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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1068278
審判番号 不服2002-1966  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-07 
確定日 2002-11-14 
事件の表示 平成 4年特許願第 4440号「眼鏡型映像表示装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月30日出願公開、特開平 5-191745]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成4年1月14日の出願であって、その発明は、平成14年2月12日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲(請求項の数2)に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】 映像表示用の光学ブロック部と、該光学ブロック部を設けた眼鏡状のカバーと、該カバーに回動可能に取付けられたヘッドバンドと、左右一対のイヤホーンと、を備え、
上記眼鏡状のカバーは、上記光学ブロック部を取り付けたカバー本体部と、該カバー本体部の両側部に取り付けられた左右一対のサイドカバーとからなっていて、
上記左右一対のサイドカバーは、上記カバー本体部に対して起伏回動可能に一端側が枢着され、
上記ヘッドバンドは、伸縮バンド部を有し、上記左右一対のサイドカバーの他端側に取り付けられていることを特徴とする眼鏡型映像表示装置。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平2-63379号公報(以下「引用例1」という。)には、頭部装着式ディスプレイ・システムに関する発明について、第6実施例の第7図の説明において、次の事項が記載されている。
(1)「この実施例においては、ボックス10Fはヒンジ18Fを介して指示部材12Fに連結されている。頭部装着手段24Fは、第3図の第2実施例の頭部装着手段24Bと同様の構造となっている。枢動ジョイント20Fが、支持部材12Fをこの装着手段24Fに連結している。」(公報第9頁右上欄17行乃至同左下欄2行)
なお、「頭部装着手段24F」は、第7図に示されていないが、第3図及び図面の簡単な説明の項を参照すると、図番21Fは、24Fの誤記であることは明らかである。
(2)「第3図に示されている第2実施例は、第1図に示されている第1実施例とかなり類似したものである。ヒンジ・ジョイント16及び18Aは、ボール・ジョイント19に替えられている。本実施例においては、頭部装着手段24Bは半ば剛性を有するヘッドバンドから成り、このヘッドバンドはヘッドバンド末端部材25及び可撓性を有するストラップ26Bに連結されている。ヘッドバンド末端部材25は可撓性ストラップ26Bの長さを調節するための手段(不図示)を含んでいる。」(公報第8頁左下欄15行乃至右下欄4行)
同じく、原査定の拒絶理由に引用された特開平3-214872号公報(以下「引用例2」という。)には、眼鏡型網膜直接表示装置に関する発明について、次の事項が記載されている。
(3)「20は眼鏡型網膜直接表示装置の主要部が固着されている前面側の枠体を示し、この枠体20を顔面に保持するために左右両側に回動可能に支持されている保持枠21A、21Bが設けられている。」(公報第2頁右下欄10行乃至14行)
(4)「25は保持枠21A、21Bの端部に近い点に設けられている回動レバーを示し、この回動レバーの先端には耳孔に挿入されるイヤホーン26が設けられている。」(同第3頁左上欄10行乃至13行)
(5)「第5図は保持枠21A、21Bに設けられている回動レバー25の位置を示している。この回動レバー25の先端には耳孔に挿入されるイヤホーン26が取り付けられており、回動レバー25は全体的にスプリング27によって反時計方向に付勢しておくことが好ましい。」(同第4頁左上欄3行乃至8行)
また、原査定の拒絶理由に引用された実願昭62-181741号(実開平1-85816号公報)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という。)には、頭部で固定する双眼鏡に関する発明についてその第1図には、頭部固定バンドプラスチック部3と頭部固定バンド金物部4とを伸縮部分受入口5で連結している構成が示されている。

3.対比
本願発明1と上記引用例1に記載の発明とを対比すると、本願発明1のサイドカバーは引用例1の支持部材12Fに相当し、ヒンジ部18Fで起伏回動可能に枢着されていることから、本願発明1は引用例1の発明と次の点で一致している。

「映像表示用の光学ブロック部と、該光学ブロック部を設けた眼鏡状のカバーと、該カバーに回動可能に取付けられたヘッドバンドとを備え、上記眼鏡状のカバーは、上記光学ブロック部を取り付けたカバー本体部と、該カバー本体部の両側部に取り付けられた左右一対のサイドカバーとからなっていて、上記左右一対のサイドカバーは、上記カバー本体部に対して起伏回動可能に一端側が枢着され、上記ヘッドバンドは、上記左右一対のサイドカバーの他端側に取り付けられていることを特徴とする眼鏡型映像表示装置。」

そして、次の点で相違が認められる。
相違点1:本願発明1が左右一対のイヤホーンを備えているのに対し、引用例1では、その請求項24に「イヤフォンを備え」と記載されているのみで詳細が明示されていない点
相違点2:本願発明1のヘッドバンドが伸縮バンド部を有しているのに対し、引用例1では、伸縮部分が記載されていない点。

4.当審の判断
上記各相違点について以下検討する。
(1) 相違点1である1対のイヤホーンを備えることは、引用例2にも示されている事項である。もっとも、引用例2の第1図では片側のイヤホーンが図示されていないが、上記2(4)の記載を参酌すれば明示されていると見ることができる。
(2) 相違点2であるヘッドバンドに伸縮部を設けることは、用途は異なるが、引用例3には、頭部に合わせて調整できるように伸縮部を設けることが示されている。
そして、これらの相違点である各構成を、引用例1の表示装置に適用することは、頭部に確実に装着する手段として当業者が適宜採用しうる事項であり、また、効果にしても、特段評価すべき事項は認められない。

5.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項を検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-10 
結審通知日 2002-09-17 
審決日 2002-09-30 
出願番号 特願平4-4440
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 達也  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 酒井朋広
小林秀美
発明の名称 眼鏡型映像表示装置  
代理人 志賀 富士弥  
代理人 橋本 剛  

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