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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F
管理番号 1068628
審判番号 不服2001-7607  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-04-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-09 
確定日 2002-11-22 
事件の表示 平成10年特許願第287043号「飯米の貯蔵庫」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 4月18日出願公開、特開2000-106745]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成3年2月6日に出願された特願平3-15104号の一部を、平成9年10月17日に特許法第44条第1項の規定により分割して新たな特許出願としたものである特願平9-285223号の一部を、平成10年10月8日に同じく分割して新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成12年6月1日付けの手続補正書、および、平成13年6月5日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】横端の縦軸回りに回動して開閉自在の扉を有する扉口と、扉口の外側位置から約30Kg重量の玄米を収容する玄米袋9を一袋毎積み降しできる庫内の高さと扉口の幅方向に沿って隙間を設けて前記玄米袋9を並べることのできる庫内幅と前記玄米袋9の一袋分の奥行きと庫内に収納された玄米袋9と庫内壁との間に隙間が設けられる容積とを有する庫内部分と、庫内温度を5℃から15℃の領域内に維持することができ、扉口に面した側が幅広の略直方体形状の冷却機3を扉口より奥まった中央部に配置した天井部12とを備えた飯米の貯蔵庫であって、冷却機3の本体は天井部上に突出させて配置し、該天井部上に突出した冷却機3の天井部及び側面部の五面を覆うカバーを設け、さらに、冷却機3で発生する凝縮水を排水ホースによって貯蔵庫下部の受皿7に導くよう構成すると共に、この排水ホースを玄米袋の積み重ね可能な高さよりも低い範囲では貯蔵庫の外壁に沿わせて設けたことを特徴とする飯米の貯蔵庫。」

2.引用文献記載の発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された実公昭60-38859号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載が認められる。
(イ)「本考案は、ある程度低温を保ちながら米穀を収容し、且つ米穀を搬出する場合等に、米穀に露が付着しないようにすることができる米穀低温貯蔵庫に関するものである。米、麦等の米穀を貯蔵しておく場合、品質の劣化を防ぐ為に、ある程度低温を保っておくことが必要であるが、米穀を搬出する場合、或はドアの開閉により外気が米穀低温貯蔵庫内に侵入した場合等に、米穀に露が付着する結露現象が発生することがある。これは、米穀が外気の露点温度以下に冷却されている場合に生じるものであり、このような結露現象が生じると、米穀の品質が劣化する為、その改善が要望されている。本考案は、前述の如き要望を満足させたものであり、その目的は、米穀低温貯蔵庫に収容されている米穀を搬出する場合等に結露が発生しないようにすると共に、米穀低温貯蔵庫内の温度をできる限り低くすることにより、米穀の品質劣化を防止することにある。以下実施例について詳細に説明する。第1図は本考案の実施例の斜視図であり、1は米穀3をある程度の低温で収容する米穀低温貯蔵庫、2は開閉可能なドア、4は外気の絶対温度を検出し、外気の露点温度を示す露点温度信号を出力する湿度検出部、5は米穀低温貯蔵庫1内の温度を検出して温度信号を出力する温度検出部、6は湿度検出部4からの露点温度信号と温度検出部5からの温度信号とに基づいて、冷却器7の動作を制御する制御部である。」(1頁1欄17行〜2欄22行)。
ここで、玄米も白米も貯蔵する米の状態として従来周知のものであるため、一般的な貯蔵用の米には、玄米も白米も含んでいるということができる。
さらに、引用文献の米穀低温貯蔵庫1は、第1図の記載からみて、扉口の外側位置から米を収容する米穀3を一袋毎積み降しできる庫内の高さを有し、扉口の幅方向に沿って隙間を設けて前記米穀3を並べることのできる庫内幅を有し、前記米穀3の一袋分の奥行きを有していて、しかも、庫内に収納された米穀3と庫内壁との間に隙間が設けるか否かは、詰めて並べるか、隙間をあけて並べるかといった、単なる米穀3の並べ方にすぎない上に、一般に扉の開閉等考慮して若干大きめに設計するものであるから、上記(イ)の記載及び図面の記載からみて、引用文献には、次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用文献の発明」という。)
「開閉自在のドア2を有する扉口と、扉口の外側位置から玄米を収容する米穀3を一袋毎積み降しできる庫内の高さと扉口の幅方向に沿って隙間を設けて前記米穀3を並べることのできる庫内幅と前記米穀3の一袋分の奥行きと庫内に収納された米穀3と庫内壁との間に隙間が設けられる容積とを有する庫内部分と、庫内温度を領域内に維持することができ、略直方体形状の冷却器7を扉口より奥に配置した米穀低温貯蔵庫1」

3.本願発明と引用文献の発明との対比
本願発明と引用文献の発明とを対比すると、
引用文献の発明における、
「ドア2」、「米穀3」、「冷却器7」、および、「米穀低温貯蔵庫1」は、
本願発明1における、
「扉」、「玄米袋9」、「冷却機3」、および、「飯米の貯蔵庫」にそれぞれ対応しているから、両者は、
「開閉自在の扉を有する扉口と、扉口の外側位置から玄米を収容する玄米袋9を一袋毎積み降しできる庫内の高さと扉口の幅方向に沿って隙間を設けて前記玄米袋9を並べることのできる庫内幅と前記玄米袋9の一袋分の奥行きと庫内に収納された玄米袋9と庫内壁との間に隙間が設けられる容積とを有する庫内部分と、庫内温度を領域内に維持することができ、略直方体形状の冷却機3を扉口より奥に配置した飯米の貯蔵庫。」で一致するが、下記点で相違する。
(イ)本願発明では、扉は横端の縦軸回りに回動して開閉自在であって、玄米袋は約30kg重量の玄米を収容し、庫内温度を5℃から15℃の領域内に維持しているが、引用文献の発明は、これらの点について記載がない点。
(ロ)本願発明では、扉口に面した側が幅広の略直方体形状の冷却機3を扉口より奥まった中央部に配置した天井部12とを備え、冷却機3の本体は天井部上に突出させて配置し、該天井部上に突出した冷却機3の天井部及び側面部の五面を覆うカバーを設けてなるのに対して、引用文献の発明では、このようになっていない点。
(ハ)本願発明では、冷却機3で発生する凝縮水を排水ホースによって貯蔵庫下部の受皿7に導くよう構成すると共に、この排水ホースを玄米袋の積み重ね可能な高さよりも低い範囲では貯蔵庫の外壁に沿わせて設けたのに対して、引用文献の発明では、このようになっていない点。

4.当審の判断
(i)上記相違点(イ)について検討する。
縦軸回りに回動する扉は例示するまでもなく周知であり、引用文献記載のドア2を周知な扉に換えることは当業者が適宜なし得ることであり、また、約30Kgの玄米袋を用いることは従来周知のことにすぎず(特開昭53-149529号公報、特開昭60-147251号公報参照)、米の貯蔵温度を5℃から15℃の最適な領域内に維持し、米の品質低下を防止する技術も従来周知のことにすぎない(特公昭50-38574号公報参照)。
(ii)上記相違点(ロ)について検討する。
冷蔵庫等において、天井部に冷却機を設けるに際して、扉口に面した側が幅広の略直方体形状の装置を扉口より奥まった中央部に配置し、装置の本体は天井部上に突出させて配置し、該天井部上に突出した装置の天井部及び側面部の五面を覆うカバーを設けることは、本願発明と同じような構造を備えた保冷庫や冷蔵庫において、従来周知の構造にすぎない。(実願昭55-155849号(実開昭57-79374号)のマイクロフィルム、実願昭63-116409号(実開平2-38069号)のマイクロフィルム参照)
(iii)上記相違点(ハ)について検討する。
引用文献の発明では、冷却機で発生する凝縮水をどう処理するかについて記載されていないが、冷却機ならば当然処理しなければならものであり、本願発明と同じように冷却機を備えた冷蔵庫において、冷却機で発生する凝縮水を排水ホースによって貯蔵庫下部の受皿に導くよう構成すると共に、この排水ホースを冷蔵庫の外壁に沿わせて設けることは従来周知の構造にすぎない。(実願昭61-190814号(実開昭63-95087号)のマイクロフィルム参照)
ここで、上記従来周知の構造において、どこが一般的な収納上限か明記されていないものの、冷蔵庫の構造からみて収納を妨げないように排水ホースを配置することは当業者が当然考慮すべきことであり、しかも排水ホースを冷蔵室の低い範囲では冷蔵庫の外壁に沿わせて設けていることが図面に記載されているから、上記従来周知の構造においても排水ホースを冷蔵室の一般的な収納上限より低い範囲で冷蔵庫の外壁に沿わせて設けているということができる。
そして、上記相違点(イ)〜(ハ)のように構成することにより得られる効果も、当業者が予測し得た程度のことにすぎない。
よって、本願発明は、引用文献の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.結論
以上のとおり、本願発明は引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-09 
結審通知日 2002-09-17 
審決日 2002-09-30 
出願番号 特願平10-287043
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 渡部 葉子
松川 直樹
発明の名称 飯米の貯蔵庫  
代理人 松永 孝義  

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