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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 C03C |
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管理番号 | 1068851 |
異議申立番号 | 異議2001-71968 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-07-18 |
確定日 | 2002-10-15 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3126737号「無機質繊維」の請求項1ないし3、17ないし20に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3126737号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件手続の経緯 本件特許第3126737号は、1994年8月2日及び1995年4月28日に英国にした特許出願に基づいて優先権主張をして平成7年(1995年)7月31日に出願され、平成12年11月2日に設定登録されたものである。 これに対し、平成13年7月18日に東芝モノフラックス株式会社より特許異議の申立がなされ、平成13年11月26日付で取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年3月7日に特許異議意見書と訂正請求書が提出されたものである。 2.訂正の適否 2-1.訂正の要旨 平成14年3月7日付の訂正請求における訂正の要旨は次のとおりである。 (イ)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1〜16を次のとおりに訂正する。 「【請求項1】無機質繊維であって、該繊維の真空成形されたプレフォームが1260℃で24時間暴露されたとき3.5%以下の収縮を示し、該繊維がSrO、Al2O3、および該繊維形成をするに十分であるが収縮が3.5%を超えるような量ではない繊維形成添加剤を含み、かつ該SrOの含量が35重量%以上である、無機質繊維。 【請求項2】繊維形成添加剤が、SiO2を含み、且つ成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも90重量%を構成する請求の範囲第1項に記載の無機質繊維。 【請求項3】成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも95重量%を構成する請求の範囲第2項に記載の無機質繊維。 【請求項4】SrO 41.2〜63.8重量% Al2O3 29.9〜53.1重量% を含む請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項5】2.76重量%超14.9重量%未満のSiO2を含む請求の範囲第4項に記載の無機質繊維。 【請求項6】真空プレフォームが、1400℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項7】Al2O3の量が48.8重量%未満である請求の範囲第6項に記載の無機質繊維。 【請求項8】真空プレフォームが、1500℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項9】SrO、Al2O3およびSiO2の全量に対するSrOの重量%が、53.7重量%超59.6重量%未満の範囲にある請求の範囲第8項に記載の無機質繊維。 【請求項10】SrO 53.2〜57.6重量% Al2O3 30.4〜40.1重量% SiO2 5.06〜10.1重量% を含む請求の範囲第9項に記載の無機質繊維。 【請求項11】2.46重量%未満の量でNa2Oを含む請求の範囲第1項ないし第10項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項12】真空プレフォームが、1550℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第11項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項13】SrO 53.2〜54.9重量% Al2O3 39.9〜40.1重量% SiO2 5.06〜5.34重量% を含む請求の範囲第12項に記載の無機質繊維。 【請求項14】請求の範囲第1項ないし第13項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する無機質繊維。 【請求項15】請求の範囲第1項ないし第14項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する水和可能な無機質繊維。」 (ロ)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項17乃至20を削除する。 2-2.訂正の目的の適否および新規事項、拡張・変更の有無 上記(イ)の請求項1〜3の訂正は、特許請求の範囲の旧請求項1〜3を削除し、旧請求項1〜3を引用する旧請求項4の内容を、新請求項1〜3として全文記載形式で記載し直しただけのものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、上記(イ)の請求項4〜15の訂正も、上記訂正に伴って、請求項数を繰り上げると共に、引用する請求項の番号を整理するものであるから、特許請求の範囲の減縮とこれに伴う明りょうでない記載の釈明に該当する。 上記(ロ)の訂正は、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 そして、上記(イ)及び(ロ)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 2-3.まとめ 以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.訂正後の本件発明 訂正後の本件発明は、上記「2-1(イ)」に示すとおりのものである。 4.特許異議申立てについて 4-1.特許異議申立ての概要 特許異議申立人東芝モノフラックス株式会社は、証拠方法として甲第1号証(WO93/15028号公報)及び甲第2号証(甲第1号証に対応する公表公報である特表平7-502969号公報)を提出して、本件請求項1〜3、17〜20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであると主張している。 4-2.当審の判断 特許異議申立ての対象とされた旧請求項1〜3、17〜20は、上記訂正によりすべて削除されたので、特許異議申立ての理由は解消されたと云える。 5.むすび したがって、訂正後の本件請求項1〜15に係る特許は、特許異議申立の理由および証拠方法によっては取り消すことができない。 また、他に訂正後の本件請求項1〜15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 無機質繊維 【発明の詳細な説明】 この発明は、合成無機酸化物繊維に関するものである。この発明はまた、かかる繊維から製造された製品に関するものである。 無機質繊維物質はよく知られており、多くの目的(例えば、バルク状、マット状、ブランケット状での断熱材や防音材として、真空成形体として、真空成形ボードや紙として、ロープ、ヤーンや織物として、建築材料の補強材として、車両のブレーキブロックの材料として)に広く使用されている。無機質繊維が使用されるこれらの用途の多くの場合、耐熱性や、しばしば苛酷な化学的な環境における耐性が要求される。 無機質繊維はガラス状または結晶状であってもよい。アスベストは無機質繊維であって、その1形態は呼吸器疾患に深くかかわっている。ある種のアスベストが病気の原因となるメカニズムは明確ではないが、研究者のある者たちは、機械的な性質及びサイズが関係していると信じている。特定のサイズのアスベストは体の細胞を突き抜き、これが長くかつ繰り返されると、健康に悪い影響を及ぼす。このメカニズムが真実であるかどうかは別にして、またその証拠の有無に拘わらず、当局は呼吸器的断片を有するいかなる無機質繊維をも、有害物として分類する意向をもっている。不幸なことに、無機質繊維が使用されている多くの用途には、現実的な代替物がない。 したがって、リスクができるだけ少なく(もしあっても)、かつそれが安全であるという客観的な根拠のある無機質繊維の出現が求められている。 研究の過程において、もし生理液体に十分溶解する無機質繊維が得られたならば、損傷が起こらず、また少なくとも最小限にとどまるということが、言われている。アスベストが関係する病気のリスクがそれに曝される時間の長さに関連すると思われるので、上記のアイデアは合理的であるように思われる。アスベストは非常に不溶性である。 細胞内の液体はその本質は生理食塩水(saline)であるので、繊維の生理食塩水に対する溶解性の重要性は長く認識されていた。もし繊維が生理食塩水に溶解性であり、溶解した成分が無毒性であれば、この繊維は不溶解の繊維よりも安全である。繊維が体内に留まる時間が短ければ短いほど、害を及ぼすことが少ない。 そのような繊維は、本出願人の先の国際出願WO93/15028およびWO94/15883により例示され、そこでは1000℃および1260℃でそれぞれ使用可能な生理食塩水溶解性の繊維を開示している。 また別の研究では、体液中で繊維の性質を喪失する水和可能な繊維は、形状やサイズが損傷を与えるような繊維にも、安全な他のルートを与えることを提案している。このルートは、シリカの無い組成物を提供することを目的とする欧州特許出願第0586797号、同第0565547号により例示され、2つのカルシウムアルミネート組成物を開示している。その1つは、50/50重量%アルミナ/仮焼石灰であり、他の1つは63/30重量%アルミナ/仮焼石灰に5%CaSO4および2%の他の酸化物である。これらの繊維は容易に水和してその繊維特質を喪失する。アスベストは水和せず、体液中においても繊維形状を無限に維持するように思われる。 出願人は、ストロンチウムアルミネート組成物は、溶融状態からブローして繊維を形成するようには見えないが、一方、シリカを含有するような組成物は繊維を形成する。このような繊維は、カルシウムアルミネート繊維のように水和するように思われ、さらにまた、高温での使用の可能性をも示す。かかる繊維の或るものの真空成形された予備成形体(プレフォーム)は、1260℃で24時間暴露されたときは3.5%以下の収縮を示し;あるものは1400℃で24時間暴露された場合3.5%以下の収縮を示し;あるものは1500℃で24時間暴露された場合3.5%以下の収縮を示す。かかる繊維は、前記したような製品に使用可能な水和可能な高温繊維を提供する。 したがって、本発明は、真空成形された予備成形体が1260℃で24時間暴露されたとき3.5%以下の収縮を示し、繊維がSrO、Al2O3、および繊維形成をするに十分であるが収縮が3.5%を超えるような量ではない繊維形成添加剤からなる、無機質繊維を提供する。 好ましくは、繊維形成添加剤はSiO2を含み、成分SrO、Al2O3およびSiO2は、繊維組成物の少なくとも90重量%(さらに好ましくは95重量%以上)を構成する。 本発明の範囲は、添付されたクレームと、以下の記載内容を参照すれば明確となる。 以下において、生理食塩水に溶解する繊維に言及される場合は、以下に示すような方法により測定した場合、10ppmを超える全溶解度(好ましくはこれよりも高い溶解度)を有する繊維を意味するものとする。 表1、2および3を参照して、実験結果を以下に示す。 表1は、従来の方法において溶融且つブローされた一連の組成物を示している。“&”として示される組成物は、有用な範囲まで繊維を形成しなかったが、ショット(shot)は形成したものである。各組成物ごとに、重量%における解析された組成(X線螢光分析により判明したもの)を示す。数値“<0.05”が示されている場合、これは関係する成分が検出されなかったことを意味する。 X線螢光測定(これは周囲環境に敏感である)の性質によれば、解析により見いだされた材料の全量は、100%を超えることができる。本明細書(請求の範囲および要約書を含む)において、この数値は100%に標準化しなかった。しかしながら各成分ごとに分析された材料の全量が示され、100%に対する変動は小さいことが分かる。“相対重量%”という欄の見出しでは、成分全量に対するSrO、Al2O3およびSiO2の重量%が示されている。特記しない限り、本明細書でいうすべての%は、X線螢光分析により分析された%であり、絶対的な%ではない。 表2は、繊維形成組成物の収縮および溶解度のデータを示している(表1と同じ順序である)。溶解度は下記の方法において測定された溶液中のppmとして表示した。 表1および2の線A以上の組成物のすべては、2.76重量%以下のSiO2を含む。これらの組成物のほとんどが繊維を形成しなかったことが分かる。これらの繊維のうちの幾つかは2.46重量%以上の量のNa2Oを含み、繊維の形成に役立っているが、1000℃を超える温度で貧弱な収縮特性を示している(測定された温度で3.5%を超えているという意味)。 1.96%K2Oおよび2.69%SiO2を含む、繊維の一つ(SA5(2.5%K2O/SiO2))は、1260℃で好適な収縮を示している。 “純粋な”ストロンチウムアルミネートは繊維を形成しないが、繊維形成添加剤(例えばSiO2およびNa2O)の添加により、繊維は形成され得る。得られた繊維の収縮特性は、使用された添加剤に依存する。 線Aよりも下部で、且つ線B以上繊維は、35重量%未満のSrO含量を有し、貧弱な収縮特性を示している。線Bよりも下部の繊維は35重量%を超えるSrO含量を有し、1260℃で良好な収縮を示している。 線Cの繊維は2.52重量%のCaOを含み、1400℃で性能への悪影響が見られる。線Dよりも下部で、且つ線E以上の繊維は48.8重量%超のAl2O3含量を有し、1400℃で性能への悪影響が見られる。線Eよりも下部の繊維は14.9重量%のSiO2含量を有し、1400℃での性能が悪化している(以下の1500℃での性能を参照)。 組成物のさらに限られた範囲(1400℃の縦欄の太字として示される)は、1400℃で良好な収縮を示す傾向がある。これらの組成物は、表1および2の線Cよりも下部にあり、且つ線D以上にある。3.5%の収縮の要求を満たさない、この範囲における2つの繊維は例外の結果である。 線Cよりも下部にあり、且つ線D以上の繊維は、SrOの相対重量%(上記で定義した)に対して分類され、53.7重量%を超え且つ59.6重量%未満のSrOの相対重量%を有する組成物は、1500℃で良好な収縮を示す傾向にあることが分かる。1500℃で良好な収縮を示さないこの範囲の繊維は、SiO2の高い含量の繊維であり(12.2重量%のSiO2)、これは上記の高すぎるSiO2含量の悪影響を示している。 2つの繊維(SA5aおよびSA5aII)は、1550℃で良好な収縮を示している。 さらに、繊維のうちの幾つかは、非常に高い溶解度を示し、体液に溶解する有用な耐火性繊維を提供することができる。 繊維のすべては水性流体への導入に対して水和を示し、実際にこれらは収縮試験に使用されたプレフォームであっても幾分か水和する傾向を示した。生体系の液体における24時間の溶解度試験の後、水和は非常に顕著に見られた。この水和は明確な溶解および繊維表面の結晶の再沈を示し、その繊維の性質を失う結果となった。 幾つかの組成物の場合、試験のための真空プレフォームの製造において、非イオン性界面活性剤および化学的に改質した脂肪酸の混合物である湿潤剤および分散剤を使用した(Troy EX 516-2(トロイケミカルコーポレーション(Troy Chemical Corporation)の商品名))。これは水への曝露時間、すなわち水和の程度を最少化する試みであった。表3から(表2と同じ試験結果を示している)、分散剤が使用された組成物(“Troy”が付されている)が、この分散剤を使用しない同じ組成物よりも高い収縮を示す傾向にあることが分かる。出願人は、このことは繊維が互いに“ロックされる”部分的な水和が生じ、1つの繊維がその長さ方向に沿った支持繊維の伸長に対し収縮してしまうことによると推定している。分散剤が使用される場合、繊維はその長さに沿った収縮が自由である。 以下に、収縮率および溶解度を測定するために適用された方法を詳細に記載する。 収縮率は、提案されたISOスタンダードISO/TC33/SC2/N220(英国スタンダードBS1920、パート6、1986と同等)により測定された(小さいサンプルのサイズを考慮して、多少変更された)。要約すると、この方法は、0.2%澱粉溶液の500ml中の繊維75gを用い、120×65mmの成形型中に入れ、減圧成形プレフォームを製造することを包含する。白金のピン(およそ0.5mmの直径)を、100×45mmとして、4端に離しておいた。最も長い長さ(L1およびL2)および対角線(L3およびL4)を、移動顕微鏡を用いて、±5μmの精度に測定した。サンプルを炉の中に入れ、300℃/時で試験温度よりも50℃低い温度まで上昇させ、試験温度までの残りの50℃を120℃/時で上昇させ、24時間放置した。収縮値は、4つの測定値の平均として表した。 なお、これは繊維の収縮率を測定する標準的な方法であるが、プレフォームの最終密度が成形条件に依存して変化するため、固有に変化し得ることに注意するべきである。さらに、繊維のブランケットは、同様の繊維で製造されたプレフォームよりも高い収縮率を通常有することに注意するべきである。したがって、本明細書において言及された3.5%という数値は、最終ブランケットによればこれよりも高い値であると解釈することもできる。 溶解度は次の方法により測定された。 繊維は、まず、10メッシュのふるいを通じて切断され、10メッシュのふるいをさらに通じてショットを手により取り除いた。 溶解度試験の装置は、振盪インキュベーターの水浴を含み、試験溶液は、次の組成を有する: ![]() 上記の材料を、蒸留水で1リットルに希釈し、生理食塩水溶液を形成させた。 切断された繊維を0.500g±0.003gに重量測定し、プラスチック製の遠心チューブに入れ、上記の生理食塩水溶液25cm3を加えた。繊維および生理食塩水溶液をよく振盪し、身体温度(37±1℃)に維持された振盪インキュベーターの水浴中に入れた。振盪の速度は、20サイクル/分にセットした。 24時間後、遠心チューブを取り出し、上澄みの液体をデカントし、液体をフィルター(0.45μmセルロースニトレートメンブレンフィルター紙[ワットマン・ラブセイルス・リミテッド(Whatman Labsales Limited)のWCNタイプ])に通過させ、清浄なプラスチック製容器に入れた。続いて、液体を2つの方法のうちの1つにより分析された。最初の方法は、サーモ・ジャレル・アッシュ・スミス(Thermo Jarrell Ash Smith)-Hiefje II機を用いた原子吸光である。 操作条件は、出願人の先の国際特許出願WO93/15028およびWO4/15883号に開示したものとした。SrOの場合の操作条件を以下に示す。 ![]() ストロンチウムは、スタンダードの原子吸光溶液(Aldrich 970μm/ml)に対して測定された。3つのスタンダードを用意し、そこに0.1%KClを添加した(Sr[ppm]9.7、3.9および1.9)。10倍および20倍の希釈液を通常に調製し、サンプルにおけるSrレベルを測定した。続いてSrOを1.183×Srとして計算した。 すべての貯蔵溶液は、プラスチック製容器に蓄えられた。 用いた第2の方法において(最初の方法と調和する結果が示された)、元素濃度は、公知の誘導多段プラズマ-原子発光分光分析により解析した。 上記は、1260℃で24時間曝露されたプレフォームの収縮に対する耐性を述べた。これは、繊維の最大使用温度を示すものである。実用において、繊維は最大連続使用温度や、これよりも高い最大曝露温度として示される。当業界では、規定温度で使用するための繊維を選択するとき、目的とする用途に要求されるよりも高い連続使用温度をもつ繊維を選ぶことは通常行われている。これは、偶発的に温度が増加して繊維が損傷することのないようにするためである。通常、規定温度よりも100〜150℃の余裕がもたれる。 出願人は、他の酸化物または他の不純物がどのくらい上記の繊維の性能に悪影響を及ぼすのか、を特定していない。また、SiO2が繊維形成添加剤である場合、添付の請求の範囲は、SrO、Al2O3およびSiO2以外の材料の10重量%までを許しているが、これは限定として考えるべきではない。 上記は、溶融物からブローすることによる繊維の製造に言及したが、本発明はブローに制限されず、紡糸や、繊維が溶融物から形成される他の技術も包含し、さらに他の任意のプロセスにより製造された繊維も包含する。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (57)【特許請求の範囲】 1. 無機質繊維であって、該繊維の真空成形されたプレフォームが1260℃で24時間暴露されたとき3.5%以下の収縮を示し、該繊維がSrO、Al2O3、および該繊維形成をするに十分であるが収縮が3.5%を超えるような量ではない繊維形成添加剤を含み、かつ該SrOの含量が35重量%以上である、無機質繊維。 2. 繊維形成添加剤が、SiO2を含み、且つ成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも90重量%を構成する請求の範囲第1項に記載の無機質繊維。 3. 成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも95重量%を構成する請求の範囲第2項に記載の無機質繊維。 4. SrO 41.2〜63.8重量% Al2O3 29.9〜53.1重量% を含む請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 5. 2.76重量%超14.9重量%未満のSiO2を含む請求の範囲第4項に記載の無機質繊維。 6. 真空プレフォームが、1400℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 7. Al2O3の量が48.8重量%未満である請求の範囲第6項に記載の無機質繊維。 8. 真空プレフォームが、1500℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 9. SrO、Al2O3およびSiO2の全量に対するSrOの重量%が、53.7重量%超59.6重量%未満の範囲にある請求の範囲第8項に記載の無機質繊維。 10. SrO 53.2〜57.6重量% Al2O3 30.4〜40.1重量% SiO2 5.06〜10.1重量% を含む請求の範囲第9項に記載の無機質繊維。 11. 2.46重量%未満の量でNa2Oを含む請求の範囲第1項ないし第10項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 12. 真空プレフォームが、1550℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第11項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 13. SrO 53.2〜54.9重量% Al2O3 39.9〜40.1重量% SiO2 5.06〜5.34重量% を含む請求の範囲第12項に記載の無機質繊維。 14. 請求の範囲第1項ないし第13項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する無機質繊維。 15. 請求の範囲第1項ないし第14項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する水和可能な無機質繊維。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 本件訂正の要旨は、本件特許第3126737号発明の特許明細書を平成14年3月7日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、次の(イ)及び(ロ)のとおりに訂正するものである。 (イ)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1〜16を次のとおりに訂正する。 「【請求項1】無機質繊維であって、該繊維の真空成形されたプレフォームが1260℃で24時間暴露されたとき3.5%以下の収縮を示し、該繊維がSrO、Al2O3、および該繊維形成をするに十分であるが収縮が3.5%を超えるような量ではない繊維形成添加剤を含み、かつ該SrOの含量が35重量%以上である、無機質繊維。 【請求項2】繊維形成添加剤が、SiO2を含み、且つ成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも90重量%を構成する請求の範囲第1項に記載の無機質繊維。 【請求項3】成分SrO、Al2O3およびSiO2が繊維組成物の少なくとも95重量%を構成する請求の範囲第2項に記載の無機質繊維。 【請求項4】SrO 41.2〜63.8重量% Al2O3 29.9〜53.1重量% を含む請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項5】2.76重量%超14.9重量%未満のSiO2を含む請求の範囲第4項に記載の無機質繊維。 【請求項6】真空プレフォームが、1400℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項7】Al2O3の量が48.8重量%未満である請求の範囲第6項に記載の無機質繊維。 【請求項8】真空プレフォームが、1500℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項9】SrO、Al2O3およびSiO2の全量に対するSrOの重量%が、53.7重量%超59.6重量%未満の範囲にある請求の範囲第8項に記載の無機質繊維。 【請求項10】SrO 53.2〜57.6重量% Al2O3 30.4〜40.1重量% SiO2 5.06〜10.1重量% を含む請求の範囲第9項に記載の無機質繊維。 【請求項11】2.46重量%未満の量でNa2Oを含む請求の範囲第1項ないし第10項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項12】真空プレフォームが、1550℃で24時間曝露されたときに3.5%以下の収縮を示す請求の範囲第1項ないし第11項のいずれか1項に記載の無機質繊維。 【請求項13】SrO 53.2〜54.9重量% Al2O3 39.9〜40.1重量% SiO2 5.06〜5.34重量% を含む請求の範囲第12項に記載の無機質繊維。 【請求項14】請求の範囲第1項ないし第13項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する無機質繊維。 【請求項15】請求の範囲第1項ないし第14項のいずれか1項に記載の、生理食塩水に溶解する水和可能な無機質繊維。」 (ロ)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項17乃至20を削除する。 |
異議決定日 | 2002-09-18 |
出願番号 | 特願平8-506307 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(C03C)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
沼沢 幸雄 |
特許庁審判官 |
西村 和美 野田 直人 |
登録日 | 2000-11-02 |
登録番号 | 特許第3126737号(P3126737) |
権利者 | ザ・モーガン・クルーシブル・カンパニー・ピーエルシー |
発明の名称 | 無機質繊維 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |
代理人 | 長谷 正久 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 田辺 徹 |
代理人 | 小林 慶男 |
代理人 | 小林 慶男 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 池谷 豊 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 池谷 豊 |
代理人 | 長谷 正久 |