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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F23G
管理番号 1068471
審判番号 不服2000-7750  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-12-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-25 
確定日 2002-11-21 
事件の表示 平成10年特許願第147275号「塩化ビニル樹脂含有廃棄物の処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年12月15日出願公開、特開平10-332117]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願は、平成4年1月31日に出願した特願平4-15736号の一部を、平成10年5月28日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成12年3月17日付の手続補正における特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。
「【請求項1】
塩化ビニル樹脂含有廃棄物及び流動媒体を供給して前記塩化ビニル樹脂含有廃棄物を分解するロータリーキルン型分解炉と、該分解炉で発生する塩化水素含有ガスの処理手段と、前記分解炉から排出される脱塩素分解残渣及び流動媒体を供給して脱塩素分解残渣を焼却する焼却炉を有するとともに、塩化ビニル樹脂含有廃棄物に対して重量割合で1/2〜1/1の量の前記焼却炉より排出される流動媒体を前記ロータリーキルン型分解炉へ供給する流動媒体として使用するように構成したことを特徴とする塩化ビニル樹脂含有廃棄物の処理装置。」

2.これに対し、当審の平成13年9月13日付けの拒絶理由通知に引用され、原出願の前に頒布された刊行物である特公昭47-34474号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに下記の記載がある。
ア.「本発明は合成高分子廃棄物特に塩化水素等の有害ガスを発生する様な合成高分子廃棄物例えば塩化ビニル樹脂廃棄物を熱媒体として砂又は他の耐火性無機質材料(以下単に砂という。)を利用し先ず合成高分子が燃焼せず脱塩化水素反応を行なう最適な温度200〜400℃に加熱し脱塩素反応を行なわせ、次に砂を混合したまま塩化水素等の置換基を殆んど含有しない中間生成物を焼却せしめる。」(第1頁第1欄第18〜26行目)

イ.「次に図面によって本発明を詳細説明する。
処理すべき合成高分子廃棄物を必要に応じて乾燥、切断、破砕、粉砕して5よりロータリードラムタイプの脱塩化水素反応炉1に送給し、同時に300〜800℃に加熱されたJIS、1号〜4号、粒径範囲(0.4〜4.0mm程度)の加熱用循還砂を導管9より送給する。生成した塩化水素ガスその他の廃ガスは導管8より水又はアルカリの流下する吸収塔4の下部より導入して塩酸ガスは塩酸又は中性廃液として排出され、ここで吸収されなかったガスは燃焼炉2で助焼料として利用される。
高分子廃業物の脱塩化水素反応を終了した加熱反応生成物と砂とは導管11より焼却炉2に送給される。ロータリードラムタイプ又は流動層などの焼却炉へは必要に応じて導管12より助燃料を、完全燃焼に必要な予熱空気をエヤプレヒーター3を経て導管13より送給する。
焼却炉を出た800〜1200℃に加熱された廃ガス排出可能な温度に迄冷却され、サイクロン6により随伴する少量の固形物を分離して煙突19より大気に放出される。
19の廃ガスはその熱を利用するため必要に応じて熱源として導管10より脱塩化水素反応炉1に再導入される。
焼却炉を出た800〜1200℃の砂及び脈石、金属類等の非燃焼性物質は導管15よりエヤプレヒーター3に送給され、篩部18で脈石、金属、その他の夾雑物を分離し、更に補給砂を16より、空気を17より送給し、予熱された空気を14を通じてサイクロン7でダストその他の不純物を除去して燃焼炉2に送給される。一方非燃焼物を分離して精製された砂は300〜800℃となって導管9より脱塩化水素反応炉へ加熱循還用砂として送給される。」(第2頁第3欄第23行目〜同第4欄第17行目)

同様に、原出願の前に頒布された刊行物である特開昭51-5275号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに下記の記載がある。
ウ.「本発明は反応塔と再熱塔を備えそれら相互の上部と下部とを熱媒体の下降管で連結した構造のいわゆる2塔式連続熱分解装置に於いて、流動熱媒体の循環量を制御する方法に関するもので、炭化水素類や固形廃棄物等の被分解物の分解温度を調節してそれらの分解生成物を効率よく回収することができ、しかも特別な装置を必要とせずに実施することが可能でトラブルも少ない、流動熱媒体の循環量制御方法を提供しようとするものである。
上記2塔式の連続熱分解装置に於いては、被分解物の分解熱は再熱塔内での分解生成チヤー(炭素質物資)の燃焼によって行うが、生成チヤーの量は分解温度によって変化する。即ち、同形廃棄物の場合には分解温度が高くなれば生成チヤーの量は少くなり、分解温度が低ければ生成チヤーの量は多くなる。また炭化水素類の場合には上記の逆の傾向になることが知られている。上記分解温度の制御は特に炭化水素類の熱分解に於いては重要であり、この分解温度が生成物の収率に深く関係し最適温度が存在することから、最高の収率を上げるためには分解温度を適温に保つことが絶対必要である。このことは固形廃棄物に於いても例外ではなく、分解生成物としてガス燃料を回収するか或いは油を回収するか、それぞれの目的に応じた最適温度に保つ必要がある。
上記のように2塔式連続分解装置の稼働に於いて非常に重要なポイントをなす分解温度の制御には次の二つの方法がある。その一つは再熱塔に於ける生成チヤーの燃焼量を燃焼空気量の制御によって行なう方法であるが、この方法では空気量調節の影響が再熱塔内の燃焼帯域の流動気体に及び、熱媒体の流動に対して好ましくない。他の一つの方法は再熱塔に於いて生成チヤーが完全に燃焼するように空気を過剰に(例えば理論空気論の20%程度)一定量送入し、温度の上った熱媒体の循環量を制御することにより分解温度を制御する方法である。」(第1頁右下欄第6行目〜第2頁右上欄第8行目)

エ.「第1図は本発明の実施対象となる2塔式連続分解装置の概略図で示すもので、Aは反応塔、Bは再熱塔である。粉粒状または細片状の固形廃棄物または液体状の炭化水素類は反応塔の供給口1Aより反応塔の反応帯域2Aに一定割合で供給し、下部が順次径の小さくなっている熱媒体揚送管3Aより揚送されて来た、再熱塔内で加熱された固体熱媒体により熱分解させる。揚送管部3Aには熱媒体の揚送を助けるために、流動気体、例えばスチーム、炭酸ガス等の吹込み口4Aを任意の個数設けることも出来る。固形廃棄物または液状炭化水素類の熱分解により発生したガスを排出口5Aより反応塔外へ送り、燃料または化学原料として利用する。一方熱分解により副生したチヤーを固体熱媒体と共に反応塔の熱媒体下降管6Aから溢流させ、熱媒体の自重により再熱塔下部に入れる。・・・・・
揚送管3Bにより上方へ揚送された熱媒体と副生チヤーは燃焼帯域2Bに入り、送入口1Bより送入される空気により副生チヤーが燃焼され、固体熱媒体の温度を上げる。」(第2頁左下欄第5行目〜第3頁左上欄第16行目)

3.上記2.(1)の記載及び図面からみて、刊行物1には、下記の発明が記載されていると認められる。
「塩化ビニル樹脂廃棄物及び砂を供給して前記塩化ビニル樹脂廃棄物を脱塩化水素反応を行うロータリードラムタイプの脱塩化水素反応炉と、該脱塩化水素反応炉で発生する塩化水素ガスその他の廃ガスを処理する吸収塔と、前記脱塩化水素反応炉から排出される加熱反応生成物及び砂を供給して焼却する焼却炉を有するとともに、前記焼却炉より排出される砂を前記ロータリードラムタイプの脱塩化水素反応炉へ供給する砂として使用するように構成したことを特徴とする塩化ビニル樹脂廃棄物の処理装置。」

本願発明と、刊行物1に記載された発明を対比すると、刊行物1に記載された発明の、A)「塩化ビニル樹脂廃棄物」、B)「砂」、C)「脱塩化水素反応」、D)「塩化水素ガスその他の廃ガス」、E)「吸収塔」、F)「加熱反応生成物」、G)「焼却炉」は、それぞれ、本願発明のa)「塩化ビニル樹脂含有廃棄物」、b)「流動媒体」、c)「分解」、d)「塩化水素含有ガス」、e)「処理手段」、f)「脱塩素分解残渣」、g)「焼却炉」に相当する。また、刊行物1の「ロータリードラムタイプの脱塩化水素反応炉」は、その呼称からみて、回転するドラム内で被処理物を処理する炉と認められ、本願発明の「ロータリーキルン型分解炉」と対応するから、両者は、「塩化ビニル樹脂含有廃棄物及び流動媒体を供給して前記塩化ビニル樹脂含有廃棄物を分解するロータリーキルン型分解炉と、該分解炉で発生する塩化水素含有ガスの処理手段と、前記分解炉から排出される脱塩素分解残渣及び流動媒体を供給して脱塩素分解残渣を焼却する焼却炉を有するとともに、前記焼却炉より排出される流動媒体を前記ロータリーキルン型分解炉へ供給する流動媒体として使用するように構成したことを特徴とする塩化ビニル樹脂含有廃棄物の処理装置。」で一致し、下記の点で相違する。

相違点
本願発明は、ロータリーキルン型分解炉へ供給する流動媒体を、「塩化ビニル樹脂含有廃棄物に対して重量割合で1/2〜1/1の量」としたのに対し、刊行物1には、焼却炉より循環される砂の量について、そのような構成の記載がない点。

そこで、上記相違点について検討する。
上記2.(2)に示したように、刊行物2には、固形廃棄物を熱分解させる反応塔と、反応塔に循環させる熱媒体を加熱する再熱塔を組み合わせた廃棄物処理装置において、反応塔における固形廃棄物の熱分解温度を、目的に応じた最適温度に保つことが重要であり、その設定された熱分解温度にするために、再熱塔から反応塔への熱媒体の循環量を制御することが記載されている。また、所望の分解温度にするために、熱媒体の量を具体的にどの程度にするかは、実際の設備等に応じて決定される設計的事項である。
刊行物1及び2は、ともに廃棄物を燃焼炉で加熱した媒体を分解炉に循環させ、その媒体が有する熱で廃棄物を熱分解させる技術分野であることで共通し、刊行物1の脱塩化水素反応炉と焼却炉を組み合わせた廃棄物処理装置において、熱分解が円滑に進むようにするために、焼却炉から脱塩化水素反応炉に循環される砂の量を適量に制御し、実際の設備等に応じて、その砂の循環量を廃棄物に対して重量割合で1/2〜1/1の量とすることは、当業者であれば通常選択する範囲にすぎないというべきであって、容易に想到し得たものである。
さらに、本願発明が奏する作用、効果は、刊行物1及び2の記載から容易に予測できたものである。

4.上記したように、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-18 
結審通知日 2002-09-24 
審決日 2002-10-09 
出願番号 特願平10-147275
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F23G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 唯永石 哲也  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 岡本 昌直
井上 茂夫
発明の名称 塩化ビニル樹脂含有廃棄物の処理装置  
代理人 安西 篤夫  
代理人 内田 明  
代理人 萩原 亮一  
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