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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G11B
管理番号 1067640
異議申立番号 異議1998-72661  
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1988-04-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-26 
確定日 1999-12-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第2684034号「ビデオ画面検索・編集装置」の特許について、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2684034号の特許を取り消す。 
理由 (1)手続きの経緯
特許第2684034号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、昭和61年9月24日に特許出願され、平成9年8月15日にその発明についての特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人松下電器株式会社及び百本宏之より特許異議の申し立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年12月8日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、訂正前の特許請求の範囲第3項を削除することである。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(36条第5項違反の取消理由の概要)
特許請求の範囲第3項の記載(発明の実施態様)は、下記の点で技術的に限定して具体化したものとは認められない。
(1)第1項を引用しているが、「前記ビデオデッキを制御するための動作コマンドデータ」と「前記ビデオテープの音声トラック上に記録される位置書き込みデータ」は、特許請求の範囲第1項に記載の構成との対応関係が不明である。
(2)「送信情報」を構成する上記二つのデータと、同じく送信情報を構成する(組み合わせからなる)「上位バイト」と「下位バイト」との関係が不明である。
(判断)
上記訂正は、特許請求の範囲第3項の記載が不明であるとの上記取消理由を解消するためのものと認められ、上記のように訂正したことにより不明な点、即ち明りょうでない記載の点は解消された。
そして、該訂正により、特許請求の範囲第1項を拡張・変更するものでもなく、また、新規事項も認められない。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議申し立てについて
ア.本件発明
平成10年12月8日付けで提出された訂正明細書の特許請求の範囲第1項に係る発明は(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の第1項に記載された事項により特定されるとおりの次のとおりのものである。
ホストコンピュータと、表示手段と、該表示手段に接続されたアフレコ機能を持つビデオデッキと、前記ホストコンピュータとビデオデッキとの間に接続されるコントローラとを有するビデオ画面検索・編集装置であって、
該コントローラは、前記ホストコンピュータからの書込み指令に基づき、前記ビデオデッキのアフレコ機能を用いて、ビデオデープの音声トラック上にビデオ画面の位置決めページ情報を記録するページ情報記録手段と、前記ホストコンピュータからの読出し指令に基づき、前記ビデオテープの音声トラック上に記録された位置決めページ情報を再生するページ情報再生手段と、前記ホストコンピュータへ入力された任意希望位置情報と前記ページ情報再生手段が再生した位置決めページ情報とを比較し、一致出力又は不一致出力を出力するページ情報比較手段と、
該ページ情報比較手段からの一致出力又は不一致出力に基づき、前記ビデオデッキの各種動作制御を行う機能制御手段とを具備し、
前記ホストコンピュータへ入力された前記任意希望位置情報に対応したビデオ画面を検索し、前記表示手段に表示し得ることを特徴とする、ビデオ画面検索・編集装置。
イ.29条2項違反に関する取消理由通知の概要
本件発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号に該当するる。
ウ.刊行物に記載の発明
刊行物1:NATIONAL TECHNICAL REPORT VOL.19 NO.3 JUNE 1973 pp.249〜255
プログラムセレクタとモニタテレビおよび該プログラムセレクタと該モニタテレビに接続された再生時にオーディオダビング可能な機能を持ちリモコン可能なVTRとからなる画像情報検索装置であって、
該プログラムセレクタは、
VTR再生モードにおいてVTRのオーディオダビングによって行い、ビデオテープのオーディオトラック上で停止したいプログラム(画像情報)の先頭位置にテープ番地信号を記録する手段と、
検索指令操作ボタンの操作により、テープ走行により前記番地信号がVTR音声出力端子よりプログラムセレクタに加えられると、キーコードの到来によりテープ番地ゲート回路が開き、テープ番地信号を再生する手段を備え、
該再生されたテープの番地信号と番地設定SWにより設定された指令番地信号とを照合比較し、指令番地信号とテープ番地信号が一致したとき及び大きいときもしくは小さいときで判別信号を出力する大小一致判別回路と、
この大小一致判別回路からの出力に基づいて、前記VTRの早送り、巻き戻し、停止、停止後の再生などの各種動作の制御を行うテープ走行制御回路とを具備し、
プログラムセレクタの番地設定SWで設定された前記任意の指令番地信号に対応したプログラムのビデオ画面を検索し、前記モニタテレビに表示するビデオ画面検索装置。
なお、この装置は、従来のVTRを用いた検索装置で、1フレームまたは1フィールドの静止画像を磁気テープに記録し、任意の指令に基づき目的とするフレームまたはフィールドを検索する、静止画像の検索できるものがあったが、動きのある画像情報は得られないとの従来技術の上に改良されたものである点。
刊行物2:特開昭59-151582号公報
コンピュータプログラムによって、ビデオテープの音声チャンネルに予めアドレスを順次記録しておき、ビデオテープに録画された映像の中から必要な映像の「始まり」と「終わり」のアドレスを検索して必要な映像を表示するビデオ映像表示装置が記載されており、該装置はコンピュータとテレビ受像機と、このテレビ受像機に接続されたビデオテープレコーダとこのコンピュータとVTRとの間に接続されるインターフェース回路及びリレー回路とで構成される点。
エ.対比・判断
本件発明と刊行物1に記載の発明を対比する。
刊行物1に記載の「モニタテレビ」「オーディオダビング可能なVTR」「オーディオトラック」「テープ走行制御回路」は、本件発明の「表示手段」アフレコ機能を有するビデオデッキ」「音声トラック」「機能制御手段」に相当する。
また、本件発明の「ページ」について、その明細書には、「本発明は、前途従来装置の欠点を解消するものであり、・・・(中略)・・・商品・サービスをビデオテープに記録し、録画された画面に例えば数秒毎に連続するページ方法を順次付加し、顧客の要望に応じてホストコンピュータのキーボードを操作することにより必要な画面を前記ページ情報に基づき即座に検索してテレビ画面に再生し・・・」(公報第3欄第31行〜同第38行)、及び「ページ情報が1ページ分(例えばある静止画(又は動画)の1カット分)に相当する長さの間連続して記録され続ける。」(公報第5欄第31行〜33行)等の記載があり、これらの記載によれば、「ページ」とは静止画又は動画を意味しているものと認められるから、刊行物1に記載のビデオテープ上に複数記録されている「プログラム」に相当するものと認められる。それ故、刊行物1に記載の「テープ番地信号を記録する手段」「テープ番地再生手段」「指令番地信号」「大小一致判別回路」は、本件発明の「位置決めページ情報記録手段」「ページ情報再生手段」「任意希望位置情報」「ページ情報比較手段」に相当する。さらに、刊行物1に記載の発明と本件発明は、ビデオデッキに対して制御する装置を備える点で共通している。
なお、刊行物1に記載の発明におけるオーディオトラックにテープ番地信号を記録する操作は、「編集」の一種であると認められる。
よって、本件発明と刊行物1に記載の発明とは、「表示手段と、該表示手段に接続されたアフレコ機能を持つビデオデッキと、該ビデオデッキに接続され、該ビデオデッキを制御するビデオデッキ制御装置を有するビデオ画面検索・編集装置であって、
該ビデオデッキ制御装置は、前記ビデオデッキのアフレコ機能を用いて、ビデオデープの音声トラック上にビデオ画面の位置決めページ情報を記録するページ情報記録手段と、 前記ビデオテープの音声トラック上に記録された位置決めページ情報を再生するページ情報再生手段と、入力された任意希望位置情報と前記ページ情報再生手段が再生した位置決めページ情報とを比較し、一致出力又は不一致出力を出力するページ情報比較手段と、
該ページ情報比較手段からの一致出力又は不一致出力に基づき、前記ビデオデッキの各種動作制御を行う機能制御手段とを具備し、
入力された前記任意希望位置情報に対応したビデオ画面を検索し、前記表示手段に表示し得ることを特徴とする、ビデオ画面検索・編集装置。」で一致し、該制御装置が刊行物1に記載の発明ではプログラムセレクタを用いているのに対し、本件発明が「ホストコンピュータ」と該コンピュータの指令により動作する「ホストコンピュータとビデオデッキとの間に接続されるコントローラ」を備えている点で相違する。
しかしながら、テレビ受像機とアフレコ機能を備えたVTRを利用して、音声トラックにビデオ信号の少なくとも始まりの位置を記録しておき、ビデオ映像を検索・表示させるための制御装置を、コンピュータと、該コンピュータとビデオデッキとの間に接続されるインターフェース回路及びリレー回路によって、即ち、本件発明のホストコンピュータおよびコントローラにそれぞれ相当するもので構成することは、刊行物2に記載されているので、該刊行物2と同じ技術分野である刊行物1に記載のようなビデオ画面検索・編集装置においても、そのプログラムセレクタを、コンピュータと、該コンピュータとのインターフェース回路及びリレー回路(本件発明のコントローラに相当する。)で構成することは、容易に考えられるものと認められる。
(4)むすび
以上のとおり本件発明は、本件発明の出願前に頒布された前記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第41号)により改正された特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-02-04 
出願番号 特願昭61-225557
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G11B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 萩原 義則  
特許庁審判長 内藤 照雄
特許庁審判官 今井 義男
三友 英二
登録日 1997-08-15 
登録番号 特許第2684034号(P2684034)
権利者 株式会社石田エンタープライズ
発明の名称 ビデオ画面検索・編集装置  
代理人 役 昌明  
代理人 田辺 恵基  
代理人 木下 洋平  

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