端末装置それぞれに対応して追加漢字のテーブルがある(上記(a5)を参照)ということは、追加漢字とその追加漢字を割り当てた外字コードと追加漢字がダウンロード済みであるか否かを現す漢字フォントダウンロードフラグのテーブル(第3図)も漢字表示端末装置毎にあると考えられる。
また、請求項1に係る発明の「ダウンロードしたフォントデータを同定する情報」と刊行物1記載の発明の「追加漢字がダウンロード済みであるか否かを現す漢字フォントダウンロードフラグ」とは、「ダウンロードしたフォントデータの情報」である点で共通し、請求項1に係る発明の「ダウンロードしたフォントデータを同定する情報がダウンロードすべきフォントデータと同じものを指示するか否かを照合し、別のものを指示していると判定された場合」と刊行物1記載の発明の「漢字フォントダウンロードフラグが0か1かによって判別し、以前に同じ漢字が漢字表示端末装置にダウンロードされていない場合」とは、「ダウンロードしたフォントデータの情報により、ダウンロードされていないと判定された場合」である点で共通する。
したがって、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、次の一致点及び相違点1、2を有する。
(一致点)
「外字用のフォントデータをダウンロード可能な周辺出力装置が接続されたコンピュータシステムにおいて、
前記フォントデータのダウンロードは前記周辺出力装置用の外字データのダウンロードの形態で行われ、
前記周辺出力装置毎にダウンロードしたフォントデータの情報を格納したダウンロード管理テーブルを設け、
フォントデータのダウンロードの必要性を判断するに当って前記ダウンロードしたフォントデータの情報により、ダウンロードされていないと判定された場合に前記ダウンロードを実行することを特徴とするフォントデータ管理方式。」

(相違点1)
請求項1に係る発明においては、フォントデータのダウンロードが、外字データファイルのダウンロードの形態で行われるのに対し、刊行物1に記載された発明では、ダウンロードされるフォントデータである外字用の漢字フォント(外字データ)が、ファイルであるかどうかは記載されていない点。
(相違点2)
ダウンロードしたフォントデータの情報により、ダウンロードされていないと判定する際に、請求項1に係る発明においては、ダウンロードしたフォントデータを同定する情報を格納し、フォントデータを同定する情報がダウンロードすべきフォントデータと同じものを指示するか否かを照合して判定するのに対し、刊行物1に記載された発明では、追加漢字がダウンロード済みであるか否かを現す漢字フォントダウンロードフラグを設け、漢字フォントダウンロードフラグが0か1かによって判定する点。

(3)判断
そこで、これらの相違点について考察する。
(相違点1)について
コンピュータシステムから他の装置へデータを転送(ダウンロード)する際に、データをファイル形式とすることは、刊行物3にも記載されているように周知慣用の技術であるから、刊行物1記載の発明において、コンピュータシステムから周辺出力装置へ外字データをダウンロードする際に、外字データを外字データファイルとしてダウンロードすることは当業者が適宜なし得た事項である。
(相違点2)について
刊行物3には、転送したデータ・ファイルの最終転送日(「ダウンロードしたデータを同定する情報」に相当)を格納し、この最終転送日と転送すべきデータ・ファイルの更新日とを比較して、転送したデータ・ファイルと転送すべきデータ・ファイルが同じものを指示するか否かを照合して、転送済みでないことを判定することが記載されており、また、刊行物1に記載のものにおける漢字フォントダウンロードフラグも、以前に同じ漢字が漢字表示端末装置にダウンロードされていないことを判定するための構成であるから、刊行物1に記載の発明において、漢字フォントがダウンロードされていないことを判定するために、漢字フォントダウンロードフラグによる判定に代えて、刊行物3に記載されたもののように、ダウンロードしたフォントデータを同定する情報を格納し、フォントデータを同定する情報がダウンロードすべきフォントデータと同じものを指示するか否かを照合して判定することは当業者が容易に想到できたものである。
また、該構成を採用することによる作用効果も格別のものではない。

(4)むすび
したがって、請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

6.請求項2に係る発明の特許について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ダウンロードすべきフォントデータが、当該コンピュータシステムが現在有しているフォントデータであることを限定するものであるが、上記刊行物1には、上記(a2)(a4)を参照すると、コンピュータシステム1が出力すべき漢字コードに対応した漢字フォント(「ダウンロードすべきフォントデータ」に相当)を記憶していることが記載されている。
したがって、上記5.で検討したとおり、請求項2に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

7.請求項3に係る発明の特許について
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードを行った時点に関する情報であることを限定するものであるが、上述したように、上記刊行物3には、ダウンロードしたフォントデータを同定する情報として、転送したデータ・ファイルの最終転送日が記載されており、これは請求項3に係る発明の「前回にダウンロードを行った時点に関する情報」に相当するものである。
したがって、上記5.で検討したこととあわせて考慮すれば、請求項3に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

8.請求項4に係る発明の特許について
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードしたフォントデータが適合する周辺出力装置の名前であることを限定するものであるが、これは、当審が通知した取消の理由に引用された刊行物1-3の何れにも記載されておらず、また、技術常識を参酌しても該記載から容易に想到しうるものでもないから、請求項4に係る発明は、当該引用刊行物1-3に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

9.むすび
以上のとおり、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フォントデータ管理方式
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】外字用のフォントデータをダウンロード可能な周辺出力装置が接続されたコンピュータシステムにおいて、
前記フォントデータのダウンロードは前記周辺出力装置用の外字データファイルのダウンロードの形態で行われ、
前記周辺出力装置毎にダウンロードしたフォントデータを同定する情報を格納したダウンロード管理テーブルを設け、
フォントデータのダウンロードの必要性を判断するに当って前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報がダウンロードすべきフォントデータと同じものを指示するか否かを照合し、別のものを指示していると判定された場合に前記ダウンロードを実行することを特徴とするフォントデータ管理方式。
【請求項2】前記ダウンロードすべきフォントデータとは、当該コンピュータシステムが現在有しているフォントデータであることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【請求項3】前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードを行った時点に関する情報であることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【請求項4】前記ダウンロードしたフォントデータを同定する情報は、前回にダウンロードしたフォントデータが適合する周辺出力装置の名前であることを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【請求項5】前記ダウンロード管理テーブルに、周辺装置毎に当該周辺装置の名前を記録し、周辺装置の名前と当該周辺装置にダウンロードすべきフォントデータを収容するファイル名を格納した装置名/ファイル名登録テーブルを設けるとともに、前記周辺装置は各々問い合わせに対して自己の名前を返答するように構成され、前記返答された名前が前記ダウンロード管理テーブル中に記録されている名前と一致するか否かを照合し、不一致の場合に、前記装置名/ファイル名登録テーブルから読み出したファイル名のファイルを前記周辺装置にダウンロードするとともに、前記周辺装置から返答された名前を前記ダウンロード管理テーブルに格納することを特徴とする請求項1記載のフォントデータ管理方式。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフォントデータを周辺装置に転送するに当っての効率を向上させたフォントデータ管理方式に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】コンピュータから周辺出力装置に文字を出力する場合、通常は周辺出力装置側に出力したい文字のコードに対応付けられたイメージすなわちフォントデータが既に記憶されている。しかし、このようにフォントデータが既に記憶されている文字は標準的な文字だけであり、使用者が独自に定義した文字(以下、外字と称する)のフォントデータは周辺出力装置には標準としては記憶されていない。この様な場合、外字を出力させたい周辺出力装置に対して、コンピュータ側から必要なフォントデータをイメージ情報として送ってやらなければならない。
【0003】このような技術はすでに使用されているが、フォントデータはイメージデータであるので、1文字当たりのデータ量が数10〜数100バイトもあるため、転送時間が長くなるという問題点があった。
【0004】また、周辺出力装置毎に必要とするフォントデータの形式が異なる場合があるが、周辺装置にどのような装置が接続されているかを明確に知るのが困難なため、転送する外字用のフォントデータの種類を間違えてしまうという問題が発生していた。
【0005】
【発明の目的】本願発明は上述した従来技術の問題点を解消し、フォントデータのダウンロードのオーバーヘッドをできるだけ低減するとともに、間違ったフォントデータを使用してしまうことのないようにすることを目的とする。
【0006】
【発明の目的】本願発明は上述した従来技術の問題点を解消し、フォントデータの転送ができるだけ起こらないようにしてこの転送のための時間を少なくするとともに、転送するフォントデータの種類を間違いなく認識できるようにすることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】本発明の一実施例によれば、周辺出力装置毎にそこへダウンロードしたフォントデータに関する情報を格納するダウンロード管理テーブルを設ける。予め定められた時点で、ホストコンピュータは外字を登録する等の目的で周辺出力装置にフォントデータをダウンロードしようとする。このときホストコンピュータはダウンロード管理テーブルを検索し、当該周辺出力装置に現在記憶されているフォントデータがこのシステムが現在保有しているフォントデータと同じであるかどうかを確認する。この確認の結果、古くなったフォントデータがそこに記憶されていることが判った場合だけ、ダウンロードを実行する。
【0008】更に、装置名と当該装置へダウンロードすべきフォントデータのファイル名の対を格納する装置名/ファイル登録テーブルを設けるとともに、ダウンロード管理テーブルには装置名も格納しておき、また周辺装置は問い合わせに対して自己の装置名を返答するように構成することができる。この構成では、ダウンロードの対象となる周辺装置からその装置名を得て、それをダウンロード管理テーブル中の装置名と照合する。もし不一致ならば、前回のダウンロードで誤ったフォントデータを選択したと判断して、装置名/ファイル登録テーブルから読み出したファイル名のファイルからフォントデータをダウンロードする。
【0009】
【実施例】図1に本願発明の一実施例に基づいて構成されたコンピュータシステムの概念図を示す。
【0010】図1において、ホストコンピュータ101には周辺出力装置としてプリンタ103、ディスプレイターミナル105、107が接続され、夫々論理装置番号1、2、3が与えられている。また、これらの周辺出力装置に使用する外字用のフォントデータが記憶されている外字データファイル109、及びこれらファイルのディレクトリ111が設けられている。更に、ホストコンピュータ101には、これら周辺出力装置へのフォントデータのダウンロードに関する情報を保持することによりダウンロードを管理するダウンロード管理テーブル113も設けられている。
【0011】ダウンロード管理テーブル113は論理装置毎にレコードを有している。各レコードには、当該レコードが対応する周辺出力装置の論理装置番号とその名前、当該周辺出力装置に対して行われた最近のダウンロードの日付と時刻、そのときダウンロードされた外字データファイル名が書き込まれている。
【0012】例えば、論理装置番号1のプリンタ103へダウンロードを行うべきか否か判断する場合、レコード1中の最新ダウンロード日付及び最新ダウンロード時刻を、やはりレコード1中の外字データファイル名に該当するファイルのタイムスタンプ(ディレクトリ111中にある)と比較する。もし、ディレクトリ111中のこのタイムスタンプがレコード中の最新ダウンロード日付及び最新ダウンロード時刻よりも後のものであれば、外字データファイル中の対応するファイルはプリンタ103へのダウンロード後に更新されたことになり、ダウンロードの必要があると判断される。逆に、ディレクトリ111中のタイムスタンプがレコード1中の最新ダウンロード日付及び最新ダウンロード時刻よりも以前のものであれば、ダウンロードは不要と判断される。
【0013】このダウンロードの要否を判断するタイミングは、例えばこのコンピュータシステムの起動時、各ジョブ(あるいはその周辺出力装置を使用するジョブ)の起動時、周辺出力装置を最初に起動するとき、周辺出力装置に出力命令を与える直前、あるいはオペレータがダウンロードを指示したとき等である。また、ダウンρが必要と判断された場合、ダウンロードを直ちに行っても良い。あるいはこのタイミングを、当該周辺出力装置に出力命令を与える直前等、少し先へ伸ばしても良い。
【0014】ダウンロードが完了したならば、直ちにダウンロード管理テーブルの該当するレコードの最新ダウンロード日付、最新ダウンロード時刻に現在の日時をセットすることにより、更新を行う。
【0015】このようにして、不必要なダウンロードは実際には行われないので、各周辺出力装置に常に正しいフォントデータがロードされている状態を維持しながらも、そのためのオーバーヘッドを必要最小限に抑えることができる。
【0016】なお、ダウンロードの要否の判断は上述したもの以外の事項に関して行うことができる。
【0017】例えば、図1のシステムにおいて、上述の例と同様に、所定のタイミングで周辺出力装置へのダウンロードを行うべきか否かの判断を行う。この判断に当っては、周辺出力装置の種類に適合した外字フォントがダウンロードされているか否かの判断が行われる。
【0018】例えば、論理装置番号1の周辺出力装置、つまりプリンタ103について、この周辺出力装置にロードされている外字フォントがプリンタ用の外字フォントであるかどうかのこの判断を行う場合を考える。この判断を行うには、ダウンロード管理テーブル113中のこの周辺出力装置に対応するレコード(レコード1)の周辺装置名フィールドを読み出す。ここでは「プリンタ」が読み出される。更に、このレコードから現在この周辺出力装置にロードされている外字データファイルの名前が入っている外字データファイル名フィールドを読み出す。この外字データファイル名がこの周辺出力装置「プリンタ」用のフォントデータを含んだファイルであるかどうかのチェックを行い、そうでない場合だけ「プリンタ」用の正しい外字フォントデータファイルのダウンロードを行う。
【0019】ダウンロード管理テーブル113から読み出した周辺出力装置名で指示される周辺出力装置に適合したフォントデータが入っている外字フォントデータファイルのチェックを行うためには、例えば周辺出力装置名と外字フォントデータファイル名の対のテーブルを設けておいても良い。また、周辺出力装置の名前を知るためにダウンロード管理テーブルを参照する代わりに、下で図2に関して説明するように、各周辺出力が問い合わせに答えて自分の周辺装置名を返答するようにしてもよい。
【0020】以下では、ダウンロードの回数を少なくすることができるとともに、周辺出力装置の種類に適合したフォントデータが現在正しくロードされているか否かの判断を実現するための別の構成例を図2に示す。図2は、図1に示すコンピュータシステムと類似した構成をとっており、対応する構成要素には図1と同じ参照番号を付与してある。
【0021】図2のシステムにおいては、フォントデータ管理のためのテーブルとして、図1のダウンロード管理テーブル113に加えて、装置名/外字データ登録テーブル220が設けられている。装置名/外字データ登録テーブル220の各登録レコード1、2、・・・は、周辺出力装置の種類毎にどの外字フォントデータファイルをダウンロードすべきかという情報を保持するものであり、具体的には周辺装置名(つまり「プリンタ」、「××型プリンタ」、「○○型ディスプレイターミナル」等の周辺出力装置の種類や、あるいはニックネーム等)とそれに適合する外字フォントデータが入っている外字フォントデータファイルの名前の対である。更に、プリンタ203、ディスプレイターミナル205、207等の、本システムに接続されている周辺出力装置は、問い合わせに応答して自分の周辺装置名を返す機能を持っている。
【0022】図2に示す構成を用いれば、図1に関して説明し、またその変形として述べたような、フォントデータのダウンロードを必要最小限にするための判断を行うことができる。
【0023】図2の構成では、これに加えて、各周辺出力装置に間違いなくフォントデータをダウンロードすることができる。このようなダウンロードを行うためには、ホストコンピュータ101は先ず判断の対象となる周辺出力装置、例えば論理装置番号1の装置、に対してその周辺装置名を問い合わせる。ここで論理装置番号1の装置は自分の周辺装置名「プリンタ」をホストコンピュータ101に返す。ホストコンピュータ101はまたダウンロード管理テーブルの論理装置番号1に対応するレコードから、周辺装置名のフィールドを読み出して、実際の周辺出力装置からの返答の周辺装置名と照合する。
【0024】もし、この照合結果が不一致だったら、以前ダウンロードされた外字データファイルの種類が異なっていたことになる。この場合、装置名/外字データ登録テーブル220を検索し、論理装置番号1の周辺装置から得られた周辺装置名「プリンタ」と対になっている外字データファイル名を得る。ホストコンピュータ101はこのようにして得られた外字データファイル名を持つファイルを論理装置番号1の周辺装置へダウンロードする。その後、ホストコンピュータ101は周辺装置名「プリンタ」、それに対応する外字データファイル名、更にこのダウンロードを行った日付と時刻を、ダウンロード管理テーブル113の当該論理装置番号に対応するレコードに書き込んで、このダウンロード処理を終了する。
【0025】このダウンロードの必要性の判断・及び実際にダウンロードを行うタイミングは、図1に関して既に説明したようなタイミングとすることができる。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、周辺出力装置に正しいフォントデータがロードされているようにし、またフォントデータ転送のオーバーヘッドを必要最小限に抑えることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例に基づいて構成されたコンピュータシステムの概念図。
【図2】本願発明の別実施例に基づいて構成されたコンピュータシステムの概念図。
【符号の説明】
101:ホストコンピュータ
103、203:プリンタ
105、107、205、207:ディスプレイターミナル
109:外字データファイル
111:ディレクトリ
113:ダウンロード管理テーブル
220:装置名/外字データ登録テーブル
 
訂正の要旨 訂正の要旨
請求項1の「外字用のフォントデータをダウンロード可能な周辺出力装置が接続されたコンピュータシステムにおいて、」の次に、特許請求の範囲の減縮を目的として「前記フォントデータのダウンロードは前記周辺出力装置用の外字データファイルのダウンロードの形態で行われ、」を挿入するように訂正する。
異議決定日 2002-07-17 
出願番号 特願平3-237402
審決分類 P 1 652・ 121- ZD (G06F)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 田中 貞嗣  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 千葉 輝久
川嵜 健
登録日 2000-07-21 
登録番号 特許第3091535号(P3091535)
権利者 日本ヒューレット・パッカード株式会社
発明の名称 フォントデータ管理方式  
代理人 上野 英夫  
代理人 上野 英夫  

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