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審決分類 |
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない C12N |
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管理番号 | 1068709 |
審判番号 | 訂正2001-39109 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-12-09 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2001-07-10 |
確定日 | 2002-11-25 |
事件の表示 | 特許第3173784号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3173784号について、平成13年7月10日に訂正審判が請求されたところ、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。 2.訂正に対する補正の適否について 審判請求人は、 (1)全文訂正明細書中の特許請求の範囲を、特許請求の範囲の減縮を目的として、別紙の通りへと補正する、 (2)審判請求書の訂正事項に「(訂正事項)d.全文訂正明細書中の特許請求の範囲を、特許請求の範囲の減縮を目的として、別紙の通りへと補正する」を追加する、及び、 (3)審判請求書の請求の原因に「訂正事項dは、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではなく、また、訂正事項(イ)乃至(ハ)における訂正内容に適合すべく、特許請求の範囲の記載を明りょうにしたものである。従って、訂正事項dは、特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである」を追加する、 補正を求めるものである。 この補正は、訂正事項について特許請求の範囲の減縮を目的としていることの説明、及び、請求の原因において訂正事項は特許請求の範囲を明りょうにしたものである旨の説明を、それぞれ追加しているにすぎず、訂正事項自体を実質的に変更しているものではないから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、上記補正は特許法第131条第2項の規定に違反しないものであり、採用する。 3.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項a 明細書第91頁下から第4行乃至第93頁最下行の配列番号3の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、手続補正書第3頁下から第8行乃至同第5頁第1行の配列番号3の記載に訂正する。 訂正事項b 明細書第94頁第1行乃至第98頁第7行の配列番号4の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、手続補正書第8頁第3行乃至同第10頁下から第10行までの配列番号4の記載に訂正する。 訂正事項c 明細書第98頁第8行乃至第101頁最下行の配列番号5の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、手続補正書第13頁第8行乃至同第15頁下から第7行までの配列番号5の記載に訂正する。 訂正事項d 全文訂正明細書中の特許請求の範囲を、特許請求の範囲の減縮を目的として、別紙の通りへと補正する。 (2)訂正明細書の請求項1に係る発明 平成14年6月5日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「配列番号:5又は配列番号:18のアミノ酸配列を有するグリホセート酸化還元酵素か、或いは配列番号:5のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が除去さているか、又は1以上の他のアミノ酸により置換されているか、又は配列番号:5のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸が付加されているアミノ酸配列を有し且つ配列番号:5又は配列番号:18のアミノ酸配列を有するグリホセート酸化還元酵素の活性を有する上記酵素のアレル又は他の変異体をコードするDNAから実質的に成る単離された二本鎖DNA分子。」 (3)訂正の目的の適否の判断 上記訂正事項a-dに関連する記載として、願書に添付した明細書(以下「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明及び図面には、以下A.B.が記載されている。 A. 第37頁第2〜6行目に、「グリホセート酸化還元酵素(SEQIDN:4)の構造DNA配列は、ヌクレオチド120から開始し、図2のBglII-XhoI断片のヌクレオチド1415で終結しており、グリホセート酸化還元酵素は431のアミノ酸からなる(SEQIDNO:5)。」 B. 第2図に、グリホセート酸化還元酵素遺伝子として、ヌクレオチド120から1415までの塩基配列(1296塩基数)及び対応するアミノ酸配列(グリホセート酸化還元酵素としては431アミノ酸)。 これに対し、特許明細書の配列番号3乃至5には、次の(ア)(イ)が記載されている。 (ア)特許明細書の配列表の配列番号3,4には、グリホセート酸化還元酵素遺伝子の塩基配列として、1293塩基数の塩基配列が記載され、第2図の塩基配列と比べると、第2図の350位の「G」、377位の「T」及び392位の「C」が配列番号3、4の記載では欠落。 (イ)特許明細書の配列表の配列番号4,5には、グリホセート酸化還元酵素のアミノ酸配列として、上記(ア)の配列に対応してアミノ酸配列が記載され、これは上記(ア)の3塩基の欠落により塩基配列がフレームシフトし、それに対応するアミノ酸配列13個が異なる配列で、且つ、1アミノ酸が欠落した430個のアミノ酸からなっている。 したがって、特許明細書中で、第2図の塩基配列及びアミノ酸配列と、配列番号3、4,5の塩基配列及びアミノ酸配列とは一致しない。 (i) そこで、本件訂正事項が、「明りょうでない記載の釈明」を目的としたものに該当する否かを検討する。 特許明細書の記載に基づいて、グリホセート酸化還元酵素のアミノ酸配列及び該遺伝子の塩基配列として正しい配列は何かを理解するため、特許明細書の記載を検討すると、特許明細書の発明の詳細な説明には、上記A.B.の事項の他、特許明細書第37頁下から第5行目-第38頁第1行目に「操作されたグリホセート酸化還元酵素遺伝子の配列(SEQIDNO:6)を第3図に示す。・・この操作はグリホセート酸化還元酵素のアミノ酸配列を変化させない。」と記載されている。 これらの記載によれば、グリホセート酸化還元酵素のアミノ酸配列は、第3図に示されている塩基配列に基づき、遺伝暗号表を利用して導かれるアミノ酸配列と同じ配列であり、該アミノ酸配列は第2図に記載のアミノ酸配列と同じであることが分かる。 それゆえ、これら特許明細書のこれらの記載に照らせば、グリホセート酸化還元酵素は、第2図のヌクレオチド配列120-1415からなる431個のアミノ酸からなるものであると理解される。 そうすると、特許明細書の配列表の配列番号3,4,5の記載、すなわち第2図の塩基配列中350位、377位及び392位の3塩基が欠落し、且つ、該3塩基欠落に伴いフレームシフトし、第2図のアミノ酸配列とは異な且つ1個のアミノ酸が欠落した配列を、第2図のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列に基づいて訂正する上記訂正事項a-dは、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当すると認める。 (ii) なお、上記検討により、本件訂正事項は特許請求の範囲を実質的に減縮したものとも認められないことから、本件訂正事項は「特許請求の範囲の減縮」を目的としたものには該当しない。 (4)特許請求の範囲の拡張・変更の存否の判断 本件訂正によって、特許明細書の特許請求の範囲が拡張・変更されているか否かを検討する。 特許明細書と訂正明細書の各々の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を比較すると、1以上の他のアミノ酸を欠失・置換・付加させる基となるグリホセート酸化還元酵素のアミノ酸配列が、特許明細書では訂正”前”の配列番号5のアミノ酸配列であるのに対し、訂正明細書では訂正”後”の配列番号5のアミノ酸配列である点でのみ、両者は相違する。 そこで、訂正前と訂正後の配列番号5のアミノ酸配列を比較すると、訂正後の配列は、訂正前のアミノ酸配列にアミノ酸1個が付加され、且つ、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列において78位から91位までの計14個のアミノ酸が、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列の78位から90位までのアミノ酸と異なっている、すなわち、置換されたものである。 そうすると、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列”自体”は、訂正前の「配列番号:5のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換又は付加されているアミノ酸配列」に該当するから、訂正前の特許請求の範囲には含まれるといえる。 しかし、基となる訂正後の配列番号5のアミノ酸配列自体は、訂正前の配列とは特定位置の連続する14個ものアミノ酸が相違してしまう以上、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列を基にして1以上のアミノ酸を除去、置換又は付加する場合に包含される範囲は、訂正前の範囲とは必ずしも一致せず、訂正前の範囲以外の範囲をも包含することは、技術常識より推測できる。 そうすると、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列を基に、1以上の他のアミノ酸を除去、置換又は付加させた場合の範囲は、訂正前の範囲とは実質的には異なる可能性があるといえるから、訂正明細書の特許請求の範囲は特許明細書の特許請求の範囲を変更しているといえる。 したがって、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものと認める。 なお、訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、さらに配列番号18のアミノ酸配列及び該配列を基に1以上の他のアミノ酸を除去、置換又は付加させたものも含まれるが、この範囲と、訂正後の配列番号5のアミノ酸配列及び該配列を基に1以上の他のアミノ酸を除去、置換又は付加させた配列の範囲とも、異なると認める。 4.むすび 以上の通りであるから、上記訂正事項a乃至dは、実質上特許請求の範囲を変更するものと認められ、特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-07-01 |
結審通知日 | 2002-07-04 |
審決日 | 2002-07-16 |
出願番号 | 特願平3-514046 |
審決分類 |
P
1
41・
855-
Z
(C12N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高堀 栄二 |
特許庁審判長 |
徳廣 正道 |
特許庁審判官 |
齊藤 真由美 佐伯 裕子 |
登録日 | 2001-03-30 |
登録番号 | 特許第3173784号(P3173784) |
発明の名称 | グリホセート耐性植物 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 井上 満 |
代理人 | 相馬 貴昌 |
代理人 | 一入 章夫 |