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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 E04F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 E04F 審判 全部申し立て 2項進歩性 E04F 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 E04F |
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管理番号 | 1068826 |
異議申立番号 | 異議2001-72555 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-04-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-09-12 |
確定日 | 2002-10-07 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3180245号「配線用フロアパネル」の請求項1〜5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3180245号の請求項1〜5に係る特許を維持する。 |
理由 |
〔1〕手続の経緯 本件特許第3180245号発明についての出願は、平成8年9月30日に特許出願され、平成13年4月20日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、江井浩孝より、その請求項1〜5に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされ、当審において取消しの理由を通知したところ、その指定期間内の平成14年7月30日に訂正請求がなされた。 〔2〕訂正請求について 1 訂正請求の内容 本件訂正請求の趣旨は、特許第3180245号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、訂正事項は以下のとおりである。 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の「アップコンセント又はカバー板の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項b 発明の詳細な説明の段落【0005】の「アップコンセント又はカバー体の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項c 発明の詳細な説明の段落【0007】の「アップコンセント又はカバー体の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項d 発明の詳細な説明の段落【0008】の「アップコンセント又はカバー体を支持できるので、アップコンセント又はカバー体を支持することができる。」を、「カバー体を支持できる。」と訂正する。 訂正事項e 発明の詳細な説明の段落【0015】の「アップコンセント9(図7,図8参照)又はカバー板(図5,図6参照)」を、「カバー板(図5、図6参照)」と訂正する。 訂正事項f 発明の詳細な説明の段落【0032】の「また、この配線用フロアパネルによれば、センターポストでアップコンセントを支持できるので、アップコンセントの支持を強固にすることができる。また、この配線用フロアパネルによれば、」を、「また、この配線用フロアパネルによれば、」と訂正する。 2 訂正の適否 訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1における「アップコンセント又はカバー板の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。訂正事項b〜fは、特許請求の範囲の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであり、訂正事項b、c、fは、更に、誤記を訂正するものであって、訂正事項d、eは、明りょうでない記載の釈明を目的とし、訂正事項b、c、fは、明りようでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものである。そして、訂正事項a〜fは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、上記訂正事項a〜fの訂正は、特許法120条の4第2項ただし書の規定、同条3項で準用する特許法126条2項及び3項の規定に適合するので、本件訂正請求を認める。 〔3〕特許異議の申立てについて 1 異議申立ての理由の概要 異義申立人江井浩孝は、以下の理由により請求項1〜5に係る発明は、特許を受けることができないものであり、それらの特許は取り消されるべきである旨主張するとともに、甲第1号証〜甲第12号証及び周知例1〜5を提出している。 (1)請求項1に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された技術と同一、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された技術と同一、請求項3に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証、甲第7号証に記載された技術と同一、請求項4に係る発明は、甲第1号証、甲第6号証〜甲第8号証に記載された技術と同一、請求項5に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証、甲第7号証、甲第8号証に記載された技術と同一である。 (2)請求項1〜5に係る発明は、甲第1号証〜甲第12号証に記載されたもの及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)明細書の記載が、次の点で不備である。 ア 請求項1の記載において、薄肉連結片の意味が不明であり、限定記載する意味も不明である。 甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第8号証に開示の種々の周知技術から、薄肉連結の用語の意味は、床面の不陸追従性、可撓性を有する意味合いで広く知られ用いられているのが通常であり、この種の技術は一般常識である。 イ アップコンセント又はカバー板の支持台となる立設されたセンターポストは、本件特許の明細書の詳細な説明及び図7,図8を参照しても具体的な支持構成が開示されておらず、どのようにしてアップコンセントを支持するのかが不明りょうである。アップコンセントは、内部にコンセント器具が収納され必要な時に上方へ立ち上がらせるように取付台又は取付金具を有する構造のコンセントであることが広く知られており、センターポストが立設されていると、構造上邪魔になり強固に支持できない。 ウ 請求項1における「上面開口部」の構成に係る効果の記載がなく、この構成は意味のある必須の構成要件ではない。また、この構成が図示のどこに相当するのか、具体的な記載がない。 エ 請求項1における「アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部」に係る効果の記載がないので、この構成は意味のある必須の構成要件ではない。 2 本件発明 本件特許第3180245号の請求項1〜5に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明5」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】複数の方形支持ブロックの対向する側端の下部を薄肉連結片で相互に連結して直交配線溝を形成した配線用フロアパネルにおいて、上記方形支持ブロックの各々は開放した底面を有し、内裏面には複数のリブ柱を所定隙間を保持して突設させた構造となし、更に上記直交配線溝の側内壁から方形支持ブロックの外側立壁に通じるバイパス分岐路を形成した構造とし、その端部は上記方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成し、上記直交配線溝には、複数のスペーサブロックを長手方向に所定間隔を設けて、直交配線溝を区画し、上記直交配線溝を形成する薄肉連結片の交差箇所には、カバー板の支持台となるセンターポストを立設し、上記直交配線溝の交差部に位置する4つの方形支持ブロックの落し込み段部の隅部は、アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部を形成していることを特徴とする、配線用フロアパネル。 【請求項2】上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の、配線用フロアパネル。 【請求項3】上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されるとともに、この切込み溝に従って分割される薄肉連結片には、対応したスペーサブロックを対設していることを特徴とする、請求項2に記載の配線用フロアパネル。 【請求項4】上記直交配線溝の側内壁には、上記方形支持ブロックの内部に形成された上記リブ柱の小間隙を配線挿通路とする配線挿通孔を形成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線用フロアパネル。 【請求項5】 隣接する配線用フロアパネルの方形支持ブロックの落し込み段部同士に、カバー板を掛け渡して連結するようにした、請求項1〜4のいずれかに記載の配線用フロアパネル。」 3 特許異議の申立てについての判断 3-1 異議申立ての理由(1)(2)について 3-1-1 甲各号証の記載事項 甲第1号証(実願昭62-83835号(実開昭63-192539号)のマイクロフィルム)には、配線用フロアパネルに関して、「所定の間隔をおいて配置した中空で下面が開放している複数個の配線溝形成用方形ブロツクの下端部相互を連結することにより、ブロツクとブロツクの間に下端連結部を底とする直交配線溝を形成し、上記各方形ブロツクの側面の共通位置に設けた下辺側に開いている切欠部を通じてパネルの対応2側面間に連通する直交配管溝を形成し、上記直交配線溝の上面開口を、その開口縁に設けた段部に落し込み式にはまる十字形カバー板で覆つてパネルの上面を平らに構成したフロアパネル」(実用新案登録請求の範囲)、「ブロック相互の連結部2は、ブロック1の厚さより肉薄にすることにより、その連結部2に可撓性を与えている。」(明細書7頁10〜12行)、「配線溝3の上面開口縁に当る各正方形ブロック1の縁に段部7が設けられており、配線溝3の上面開口を一度に覆う十字形カバー板8が上記段部7に落し込み式にはまるようになっている。」(同7頁16〜19行)、「トンネル状配管溝6を電線・電話線等の配線に利用することもできる。」(同11頁4〜5行)と記載されている。 甲第2号証(実願平3-107231号(実開平6-10484号)のCD-ROM)には、配線用フロアパネルに関して、「【請求項1】方形パネルの上面に配線溝を直交させて設け、その配線溝の上面開口をカバー板でふさいで上面を平らに構成する配線用フロアパネルにおいて、配線溝の底を成す薄板部分に、カバー板の裏面の略中央を受ける突起を備えていることを特徴とする配線用フロアパネル。」(実用新案登録請求の範囲)と記載されている。 甲第3号証(実願平4-84860号(実開平6-47478号)のCD-ROM)には、配線を目的とする二重床に関して、「図6において、……二重床用パネル1は、……中空構造である。この二重床用パネル1の上面には、図6に示すように、十字状の溝2が形成され、この十字状の溝2により4つの矩形の分割パネル部3、4、5、6が形成されている。……底板部2aの幅方向の中央部には、溝2の延在する方向に所定間隔をおいて複数の壁部30が形成されている。……各分割パネル部3、4、5、6の上面の十字状の溝2に沿う周縁には、図6、図7に示すように、それぞれの段部3a……が形成され、これらの段部3a……には、後述する十字状の溝2の上部を覆う蓋体が配置される。」(段落【0012】、【0013】)と記載されている。 甲第4号証(特開昭61-60965号公報)には、二重床構造に関して、「床板2…には縦横、斜め、……適宜にルートを選択して共同溝3…が設置されている。共同溝3には電灯線4、コンセント線5……ガス管8や給水管9……の少なくとも1つがそのルートを選択して配設、配管される。共同溝3の上面は蓋11により……蓋される。」(2頁右下欄8〜15行)、「床板板2…は……コンクリート板などからなり、上記共同溝3を構成する側辺には、上縁部に載置段部15が形成されているとともに、この側辺には少なくとも1個の配線、配管引出し用切欠部16…が形成されている。」(3頁左上欄1〜6行)と記載されている。 甲第5号証(特開昭62-59755号公報)には、フリーアクセスフロア用パネルが記載され、第1図、第2図には、パネルの裏面に縦リブ3a、横リブ3bが直角に交差して配置した態様が示されている。 甲第6号証(特開昭64-10140号公報)には、支持構造材に関して、「上部壁1aに多数個の孔部1bを有し、かつ上壁部1aから下方に適当数の柱状体1cが突出され、……また、上壁部1aの孔部1bが形成されていない部分からは下方に壁状体1eが複数個設けられている。そして、柱状体1c、壁状体1eにより上壁部1aの下部空間を保持するように構成されている。」(明細書3頁8〜16行)、「この支持構造材1は必ずしも暖房用とは限らず、床上に並置しその上に床材を載置することにより、柱状体1c、壁状体1h、1iによって保持される空間を利用して諸種の配線や配管を敷設することができる。この場合に、孔部1bは配線配管の床上への引き出しに利用することができ」(同8頁7〜13行)と記載されている。 甲第7号証(特開平6-307063号公報)には、二重床装置に関して、「【請求項1】隅部裏面に脚部を突設させた三角形ブロック片を可撓性ヒンジ部で連結して平面視矩形に形成される床パネルと、連結蓋とを有し、前記床パネルの周縁には、適宜箇所に係合部を備えた段部が設けられるとともに、連結蓋の側縁には、前記段部上に支承され、かつ、係合部に係合する脚壁が設けられ、前記床パネルを連結蓋を介して互いに連結して床基部上適宜高さに床面を構築する二重床装置。」(特許請求の範囲)、「各三角形ブロック片2は、隅部裏面から突設される脚部1を有しており、不陸を有する床基部9上に載置した状態において、可撓性ヒンジ部3が不陸に追随して折れ曲がりつつ各三角形ブロック片2の脚部1が床基部9に密接する。なお、図4(b)において10は三角形ブロック片2を補強するためのリブを示す。」(段落【0015】)、「上記連結蓋5の長辺部には、U字状の切欠13が設けられており、床下配線の引き出し口が提供される。これに対し、コーナ連結用の連結蓋5Bは、図6に示すように、平面視略正方形状に形成されており、床パネル4の四隅部に形成された面取部4aに対応させて面取された四隅部裏面に脚壁8を備える。」(段落【0018】)と記載されている。 甲第8号証(特開平6-330611号公報)には、二重床構造体に関して、「床下地材21は、床基盤11の上に隣り合う床下地材21と所定の間隔D(図1参照)をおいて並設されている。床下地材21は、4つの単位小体21a,21b,21c,21dが屈曲性結合片23で結合されてなる合成樹脂製の一体成型品である。単位小体21a等は、それぞれ4隅の主脚25と中央の補助脚27ならびにその間の8本の補助脚29とを有し、各脚25,27,29の間には補強用のリブ31が設けられている。単位小体21a等の天板31の外周部には一段低くなって肩部33が形成されている。床下地材21と隣り合う床下地材21′とは、その主脚25,25′間に屈曲性連結片41が架設されて一体化されている。隣り合う床下地材21,21′の単位小体21bと21c′との間隔Dは、1つの床下地材21の単位小体(例えば21aと21d)との間隔dに等しい。」(段落【0009】)、「床下地材21と隣り合う床下地材21′とは間隔D(図1参照)を置いて並設され、屈曲性連結片41により互いに結合されている。そして、この床下地材21と21′との間隙部が収納溝35′を形成している。また、1つの床下地材21において、屈曲性結合片23により結合されている4つの単位小体21a,21b,21c,21dの間の空隙部も収納溝35を形成している。これら収納溝35,35′は互いに連通して縦横に連続し、この中に電気配線用のケーブル13が敷設されている。」(段落【0013】)、「仕上げ床パネル51は、縦横に形成される収納溝35,35′と同一パターンの固定蓋板59が裏面に固定され、固定蓋板59を収納溝35,35′に嵌合させて床下地材21,21′,21″,21′″上に載置される。床仕上げパネル51は、4つの床下地材21,21′,21″,21′″をまたがってこれらを覆い、固定蓋板59が床下地材の肩部33,33′,33″,33′″で支持されて収納溝35,35′を閉塞し、固定蓋板59の形成されていない部分の基材層53が床下地材21の天板31で支持されている。」(段落【0014】)と記載されている。 甲第9号証(実願昭56-20032号(実開昭57-133875号)のマイクロフィルム)には、フロアコンセント取付構造について記載されており、第1図に、床の開口に取付プレートを介してフロアコンセントを取り付けたフロアコンセント取付構造が示されている。 甲第10号証(実公平3-33148号公報)には、アップコンセントが記載されており、第2図に、コンセント本体が床上に突出した状態が示され、第3図に、コンセント本体が床下に没入した状態が示されている。 甲第11号証(実願昭62-97377号(実開昭64-9412号)のマイクロフィルム)には、二重床用コンセントに関して、「コンセントは上記の上鍔付円筒に固設されて床面に突出し、あるいは該円筒内に嵌入支持支持されてスプリングによって床面に出没可能に設置される。」(明細書2頁10〜13行)と記載されている。 甲第12号証(特開平5-153714号公報)には、床材に関して、「【請求項1】床面に敷設されることとなる床基材の表面に配線用の凹溝を凹設し、配線用の凹溝の上部開口を閉じるように凹溝の上部開口に蓋板を配置し、上記蓋板の設置部分の一部に蓋板の代わりに蓋板と平面形状が略同形状に形成された電気部品を設置して成ることを特徴とする床材。」(特許請求の範囲)、「配線用の凹溝2の上部開口には蓋板3が取付けられるようになっており、この蓋板3は凹溝2の形状に合わせて形成されている。蓋板3は図7に示されるように略正方形に形成された中央蓋板3aと、略長方形に形成された端部蓋板3bとで構成されており、図5、図6に示されるように基体1aの端縁上部に形成された係止段部5に側端を載置することで凹溝2の上部開口に設置されるようになっている。蓋板3の設置部分の一部には蓋板3の代わりに蓋板3と平面形状が略同形状に形成された電気部品4が設置されるようになっており、この電気部品4は凹溝2内に収納配置された電線6と接続されるようになっている。平面形状が蓋板3と略同形状に形成される電気部品4としては、図3、図4に示されるようなものがある。これらのものは電気部品本体4aの上部に蓋枠4bを設けて形成されており、電気部品本体4aは凹溝2内に収納配置され、蓋枠4bが凹溝2の上部開口に設置されるようになっている。この蓋枠4bは外形形状を電気部品4が設置される設置部分に設置されることとなっていた蓋板3の外形形状と略同形状に形成されており、設置状態では隣合う蓋板3との間に隙間が形成されたりするようなことなく凹溝2の上部開口に設置することができるようになっている。図3に示されるものは、中央蓋板3aの設置部分に設置されるようになった種々の構造のものを示しており、電源用のコンセント7や通信ネットワーク用のコネクタ8や電話のジャック9等を内蔵するようにしたものがあり」(段落【0008】〜【0010】)と記載されている。 周知例1(実公平7-46021号公報)には、「【請求項1】床基盤上に適宜間隔を隔てて多数枚の床パネルを敷設してなる二重床において、4枚の床パネルの隅角部の接合部において、平面視略コ字形の床パネル連結部とコンセント取付部とを有する一対の取付金具を対向配置し、該取付金具にて互いに隣接する2枚の床パネルの側端縁同士をそれぞれ連結するとともに、両取付金具のコンセント取付部間にコンセントを固着してなる」(実用新案登録請求の範囲)、「両取付金具20のコンセント取付部22の螺孔25へコンセント30を上方から止めネジ40,40にて固着するものである。」(3頁左欄27〜29行)、「コンセント本体32を床パネル1,1間の間隙16からフロアプレート31外に出没自在に外フロアプレート31下面に枢支する」(3頁左欄33〜35行)と記載されている。 周知例2(特開昭61-38063号公報)には、二重床構造における配線溝となる条溝体15の蓋に関し、「条溝体蓋23は、コンセント取付け孔25を形成した他の条溝体蓋23a……等を、必要に応じて選択的に使用する。」(3頁左下欄14〜17行)と記載され、条溝体15を連結するジョイント16に関し、「ジョイント16…には蓋11の1部となるジョイント蓋30…が施蓋される。これらジョイント蓋30…は必要に応じてパイプ導出孔31やコンセント取付け孔32などを備えている。そして、ジョイント蓋30はジョイント16の上面を覆うと、ネジ33…によりジョイント16の支持壁28…に固定される。」(3頁右下欄18〜4頁左上欄3行)と記載されている。 周知例3(特開平6-158828号公報)には、配線機能付き二重床装置に関し、「コーナーピットカバー4は、……周縁下面を各床パネル1の段部8に載置し……取付孔25,…に通したネジ26,…を、各床パネル1の段部8のコーナー部に形成したネジ穴27,…に螺合して締着するのである。……コーナーピットカバー4,…の内の幾つかは、その中央部に配線コード19を床パネル1上に導出するための引出口28を形成し、」(段落【0017】)と記載されている。 周知例4(特開平7-331851号公報)には、配線用二重床フロアパネルに関し、「カバー板を床基材21に固定する方式として、方形ブロック2の落とし込み段部3に固定した。そのための固定手段は、ねじ87のように対角線上の位置にそれぞれ2個設けて、落とし込み段部にねじ止めし」(段落【0028】)と記載されている。 周知例5(特開平8-130821号公報)には、配線用床材に関し、「オフィスルームの基礎床面1には合成樹脂によって一体に形成された方形の配線用床材2が所定の間隔をおいて碁盤目状に敷設されている。前記配線用床材2は方形板状の天板2aと、前記天板2aの基礎床面1側の縁部に設けられた板状の支持脚2bと、前記天板2aの裏面の基礎床面1側に突設された補強用のリブ2cとが一体に形成されている。」(段落【0015】)、「隣接する配線用床材2との間には所定幅の空間を有する配線ピット3が形成されている。前記配線ピット3の上部は、隣接する配線用床材2の天板2aの周縁部に形成された段部に鋼板、アルミニウム板或いは硬質の合成樹脂等からなる蓋体4が載置されており、」(同【0016】)と記載されている。 3-1-2 対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1と甲第1号証〜甲第12号証記載のものとを対比すると、甲第1号証〜甲第12号証のいずれにも、本件発明1を特定する事項である「直交配線溝の側内壁から方形支持ブロックの外側立壁に通じるバイパス分岐路を形成した構造とし、その端部は上記方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成し」については記載されていないし、示唆もされていない。また、異議申立人が提出した周知例を参照しても、上記事項が周知技術であるともいえない。 なお、甲第1号証に記載の「方形ブロツクの側面の共通位置に設けた下辺側に開いている切欠部を通じてパネルの対応2側面間に連通する直交配管溝」は、電線・電話線等の配線に利用することもできるものであるが、本件発明1のような「バイパス分岐路」であるのか不明であるし、「方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部」を有していない。甲第4号証には、「バイパス分岐路」は記載されていないし、床板2の側辺に形成された配線、配管引出し用切欠部16は、共同溝3から配線、配管を外に引き出すためのものであり、本件発明1における、バイパス分岐路の端部から配線を引き出すための「上面開口部」を示唆するものではない。甲第7号証には、「バイパス分岐路」は記載されていないし、連結蓋5の長辺部に設けられたU字状の切欠13は、連結蓋5の下方の空間にある配線を引き出すためのものと解され、本件発明1における、バイパス分岐路の端部から配線を引き出すための「上面開口部」を示唆するものではない。 そして、本件発明1は、上記事項により特定されることにより、明細書に記載の「配線の幹線となる直交配線溝の側内壁に配線挿通孔を形成して、方形支持ブロックの内部から外側立壁にはバイパス分岐路を形成しているので、幹線から分岐した配線を、バイパス分岐路を通り最短距離で方形支持ブロックの外側に導出でき、また、方形支持ブロックの外側より導出している配線を直交配線溝まで導入できる。更に、OA機器などを配線して使用する場合も、配線の引き出しを直交配線溝からではなく、方形支持ブロックの外側からもでき、より隠蔽効率を高めることができる。」(段落【0030】、【0031】)との格別の効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲第1号証〜甲第12号証に記載されたものとすることができないばかりでなく、甲第1号証〜甲第12号証記載のもの及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 (2)本件発明2〜5について 本件発明2〜5は、本件発明1を引用して特定事項をさらに限定するものであるから、本件発明1が、甲第1号証〜甲第12号証に記載されたものとすることができないばかりでなく、甲第1号証〜甲第12号証記載のもの及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともすることができない以上、本件発明2〜5は、甲第1号証〜甲第12号証に記載されたものとすることができないばかりでなく、甲第1号証〜甲第12号証記載のもの及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 3-2 異議申立ての理由(3)について (1)アの点について検討すると、本件発明1の「薄肉連結片」は、当業者であれば、異議申立人も述べているように、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第8号証にも開示されているような、床面の不陸追従性、可撓性を有する程度の厚みの連結片を意味するものと理解できるので、「薄肉連結片」の意味が不明であるということはできない。そして、特許請求の範囲の請求項には、特許法36条5項の規定により、特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載することになっており、しかも、同36条5項は、異議申し立ての理由とされていないから、アの点で記載が不備であるとすることはできない。 (2)イについて検討すると、願書に添付した明細書が訂正され、アップコンセントの支持台となるセンターポストに関する事項は削除されたので、イの点の記載不備は解消した。 (3)ウの点について検討すると、訂正明細書の請求項1及び発明の詳細な説明の段落【0005】の【課題を解決するための手段】の欄に、「上記直交配線溝の側内壁から方形支持ブロックの外側立壁に通じるバイパス分岐路を形成した構造とし、その端部は上記方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成し」と記載されており、この記載によると、バイパス分岐路の端部は方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成していると理解でき、図1にも、バイパス分岐路7の端部に方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いて形成された上面開口部7aが示されており、明細書の発明の詳細な説明には、「上面開口部」について明確に記載されている。そして、特許請求の範囲の請求項には、特許法36条5項の規定により、特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載することになっており、しかも、同36条5項は、異議申し立ての理由とされていないから、ウの点で記載が不備であるとすることはできない。 (4)エの点について検討すると、上記(3)で述べたように、特許請求の範囲の請求項には、特許法36条5項の規定により、特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載することになっており、しかも、同36条5項は、異議申し立ての理由とされていないから、エの点で記載が不備であるとすることはできない。 〔4〕むすび 以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1〜5についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1〜5についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 配線用フロアパネル (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の方形支持ブロックの対向する側端の下部を薄肉連結片で相互に連結して直交配線溝を形成した配線用フロアパネルにおいて、上記方形支持ブロックの各々は開放した底面を有し、内裏面には複数のリブ柱を所定隙間を保持して突設させた構造となし、更に上記直交配線溝の側内壁から方形支持ブロックの外側立壁に通じるバイパス分岐路を形成した構造とし、その端部は上記方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成し、上記直交配線溝には、複数のスペーサブロックを長手方向に所定間隔を設けて、直交配線溝を区画し、上記直交配線溝を形成する薄肉連結片の交差箇所には、カバー板の支持台となるセンターポストを立設し、上記直交配線溝の交差部に位置する4つの方形支持ブロックの落し込み段部の隅部は、アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部を形成していることを特徴とする、配線用フロアパネル。 【請求項2】 上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の、配線用フロアパネル。 【請求項3】 上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されるとともに、この切込み溝に従って分割される薄肉連結片には、対応したスペーサブロックを対設していることを特徴とする、請求項2に記載の配線用フロアパネル。 【請求項4】 上記直交配線溝の側内壁には、上記方形支持ブロックの内部に形成された上記リブ柱の小間隙を配線挿通路とする配線挿通孔を形成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線用フロアパネル。 【請求項5】 隣接する配線用フロアパネルの方形支持ブロックの落し込み段部同士に、カバー板を掛け渡して連結するようにした、請求項1〜4のいずれかに記載の配線用フロアパネル。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、室内の床面に敷設され、室内に通信ケーブルやOA機器等の配線を露出することなく施工するための配線用フロアパネルに関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の配線用フロアパネルとして、例えば、図15に示すように、四方に配置された中空の方形ブロックaを薄肉の連結片bで連結して、この薄肉の連結片bを直交配線溝としたものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、上記従来のフロアパネルにおいては、方形ブロックaの裏面側が中空に形成されているために、この方形ブロックaを大きく形成したり、上部支持面を薄肉に形成すると、強度的に弱いものとなるので、方形ボードaの大きさに制限があるといった問題があった。 【0004】 更に、配線は直交配線溝bに限られてしまい、方形ブロックaには配線できないので、配線の形態が限られるという問題があった。本発明は、上記従来の問題に鑑みて提案されたものであって、配線を自由に行え、強度的にも強くできて方形支持ブロックの寸法を大きくでき、配線施工を容易に行うことができる配線用フロアパネルを提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、請求項1の配線用フロアパネルは、複数の方形支持ブロックの対向する側端の下部を薄肉連結片で相互に連結して直交配線溝を形成した配線用フロアパネルにおいて、方形支持ブロックの各々は開放した底面を有し、内裏面には複数のリブ柱を所定隙間を保持して突設させた構造となし、更に上記直交配線溝の側内壁から方形支持ブロックの外側立壁に通じるバイパス分岐路を形成した構造とし、その端部は方形支持ブロックの外側立壁から上面にかけて切り欠いた上面開口部を形成し、直交配線溝には、複数のスペーサブロックを長手方向に所定間隔を設けて、直交配線溝を区画し、直交配線溝を形成する薄肉連結片の交差箇所には、カバー体の支持台となるセンターポストを立設し、直交配線溝の交差部に位置する4つの方形支持ブロックの落し込み段部の隅部は、アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部を形成していることを特徴とする。 【0006】 この配線用フロアパネルでは、方形支持ブロックの内裏面に複数のリブ柱を所定間隔を保持して突設しているため、上部支持面を薄くできるので、中空のものに比べて耐荷重を向上でき、かつ方形ブロックを大きく形成することができる。 【0007】 この配線用フロアパネルでは、直交配線溝を複数のスペーサブロックで区画しているので、幹線通路を2つに分岐して使用でき、電力線と通信線、往復の通信路、電気系の配線などを2つに分岐して施工できる。また、この配線用フロアパネルは、上記直交配線溝を形成する薄肉連結片の交差箇所にはカバー体の支持台となるセンターポストを立設している。 【0008】 この配線用フロアパネルでは、センターポストでカバー体を支持できる。また、この配線用フロアパネルは、上記直交配線溝の交差部に位置する4つの方形支持ブロックの落し込み段部の隅部は、アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部を形成している。 【0009】 この配線用フロアパネルでは、アップコンセントの取付台をネジ止めするための孔部を形成しているので、アップコンセントを床面に固定する必要がなく、取付台を方形支持ブロックに取付けることができ、施工が行い易く、外観も良好なものとすることができる。請求項2の配線用フロアパネルは、請求項1に記載の配線用フロアパネルの、上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されている。 【0010】 この配線用フロアパネルでは、方形支持ブロックの上面に十文字の切込み溝が形成されているので、フロアパネルを施工現場の床面のスペースや形状に応じて適宜切断して使用でき、施工を容易にできる。請求項3の配線用フロアパネルは、請求項2に記載の配線用フロアパネルの、上記方形支持ブロックの上面には、方形支持ブロックを4分割するための十文字の切込み溝が形成されるとともに、この切込み溝に従って分割される薄肉連結片には、対応したスペーサブロックを対設している。 【0011】 この配線用フロアパネルでは、フロアパネルのサイズを変更した場合でも、スペーサブロックがあるので、直交配線溝を区画して使用できる。請求項4の配線用フロアパネルは、請求項1〜3のいずれかに記載の配線用フロアパネルの、上記直交配線溝の側内壁には、上記方形支持ブロックの内部に形成された上記リブ柱の小間隙に対応した配線挿通孔を形成している。 【0012】 この配線用フロアパネルでは、配線挿通孔から方形支持ブロックの内裏面のリブ柱間の間隙を通して配線することができるので、バイパス通路以外にも配線通路として使用できる。請求項5の配線用フロアパネルでは、請求項1〜4のいずれかに記載の配線用フロアパネルの、隣接する配線用フロアパネルの方形支持ブロックの落し込み段部同士に、カバー板を掛け渡して連結するようにした。 【0013】 【発明の実施の形態】 以下、本発明に係る配線用フロアパネルの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態の配線用フロアパネルの斜視図、図2は平面図、図3は底面図、図4は主要部である方形支持ブロックの裏面側から見た斜視図である。 【0014】 本実施の形態の配線用フロアパネル1は、図1〜図4に示すように、複数の方形支持ブロック2の対向する側端の下部を薄肉連結片3で相互に連結して直交配線溝4を形成し、方形支持ブロック2の各々は開放した底面を有し、内裏面には底面視X字形の複数のリブ柱5を所定隙間を保持して突設させ、直交配線溝4の側内壁4aから方形支持ブロック2の外側立壁2jに通じるバイパス分岐路7が形成されている。 【0015】 更に、直交配線溝4には、複数のスペーサブロック8を長手方向に所定間隔を設けて、直交配線溝4を区画している。また、直交配線溝4を形成する薄肉連結片3の交差箇所には、カバー板(図5,図6参照)の支持台となるセンターポスト10が立設されている。 直交配線溝4の交差部に位置する4つの方形支持ブロック2の落し込み段部2aの隅部には、アップコンセント9(図7,図8参照)の取付台9aをネジ止めするための孔部2bが形成されている。 【0016】 更に、方形支持ブロック2の上面2cには、方形支持ブロック2を4分割するための十文字の切込み溝2dが形成されているとともに、この切込み溝2dに従って分割される薄肉連結片3には、対応したスペーサブロック8が対設されている。直交配線溝4の側内壁4aには、方形支持ブロック2の内部に形成されたリブ柱5の小間隙5aに対応した配線挿通孔5bが形成されている。 【0017】 方形支持ブロック2の落し込み段部2aの所定箇所には、直交配線溝4を覆うためのカバー板10’(図5,図6参照)に形成された複数の止め穴10’aと対応する箇所に、これらの止め穴10’aに嵌入される複数の小突起2eが突設されている。薄肉連結片3の交差箇所は適宜大きさ切り落とされており、また三方の薄肉連結片3の外縁部分も適宜大きさ切り落とされている。 【0018】 また、スペーサブロック8はそれぞれ中空に形成され、長手方向略中央部に補強内壁8aが形成されている。方形支持ブロック2の落し込み段部2aの裏側は中空に形成され、適宜箇所に補強用リブ柱2fが突設されている。そして、この中空部2gと複数のリブ柱5との間には、区画壁2hが形成され、区画壁2hにおける側内壁5に形成された配線挿通孔5bに対応した箇所にも配線用挿通孔2iが形成されている。 【0019】 上記のように構成された配線用フロアパネル1は、室内の床面に敷設して配線施工した後、図5,図6に示すように、カバー板10’を薄肉連結片3即ち直交配線溝4を覆うように、その縁部を方形支持ブロック2の落し込み段部2aに載置し、このカバー板10’の複数の止め穴10’aに落し込み段部2aの複数の小突起2eが嵌入されて位置決め固定されようになっている。この際、カバー板10’は、上記センターポスト10によって、その中央部分が支持されている。 【0020】 尚、複数の配線用フロアパネル1を床面に敷設した場合には、一方の配線用フロアパネル1の方形支持ブロック2の落し込み段部2aと他方の配線用フロアパネル1の方形支持ブロック2の落し込み段部2aとの間に、長い寸法のカバー板10’を、落し込み段部2aの小突起2eにカバー体10の止め穴10’aをそれぞれ嵌込んで懸け渡すことによって、これら2つの配線用フロアパネル1をカバー板10’を介して連結することができるようになっている。 【0021】 アップコンセント9は、図7に示すように、コンセント本体9Aと蓋材9Bとからなり、コンセント本体9Aのコンセント部9eを前向きにして、取付台9aの四隅部の孔部9bを四方の方形支持ブロック2の落し込み段部2aの内側隅部に設けられた孔部2bに合わせてネジ止めするようになっている。アップコンセント9の蓋材9Bの適宜箇所には、配線取り出し用の2つの孔部9cが設けられ、この孔部9cは切り込みを設けた薄肉のゴム材9dによって覆われている。 【0022】 スペーサブロック8で区画された直交配線溝4には、図9に示すように、両端部にコンセントを有する矩形の配線接続用コンセント11がピッタリと嵌入されるようになっており、この配線接続用コンセント11の上面の縁部に形成されたネジ止め用孔部11aと、これに対応する方形支持ブロック2の落し込み段部2aに設けられたネジ止め用孔部2fとの間に、連結用小片(図示略)を懸け渡して、この連結用小片の両端を各ネジ止め用孔部11a,2fにネジ止めすることによって、配線接続用コンセント11が位置決め固定されるようになっている。 【0023】 図10〜図12に示すのは、床面に敷設した配線用フロアパネル1の周囲における半端なスペースに嵌入られるボーダブロック12であって、このボーダブロック12の表面には複数条の切断用切込み12aが形成され、裏面には裏面視X字形の大小のリブ柱12b,12cが突設されている。このボーダブロック12を半端なスペースに嵌入するには、この半端なスペースの形状、大きさに合わせて、適宜な形状、大きさに切断してから嵌入する。 【0024】 このボーダブロック12によって、床面に敷設した配線用フロアパネル1の周囲における半端なスペースを埋めることができて、外観が良くなる利点があり、半端なスペースが露出することを無くすことができる。次に、図13を参照しつつ、配線用フロアパネル1の第1の使用例について説明する。 【0025】 図13は、4つの配線用フロアパネル1を突き合わして床面に敷設した状態を示しており、中央部に4つの方形支持ブロック2が位置するように敷設している。このように、中央部に4つの方形支持ブロック2が集まるので、耐重量性が大きくなる利点がある。各配線用フロアパネル1の直交配線溝4は、それぞれ連設された状態となり、この連設された直交配線溝4に、機器の配線を連続して施工できるので、配線施工が行い易い利点がある。 【0026】 更に、一方の配線用フロアパネル1の方形支持ブロック2の落し込み段部2aと他方の配線用フロアパネル1の方形支持ブロック2の落し込み段部2aとの間に、長い寸法のカバー板(図示せず。)を懸け渡すことによって、これらの配線用フロアパネル1をカバー板(図示せず。)を介して強固に連結することができる。次に、図14を参照しつつ、配線用フロアパネル1の第2の使用例について説明する。 【0027】 図14は、4つの配線用フロアパネル1を突き合わして床面に敷設した状態を示しており、図面上で後部側に位置する2つの配線用フロアパネル1は、各々後側の2つの方形支持ブロック2をその切込み溝2dから切断して外側部分を切除している。このように、床面の広さ等に合わせて、方形支持ブロック2をその切込み溝2dから切断して切除できるので、多種の形状の床面に対応することができて施工性が良い利点がある。 【0028】 この第2の使用例においても、中央部に4つの方形支持ブロック2が集まるので、耐重量性が大きくなる利点がある。尚、上記第1,第2の使用例において、複数の配線用フロアパネル1を突き合わして床面に敷設した場合に、床面の隅部等に床面が露出するときには、図10〜図11に示すボーダブロック12を適宜な大きさに切断してから、敷設することによって、床面が露出する部分を無くすことができる。 【0029】 【発明の効果】 以上説明したように、請求項1の配線用フロアパネルによれば、方形支持ブロックの内裏面に複数のリブ柱を所定間隔を保持して突設しているので、中空のものに比べて耐荷重を向上でき、かつ方形支持ブロックを大きく形成することができて施工を容易にできる。 【0030】 更に、直交配線溝も大きくできるので、配線を立体交差させた状態でもこの配線を収容できる。また、配線の幹線となる直交配線溝の側内壁に配線挿通孔を形成して、方形支持ブロックの内部から外側立壁にはバイパス分岐路を形成しているので、幹線から分岐した配線を、バイパス分岐路を通り最短距離で方形支持ブロックの外側に導出でき、また、方形支持ブロックの外側より導出している配線を直交配線溝まで導入できる。 【0031】 更に、OA機器などを配線して使用する場合も、配線の引き出しを直交配線溝からではなく、方形支持ブロックの外側からもでき、より隠蔽効率を高めることができる。また、この配線用フロアパネルによれば、直交配線溝を複数のスペーサブロックで区画しているので、幹線通路を2つに分岐して使用でき、電力線と通信線、往復の通信路、電気系の配線などを2つに分岐して施工することができる。 【0032】 また、この配線用フロアパネルによれば、アップコンセントを床面に固定する必要がなく、取付台を方形支持ブロックに取付けることができ、施工が行い易く、外観も良好なものとすることができる。 【0033】 請求項2の配線用フロアパネルによれば、方形支持ブロックの上面に十文字の切込み溝が形成されているので、フロアパネルを施工現場の床面のスペースや形状に応じて適宜切断して使用でき、施工を容易にできる。請求項3の配線用フロアパネルによれば、フロアパネルのサイズを変更した場合でも、スペーサブロックがあるので、直交配線溝を区画して使用できる。 【0034】 請求項4の配線用フロアパネルによれば、配線挿通孔から方形支持ブロックの内裏面のリブ柱間の間隙を通して配線することができるので、バイパス通路以外にも配線通路として使用できる。請求項5の配線用フロアパネルによれば、隣接する配線用フロアパネル同士がカバー体を掛け渡して相互に連結される。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る配線用フロアパネルの実施の形態の斜視図である。 【図2】配線用フロアパネルの平面図である。 【図3】配線用フロアパネルの底面図である。 【図4】配線用フロアパネルの方形支持ブロックの部分を裏側から見た部分斜視図である。 【図5】配線用フロアパネルの直交配線溝部分に、カバー板を被せる状態を示す分解斜視図である。 【図6】配線用フロアパネルの直交配線溝部分をカバー板で覆った状態を示す斜視図である。 【図7】配線用フロアパネルの直交配線溝の直交部分にアップコンセントを取り付けるときの状態を示す分解斜視図である。 【図8】配線用フロアパネルの直交配線溝の直交部分にアップコンセントを取り付けた状態を示す斜視図である。 【図9】スペーサブロックで区画された直交配線溝に、配線接続用ブロックを嵌入した状態を示す斜視図である。 【図10】ボーダブロックの平面図である。 【図11】ボーダブロックの底面図である。 【図12】ボーダブロックの側面図である。 【図13】4つの配線用フロアパネルを床面に敷設施工した第1の使用例を斜視図である。 【図14】2つの配線用フロアパネルの方形支持ブロックの一部を切除した状態で、4つの配線用フロアパネルを床面に敷設施工した第2の使用例を示す斜視図である。 【図15】従来の配線用フロアパネルの一例を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 配線用フロアパネル 2 方形支持ブロック 2a 落し込み段部 2b 孔部 2d 十文字の切込み溝 2j 外側立壁 3 薄肉連結片 4 直交配線溝 4a 側内壁 5 リブ柱 5a 小間隙 5b 配線挿通孔 7 バイパス分岐路 8 スペーサブロック 9 アップコンセント 9a 取付台 10 センターポスト 10’ カバー体 10’a 止め穴 |
訂正の要旨 |
〔訂正の要旨〕 特許第3180245号の明細書を、特許請求の範囲の減縮を目的として下記訂正事項aのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的として下記訂正事項d、eのとおり、明瞭でない記載の釈明及び誤記の訂正を目的として訂正事項b、c、fのとおり訂正する。 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の「アップコンセント又はカバー板の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項b 発明の詳細な説明の段落【0005】の「アップコンセント又はカバー体の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項c 発明の詳細な説明の段落【0007】の「アップコンセント又はカバー体の支持台となる」を、「カバー板の支持台となる」と訂正する。 訂正事項d 発明の詳細な説明の段落【0008】の「アップコンセント又はカバー体を支持できるので、アップコンセント又はカバー体を支持することができる。」を、「カバー体を支持できる。」と訂正する。 訂正事項e 発明の詳細な説明の段落【0015】の「アップコンセント9(図7,図8参照)又はカバー板(図5,図6参照)」を、「カバー板(図5、図6参照)」と訂正する。 訂正事項f 発明の詳細な説明の段落【0032】の「また、この配線用フロアパネルによれば、センターポストでアップコンセントを支持できるので、アップコンセントの支持を強固にすることができる。また、この配線用フロアパネルによれば、」を、「また、この配線用フロアパネルによれば、」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-09-17 |
出願番号 | 特願平8-259906 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YA
(E04F)
P 1 651・ 113- YA (E04F) P 1 651・ 121- YA (E04F) P 1 651・ 536- YA (E04F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 七字 ひろみ |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 蔵野 いづみ |
登録日 | 2001-04-20 |
登録番号 | 特許第3180245号(P3180245) |
権利者 | 株式会社ライオン事務器 |
発明の名称 | 配線用フロアパネル |
代理人 | 中井 宏行 |
代理人 | 中井 宏行 |